付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「魔法科高校の劣等生(11)」 佐島勤

2013-08-31 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 ホームヘルパーロボに融合してしまった仲間を取り戻そうと、動き出したパラサイトたちを達也たちは迎え撃つ。だが、これにアメリカ最強の魔法師部隊スターズが雪辱を果さんと乗り込んでくるばかりでなく、漁夫の利を得ようとする四葉や七草、九鳥老人など十師族の息のかかった武装勢力が介入を試みたことから……。

 次第に学園外の軍事や政治の話のウエイトが大きくなってきましたが、1年次はこれにて終了。既刊10冊超となりましたが、登場人物紹介がイラスト付きで、しかも既に退場してしまった者からちょい役までカバーされているのはありがたいことです。
 ライトノベルとして刊行されるものには、学生が一人前の戦力として活躍する話がけっこう多いのですが、能力は高いし、その裁量も(作品内では)無制限に与えられているように見えるのに、その組織としてのありかたがいかにも学生サークルの寄り合いみたいなグダグダな作品が多く、こんなバケモノ、野放しで良いのか!? オトメ拡散防止条約はないのか?などと言いたくなることは始終です。その点で「劣等生」では、幸か不幸か登場人物たちは国家の法なり軍隊や家庭の序列なり学校のルールに従って生きざるを得ないので、細かい点が気になる人間でも素直に読んで楽しめます。
 ただ、今後の大騒動の火種は残っているようで、パラサイトはもちろん東亜やアメリカの動向も危うくて、ストーリーが学園の中にとどまるか予断を許しません。みんな、実戦は殺すか殺されるか割り切った人間ばかりなので、ぐだぐだにはなる心配はしていませんが、学兵みたいな戦争ばかりの陰惨な展開になりませんように。

【魔法科高校の劣等生11】【来訪者編<下>】【佐島勤】【石田可奈】【電撃文庫】【パラサイト】【吸血鬼】【七賢人】【サイコキネシス】【国家機密保護法】
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「スター・トレック~イントゥ・ダークネス」  監督:J・J・エイブラムス

2013-08-30 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 キャストを一新して時間を巻き戻して再始動した、新劇場版の2作目。
 とにかく『フレンチコネクション』かいっ!?って言いたくなるくらい、みんな走りづめの2時間ちょい。カークが走り、ドクターが走り、スコッティが走り、スポックが走り……って、本当に宇宙船の話かと思うけれど、そういえばエンタープライズ号も飛んでは停まり……ばかりだったなあ。

 ある惑星での任務に多少の不都合が生じ、その点を省いて航宙日誌を作成したカーク船長とその点まで含めて報告書を作成したスポック副長の食い違いから、カークは失脚してしまう。
 叱責しつつも、そんなカークに再びチャンスを与えようとするパイク提督だったが……。

 何をすべきかは分からないけれど自分に何ができるかは分かっているカークと、何をすべきか論理的に把握しているスポック副長の物語。まあ、カークの女たらしは相変わらずで、ベネディクト・カンバーバッチ無双な1作。

 総評としては「面白かった!」。いかにもスタートレックなSF冒険活劇でしたよ。ベースとなった作品を知らなくても愉しめるのは当然として、元のシリーズを愉しんだ人には隅々まで楽しめる再話。最後の対決でウフーラ大尉が登場した時は、空とぶギロチンをぶら下げてはいないかとドキドキ(吹き替え版限定)。
 予告編とかサイトの作品紹介がありきたりなSF大作っぽく(しかも間違っていたり)、悪いけどぜんぜん期待してなくて観に行くかどうか迷っていたけれど、良い意味で裏切られました。劇場の3Dで観ると、宇宙船の巨大感が出ていて壮観。
 スタトレものはアメリカ以外では大ヒットしないので、宣伝にあれこれ工夫しなければマニアしか来ない映画になるのはわかるけれど、よくあるSF大作のひな形に落とし込んで超訳した「愛」がテーマということにされると辟易。
 「スタートレック」シリーズであることを意図的に隠したがるのも、いかがなものか。日本ではテーマを「愛」にすると売れるらしいけれど、それが自分が日本映画が嫌いな理由でもある(それはヤマトで吐き気がするほど押しつけられたよ……)。面白い映画なので、結果的にファンにも一般客にも無視されることにならないことを祈ります。

【スター・トレック】【J・J・エイブラムス】【わたしの洞察力は優れている】【赤服】【性豪】【トリブル騒動】【光子魚雷】
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「魔王なあの娘と村人A(6)」 ゆうきりん

2013-08-30 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 石杷実鬼灯(いしわみ・かがち)はメデューサの個性者だが、彼女は他の個性者たちとも一線を引いて孤高を保っている。彼女は一般人どころか、物と人との区別もついていないのだ。
 そんな彼女が「個性者をやめたい」と言いだし、デッカー先生から対策を頼まれた村人Aこと佐東二郎はなんとか彼女とのコミュニケーションを試みるが、鬼灯はこともあろうか同行していた魔王に対して「普通すぎる」と言い放った。
 普通呼ばわりされるなど、魔王のアイデンティティーの危機であった……。

「人類殲滅です! 石杷実さんがどん引きして真っ青になっておそれいりましたと土下座をしてみせるような、ものすっごい人類殲滅計画を考えてみせます!」

 個性が強すぎるゆえに、世界が灰色で均一な存在としか認識できなくなった少女と、会話をすることで個性者たちにヒントを与えることのできる村人の物語。
 個性者たちが学校を出た後にテイル・ユニバースへ送り込まれてどうなるのかとか、それがどうして政府に(個性者への特権を認めさせるほどの)利益をもたらすことになるのかとか、なんか薄気味悪いブラックボックス部分は手つかずで残っているのですが、とりあえずそこは無視して「個性豊かで自己中心的な面々のひき起こす騒動にいつも巻き込まれる常識人の少年の物語」として楽しんで読んでいます。最近、魔王さまがかわいいのよ。あと死霊使いの人使いの巧さとか、ロボットの情報収集能力とか、キャラたちの個性が際立ってきているあたりがポイントです。

【魔王なあの娘と村人A】【彼女の普通とあの娘の特別】【ゆうきりん】【赤人】【電撃文庫】【将来設計】【ペットボトルロケット】【普通じゃない】
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「know」 野まど

2013-08-29 | 超能力・超人・サイボーグ
 周囲の情報を自動的に取得して内包する「情報材」が開発されて40年、それを使いこなすための「電子葉」が人に植えられるようになって10余年。
 内閣府情報庁の審議官である御野・連レルは、その高い情報処理能力からクラス5の権限を与えられている。彼にとって、すべての個人情報も企業秘密もないも同然。それより上は政府の閣僚レベルの人間に与えられるクラス6があるだけだ。
 しかし、彼の前に現れた少女は、クラス9に相当するというのだ……。

「大切なのはただ1つ。開示情報(オープンソース)であることだ」
 京都大学知識情報学研究室、道終・常イチ教授の言葉。

 失踪した天才がプランを立てた、新しい時代の物語。今年のベストSFの1つじゃないかな。
 『電脳コイル』や『この空のまもり』のさらに一歩先を行く、人の認識能力がハードウェアとソフトウェアの相乗効果によって高度に発展したIT社会を舞台にした話で、雰囲気としては『人間以上』とか『アトムの子ら』みたいな話ですが、主人公もヒロインもやることやってます。大丈夫か、淫行条例。
 「ダンスはシンプルな情報交換手段の1つです」という言葉には、『スターダンス』と同じだなと感じて、まさかここからファーストコンタクト!?かと思ったら、もう1つ先まで飛んで行ってしまいました。さすが野まど。

【know】【野まど】【シライシユウコ】【ハヤカワ文庫JA】【情報カースト】【量子コンピュータ】【悟り】【暗号】【木を隠すなら森】【京都】【生と死】【ブラックホール】【曼荼羅】【京都御所】
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「仮面教師SJ(5)」 麻城ゆう

2013-08-28 | 学園小説(ミステリ)
……3巻と4巻を買ってない?

 クラクラこと笹蔵十蔵は教育機構監査局の潜入教師。その驚異的な記憶力をベースに専門家としての技能を再現することで、各地の専門学校に臨時教師として潜入し、校内に不正が無いか調査するのが任務だ。
 今回の任務は孤島にある陶工学校。
 ところが行く先々で生徒として出会うショータとスナがまたしても生徒として同行。まだ16歳のはずのショータが特捜司法官ではないかと疑うクラクラだったが……。

 異色の学園ミステリSF、仮面教師の5冊目。後日譚ともいえる短編「タンブラー」も収録。
 今回は、無人島に設置された陶工の養成校での物語です。渡り鳥のようにあちらこちらの学校を、料理やらカクテルやら時計修理やらの専門家として渡り歩く教師と、これまたいつの間にか同じ学校に転校している生徒2人組という、道中物の変形パターンがなんだか愉しくなってきましたが、今回はちょっとクラクラが悩みすぎ。こういうのはたいてい一ひねりされちゃうものなのです。 

【仮面教師SJ】【麻城ゆう】【道原かつみ】【ウィングス文庫】【天目学園島】【竜窯】【学園七不思議】【タタラ】【海上警察】【曜変天目】【合コン】【詐欺師】
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「落第騎士の英雄譚」 海空りく

2013-08-27 | 魔法の学園
「才能なんてちっぽけなもんで満足する大人になるな。分相応なんて聞こえのいい諦めで大人ぶるつまらない大人になるな。そんなもん歯牙にも掛けないでっかい大人になれ」
 第二次大戦で日本を勝利に導いた極東の英雄、黒鉄龍馬の言葉。

 留学生と留年生が決闘することになった。
 留学してきた少女は異国のお姫さまにしてA級騎士。かたや少年は魔法の才能が無くて落ちこぼれた落第騎士。ところが、互いのレベルに見合った相手をパートナーとしてルームメイトにするという学校の方針ゆえに、どちらも見合うレベルのパートナーがいないため、規格外同士と言うことで組まされたのだ。
 そこで敗者は相手に絶対服従という条件で試合が組まれたのだが、少年は型どおりの判定基準では劣等生ながら真剣勝負では規格外の実力を秘めていた……。

 書店の人に「魔法科高校の劣等生みたいな話だけれど売れてますよ」と薦められて。(劣等生で特徴の1つだった)理論解説的なうんちく部分はごくごく控えめな、学園異能バトルなファンタジーでした。
 いきなり発情するヒロインとか、実の兄に欲情する妹とか、性格的に問題ありな女性が多くて引きっぱなしでしたけれど、アリスはいいな。面白いキャラです。

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)】【海空りく】【をん】【GA文庫】【学園ソードアクション】【異能バトルでスポーツモノ】【見えない敵】【テロリスト】
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「妖精姫と灰色狼」 あやめゆう

2013-08-26 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「必要な時期に、必要な場所へ、必要な人員を。これも用兵の基本だ」
 ミュルス・ミュラーの言葉。

 貧しい少年レイジは、湖の畔で妖精に出会った。
 妖精の名はリエル。伝説の妖精の血を引くという王家が統治する美しき妖精郷スシォルロントの第一王女であり妖精姫と呼ばれてはいたが、人間であり、レイジにとってはただのイヤな金持ちだった。
 だが、リエルはそれを良しとしなかった。
 少女は少年に今に見ていなさいと言い、少年は期待していると応えた。
 それから歳月が経ち、少年は殺され、妖精姫は王宮で孤立していた……。

 王宮に孤立しながらも状況を把握し動かそうとする妖精姫と娼婦の間を渡り歩く暗殺者の灰色狼、そしてリエルのために動く数少ない仲間たちの冒険譚。

「好きな仕事だけしていられれば気楽でいいがな」
「好きなことだけしてるやつがいるなら、縊り殺してやりたいわよ

 トルゥムの将軍ミュルス・ミュラーとロントの妖精姫シグリィエル・リム・ロントの会話。

 御伽噺シリーズの1冊目にして特別賞受賞作。波瀾万丈の年代記が1冊に過不足なく書き込まれ、いかにもおとぎ話的に不気味だったり残酷だったり牧歌的だったりする一方で、クライマックスの決戦も動員兵数が敵味方合わせて1000名前後と妙にリアルです。確かに面白いです。
 3冊目を読んでからかなり経ってしまったので記憶が薄くなってしまいましたが、今から順番に、今度は1冊目から読んでいくことにしましょう。

 さて、「ノプレス・オブリージュ」(Noblesse Oblige)という言葉があります。
 「高貴な者の義務」、特権に伴う責務のことですが、ファンタジー系の小説やコミックを読んでいると、まずこの「ノプレス・オブリージュ」が引っかかります……というか、メインキャラクターが王侯貴族の出身でありながら、あくまで自己中心的に「自分が大事☆」と、家や領地を放り出して自由を求めて旅に出るような話はダメです。平凡な一市民じゃないんですから、そういう平凡な幸せを追求してもらっちゃ困ります。そのあたりをきちんと描けていない作品は、心情的に許せません。
 そういう意味で、この話はそのあたりしっかり押さえられています。すべてを計算し、天下万民のためには自分自身すら手駒の1つにしてしまうリエルっていうのは理想的すぎるキャラであり、それが物語の中心であり、だからこそ正反対の立ち位置にいるレイジや他のキャラも活きてくるのですね。「期待してる。良い金持ちになれるよ、おまえなら」と。

【妖精姫と灰色狼】【RINGADAWN〈リンガドン〉】【あやめゆう】【BUNBUN】【C・NOVELファンタジア】【御伽噺シリーズ】【第7回C・NOVELS大賞】【ノプレス・オブリージュ】【灰色狼の伝説】
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「ファイアーボール」 浅香晶

2013-08-25 | その他SF(スコシフシギとかも)
「誰もが口にするセリフの中には、たまには真実も含まれてることもあんのよ」
 白バイ警官シンディ・バンガードの言葉。

 全米を結ぶ高速道路網フリーウェイを管轄とする交通警官の中でも、カルフォルニアのパトロール“チーム・ファイアーボール”は荒っぽいことで知られている。そのリーダー、シンディは白バイが今までの国産ハーレーから日本製SUZUKIのバイクに変わるという知らせに激怒し、そのデータ収集のために派遣された矢羽根由麻と対立するが……。

 今となっては「ファイアーボール」といえばドロッセルお嬢様しか思いつかないご時世ですが、こちらは自動車窃盗団が強奪した新型装甲車を白バイ警官が追い詰める話。ロボットの代わりにバイクが走り回る『テクノポリス21C』? 既に時代が追いこしてしまったので、今となってはSFというより普通に青春バイク小説として読めます。 

【ファイアーボール】【FREEWAY PATROL 1998】【浅香晶】【海明寺裕】【ハヤカワ文庫JA】【カリフォルニア】
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「空戦魔導士候補生の教官1」 諸星悠

2013-08-24 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「努力は人を裏切らねー。裏切るのはいつも人間の方だ」
 教官カナタ・エイジの言葉。

 突如として出現した魔甲蟲によって地上から駆逐された人類は、地上を逃れて天空に浮かぶ浮遊都市を建設、魔力を駆使する空戦魔導士ウィザードを養成することでかろうじて生き残りを図っていた。
 そして4世紀以上が経過した。
 落ちこぼればかりで模擬戦では連戦連敗のE601小隊に送り込まれた新教官は、エリートエースながら裏切り者と周囲から蔑まれている嫌われ者だった……。

 周囲からの評価が低い理由にも、それを解決する方法にも、結局しっくりこなかったので、メインキャラクターの4人のいずれにも共感できないまま読了。『E.G.コンバット』とか榊版『ガンパレード・マーチ』とか『暗殺教室』とか、ダメダメといわれていた連中が個性を活かしてチームとして再生する物語は大好物なんだけれど、独りよがりに自分が駄目な理由を指摘されても直す気がないというのは、スポーツ小説ならともかく戦争なので、他の人間を巻き込んで殺す気満々ということを意味するのだということに誰も思い至らないというのはなんだろう?
 魔導士の養成機関が学生の自治組織でありながら、学籍のまま実戦に投入されているという設定にも? 世界がキャラクターに甘い話でした。

【空戦魔導士候補生の教官】【諸星悠】【甘味みきひろ】【富士見ファンタジア文庫】
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『宇宙戦艦ヤマト2199』 第七章「そして艦は行く」

2013-08-23 | ミリタリーSF・未来戦記
 前夜祭より帰還。

 面白かった!
 やはり途中で作画が荒れた!
 思わぬところにサービス回があった!
 しかも作画が良い!
 RE:ヤマト3はあるかもしれないけれど、RE:さらヤマはないな。
 思わぬ人が死んで、思わぬ人が生きていて、忘れそうになっていた人にもうひとつ出番があって、最後まで気を抜けないなっ。

 ブルーレイでの完成を待てっ!!

【宇宙戦艦ヤマト2199】【第七章「そして艦は行く」】【出渕裕】【結城信輝】【はてな?】【三式弾無双】
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「紳堂助教授の帝都怪異考」 エドワード・スミス

2013-08-23 | ミステリー・推理小説
 大正時代の帝都東京を舞台に、帝国大の助教授を務める美青年が、美少年を助手としてさまざまな怪事件を解決していくミステリー短編集。

「魔道は人道」
 紳堂麗児は常々、怪異であろうとなんであろうと人がかかわる事件には人の論理が存在していると語っている。

 エドワード・スミスなので、もうちょい斜め上の展開になるのかと思ったら、案外とタイトルとあらすじままの「プレイボーイの青年が、怪異な事件に立ち向かう」話になりました。最近、美青年が表紙の軽いミステリが流行っているけれど、その路線を狙っている感じです。探偵助手のアキヲくんをもっと前面に持ってくれば良いのに……。

【紳堂助教授の帝都怪異考】【エドワード・スミス】【碧風羽】【メディアワークス文庫】【イフリート】【幽霊画】【アニミズム】【ブラウニー】【媚薬】【人形使い】
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「パシフィック・リム」 監督:デル・トロ

2013-08-23 | 怪獣小説・怪獣映画
 幼少期に日本製のアニメや特撮映画を観て育ったメキシコ人監督が、ハリウッドでそのカルマを思う存分吐き出してこね上げた、巨大怪獣と巨大ロボットが戦う話。そもそも怪獣が「KAIJU」という日本語で、ロボットが「イェーガー」とドイツ語で呼ばれるあたりで既に厨二病臭がぷんぷん。
 そういう素材をきっちり作品にまとめ上げるというのは、今の日本映画界には困難かも。「お家芸である柔道でなかなか勝てなくなった日本」と同じ感覚です。
 映画批評的には「キャラクターが薄っぺらい」とか「ストーリーが単調」とかいわれることもありますが、怪獣映画に何を求めているんでしょうね? 
 家族5人で観賞し、その後延々とお互いに語り合いたいことがたっぷり出てくる良い怪獣映画でした。

【パシフィック・リム】【デル・トロ】【チャーリー・ハナム】【菊地凛子】【芦田愛菜】【ケンドーコバヤシ】
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「ミス・ファーブルの蟲ノ荒園」 物草純平

2013-08-22 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「理想を忘れれば、『いずれ』は永遠に『いずれ』のまま」

 前世紀に発生し、瞬く間に世界中に広がった謎の生物「蟲」。人類文明は、それに適応して科学を発展させ、失われつつあった魔術を発掘し、世界を変革していった。
 そして1840年フランス。
 名門の寄宿学校の生徒にして蟲の研究者であるアンリ・ファーヴルは、荒野で巨大な蟲に刀1本で挑もうというサムライ・ボーイに出会った……。

 面白いとは思うけれど、全般的に中途半端な感じ。女子校話にするなら入浴シーンとか「女だらけの中に男1人」の描写をあっさり流しすぎだし、そちらは単なる腰掛けというなら級長クロエの描写に力を入れすぎです。蟲の存在に適応した世界での昆虫学者の冒険としても、魔術がいまだ活躍するスチームパンク・ストーリーとしても、少女の園に潜り込むはめにおちいった少年の物語としても、あれやこれやを詰め込もうとしすぎたというのが読後感。むしろ、アンリ・ファーブルと蟲の話に絞った方が、スチームパンク風ナウシカみたいで面白かったかもしれませんし、
 薩摩から来た侍の若者は、やたら主張が青臭く、土下座しまくるのとあいまって不愉快ではあったけれど、周囲からも青いうざいと叩かれていたので、そういうキャラなんだと納得してその後の成長を愉しめました。

【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル)】【物草純平】【藤ちょこ】【電撃文庫】【蒸気と蟲と恋が彩るファンタジー】【寄生】【バチカン】【薩摩示現流】
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「りっぱな部員になる方法。」 午前三時五分

2013-08-21 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 ミステリー研といっても、推理小説を読んだりするだけのところもあれば探偵クラブまがいもあるし、オカルト方面に走ったりするのもある。尽夜野学園のミステリー研究部はその最後。怪奇現象を調べ、そして科学的に解明していくことこそが使命。
 玉露園部長などはありとあらゆる怪奇事象を端から妄想の産物として科学的に説明するのが性分なのだけれど、知らぬは部長ばかりなり。実際には予知能力者やら式神使いやら幽霊やらなんやらかんやら怪しすぎる部員が多くて……。

 未来と繋がっている四次元黒板とか
 田無小春ちゃんがヒロインとして頑張ってます。かわいくて、ちっちゃくて、不思議な力を持っていて、一生懸命で……これはアリだと思いますっ。

【りっぱな部員になる方法。】【1)紙ヒコーキと四次元黒板】【午前三時五分】【すまき俊吾】【七不思議】【“すべからく”の誤用】【校則がない】
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「ゴールデンタイム列伝 AFRICA」 竹宮ゆゆこ

2013-08-20 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人間の世界は、結局定員1名。やっぱりそう思う。自分が生きている世界は自分だけのもので、誰とも分け合うことはできない」
 岡千波が常々思っていること。

 7月から8月にかけて、東京で暮らしている普通の大学生が遭遇しそうな日々のできごとを、さまざまなサブキャラ視点で描く「列伝」。バイト先でテキーラをあびてひっくり返って病院に担ぎ込まれたり、自分勝手なサークルの先輩に振り回されたり、彼氏の留守宅で悶悶としたり。
 面白いけれど、これがアニメ化というのがよくわからない。日常系マンガがどんどんアニメ化されて、それなりにヒットしているからなんでしょうが、この青臭い学生の日常はむしろ実写ドラマ向きだと思うんだよね。

【ゴールデンタイム列伝】【AFRICA】【竹宮ゆゆこ】【駒都えーじ】【電撃文庫】【青春ラブコメ】【合コン】【飲み会】【ヌーの大移動】【恐怖体験】【エクソシスト】
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