付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ミラクルチロル44キロ Bパート」 木村航

2009-01-31 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 『ミラクルチロル44キロ』の後半Bパートです。

 悪魔と契約してでも事故で死んだ恋人(未満)の生きた証を残そうとする男と、それを承知で手助けしようとする少女の物語。その悪魔との契約内容の1つが、恋人の体重と同じ重さのチロルチョコを通行人に配って、その代償として1秒ずつでいいから命を集めろというもの。けれど、少女つぼみが「一生分寄附します」と言い出してチョコ配りを手伝い始めたことから、契約が混乱することに……。

 荒唐無稽な話が暴走しそうになるのだけれど、根本的に介護問題というか、理解はできるけれど納得できない家族の関係が絡んでくるので、そこが強みであり弱みかも。
 木村航の作品ってのは、ラノベ風とかファンタジーとかいっても基本的に主人公の周囲にいる家族が記号ではないのですね。大人だろうが子供だろうが、それぞれに良いところも悪いところもあり、経験相応の分別を見せることもあればドロドロした部分を抱えているところもあります。そのあたりがリアルであると同時に生臭く、「崩壊しつつあった人と人の絆の再構築の物語」っていうのは面白くてもメガミ文庫というレーベルの読者にはちょっと重いかもしれません。
 メフィスとフェレスがちょっと書き込み不足で、ミノウエさんだかミノシタさんだかの魅力にはかないませんでした。一方、田丸くんは結局、単なるダメなヤツじゃないのかと思えてしまい、彼に関してはおじいさんの意見に同意したい。うん。

【ミラクルチロル44キロ】【木村航】【介護】【悪魔との契約】【家族の再生】
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「ジャイアントロボ THE ANIMATION ~地球が制止する日」 監督:今川泰宏

2009-01-30 | 巨大ロボット
 「ジャイアントロボ」のDVDボックスが、お安くなって再版されたので迷わず予約購入。いや、LDで揃えたから、また何万も出してDVDで買い直したくないけれど、1万円だったらいいか……って感じ。イタリア語版プロモビデオやワルシャワフィルの収録風景とか、あれこれ収録されて9780円なら買いだよね。

 完全無公害・完全リサイクルの新エネルギー、シズマドライブが世界に普及している近未来。世界征服を企む秘密結社BF団と国際警察機構との戦いが続いていた。
 最高幹部“十傑集”以下超能力エージェントやさまざまな巨大ロボットとを繰り出すBF団に対して、国際警察機構は九大天王以下のエキスパートが立ち向かうが、その中に父親の形見ジャイアントロボと共に戦う少年、草間大作の姿があった。
 だが、強力無比なジャイアントロボには大きな秘密があった。ロボの動力源はシズマドライブではなく、禁断のエネルギー原子力だったのだ……。

……といった基本ストーリーとか設定なんかは二の次で、とにかくエキスパートとエージェントの戦いを愉しめば良い物語。話としては「そりゃないよ、父さんっ!」とばかり根本的に破綻しているというか、悲喜劇まぬけオチなわけで、いつも後悔して悔やんでばかりの軍師・呉学人はもちろん、「すべては私の思うがまま……」というBF団の諸葛孔明だってやっていることはいかがなものか。言いくるめが巧いだけって感じだよね。ストーリー的には水田麻里のコミック版そのままのオチにすれば良かったのに……シズマ博士を殺してしまったから計算狂ったんでないの?と思わないでもないけれど、そんなことは些末事とばかりに繰り広げられる戦いを堪能するのみ。

 とはいえ、この作品がスタートしたときに驚いたのは、身の回りにこれほど横山光輝ファンが多かったのかということ。そうだよなあ。私らの世代は小学校くらいでみんな横山光輝の三国志や水滸伝を読んでいたものなあ……。

【ジャイアントロボ】【地球が制止する日】【今川泰宏】【横山光輝】
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「食卓にビールを 5」 小林めぐみ

2009-01-29 | その他SF(スコシフシギとかも)
 SF作家にして人妻という女子高生が遭遇する事件の数々は、量子力学の激突から惑星崩壊の危機まで。しかし、それら大事件もヒロインにとっては夕食時に旦那に話す今日の話題の1つでしかなかった♪

「私は小説という妄想で食べていこうとしている人間なので未来妄想は得意なのですよ~」

 やっぱり小林めぐみは短編が面白いなあ。女子高生が校舎内で繰り広げる狐狩りとか、魔王を退治に行く少年と悪徳不動産屋とか、悪魔と蛇女とか、とんでもないネタをわけのわからないうちに煙に巻いて放り投げておしまい。これは短編の醍醐味です。
 でも、こんなヒロインを妻にしている旦那もなかなかの大物だと思います。

【食卓にビールを】【小林めぐみ】【遺伝子採取】【不実な若者】【世界征服】【通りすがりの判定者】【クリスマス】 
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「デストラップダンジョン」 著:イアン・リビングストン 絵:空中幼彩 あっと

2009-01-28 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 ふらりと本屋に寄ったら、久々にゲームブックが出ていて、表紙を見たらラノベ風なのに中身を見たらいきなり「モンスター戦闘表」と「冒険記録紙」がついていて、おやおや?と思ったら、奥付の著者はイアン・リビングストンでした。
 背表紙にはタイトルしか書いてなく、表紙袖には日本版スタッフの名前がどーんっと出ていて、帯を外すと小さく英語で「by Ian Livingstone」って、そんなに著者を隠したいのか! ホビージャパン?

 というわけで、表紙はアニメ絵で、主人公は美少女戦士フィリアになっていてプロローグもラノベ風になっているけれど、中身は紛れもなく『死のワナの地下迷宮』でした。ゲームブックの古典『火吹山の魔法使い』を書いたスティーブ・ジャクソン&イアン・リビングストンのイアン・リビングストン、その作品のリメイクです。
 そっかあ。こんなんになっちゃったんだ。本編になると、やっぱり「フィリアは……」ではなく「君は……」になっているところが笑えます。

【デストラップダンジョン】【イアン・リビングストン】【空中幼彩】【あっと】
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「ぬだらべ~放課後退魔録〈2〉」 岡本賢一

2009-01-27 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「生きること自体が苦痛の連続だ。それを癒すのが夢だ。ささやかな目的で良い。それを夢みることで、人は苦痛を忘れて生きてゆける」

 妖怪化してしまった恋人・夏芽を人間に戻すため、半妖怪と化した丈斗は妖魔を殺して彼らの魂を集めていた。だが、性急な丈斗の行動は、すべての妖怪から反発を受け、彼の守護役というか腐れ縁の遊天童子にすら見捨てられてしまう。
 そんなとき、妖魔術クラブの創設者にして異星人であり、しかも巨乳美女という謎の先輩・霧山が馬首山で温泉合宿を企画する。妖怪仲間からも嫌われている凶悪な馬首山の鬼なら、倒しても他の妖怪は怒らないよというのだが……。

 妖怪はいます!しかも妖怪は普通の人間には姿が見えず、また妖怪に殺された者は他の人間の記憶から消えてしまうのだ! だから、人間は妖怪の存在を信じないのだけれど、宇宙の彼方には妖怪の存在に気がついていて、その力を利用することで文明を発達させてきた世界があったのです……という放課後退魔録の第2巻。
 今回は後味は悪いけれど、妖怪モノなら許容範囲。むしろ、これだけなんでもかんでもぶち込んで、なおかつ作品としてまとまっているというのは立派なものかと。

【ぬだらべ】【放課後退魔録】【岡本賢一】【ウサ耳】【妖怪】【異星人】
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「スヌーピーの50年 世界中が愛したコミック『ピーナッツ』」 チャールズ・M・シュルツ

2009-01-26 | エッセー・人文・科学
「バターを塗る音が大きすぎる?」AM I BUTTERING TOO LOUD YOU?

 アメリカの代表的コミックである『ピーナッツ』の50年の歩みを、作者自ら年代順にセレクトした選集に解説を付けたもの。1つのマンガの歴史が、1人の作家の歴史であり、1つの国の庶民の生活史だったりするんです。

 こうやって、まとめて読むと面白いよね。他愛のない子供の会話の端々に、ウィットや哲学的な片鱗が見えるのは三原順の作品にも通じるというか、こっちが本家なのだけれど。
 キャラクターとしてのスヌーピーばかりが有名なんだけれど、ちゃんとコミックの方も読もうね。
 チャールズ・M・シュルツの『スヌーピーの50年』を読む。
 作者のセレクトによる作品収録と回想。昔、よく読んでいたけど、あらためて作者のコメントと合わせて読むと深さを感じます。『ピーナッツ』は編集者が勝手に決めたタイトルだとか
 個人的には「名前」をめぐる次のひとことが印象的でした。

「滑稽な名前は、1回のギャグやひとつのアイデアには有効かもしれませんが、読者はいつまでも滑稽な名前をおもしろがってはくれないと思います。」
 あんたがいうかい!?

【スヌーピーの50年】【ピーナッツ】【チャールズ・M・シュルツ】【セキュリティ・ブランケット】【ビーグル犬】
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「バッカーノ!1705~The Ironic Light Orchestra」  成田良悟

2009-01-25 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 ヒューイ・ラフォレットやエルマーがまだ不死でなかった頃。18世紀イタリアの小都市を舞台に、連続殺人と錬金術士たちの暗躍を描く。
 シリーズものでも、時代がこれだけ遡ると独立した作品として読めます。でもそれにしては登場してもいないキャラへの説明が過多かもしれないけれど、出没する怪人『仮面職人』をめぐる謎解きに、わくわくしながら読了。

【バッカーノ!】【1705】【成田良悟】【錬金術】【連続殺人】
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「啄木鳥探偵處」 

2009-01-24 | ミステリー・推理小説
 生活費稼ぎに探偵仕事をはじめた石川啄木を、友人の金田一京助の視点から語る探偵録。浅草十二階に出没する幽霊騒ぎなど短編推理が5本。
 ミステリーとしては面白いし、賞を取ったのも判るけれど、物語としては並かな。石川啄木は性格悪いし、そもそも啄木がなんで金田一京助を呼び出して同行させないといけないのか、最初の3つの話ではよくわかりません。好意的に解釈すれば、1人ではつまらないから適当につつきまわせる同行者が欲しかっただけ……という感じ。金田一先生がかわいそう。腐れ縁も良いところです。最後の話なんか、2人ともきゃんきゃん言い争って痴話ゲンカしてるだけだし……。

【啄木鳥探偵處】【伊井圭】【浅草十二階】【金田一京助】【石川啄木】【江戸川乱歩】
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「SF魂」 小松左京

2009-01-22 | その他SF(スコシフシギとかも)
 日本SF界の重鎮であり、大阪万博のコンセプトワークで参加した小松左京が語る半生記。SFとの出会い、就職、作家デビュー、万国博覧会への参画、「日本沈没」や「さよならジュピター」の映画化など語る語る。遺言では足りなかったみたいです。
 自分も大阪万博へ行って、カルチャーショックを受けた口だからなおさら面白く感じられたような気がしますが、まあ言ってしまえば戦後日本のSF作家史。
 今風にいえば日本SFは誕生時からメディアミックス。テレビ番組や映画製作にかかわっていながら、『さよならジュピター』もそうだし、『首都消失』もそうだったけれど、小松左京の小説は面白いのに映画はダメダメ。こうして原作者、SF作家としての意欲を読まされると、なんとなくできあがるまでのプロセスが(失礼ながら)勝手に想像できてしまう。
 壮大で重厚な物語の要素を何が何でも全部詰め込みたい原作者と、なんとか自分の理解できる世界に落とし込みたいというSFを理解できない監督。その妥協というか相剋の産物。そんな感じ。
 少なくとも小説読んで映画観て、そしてこの本を読むとそういう結論になりました。

【SF魂】【小松左京】
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「砲煙の巨竜」 内田弘樹

2009-01-21 | 架空戦記・仮想戦史
 軍事に興味ない人には、そもそも戦艦と巡洋艦と駆逐艦の違いから説明しないといけませんが、今回は巡洋戦艦、史実では幻に終わったという超大型重巡洋艦(超甲巡)の話です。……あ、この段階でうちの嫁さんあたりは置いてきぼりにされましたね。
 つまり、動力機関が大きければ大きいほど、大きく重い艦体を動かすことができ、艦体が大きければそれだけ装甲を厚くし大きな大砲をたくさん載せることができます。ここまではおわかりですか?
 それで便宜上、いちばん大きいクラスをひとまとめに戦艦と呼び、海の戦いの主力とみなします。造るのにも動かすのにもお金がかかりますが、殴り合いなら負けません。
 次に、戦艦ほど大きくなく、火力や装甲が劣るものを巡洋艦と呼びます。その名前から判るように大洋を巡る性能が優れているので、あちらこちらに派遣されます。戦艦ほど燃料をくわないし、足は長いし、そこそこ強くて見栄えが良いので、植民地を威圧したり外交したりに使います。戦いでも戦艦が出てこなければ、けっこう活躍します。
 最後に、駆逐艦。本当は最後でもなんでもないけれど、便宜上大別するとこんなもんだと思ってください。これは比較的安価だし速力もあるのでけっこう便利に使われます。大砲はさほど強くはないけれど、一撃必殺の魚雷を持っていたりするのでうまく敵の懐に飛び込めれば戦艦でも倒せます。爆雷もあるので輸送船団の護衛としても活躍します。とにかく、数を用意してなんぼの艦です。
 ……嫁さん、わかった?

「あらかじめそう(自分は完璧ではないと)宣言しておけば負けたときに言い訳しなくてすむじゃないか」
 第12戦隊司令官、大家亮輔少将の言葉。

 で、今回は超甲巡、巡洋艦としてはむちゃくちゃ大きいけれど、戦艦と比較すると小粒という艦が、中途半端な艦として持ち腐れるのか、それとも両者の長所を兼ね備えた艦として活躍の場が与えられるのかという話。威力では戦艦に負けるけれど、速射能力で互角以上に持ち込むぜ!というのがコンセプト。
 いつものように、頭は良いけれど性格はむちゃくちゃ悪い男が主人公です。こういう人間が上り詰められるかどうかってのが、最大のIFですね。
 それから、ああ、内田さんは『トップをねらえ!2』が好きなんだなとか、最近『伝説巨神イデオン』を見たのかなとか、いろいろ思いました。

【砲煙の巨竜】【内田弘樹】【戦艦大和】【水雷戦】【夜戦】【鉄底海峡】【ガダルカナル】
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「阪急電車」 有川浩

2009-01-20 | その他フィクション
 電車に乗り降りする人々は互いに見知らぬ間柄だが、あるときひょんなことからつながりができる。つながってまた別れる。それが電車。友だち同士で大声で騒ぐ女子高生。喧嘩するカップル。贅沢なランチに出かける主婦の一団。婚約者を寝取られた美人OL。
 阪急電車に乗り降りする人々それぞれの人物スケッチ。


 心が疲れているときは波瀾万丈の冒険物も怪奇と恐怖の幻想譚も人間の深層心理に鋭く斬り込んだドラマも要りません。
 軽く読めて、ハッピーエンドが約束されていて、前向きな希望が得られる本。それが手元に1冊あればいい。これはそんな本です。

「あなたみたいな女の子は、きっとこれからいっぱい損をするわ。だけど、見てる人も絶対いるから。あなたのことをカッコいいと思う人もいっぱいいるから」
 翔子からショウコへの言葉。

 そして、これは人と人のつながりの物語。老婦人と女子大生、OLと小学生、女子大生とOL、主婦と女子大生。行きずりだけれど、行きずりだからこそ、相手に与えられるものもある。努力とか才能ではなく、考え方・見方を変えれば、あなたの世界も変わるんでない? そしてそれは、見ず知らずの電車の中でたまたますれ違った他の乗客のひとことがきっかけでもいいんだよという、連作短編集。
 前半は宝塚駅から執着までに繰り広げられる人々の出会いと別れの物語。後半は折り返しの電車で語られる半年間の物語。
 なんか、こんな出会いをしたいなあと思うのは、やっぱり心が疲れているせいなんでしょうか?

【阪急電車】【有川浩】【人と人のつながり】【恋愛】
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「エリアル05」 笹本祐一

2009-01-19 | 巨大ロボット
 地球を侵略にやってきた戦艦オルクスの所属する侵略会社が倒産の危機に陥ったため、ここしばらくは「巨大ロボットが地球を狙う侵略者と戦う」という枠組みを外れた話が続きます。経営立て直しに四苦八苦する段階を通り過ぎて身売り先を探す展開やら、宇宙の果てからやってきた幽霊戦艦と戦ったりと、もう地球侵略どころかどちらかというと地球を守る戦いが続きます……というか、侵略戦艦オルクスの話ですらなく、ハウザー家の姉妹の物語ですな。なんだかなーw。

「世の中のすべてを理解するなんて不可能よ」
 由貴ちゃんはいつもシビア。

 収録されている書き下ろし外伝も、オルクス艦長ハウザーの姉ダイアナがまだ中学生の頃に巻き込まれたスパイ騒ぎの顛末。ダイねえちゃんは小さい頃からダイねえちゃんでした。

【エリアル】【笹本祐一】
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「十字軍」 ルネ・グルッセ

2009-01-18 | 時代・歴史・武侠小説
 十字軍に関する総括的な研究書。判明している限りの日付まで知りたければ別だが、そうでなければ参考資料的に読むには重すぎるし(薄いけど)、他の本で足りた。

【十字軍】【ルネ・グルッセ】




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「中世の風景」 阿部謹也

2009-01-17 | 時代・歴史・武侠小説
 中世全般について対談をメインにして語るというもの。「詩」とか「法律」とか「都市」とか「馬」などについて、常に日本とヨーロッパを比較しながらびんびゅん飛ばすので、読む方はたいへん。読み切れば面白い。まあ、中世物に触れる際の一般教養ですね。

【中世の風景】【阿部謹也】【中公新書】
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「黒蜥蜴」 江戸川乱歩

2009-01-16 | ミステリー・推理小説
 江戸川乱歩のジュブナイル版が、旧版そのままの表紙で文庫化されて店頭に並んでいます。良い時代になったもんだ……。

 自分が初めて読んだ江戸川乱歩は、小学5年生の時の『黒蜥蜴』で、もちろんポプラ社の少年探偵シリーズ。友人の中には同じような年頃に『屋根裏の散歩者』とか『陰獣』を読んでいたという者もいるけれど、さすがにそれは早かろう。

 社交界の華麗なる華、緑川夫人。しかしてその正体は、「美しいもの」なら何でも奪い取るという女賊・黒蜥蜴であった。
 次の獲物を、宝石商・岩瀬の所有するダイヤモンド<エジプトの星>と決めた黒蜥蜴であったが、その真の目的は岩瀬の愛娘である早苗である。若い男女の美しさをそのままに、剥製にして保存するのも趣味という黒蜥蜴の魔手が早苗に迫る!
 その前に立ちふさがる者こそ、名探偵明智小五郎であった!!

 江戸川乱歩は日本のミステリ界の重鎮であったし、子供には少年探偵シリーズの方が有名で、怪人二十面相と明智小五郎の対決はアニメからドラマまで何度も映像化されたりしているけれど、個人的に乱歩の作品は本格ミステリというより淫靡陰惨な犯罪小説的なイメージが強いのですね。実際に作品リストを一瞥すると、そんなに偏ってはいないはずなのだけれど。
 『黒蜥蜴』はそのちょうど中庸。黒蜥蜴vs明智小五郎は怪人vs名探偵の構図ではあるけれど、また黒蜥蜴は美男美女を剥製にするという猟奇な敵でもあります。入門するには最適の1冊かもしれません。
 なんにせよ、明智小五郎は日本の名探偵の代名詞です。

【黒蜥蜴】【江戸川乱歩】【女賊】【人間椅子】【名探偵】
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