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小樽・奥沢水源地の「水すだれ」は一見の価値あり!

2022年09月08日 | 土木構造物・土木遺産
「奥沢水源地」は小樽市街地を走るの臨港線から車だと10分ほどのところにある100歳越えの土木遺産だ。「近代水道の父」といわれる中島鋭治氏が力を注ぎ、1914年に造られたもの。
当時、小樽市の人口増や港を利用する船への給水などの水需要を受けて、近代水道の創設期に、北海道で3番目(函館・岩見沢に次ぐ)の本格的施設で、取水のため造られた「奥沢ダム」は北海道では最初の水道専用のアースダムでもある。
1985年(昭和60年)に「近代水道百選」に選定されたほか、2008年(平成20年)には土木学会選奨土木遺産に選定。それまで1世紀に渡り小樽市民の水がめとして使用されていた施設である。



この名誉ある選定を受けていたものの、2011年(平成23年)にダムに陥没箇所が発見され、堤体の破損・決壊につながる恐れがあるとされ、同年の夏にダムは廃止、水道施設もその役目を終えることになってしまった。
ダムは堤体を開削され排水路となっていることから、残念なことに当時をしのばせることはできないのであるが、取水塔や送水管などは保存されているという。ただ、遠目に取水塔はそれに続く橋があることは確認できるのだが、こちらも立入禁止で見学を断念。
ただ、ダムの洪水吐である階段式の溢流路は、21メートルの落差に10段からなる「水すだれ」とも呼ばれる美しい姿を見せてくれる。夏季のみの日中の時間帯に市民に公開されており、これを見るだけでも2日間この場所に通った。
(写真上:水管橋に向かう遊歩道遠くに見えるのが旧ダムの堤体の一部、そして「水すだれ」と呼ばれる溢流路。写真下:すぐ下流側にある旧浄水場と散策路に設置された看板。まだダムなどが機能していたころの内容だった。)



水すだれは、ダムに水を取り入れていた勝納川(ダムの貯水には、二股沢川からも取水)に造られており、緩やかにカーブを描きながら階段状に水流を和らげる働きをしている。
案内看板には、積み上げた石のデコボコによって水流が筋状になっているという。景観を意識して作られていることに感心するし、場所柄、四季折々の変化にとんだ美しさを見せてくれるという。これを見れただけでも価値があると思っている。
ジョギングや散策で訪れる市民も多く、前回紹介した旧手宮線の廃線跡と同様、市民にとっても憩いの場所のようである。なかなか観光客は訪れることはないのだろうが、小樽市としては後世に伝えるため可能な限り保存したいと考えているようだ。


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