まあ、大晦日でもありますし、今年刊行された本の中で面白かったものを選んでみましょう。シリーズものの場合は2009年中に新刊が出ているものを対象として、とりあえず12作品です。以下順不同。
「ガンパレード・マーチ 九州奪還」 榊涼介
ガンパレも「九州奪還」編は今年完結。ゲームの枠を超えた激戦が繰り広げられました。キャラが活きていて、戦術から政略までまんべんなく押さえていてと文句がつけられません。
「鬼切り夜鳥子」 桝田省治
女子高生陰陽師、鬼切り夜鳥子も今年で完結。駒子と愉快な仲間たちの冒険は好きなシリーズなだけに、短編集の形でも良いので後日談が出ることを期待しています。
「“文学少女”見習いの、初戀。」 野村美月
これは高校生の長男から勧められたシリーズ。読書ガイド+日常系ミステリの文学少女シリーズも本編は完結し、この後日談と短編集がぽつぽつ出ています。
「サマーウォーズ」 岩井恭平
映画のノベライズだけれど、原作に寄りかからずに小説として面白いです。小説は映像じゃないということを熟知して、斬り捨てるところは捨て、加えるところは加えて完成度を上げつつ、あくまでもサマーウォーズなのです。
「ベン・トー4~花火ちらし寿司305円」 アサウラ
なんで安売り弁当の取り合いを、ここまで熱く語らねばならないのでしょうか!島本和彦がコミック化してもおかしくない、馬鹿馬鹿しくも熱い狼たちの戦いを描いた熱血青春活劇。
「紫色のクオリア」 うえお久光
ラノベの文法で書かれた、認識と時間移動と平行宇宙を扱ったハードSF。今年のベストSFを選ぶなら、これをベスト10にいれることを検討しないのは見識が足りないというものです。
「宇宙をかける少女」 瀬尾つかさ
人工知能を搭載した移動型スペースコロニーのどつき合いなのに、古き良き「センス・オブ・ワンダー」を堪能できる正統派スペオペ。TVアニメのノベライズだけれど、本編とはかなり違います。
「マジカルパンプキン44キロ」 木村航
別作品の外伝だけれど単独の作品として愉しめる、悪魔も勧めるとっても健康的なダイエット・ファンタジー。木村航の陽の面が凝縮した1冊。
「さよならの次にくる」 似鳥鶏
学校の内外で起きる不可解な事件に挑む連作短編集で、日常系学園ミステリの佳作。構成とキャラ造型が巧いと思います。大きな謎と小さな謎、正面から挑む謎と伏線としてこっそり提示された謎のバランスも良いですね。
「15×24」 新城カズマ
15人の少年少女の群像劇で海外ドラマ『24』みたいな話をやろうとした意欲作。最後まで予測できないハラハラ展開。
「ほうかごのロケッティア」 大樹連司
ロケット打ち上げ小説。これで「あれは良い思い出だったよな」で終わると普通の小説。つかーーんと突き抜けたから面白い。
「阪急電車」 有川浩
これもグランドホテル形式というんでしょうか。電車を軸に人間模様を描いた連作短編集。元気の出る良い話。自衛官が出てこない話だなあと思って読んでいたら、ミリオタは出てくるのでちょっと笑いました。
次点は「ラ・のべつまくなし」、「翼の帰る処」、「武士道シックスティーン」といったところかな。
こうやってみると国産ライトノベルが目立ちますね……。
ハードカバーは重くて持ち歩きしにくいし、分厚い本はじっくり読んでいる暇がないのです。最近紹介される海外SFあたりに顕著な傾向ですが、とにかく分厚い上にすぐシリーズ化します。そういうのはキライなんですよね。そんなに枚数を費やさないと語れない話なのかと。いくら活字のポイント数が大きくなって行間が開いたとしても、最近の本って軒並み70年代80年代の倍の厚みじゃないですか。じゃあ、中身が倍になっているかといえば、そうとも言い切れない気がします。
そういうわけで、ついつい奔放なアイデアがコンパクトにまとめられていて、バリエーション豊かなライトノベル中心になるのも自然な流れです。アガサ・クリスティだって、コナン・ドイルだって、コードウェイナー・スミスだって、A・B・チャンドラーだって、ハリイ・ハリスンだって、キース・ローマーだって、ジョン・ウィンダムだって、今のラノベ並みの枚数で面白かったじゃないですか。キャンベルの「彷徨える艦隊」やウェーバーの「反逆者の月」も面白かったけれど分厚くて読むのに気合いが必要です。同じ面白さならコンパクト優先というのが今年の私です。
さて、来年はどんな作品に巡り会えるでしょうか?
皆さま、良いお年をお迎え下さい。
「ガンパレード・マーチ 九州奪還」 榊涼介
ガンパレも「九州奪還」編は今年完結。ゲームの枠を超えた激戦が繰り広げられました。キャラが活きていて、戦術から政略までまんべんなく押さえていてと文句がつけられません。
「鬼切り夜鳥子」 桝田省治
女子高生陰陽師、鬼切り夜鳥子も今年で完結。駒子と愉快な仲間たちの冒険は好きなシリーズなだけに、短編集の形でも良いので後日談が出ることを期待しています。
「“文学少女”見習いの、初戀。」 野村美月
これは高校生の長男から勧められたシリーズ。読書ガイド+日常系ミステリの文学少女シリーズも本編は完結し、この後日談と短編集がぽつぽつ出ています。
「サマーウォーズ」 岩井恭平
映画のノベライズだけれど、原作に寄りかからずに小説として面白いです。小説は映像じゃないということを熟知して、斬り捨てるところは捨て、加えるところは加えて完成度を上げつつ、あくまでもサマーウォーズなのです。
「ベン・トー4~花火ちらし寿司305円」 アサウラ
なんで安売り弁当の取り合いを、ここまで熱く語らねばならないのでしょうか!島本和彦がコミック化してもおかしくない、馬鹿馬鹿しくも熱い狼たちの戦いを描いた熱血青春活劇。
「紫色のクオリア」 うえお久光
ラノベの文法で書かれた、認識と時間移動と平行宇宙を扱ったハードSF。今年のベストSFを選ぶなら、これをベスト10にいれることを検討しないのは見識が足りないというものです。
「宇宙をかける少女」 瀬尾つかさ
人工知能を搭載した移動型スペースコロニーのどつき合いなのに、古き良き「センス・オブ・ワンダー」を堪能できる正統派スペオペ。TVアニメのノベライズだけれど、本編とはかなり違います。
「マジカルパンプキン44キロ」 木村航
別作品の外伝だけれど単独の作品として愉しめる、悪魔も勧めるとっても健康的なダイエット・ファンタジー。木村航の陽の面が凝縮した1冊。
「さよならの次にくる」 似鳥鶏
学校の内外で起きる不可解な事件に挑む連作短編集で、日常系学園ミステリの佳作。構成とキャラ造型が巧いと思います。大きな謎と小さな謎、正面から挑む謎と伏線としてこっそり提示された謎のバランスも良いですね。
「15×24」 新城カズマ
15人の少年少女の群像劇で海外ドラマ『24』みたいな話をやろうとした意欲作。最後まで予測できないハラハラ展開。
「ほうかごのロケッティア」 大樹連司
ロケット打ち上げ小説。これで「あれは良い思い出だったよな」で終わると普通の小説。つかーーんと突き抜けたから面白い。
「阪急電車」 有川浩
これもグランドホテル形式というんでしょうか。電車を軸に人間模様を描いた連作短編集。元気の出る良い話。自衛官が出てこない話だなあと思って読んでいたら、ミリオタは出てくるのでちょっと笑いました。
次点は「ラ・のべつまくなし」、「翼の帰る処」、「武士道シックスティーン」といったところかな。
こうやってみると国産ライトノベルが目立ちますね……。
ハードカバーは重くて持ち歩きしにくいし、分厚い本はじっくり読んでいる暇がないのです。最近紹介される海外SFあたりに顕著な傾向ですが、とにかく分厚い上にすぐシリーズ化します。そういうのはキライなんですよね。そんなに枚数を費やさないと語れない話なのかと。いくら活字のポイント数が大きくなって行間が開いたとしても、最近の本って軒並み70年代80年代の倍の厚みじゃないですか。じゃあ、中身が倍になっているかといえば、そうとも言い切れない気がします。
そういうわけで、ついつい奔放なアイデアがコンパクトにまとめられていて、バリエーション豊かなライトノベル中心になるのも自然な流れです。アガサ・クリスティだって、コナン・ドイルだって、コードウェイナー・スミスだって、A・B・チャンドラーだって、ハリイ・ハリスンだって、キース・ローマーだって、ジョン・ウィンダムだって、今のラノベ並みの枚数で面白かったじゃないですか。キャンベルの「彷徨える艦隊」やウェーバーの「反逆者の月」も面白かったけれど分厚くて読むのに気合いが必要です。同じ面白さならコンパクト優先というのが今年の私です。
さて、来年はどんな作品に巡り会えるでしょうか?
皆さま、良いお年をお迎え下さい。