「いや、迷宮というものは、出来上がりより、作っている途中のほうが面白い」
建設用ゴーレムの製造担当として召喚されたヴァンパイア、クルーガの言葉。
『
アラビアの夜の種族』が顕著なんだけれど、ダンジョン建設ものは完成するまでのプロセスが面白いんですよ。極論すれば、完成しちゃったら難攻不落の迷宮となるか攻略されて潰されるかの二択に集約されちゃいますので。
人間、エルフ、ドワーフの連合と魔族が激戦を繰り返す光と闇の最終戦争は、最終局面に入ったかと思われた。連合の大攻勢が迫る中、これに備えて各所に遅滞戦闘用の迷宮が生み出された。つまり時間稼ぎの捨て石である。
かくして竜脈の末端、荒野の真ん中に配置された自律型根拠地設営精霊「識別番号丙三〇五六号」は、乏しい資源をやりくりしながら本国からの支援もないまま、三万五千時間後と推定される大攻勢に備えた迷宮作りを開始した。絶望的な状況ではあるが、拠点精霊には感情は(たぶん)ないので、ただ使命を果たすべく、副官として召喚したアラクネのテラーニャと共に、要撃の準備を進めていくのだが……。
捨て石にされたダンジョンマスターの孤立無援の闘い。飛び散る血しぶき、揺れる乳。
買う予定には入っていなかったのだけれど、書影とタイトルが気になって、手に取ったら予想外に面白かったので満足。登場人物たちが、時代小説調のしゃべり方でちょっと現代的な軍事用語を使って軽妙にやりとりするミスマッチ感が魅力。そして、若干のラブコメテイスト。
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