付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「物理の先生にあやまれっ! 弐号機」 朝倉サクヤ

2011-06-30 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 帯に「衝撃の結末!!」とあり、著者あとがきで「打ち切り」と叫ばれ、イラストレイターが「またどこかでお会いしましょう!」と書いてあるということは……本当に打ち切り?
 今年、期待の新シリーズだったのに……ポセイダル13人衆のように「出現した7体の巨大ゴーレム」といわれて5体しか出ていないし、新キャラが登場したかと思ったら即行でお星様になっているし、まさに「俺たちの戦いはこれからだ!」エンディング。
 まあ、半端に中断のまま消えていくより、開き直って驚天動地の結末で決着つける方がスキッとしてます……と思いましょう。話としては、これで完結でも通用しますし、1クール減ってグラナダ攻略戦が端折られても完成度は落ちなかった『機動戦士ガンダム』などの先例はありますが……、惜しいなあ。

 1体で世界の軍隊を相手にできるという巨大ゴーレムAAE。それが4体も集結したAAE高等学校では星徒会選挙が実施され、橋良九星が初代星徒会長に選出された。
 だが、それは足踏み1つで街が壊滅するようなものを自国に置きたくないという各国の思惑の結果であり、またそのような兵器の存在そのものを許さないという勢力も存在していた……。

 運動会ありテロあり米軍やEUとの戦いありで、さらに衝撃の結末。
 明朗快活にさまざまなキャラが巨大ロボでわいわいやりながらシリアスもギャグもあるということで、なかば長谷川裕一の作品をイメージしながら読んでましたが、最後の最後で、ああ、この結末ならアリか……と思いつつ、もし続きが書かれるとしてもこの結末からでは全てなかったことにするか、別レーベルに移行するしかないと思います。もごもご……。
 なんともすばらしい2冊を読ませていただき、たいへん感謝しています。

【物理の先生にあやまれっ!】【弐号機】【朝倉サクヤ】【pun2】【出来レース】【ぽぽぽぽ~ん】【DPS】【裸エプロン】【紺ブルマ】【運動会】【暗殺】【宇宙的存在】【アヌビスの天秤】【異種格闘技戦】【災害コマンド】【心あたりがありすぎる】【オーバーロード】【メタ発言】【ケダモノ】
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「織田信奈の野望6」 春日みかげ

2011-06-29 | 戦国転生・歴史改変
『お笑いの世界にルールは無用。ウケを取ったものが勝ちなのだ』
 戦国時代にはPTAもいないし、自主規制無用で突破だ。

 ついに始まった一揆イベント。ここで対応を誤ると、10年は一揆対策に時間と戦力をとられてしまう。そんな事態は避けねばならないと、一揆衆の総本山たる本願寺ならぬ本猫寺への和睦の使者として名乗り出た相良良晴。
 ところが本猫寺は大阪人の巣窟だけあって、「こんな世の中だからこそ、人には笑いが必要」とお笑いにはなかなか五月蠅い。良晴とフロイスは一揆衆と交渉するため、千利休の指導のもとで漫才修行をすることになり……。

 戦さ、戦さと続き、またまた戦ですが、今度の戦とはこれまでとはちょっと違います。猫を愛する宗教勢力の蜂起です。
 さらに、中二病全開の伊達政宗は小田原攻めを開始し、本猫寺の対決ではまさか大活躍の今川義元。猫耳ロリなけんにょと下品で大柄なお姉さんな雑賀孫市の漫才コンビは強敵だが、織田勢とてむさむむざやられはしない……という超展開。ゴスロリ利休もさすがに何かと思うけど、もういいや。
 明智光秀がついに真相にたどり着き、どうなる!次巻?

【織田信奈の野望】【春日みかげ】【みやま零】【天下布武ラブコメ】【タイムスリップ】【ナンデヤネーン!】【安土城普請】【茶道】【本願寺】【錬金術】【猫耳メイド】【サッカー】【冥土服】【ハリセン】【猫耳ハーレム】【猫念仏】
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「エリアル10」 笹本祐一

2011-06-28 | 巨大ロボット
「わたし、銀河を手に入れようと思ってるんです。帝国をちょっくら揺すって終わりにするより、銀河を征服する方が面白そうだと思いません?」
 オフィス・リムゲートの代表、ダイアナ・ハウザーの言葉。

 銀河帝国の内紛は収束したが、エリアルが手に入れた宇宙人のテクノロジー、慣性制御システムをめぐって世界各国が対立。岸田博士は国連ビルで軟禁状態に置かれるが……。

 地球人類と銀河文明とのファーストコンタクトの顛末を語ったロボットSF小説『エリアル』も、これにて本編は完結。まだ番外編というか枝篇は残っていますので、まだしばらくは楽しめそうです。
 これもTVアニメが全52話の4クールがあたりまえだった時代の産物。今となってはいろいろ通じなくなったネタも少なくなく、国連事務総長がスコラ女史というのも笑い所ですが、もう通用せんだろうなあ……。
 でも、高度に進んだ銀河文明の妙にしょぼいというか生活臭いところと地球の野蛮な原始文明とのかみ合わない戦いとか、それがひとたび銀河文明内部の対立になった途端、ハイテク兵器と高度な戦術がぶつかり合う緊迫感とか、そんな銀河文明と口先三寸でわたりあう老科学者や女子高生の天衣無縫っぷりとか、話の本質的な面白さは変わっていません。

【エリアル】【ARIEL】【笹本祐一】【鈴木雅久】【終わりなき戦い】【ファーストコンタクト】【ビートル】【TV中継】【情報戦】
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★サークル小説(編集中)

2011-06-28 | ランキング・カテゴリー
 ライトノベルでも最近はがちがちのファンタジーやSFは流行らないよとかいわれると、なんとなく日常系学園ものが多いような気がしますが、そんなことは全然無くて、ましてサークル活動をメインとした日常系小説は皆無に近いようです。まんがタイム×××とか読んでいると、そんな感じの4コマまんがばかりなので意外です。
 で、適当に感覚で多いとか少ないというのも良くないと思うので、拾ってみました。
 とりあえず2005年1月から 2011年3月までに刊行された、電撃文庫、富士見ファンタジア文庫、角川スニーカー文庫、MF文庫J、ファミ通文庫、スーパーダッシュ文庫、GA文庫、ガガガ文庫、一迅社文庫、メガミ文庫、ソノラマセレクション、徳間デュアル文庫を目録でチェックし、主な登場人物がすべて小学校から大学までのサークル(公式・非公式を問わない学生・児童の集合体で、団体として存在が周囲から認識されているもの)に所属しているものを拾い出してみました。
 これ以外のものについても、手持ちで内容が確認できるものについては拾い出しました。


【仕事する生徒会】
「くじびき・アンバランス」生徒会/浜崎達也/MF文庫J
「創立!?三ツ星生徒会」生徒会/佐々原史緒/ファミ通文庫
「生徒会ばーさす!」生徒会/番棚葵/スーパーダッシュ文庫
「うちの会長は荒ぶる虎猫に似ている。」生徒会/空埜一樹/HJ文庫
「碧陽学園生徒会議事録」生徒会/葵せきな/富士見ファンタジア文庫
「会長の切り札」生徒会/鷹見一幸/角川スニーカー文庫
「マリア様がみてる」山百合会/今野緒雪/コバルト文庫

【ぽややんと日々を送りながら恋に悩んだりする日常系文化部】
「メグとセロン」 新聞部/時雨沢恵一/電撃文庫
「“菜々子さん"の戯曲」映画研究会/高木敦史/角川スニーカー文庫
「ヒメゴトシステム」放送部/神崎リン/ラブコメ/角川スニーカー文庫
「ぼいレコ!」第二放送部/夏緑/HJ文庫
「ラノベ部」軽小説部/平坂読/MF文庫J
「すてっち!」手芸部/相内円/HJ文庫
「らじかるエレメンツ」化学実験部/白鳥士郎/GA文庫
「助けて秋吉くん!!!」模型部/不破悠/HJ文庫
「みすてぃっく・あい」美術部/一柳凪/ガガガ文庫
「水平線まで何マイル?双つの翼」宇宙科学会/伊吹秀明/HJ文庫

【日常系運動部】
「ロウきゅーぶ!」女子バスケ部/蒼山サグ/電撃文庫
「MiX!」女子新体操部/岩佐まもる/角川スニーカー文庫
「私闘学園」格闘技同好会/朝松健/ソノラマ文庫
「暴風ガールズファイト」ラクロス部/佐々原史緒/ファミ通文庫
「○×△べーす」野球部/月本一/ファミ通文庫
「せんすいかん」水泳部/水城正太郎/HJ文庫
「吉祥GOOD☆LOOKS」野球部/若王子ラムネ/ガガガ文庫
「学校の階段」階段部/櫂末高彰/ファミ通文庫

【ミステリ系文化部】
「はい、こちら探偵部です」探偵部/似鳥航一/電撃文庫
「子ひつじは迷わない」生徒会/玩具堂/角川スニーカー文庫
「"文学少女"」文芸部/野村美月/ファミ通文庫
「初恋ソムリエ」吹奏楽部/初野晴/角川書店
「ほうそうぶ2」放送部/宮沢周/スーパーダッシュ文庫
「りっぱな部員になる方法。」ミステリー研究部/午前三時五分/スーパーダッシュ文庫

【人助けするボランティア系】
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」奉仕部/渡航/ガガガ文庫
「オオカミさんと亮士くんとたくさんの仲間たち」御伽銀行/沖田 雅/電撃文庫
「つばさ」つばさ/麻生俊平/MF文庫J
「えむえむっ!」第二ボランティア部/松野秋鳴/MF文庫J
「戴天高校勝利部」勝利部/夏希のたね/スーパーダッシュ文庫

【オカルト・バトル系】
「恋する鬼門のプロトコル」超常現象研究会/出口きぬごし/電撃文庫
「ほうかご百物語」美術部/峰守ひろかず/電撃文庫
「戒書封殺記」図書部/十月ユウ/富士見ファンタジア文庫
「いつか天魔の黒ウサギ」生徒会/鏡貴也/富士見ファンタジア文庫
「丘ルトロジック」オカルト研究会/耳目口司/角川スニーカー文庫
「末代まで!」心霊研/猫砂一平/角川スニーカー文庫
「荒瀬はるか、容赦なし!」化学・物理部(化物部)/熊谷雅人/MF文庫J
「コトノハ遣いは囁かない」学園伝説研究会/木村航/MF文庫J
「疾走する思春期のパラベラム」映画部/深見真/ファミ通文庫
「ココロコネクトヒトランダム」文研部/庵田定夏/ファミ通文庫
「ずっとそこにいるよ」文芸部/早見裕司/理論社
「モノケロスの魔杖は穿つ」地域社会研究部/伊都工平/MF文庫J
「戦え!松竹梅高等学校漫画研究部」漫研部/番棚葵/スーパーダッシュ文庫

【暴走する理系】
「ピクシー・ワークス」天文部/南井大介/電撃文庫
「キケン」機械制御研究部/有川浩/新潮社
「ほうかごのロケッティア」ロケット研究部/大樹連司/ガガガ文庫

【実体不明で主宰者のひまつぶしが主目的】
「帰宅部のエースくん。」帰宅部/ハセガワケイスケ/電撃文庫
「ハロー、ジーニアス」第二科学部/優木カズヒロ/電撃文庫
「ぷれいぶっ!」ぷれい部/高遠豹介/電撃文庫
「藍坂素敵な症候群」医術部/水瀬葉月/電撃文庫
「先輩とぼく」ミステリー研究会/沖田雅/電撃文庫
「涼宮ハルヒの憂鬱」SOS団/谷川流/角川スニーカー文庫
「僕は友達が少ない」隣人部/平坂読/MF文庫J
「ようこそ、無目的室へ!」無目的部/在原竹広/HJ文庫
「GJ部」GJ部/新木伸/ガガガ文庫

【公然の秘密の裏組織】
「ベリーベリー・エンジェルス」壱伍機関(スパイ部)/藤本圭/角川スニーカー文庫
「恋愛撲滅隊コイスル」組織〈コイスル〉/葛西伸哉/ファミ通文庫
「ルゥとよゐこの悪党稼業」悪党稼業部/藤谷ある/HJ文庫
「セク研!」セク研/大泉りか/ガガガ文庫

【ゲーム系】
「ギャルゲーマスター椎名」ギャルゲー部/周防ツカサ/電撃文庫
「げーまに。」女子ゲーム部/あきさかあさひ/MF文庫J
「彼女と二人で「C」体験!」マイコン部/石川ユウヤ/MF文庫J
「幻月のパンドオラ」電芸部/桃乃蛍/スーパーダッシュ文庫

【食でバトル】
「ベン・トー」ハーフプライス部/アサウラ/スーパーダッシュ文庫
「激辛!夏風高校カレー部(いもうと付き)」カレー部/神楽坂淳/スーパーダッシュ文庫
「喰」過食倶楽部/内田俊/MF文庫J



 やはりコミックと比べると(絶対量が少ないせいもあるかもしれないけど)運動部系の話が少ないですね。野球小説とかサッカー小説とか応援団小説ってほとんどありません。
 まあ、これだけリストアップしてもぜんぜん完璧じゃあありませんし、このリストに何か意味があるかというと自己満足の逃避でしかないわけですが。暇じゃないんだけどねえ。
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「バッカーノ!1932-Summer」 成田良悟

2011-06-27 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 今回はアイスピックの連続殺人鬼と、巨大なモンキーレンチを振りまわすグラハム、そして悪魔より始末に負えないエルマーを中心に繰り広げられるドタバタ騒ぎの一幕。TVアニメ版DVDの購入特典となっていた作品をまとめたもののようです。

「俺は時代にも人にも従わない。どんな時代でも国でも、人の笑顔だけは一緒だよ。だから、俺は人の笑顔だけに従って生きる。それが俺にとっての法律みたいなもんさ」
 笑顔至上主義者、エルマー・C・アルバトロスの言葉。

 今回はニコニコ笑いながら凶器を振り回す連中ばかり目立った気がしますが、殺し屋スミスと殺し屋マリアの因縁の対決も加わって、この錯綜する混沌こそが『バッカーノ!』の醍醐味!
 完結までのスケジュールが発表され、ますます面白くなりそうですが……ローテーションで書いているから『バッカーノ!』の続きはいつになるのかな。

【バッカーノ!】【1932-Summer】【成田良悟】【エナミカツミ】【不死の酒】【闇酒場】【連続殺人】
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「僕が彼女に寄生中」 瑞嶋カツヒロ

2011-06-26 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 荻野明日奈のうさん臭い魔術実験につきあわされた少年、道人は幽体離脱して明日奈から離れられなくなってしまい……。

 強引なヒロインのわがままに「こいつ、何様のつもりだ!?」と思って読んでいたら、続いて登場した幼なじみの少女がさらに輪をかけて強引で自己中心的で味覚障害で、結果として最初のヒロインがまともに見えてきたのだけれど、続いて登場した少女もやはりとんでもなく自己中心的で、結果として今までの少女たちがみんなまともに見えてきたのだけれど、さらに登場したのが……
 主人公が聖人レベルの話。凡庸な主人公に、なぜか美女美少女がむらがるというのがラノベやギャルゲー王道のハーレム・パターンだけれど、ここまで羨ましくないのは初めて。
 結局、根本的な部分で、誰も主人公や周囲に対して気を使おうとしていない、自分優先で他人に優しくないのですよ。
 でも、最後に消えたやつがいちばん非道いやつなので、結果的に残ったメンツは相対的になんとなくイイヤツっぽいけれど、それ、騙されてるからね!

【僕が彼女に寄生中】【瑞嶋カツヒロ】【オダワラハコネ】【一迅社文庫】【キスから始まるドタバタ寄生ラブコメ】【オカルト研究会】【憑依】【転生】
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「少女と移動図書館」 竹雀綾人

2011-06-25 | 本屋・図書館・愛書家
『もし私がいなくなって、もしあなたがこれを読んでいるなら、ここの本は自由にしてください。
 ただし大切にしてください。
 未来につないでください。』


 最大1件140文字まで書き込めるインターネット上のサービス「ツイッター」。その140文字という制限の中で、1日1話ずつ書き込まれていた超短編。物語というより散文詩の連作に近いけれど、それが同人誌としてまとまり、それにさらにプロローグ、エピローグなどの短編が挿入されてスーパーダッシュ文庫から刊行されました。

 荒涼たる無人の荒野を、少女が運転する装甲バスが走る。
 本をぎっしり詰め込んだ移動図書館が走る。
 それは文明の残滓……。

 やはり図書館というのは、読む人がいてナンボ。
 そういう意味で、図書館利用者の顔が見える最後の一篇は嬉しくもあり寂しくもあり。

【少女と移動図書館】【竹雀綾人】【フジシマ】【ついのべ】【ツイッター小説】【ロカビリー】【漫才養成講座】【宇宙港】【フラスコ】


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「織田信奈の野望5」  春日みかげ

2011-06-24 | 戦国転生・歴史改変
「未来は自らの手で掴み取るものなのだ。過去の罪は、未来で償えばよい」
 『天命を動かす者』と出会った後の、武田信玄の言葉。

 明智光秀との祝言話が信奈の耳に入り、怒りを買った相良良晴は伊勢へと左遷させられてしまう。
 その伊勢の地で、良晴は織田家四天王の4人目、滝川一益と相まみえるのだが……。

 さて、良晴と一益は「死体のふり」で戦場を渡ったけれど、あの時代は合戦が終わった途端にどこからともなく“味噌屋”が姿を現したそうだから、「死体のふり」がいちばん危険だと思います。生首もってかれちゃいますよ。まあ、良晴は、もういつ死んでも良いよなと思うくらい、いろいろいい目を見ていると思いますが……。

【織田信奈の野望】【春日みかげ】【みやま零】【天下布武ラブコメ】【九鬼水軍】【おっぱい】【味噌田楽】【クリスマス停戦】【信玄の秘湯】【三方ヶ原の戦い】【姉川の戦い】
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「僕の小規模な奇跡」 入間人間

2011-06-23 | その他フィクション
「努力は万人向けで、万能じゃなくて、でも無能じゃないから。だから、積み重ねることは確実な無駄とは限らない」

 20年前、靴屋の店先でおかしくなった会社員がナイフを振りまわし、余命幾ばくもない青年が刺された。
 そして歳月が流れ、お互いに名前も知らないカップルが生まれ、それも二組。どいつもこいつも脳天気だったり怒りっぽかったりバカだったり元・ひきこもりだったりするけれど、つまるところ他の人間との付き合い方がへたくそで、ぐだぐだなやりとりを続けながら互いに接点のないまま毎日を生きていくのだが……。

 とらえどころのない人間の内面を描写しつつ、パッチワークのように人間関係を綴っていく青春小説。
 「錆びたナイフ」という言葉で石原裕次郎の映画を思い出すほど年寄りじゃありませんが、河あきらのマンガを連想するくらいには年寄りです。そんな「錆びたナイフ」を軸に繰り広げられる数組の男女の物語。なんというか、固有名詞を出さずにどれだけ話を引っ張れるか挑戦したような話です。
 これはメディアワークス文庫だけれど、この文庫がもう100年早く創刊されてたら、夏目漱石なんか人気作家になっていたんじゃないかと思う。なんとなくだけど。

【僕の小規模な奇跡】【そのあと『きみはだれかと恋をする』】【入間人間】【宇木敦哉】【入間父】【バカップル】【ストーカー】【錆びたナイフ】
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「大和撫子紫電改」 志真元

2011-06-22 | 架空戦記・仮想戦史
「聴衆が望むものだけを伝えるのが、ジャーナリズムの仕事ではない。彼らが見たくないと目をそむけるもの、彼らが気付いていない事実を伝えることも、ジャーナリストの義務だ」
 日独の航空戦を目の当たりにしたエド・マローの自戒。
 1940年代初頭、アジア情勢は緊迫の一途を辿っていた。フランス極東艦隊の奇襲によって日本は戦艦4隻を失った。その一方で、アメリカとの関係は急激に悪化していた……。

 タイトルには「大和撫子紫電改」とありますが、まだ紫電が投入されたばかりで主役は瑞山だし、「山本五十六・米本土侵攻」とあるけれど、アメリカと戦争せんといかんぞーという各国かけひきの段階です。とりあえず、この巻の話はユダヤ難民を輸送していた帝国の艦隊が、地中海でドイツ・イタリアの航空戦力とぶつかるところまで。ハンス・マルセイユは貧乏くじ、チャーチルはタヌキ親父で、山本五十六は……。
 こまかなポイントで歴史はいろいろ変わっていますが、ポイントの1つは山本権兵衛内閣がシーメンス事件を乗り切り、欧州派兵したことで日本の国際的地位が向上し、それと連動するように経済力が強くなったこと。
 もう1つは1920年代なかばに日本を襲った6つの大地震とインフルエンザの流行によって人口の3割と都市機能を失いつつも再生に成功したこと。
 この2点が許せない人はダメかもしれませんが、架空戦記なんてシロモノは、(興ざめにならない範囲で)事実よりマシな歴史を求めるべきものなので、自分は素直に「経済力と国際的地位を手に入れた日本が、近衛内閣の舵取りで対米戦にはまり込んでいく」過程を楽しみたいと思いました。

 人口の急激な減少から女性の社会進出が進み、数は多くないものの女性士官の姿も見られるようになり、トンキン湾空戦でエースパイロットとなった千葉貴子中尉が大活躍!……というのも見せ場ですが、読了後の感想は「山本権兵衛、偉いなー。近衛はいかんなー」に尽きるかと。

【大和撫子紫電改】【山本五十六・米本土侵攻】【志真元】【冨沢和雄】【中村亮】【空母<扶桑>】【エドワード・マロー】【ウォルター・クロンカイト】【人造石油】【レンドリース】
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「魔王なあの娘と村人A」 ゆうきりん

2011-06-21 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「……あー、人類滅ぼしたい……」
 静かな日だまりで、のんびりサンドイッチのお昼ご飯を食べながら。

 ゆうきりんももうベテラン作家ですね。でも次男が好きでファミ通版『モンスターハンター』小説は買っていたけど読んではいなかったので、自分が最後に読んだのはハルキ文庫の『戦国吸血鬼伝』。ということは、10年近くご無沙汰でした。(いや、『ぱんほー!』を読んでました)

 個性教育が謳われるようになってン年。なぜそんなことがいわれるようになったかというと、世の中には「戦士」とか「魔法使い」とか凄い個性を持った人間《個性者》というのが幾らでもいて、そういう人間にとっては普通の人間はただのモブであり背景。社会に出てからの収入も段違い……となれば、どんなささやかなものであっても個性を強調しなければ子供は世の中に絶望してしまう。
 佐東もその「普通」の方に区分される高校生。RPGなら「村人」にしかなれない人間。なのに、ある日突然「魔王」の個性を持った女の子、竜ヶ峯桜子に目をつけられてしまう。けれども佐東の幼馴染みは「勇者」の個性を持つ少女。
 かくして佐東をはさんで、魔王と勇者の対決が繰り広げられ……。

 小柄で大人しく、みんなのために働いているようで実は遠大な野望を実現すべく邁進している魔王少女と、猪突猛進ではた迷惑な勇者娘の攻防に巻き込まれた村人Aの物語。ネクロマンサー少女も良い個性してます。

 よく考えたら、社会における認識は真逆なんだけれど、方向性としては『空色パンデミック』と同じかも。普通の社会に、いきなり「おれは魔王だ」「わたしは勇者」だとかいう奴が出没するのだけれど、それを社会として受け入れて世界の一部になってます。
 RPGの主役級の個性をもった人間にとって、それ以外の人間は個体認識もできないゲームの村人と同じで、名前も覚えてもらえないは、自宅に勝手に侵入されるは、部屋をあさられるはと大迷惑。そういう人は社会に出ると、別世界「テイル・ユニバース」に送り込まれ、年数ヶ月の稼ぎで1年の残りは豪遊して遊んで暮らすらしいのだけれど、そっちの方の事情はほとんど語られず、もっぱら学園内の話です。
 良い話だと思っていたら台無し……というパターンが好き。

【魔王なあの娘と村人A】【ゆうきりん】【赤人】【魔王と勇者】【ぷんすか】【シュールストレミング】【メイド喫茶】
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「真夜中のパン屋さん」 大沼紀子

2011-06-20 | その他フィクション
「受験なんてのは、高3の夏から勉強はじめて、それで受かった大学が、ちょうどいい塩梅の大学だって決まってんだよ」
 パン職人、柳弘基の言葉。

 三軒茶屋の深夜営業のパン屋さんを舞台に、パン作りがへたくそなオーナーに、口の悪いイケメンなパン職人、転がり込んだ女子高生の3人を中心に繰り広げられる人間模様。

 これにホームレスになったオカマさんやらストーカーな脚本家やら親に捨てられた子供など、いろいろな意味で困った人たちが登場し、彼らの過去と現在が交錯しながら、その困った人たちをパン屋さんが救い、そしてパン屋の人たちも救われる話。よしながふみの『西洋骨董洋菓子店』と雰囲気は似ています(男色成分は95%カット)。「のぞきますよ、人間だもの」と言い切るストーカーな斑目さんのダメさ加減がすてき。
 一章ごとに語り手が代わり、それぞれの視点で一連の事件が語られていきます。けっして完璧無比なハッピーエンドではないけれど、とりあえず納得できる、みんなが前に進める終わり方でした。書店員さんの間で評判良いという話も納得。

【真夜中のパン屋さん】【午前0時のレシピ】【大沼紀子】【児童虐待】【地雷】【カッコー】
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「はたらく魔王さま!(2)」 和ヶ原聡司

2011-06-19 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「私が目指した平和は、みんなが笑顔でいられる平和よ。犠牲を必要悪と断じて、友達を泣かせた事実に目を瞑る、そんな平和のために、私は戦ってきたんじゃない」
 異世界の勇者、遊佐恵美の言葉。

 魔王城の隣室に和服姿の美女が引っ越してきて、お隣さんと言うことで差し入れなどをしてくれたり出入りするようになったのだけれど、若い娘が六畳一間・風呂無しのオンボロアパートに引っ越してきて、胡散臭い男の部屋に上がり込んでくるなんて怪しい。怪しいのはわかるが、それどころではなかった。
 魔王城はただいま緊縮財政のまっただ中で、しかも魔王はバイト先のマグロナルド店長代理という重要な仕事が回ってきたところだったのだが、向かいにセンタッキーフライドチキンが進出してきていたのだ……。

 捲土重来で世界征服をもくろむ魔王一派が、堅実に六畳一間からの再起を図る話の第2作。
 しょぼい悪の組織の話は多けれど、ちゃんとした実績と実力を持ちながら、臥薪嘗胆で六畳一間にひしめき合っているのが笑いのツボ。魔王軍の戦いも、有能だけれど経験と人材が不足しがちなベンチャー企業が、先行の大手企業とのシェア争いに負けて倒産する……というたとえ話にされると、とたんに身近な話になりますね。
 今回は鈴木梨香さんの(遊佐の気になる人が務めているいう)職場訪問が山場。冷や奴は白だしを水で希釈してタレに使うというのが、今回のワンポイント豆知識。
 ちなみに、トリニダード・トバゴはカリブ海の小島。『カリブ諸島の手がかり』でポジオリ教授が最後にたどり着いたのが、この島。そりゃあ、あんな島に送り込まれたら、とんでもないことです。

【はたらく魔王さま!】【和ヶ原聡司】【029】【監視カメラ】【夏ばて】【トリニダード・トバゴ】【異端審問官】【七夕】【防犯登録】
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「先輩と私」 森奈津子

2011-06-19 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 徳間文庫5月の新刊は、深見真『ヤングガン・カルナバル2』、田中芳樹原案の『七都市物語』、柴村仁の『めんそーれ!キソ会長』、今野敏の『渋谷署強行犯係』、そして森奈津子の『先輩と私』。新書の文庫化が多いけれど、それはともかく同じレーベルでSFやら学園小説やら警察小説が混在し、しかもこんなラノベ風のイラストで女だらけのエロ小説まで混じってます。東京の女子大を舞台に、対立する2つの官能小説サークルの抗争と内紛。
 知ってて書かないのと知らずに書くことの違いについて熱く語るなど、創作する少女たちの物語なのだけれど、ちょっと笑えない犯罪行為が多すぎ。SM話だから仕方がないけれどね。
 本屋さんが困ってましたよ! どこに陳列すればいいか。
 今回に限らず、いつも思うけど、トクマってレーベル分けする気がないよね。へたに細分化されて、大同小異のレーベルが乱立するよりは良いけれど。

【先輩と私】【森奈津子】【大林森】【T女子大】【拉致監禁】【時代劇時代】【大航海時代】
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「この部室は帰宅しない部が占拠しました。」 おかざき登

2011-06-18 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「校則は大事ですよー。でもー、校則を守らせることで、生徒の可能性の芽を摘むことがあってはいけないと思うんですー」
 担任の一ノ瀬先生の言葉。

 柊木夕也は、たった1人の妹を極度に溺愛している以外は人畜無害な普通の高校生。
 ところが忘れ物を取りに戻った夜の学校で、ネクロマンサー少女やらオオカミ少女と知り合ってしまったことから、従姉の生徒会長と対決して“帰宅しない部”を立ち上げるはめに陥ってしまう。
 かくして、帰宅しない部(設立申請中)と生徒会長の武装親衛隊の間で戦端が開かれることとなって……。

 放課後のクラブ活動に参加しない者を「帰宅部」。
 この言葉がいつ生まれたかは知らないけれど、昔は学園マンガなどの一発ギャグに使われるくらいだったと思います。今ではちらほらと「帰宅部」をテーマにした作品も見られるようになりましたが、単になにか1つの目標に縛られずに放課後に遊ぶための方便では、せっかくの「帰宅部」という矛盾を内包する言葉がもったいないとか、もやもや気分。『神明解ろーどぐらす』みたいに「帰宅」という行為そのものを楽しむような作品がもっと増えると良いなあ(無理です)などと思っていたら、さらに逆手を取った作品が登場。

 「帰宅しない部」……いいなあ。帰宅するのに部活するという矛盾した言葉の「帰宅部」をさらにひっくり返し、なにか部としてのはっきりした目的があるわけではないけど、とにかく帰宅しないぞというへそ曲がり感。それで、名前だけ「帰宅しない部」で夜遅く帰宅していたらがっかりだけれど、本当に何年も家に帰っていない本気度に拍手。バカをやるならとことんやろう。半端はよくない。
 萌え系イラストには馴染めなかったけれど、ゆうきまさみの『究極超人あ~る』が好きだった自分は最後まで愉しく読めました。
 あえて注文をつけるなら、才色兼備で財力に裏づけられた権力を持ち、親衛隊ができるほどカリスマもあるというわりには、生徒会長が小物臭をぷんぷんさせていたのだけが残念。親衛隊の馬鹿さ加減をみればお似合いではあるけれど。

【この部室は帰宅しない部が占拠しました。】【おかざき登】【ぺこ】【ストリートファイター】【ファーストキス】【ドラム缶風呂】【プリン】【シスコン】【ガテン系魔法使い】
コメント
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