天空に聳える鋭峰『槍ヶ岳』へ
槍ヶ岳は標高3180m、本邦第5位の高峰である。
その名の通り槍の穂先のような独特なフォルムで、天空を突き刺すかの如く聳えている。
北アルプスのランドマーク的存在として、中部山岳のどの山からも眺められる、登山者にとっては憧れの山であります。
※ここでの写真は2009(H21)年7月24~25日に撮影したものです。※
槍ヶ岳を目指すコースは沢山ありますが、ここでは槍沢コースの槍沢ロッジから上部を御案内します。
槍沢ロッジから樹林帯の登山道を登り、イタヤカエデやナナカマドなどに覆われた道を進む。樹林が途切れ、ペンキで表示された槍見岩に出る。
U字谷を形成し切り立った岩壁がそそり立つのが見える。灌木帯を抜けると旧槍沢小屋跡地でキャンプ指定地になっているババ平に到着。
水場が有り、簡易トイレも設置されている。 ここからは槍沢が大きく開け、氷河地形であるU字谷の姿が良く観察できる。登山道は槍沢の左岸に沿って延び、お花畑を楽しみながら緩やかに登る。 槍沢が大きく左に曲がる「大曲〈おおまがり〉」と指導標に書かれた水俣乗越分岐に出る。
槍ヶ岳へ槍沢のピストンではつまらないので、ヒュッテ西岳からの東鎌尾根の水俣乗越に向けての急登に取り付いた。 上部に見える尾根まで登るのである。 下の中央に見えるピークは大喰岳(おおばみだけ:3101m)で右に槍ヶ岳、左に南岳が聳える。
尾根近くは急登で厳しかったが、ニッコウキスゲの群落に癒され頑張れた。 東鎌尾根の水俣乗越に出た時は、「やったー」とホッとしたが、水俣乗越は西岳と槍ヶ岳を結ぶ尾根の最低鞍部であり、ここから槍に向けてもうひと頑張りである。
ここから槍ヶ岳本峰の尾根に取り付いて行くのである。 天井沢側に回り込んでハイマツの稜線上に出る。目の前に槍が大きく聳え立ち、迫力を増した姿で迎えてくれる。
岩屑のヤセ尾根を伝い、丸太を組んで階段状に整備された道を登り、左右が切れ落ちたハイマツの狭い尾根を進む。 左手眼下には、先程歩いて来たU字谷の槍沢と手前にはコバイケイソウの群落が見られた。
窓と呼ばれる鞍部へは木製階段を降り、その後 更に鉄ハシゴを下る。 下り切ると次は、槍に向けての登りが始まる。岩屑の尾根歩きで高度を稼ぐ。
ハシゴと太いクサリの続く岩場に来ると、以前 職場の仲間と共に通過する時、仲間の一人が恐怖心からだろうか ハシゴの途中で上にも下にも動けなくなり、皆で確保しながら通過した記憶がよみがえります。 その時は必死でしたが、楽しい思い出です。 ハシゴとクサリ場を過ぎて、岩稜帯をジグザグに登り詰めると、雷鳥平と呼ばれる一角にヒュッテ大槍が現れる。更に槍へと歩を進めると殺生ヒュッテも見えた。
曇っていたので遠望は利かない。なので一路槍ヶ岳を目指す。 丸太の手すりがある鉄製のハシゴを登り、東鎌尾根最上部の岩場を槍沢側に巻いて、ガレ場を回り込むと、槍沢コースの登山道と槍の肩直下で合流する。
槍ヶ岳山荘は目の前である。槍ヶ岳山荘に到着し、受付を済ませてから槍ヶ岳山頂に向かう。 クサリやハシゴが連続する登りで、ガスにより全てが滑り易くなっているので慎重に行動する。
槍の山頂は狭く風が強かったので腰を低くして移動する。
好天であれば360度の展望が楽しめる山頂だけに、この時は非常に残念であった。
寒い山頂にひっそりと小祠が祀られている。この祠は雷を避けるために釘は一本も使われていないそうです。
寒くて長居は出来ず、10分ほどで下山開始。下りは登り以上に三点確保を実践し、慎重に下った。
前日は槍ヶ岳山荘でゆっくり体を休め、翌日は大喰岳(3101m)から中岳(3084m)を通り南岳手前から天狗池に下り、槍沢コースを戻った。
翌日は前日よりも天気は悪く、天狗原に下るコースは残雪が多く、天狗池は雪に埋もれて見ることは出来なかった。
雪の無い時に天狗池から槍ヶ岳を望んだ景色です。
槍ヶ岳には5回ほど登っているのですが、天気の良い時の写真が見当たらず、今回のはCDに取り込んでおいたものを引っ張り出してみました。
行くと辛い思い出も有るのですが、改めて見るとまた行ってみようか?何て思うんですよね。
山屋のアホなところです。