裏庭や自宅内部など極めてプライベートな空間に、自分だけ、あるいは自分とごく親しい仲間たちだけが利用できるダンジョンなり亜空間が発見されるところから始まる物語。昔なら「裏庭ロケット」でしょう。
自分たちだけでこっそり冒険というだけではなく、そこで手に入れた経験値やアイテムなどを行使して、一般人も潜っているダンジョンで無双ぶりを発揮するまでがだいたいのお約束です。「悪役令嬢」とか「不遇職/スキル」とか「ざまぁ展開」ほどは意識されていないのだけれど、少しずつ増えています。
自宅の庭とか裏山とか台所とか引き出しの中とか、自分だけがいち早くダンジョンの存在に気づき、しかもそこが他と比較しても簡単に攻略できてスキルやアイテムを手に入れられるので他人より優位に立てる……というのが存在意義。つまりチートの言い訳です。裏庭だから仕方がない。
そんな作品の中から、書籍化されているものと、書籍化されていないけれど一度はランキング入りしていて読めば面白いものを幾つかピックアップしておきます。
『朝起きたらダンジョンが出現していた日常について…… 』 ポンポコ狸(2016)
ある日、世界各国にダンジョンが発生して騒ぎになっていたが、なぜか高校生の九重大樹の部屋の引き出しにもダンジョンが出現していた。しかも、中には静かに鎮座するスライムが1匹。塩で簡単に倒せてしまうスライムでレベルをこっそり上げていた大樹だったが、家の事情でダンジョンに潜らなければいけなくなった友人の広瀬裕二と柊雪乃に付き合う事になる。そして外のダンジョンに挑んでみれば、レベルが少しばかり上がってもノウハウと装備がないとかなり苛酷な攻略だったが……。
自宅の引き出しにダンジョン。
こっそりレベルを上げながら、企業勢などと混じってダンジョン攻略して小遣い稼ぎ。
『地下室ダンジョン~貧乏兄妹は娯楽を求めて最強へ~』 錆び匙(2018)
ある日、世界中にダンジョンが出現した。母親に死なれ、父親には捨てられ、今は田舎の倉庫暮らしの高校生の兄妹が、倉庫の地下のダンジョンを発見。暇つぶしの娯楽のつもりで挑むようになるのだが、本人たちも知らないうちにトップクラスの能力になっていた……。
自宅にダンジョン。
兄妹だけの冒険譚+ダメオヤジと地下を徘徊する謎のメイドさんたちとの物語。
『ダンジョンで稼ぐ』 SHIGE(2019)
ある日世界中にダンジョンが出現していた。サラリ―マンの片山進が借りている、アパートから徒歩5分の駐車場にもダンジョンが出現。そこで『成長』というチ―トスキルをゲットした片山は、冒険者の中でも高額取得者へ成り上がっていく。
愛車の真下に特殊ダンジョンが。
『ダンジョン・バスターズ』 篠崎冬馬(2019)
庭にいきなりダンジョンが出現した。つい足を踏み入れてしまった江副和彦だったが、彼がダンジョンに進入したことでシステムが起動し初め、「世界中に出現する666のダンジョンを10年以内に攻略しないと世界が滅亡する」というフラグが立ってしまった……。
庭からダンジョン。
自分が引き金を引いてしまった呵責から、庭ダンジョンの特性を活かして資金稼ぎとスキル獲得で世界全体のダンジョン攻略を底上げしようと画策し、真相に気づいた政府との駆け引きが繰り広げられます。
『美味しいダンジョン生活』 神谷透子(2019)
45歳のOL、潤子の家にダンジョンが出現した。今は亡き両親の思い出の詰まった家だが、ダンジョン出現が明るみになれば国に取り上げられてしまうし、過去には自宅にダンジョンが出現した家の子供が虐められた事例もある。誰にもダンジョンの存在を言えない潤子は、ソロでのダンジョン攻略を決意するのだが、そこは野菜がドロップするダンジョンだった……。
自宅の中にダンジョン。誰にも言えず、こっそり攻略。
『あの有名なダンジョンが俺の家に出現した(仮)』 鹿鳴館(2019)
日本にダンジョンが出現して4年。六角橋弥の住む家の脱衣場が階段に変わっていて、階段を降りるとダンジョンだった。愛猫たちとダンジョンに挑んでみた六角橋はそこで不思議な案内人に出会い、さまざまなスキルを手に入れる……。
風呂場にダンジョン。
自宅ダンジョンを国に登録し、管理者となった脱サラ男が、愛猫たちと国に登録したダンジョン攻略し、頭角を現していきます。
『ダンジョン運営ってキャンプ場経営に活かせるのだろうか?~無限の生産力で、のんびり山暮らし~』 おじおしょうた(2019)
自作のARゲーム『天樹の森ダンジョン』のテストプレイをしていたら、経営するキャンプ場がダンジョン化してしまった。どうやら異世界と繋がってしまったようなのだが、ここは開き直って特殊な体験が出来るキャンプ場として売り出すことにした……。
経営するキャンプ場がダンジョンに。
なぜかダンジョンマスターとなってしまった主人公の、異世界交流&ダンジョンキャンプ経営記。
『自宅にダンジョンが出来た。(WEB版)』 なつめ猫(2019)
世界中にダンジョンが突如して5年。無職になった中年男の山岸は、自宅の机の引き出しの中がミニチュアダンジョンと化していたのに気づいた。指先で小さな魔物を倒すだけで簡単レベルアップ! ここでレベルを上げた山岸は外のダンジョンにも挑むのだが……。
自宅の引き出しにダンジョン。
TSありの冒険譚。
『俺のうちにもダンジョンができました』 森羅月光(2019)
地震の後に農場の裏山を見に行ったらダンジョンが出来ていた。最初はダンジョンがと言っても信じてもらえなかったが、モンスターを斃して手に入れたアイテムを持ち込むうちに信用されるようになり、母親が逆に乗り気になってダンジョン産の材料を使った商品を、自分の農場の特産品として売り出そうと画策し始める……。
裏山にダンジョン。そして母さんは野心家だった。
どうやら、日本の他の場所にもダンジョンができたらしいけれど、政府が隠して知らんぷりしているので、こちらも隠して知らんぷりしてワインやらなにやら出荷しては荒稼ぎする話。つまり、近所の年寄り連中と始めるダンジョン地場産業化計画。
『壊れスキルで始める現代ダンジョン攻略』 君川優樹(2019)
上司のミスを追求した証券マンが、飛ばされた田舎の支社に出勤してみればダンジョン化し始めていた……。
出勤したら会社がダンジョンになっていた。
気がついたらユニークスキルを手に入れていて、自衛隊に勧誘されたり英国のチームに誘われたりしながら独自の道を歩み続けます。
『家の猫がポーションとってきた。』 熊ごろう(2020)
飼い猫のクロが、自宅の庭にある納屋の中からダンジョンにつながっているのを見つけてきた。そこで魔物と化したネズミなどと戦っていたらしいのだが、そこは神様みたいな存在が世界にダンジョンを設置しようとランダム配置した1つだった……。
庭からダンジョン。
猫とコンビでダンジョン攻略しながら、自衛隊などと協力して全体の攻略速度と安全性の向上に寄与していきます。
『裏庭ダンジョンで年収120億円』 三上康明(2021)
裏庭にダンジョンが出現した。しかも、ろくにモンスターも出ない浅い層にレアアイテムの魔結晶の鉱脈が!
ひとり占めしてこっそり売りさばけば年収120億円。しかし、見つかったら政府に取り上げられてしまう。なんとか目立たず売りさばく方法はないかと考えるのだが……。
裏庭にダンジョン。闇取引で一攫千金を狙います。
(2021/08/29投稿 2022/02/20追補 2024/03/22改稿)