付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「異世界刀匠の魔剣製作ぐらし5」 荻原数馬

2025-01-17 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「復讐っていうのはな、ただ死んだ奴らの為にするもんじゃない。生きている人間が心に区切りを付ける為にも必要なんだと思う」
 木こりの頭領だったケヴィンの述懐。

 森に炎の魔人が出現。木こりたちの村が襲撃されて大勢の者が殺された。急を聞いて村の跡に辿り着いた勇者リカルドと鍛冶屋ルッツだが魔人は強く、リカルドの〈桜花〉はいなされ、ルッツの愛斧〈白百合〉は超高熱で融かされてしまう。なんとか迷宮の奥に追いやることは出来たのだが……。

 毎回、ルッツが打ち、ゲルハルトが付与魔法を掛けた魔剣にまつわるエピソードが語られますが、今回は「条件が合えば神さえ殺せるかもしれんな」と言われた、もっとも武具らしい剣〈鏡花水月〉の話。そして今回は生き残った女、冒険者サラの逸話が冒頭と最後に挿入されて物語が締めくくられます。
 逃げることは恥じゃないんだよ?

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「肥満令嬢は細くなり、後は傾国の美女(物理)として生きるのみ2」 八針来夏

2025-01-15 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「あの黄金の女のところに参られるのでしょう?」
「ああ、だがなぜついてくる」
「なに。伝承の登場人物になれそうとなりゃね」

 自陣を離れローズメイのもとに向かおうとする騎士や騎士崩れたちは決死の戦場を前に楽しげだ。

 アンダルム男爵は自領の民を虐げるだけでなく、怪しい邪教の術に手を染めているらしい。
 行きがかりからアンダルム領を討伐しようというケラー子爵の軍勢に客将として加わったローズメイだったが、この混乱に乗じて男爵領の鉱山利権を手に入れようとする周辺領主の連合軍と対立する状況で、子爵軍を指揮する子爵の息子ファリクはクズだった……。

 生者と死者の境界があやふやになる中、生贄ちゃんやゴロツキたちを仲間に戦力差100倍の戦場を駆け巡る美女将軍の痛快英雄譚。

【肥満令嬢は細くなり、後は傾国の美女(物理)として生きるのみ2】【八針来夏】【輝竜司】【TOブックス】【美女の痛快英雄伝】【生贄ちゃん】【狼龍】
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「百万回は死んだザコ」 yononaka

2025-01-06 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 そいつはリスポーンするタイプのザコだった。盗賊の下っ端あたりで悪いことをしては冒険者や官憲に叩き切られる役回りだ。賊の頭に斬り殺されたり、仲間から袋だたきにされて死ぬこともある。そう。そのザコはリスポーン能力のあるザコなのだ。何度死んでも別人に身体に意識が乗り移って復活する。ただしザコ限定。いつでも気がつくと悪者の下っ端になっているのだ。
 そんなザコにも夢がある。冒険者になって人の役に立ってみたいのだ。誰かの未来が守れるのなら、ザコの命の5つや6つ安いもんだろう。ただし、あまり転生しすぎると記憶が全てリセットされてしまうのだ……。

 死んでもすぐ転生するけど憑依先はいつでもザコの盗賊という転生譚。冒険者にやられたり、別の盗賊に斬られたりと何度も転生を繰り返すのだけれど、誰かの為に戦える冒険者になりたいという彼の願いが少しずつ運命を動かし、ザコの命を対価に歴史が大きく動き出し、1本の英雄譚を紡ぎ始めます。
 WEB版より全面改稿ということで、一応この巻だけで物語は完結していますが、「第1巻」と謳ってあるので、次巻にも期待が持てそうです。

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「魔女と傭兵5」 超法規的かえる

2024-12-25 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「石を踏むのです。石に踏まれることもあるでしょう」
 シアーシャの石盾は容赦なく敵対するものを押し潰していく。
 ジグは作戦に一緒に参加したメンバーに死者がどれだけ負傷者がどれだけ出たかしっかり記憶しているが、逆にシアーシャの記憶にはそんな数字は残らない。それは人の生き死にの数字がそのまま自分の報酬に繋がる傭兵と、もう何人殺したか数えられないから数えていない魔女との差なのだ。

 ジグは武器屋にとっては大のお得意様だ。高価な武器を使い、しかもその壊れにくいはずの武器を簡単に壊して帰ってくるからだ。そして同じくらい彼の身体は傷だらけだ。武器が壊れる以上に骨は砕けて腹は切り裂かれてと常に満身創痍。その様子に冒険者たちもドン引きだ。
 そんなジグに再び災厄が舞い込む。人間至上主義を唱え、それ以外をすべて亜人として十把一絡げに下に置く澄人教が彼を異端視し、その危険性から刺客を送り込み始めたのだ……。

 まず人間らしく話し合い。それが通じなければ、後は殺すか殺されるかという傭兵ジグの生き方が発露する5巻。魔女シアーシャなら面倒くさいから誰も彼もひとまとめに消してしまえというあたりの対比もよろしく、無骨な護衛に見えてジグの気配りは大変な偉業です。

【魔女と傭兵5】【超法規的かえる】【叶世べんち】【GCN文庫】【本格ファンタジー】【小説家になろう】
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「弟子入りした天才魔法使いが実は娘だったんだけど、どうしたらいい?1」

2024-12-13 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 アラフォー剣士のラルフはスキルが伸び悩んでいる博打打ち。ギルドからはクビにされ、借金がたまってにっちもさっちもいかない。そんな彼に新進気鋭の冒険者ギルドが目をつけた。実は彼の素質は魔導士にあったのだ。
 いずれ魔王に挑むと豪語する〈虹孔雀〉は女性魔導士ばかりのギルド。そんなギルドにスカウトされ、偉大なる魔導士を目指して人生やり直しだ!と意気込むラルフだったが、彼の師匠として任命された12歳だという赤毛の少女の本名を知って呆然とした。真名はゾフィ・リリンダ・ダンバース。名前に覚えがある。昔、ダンバース伯爵家の女と知り合った時に、生まれてくる子の名前として考えていたものだ……。

 魔力鑑定の水晶玉を割ってしまって「なんかやっちゃいました?」モードから始まる人生やりなおし譚。
 実の娘に父親だとも言えず、そのもとで修行を重ねていくダメ人間の成長物語……かな? 序盤の展開だと、こいつ絶対性根は腐ったままだと思ったもの。この巻だけでとりあえず人並みまでは戻った感じです。
 ここで登場するマンティコアの設定は独特。怖いモンスターです。TRPGなら強さの設定変更が容易でマスターの使い勝手が良さそうです。

【弟子入りした天才魔法使いが実は娘だったんだけど、どうしたらいい?1】【R・S・ムスカリ】【このいけ】【HJ NOVELS】【師弟で親子な二人が織り成す、人生大逆転ファンタジー】
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「転生ババァは見過ごせない!2」 ナカノムラアヤスケ

2024-12-11 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「若者は常に浪漫を目指してなきゃ駄目だよ」
 ラウラリスは行動を共にすることになった謎の男、ケインにそう忠告した。

 ギルドに所属せず、フリーの賞金稼ぎをしながら旅をするラウラリスだが、おかしな連中に出くわしてしまった。少女を誘拐するテロリスト“亡国を憂える者”、300年前に滅んだエルダヌス帝国を憂い、最後の皇帝ラウラリスを奉じ、その復活を画策する秘密結社だ。そんな莫迦な連中が出ないよう、徹底的に潰したはずだが取りこぼしがあったらしい。
 このテロリスト集団は片づけておかないといけないねえと覚悟するラウラリスに、とある仕事を持ちかける謎の男がいた……。

 転生ババァが皇帝復活を企む悪の組織を壊滅させんと大立ち回り。その周囲で蠢く謎の組織、“獣殺しの刃”とは!?という2巻。単純明快、サクサク進む痛快活劇です。

【 転生ババァは見過ごせない!2~元悪徳女帝の二周目ライフ~】【ナカノムラアヤスケ】【タカ氏】【レジーナブックス】【アルファポリス】【最凶少女のスカッとファンタジー】 【コスプレショップ】【怪盗ラウラリス】
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「クズ勇者のその日暮らし」 珍比良

2024-12-10 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「ガルはさぁ、やればできる子だと思うよ?」
 淵源踏破の勇者シンクレアは、魔王退治も人々を救うことも放棄した弟を励ますのだが……。

 勇者三姉弟の末っ子ガルドは、魔王退治を放棄した。報酬なし、休暇なしのやりがい搾取で、魔王退治も王国のプロパガンダにすぎないのに、そんなものにつき合う理由はない。彼らは奴隷じゃないのだ。
 あるときは鉄級冒険者のエイトとして、またあるときはモグリの鑑定師のイレブンとして、ガルドは名前を変え、顔を変え、勇者であることを隠しては楽して金儲けできる方法をアレコレ考えているのだ。彼の使うは多種多様な補助魔法だ。あらゆる魔法を使いこなす姉とか、武術の達人の姉とかと違い、彼が使えるのは補助系だけなのだ……。

 人は死ねば光の粒になって消える世界で、ただ女神からそのまま死ぬことを赦されず、即座に復活を約束されている勇者の死に戻り悪行録。いろいろドロンボー一味みたいなインチキ商売に邁進しては露見して捕まって斬首されるまでがお約束。長距離移動するときには自分の首をかききるくらいは日常なので、死んでも復活するのをいいことにリスクを恐れぬやり口で事業を拡大したり、エルフに自分の臓器を売ったりとやりたい放題していきます。

【クズ勇者のその日暮らし】【珍比良】【山椒魚】【TOブックス】【使命を捨てた(!?)ゲス勇者の気ままな拝金ファンタジー!】【小説家になろう】【カクヨム】【ギロチン】
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「魔王を斃した後の帰り道で」 榊一郎

2024-12-07 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「人の心は分からない。時には本人でさえも。打算があろうとなかろうと。だから常日頃から正しき行いをしなさいと……たとえ偽善でも続ける事で本当の善になる事もあると」
 アラン・ブリンドルの教え。

 勇者ユーマと5人の仲間、弓手ジャレッド、僧侶グレアム、魔術師ラウニ、聖騎士レオナ、斥候兵ボニータはついに魔王を倒した。魔王は魔物たちをこの世界に呼び寄せる門であり、魔王討伐によってこの世界に送り込まれていた魔物はすべて消えた。大団円だ。
 しかし、その帰路でジャレッドが仲間から抜けて消えたとき、ユーマは自分が命懸けで冒険をしてきた仲間達の事を何も知らない事に気がついた……。

 魔王を斃した勇者が仲間達のことを何も知らなかったことに気がつき、お互いの身の上話をしながらの帰り道での物語。フリーレンみたいな物語をやりましょうと編集者に言われて書いた話だそうです。ストーリーはぜんぜん違いますがコンセプトは同じですね。結局、今さらどうにもならないよね……というところから、それにどう向き合うかという話になります。

 そして誰もいなくなった……。

【魔王を斃した後の帰り道で】【榊一郎】【芝】【富士見ファンタジア文庫】【『英雄』の喪失と再生を描くエンディングファンタジー】【ニンゲンモドキ】
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「役目を果たした日陰の勇者は、辺境で自由に生きていきます3」 丘野優

2024-12-05 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「勇者パーティーというのは……今はまだ誰も信用していないが、いずれ魔王を討伐するパーテイーだ。だから、世界の希望なんだ。世界の希望が、そういう小さな頼みをくだらないからと一々拒否していたら、なんだか格好悪いだろう」
 ユークたちが行く先々で人々の些細な頼みに応えているのを不満に思ったクレイに、他のメンバーが告げた言葉。

 クレイがエルフに助けを求められ、枯れかけている聖樹を救うのに必要なアイテムを求めて辺獄の奥にある獣人の集落を訪ねていた頃、王都から勇者ユークと賢者テリタスが辺獄最寄りのエルメ村まで辿り着いていた。約束通り、クレイのもとに遊びにきたのだ。
 しかし、クレイとフローラが村に帰還した時、そこで彼らを出迎えたのはユークとテリタス、そして見知らぬ男、魔王の四天王最後の1人だった。

 勇者たちが魔王討伐した後の、ささやかな後始末の日々の物語。
 獣人の村でこの巻は終わりかと思いきや、ぽんぽんとミッションをクリアして聖樹編のくぎりがつくところまで話が進みました。

【役目を果たした日陰の勇者は、辺境で自由に生きていきます3】【丘野優】【布施龍太】【グラストNOVELS】【引退した真の勇者の自由気ままなセカンドライフ】 【荷物運び】
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「アーシャ・リボルヴァの崇拝1」 メアリー=ドゥ

2024-11-29 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「わたくしが望むのは、誰もが幸せな世界ではなく、誰もが選べる世界なのです」
 まだ幼いアーシャの言葉を胸に、アウゴ・ミドラ=バルアは前皇帝を追い落とし、他の皇位継承者を排除し、第三代皇帝の地位に就いた。

 有力な婚約者候補ナバダが皇帝の毒殺を図ったことから、皇帝の婚約者は公爵令嬢アーシャ・リボルヴァにほぼ決まった。そもそも皇帝はアーシャを溺愛しているのだ。たとえ彼女の顔半分が醜く焼けただれていようと、彼女自身がその溺愛ぶりに気づいていないとしても。
 だが、鉄血の乙女アーシャは「陛下のために反乱いたしますわ」「皇国革命軍を結成いたしますわ!!」と居並ぶ大貴族たちを前に言い放ち、それに対する皇帝の回答はただ「赦す」のみであった。
 かくしてアーシャはナバダだけを道連れに、皇帝への忠誠心に疑問のある南部地域へと乗り込んでいった……。

 妹を魔物から守って戦い、顔の半分が焼けただれた公爵令嬢は顔を隠さないし、冷徹な皇帝はそんなアーシャにベタ惚れ。彼女が皇帝の為に反乱軍を立ち上げると宣言した時もただ「赦す」と応えるのみ。気づく者は多くはないが、何かを守る為に行動しない者に価値はないし、自らの手で何かを為そうとしない者、不甲斐なき者は必要ないのが皇帝のスタンスなのだ。

【アーシャ・リボルヴァの崇拝1~皇帝陛下に溺愛される悪役令嬢は、結婚の手土産に不穏分子を平定するようです。~】【メアリー=ドゥ】【ゆき哉】【一二三書房】【サーガフォレスト】【国家動乱ラブ×アクション】【小説家になろう】【六悪】
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「転生ババァは見過ごせない!5」 ナカノムラアヤスケ

2024-11-25 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「私らみたいな人殺しが単なる外道に成り下がるか否かってのは、自分の中に胸を張れる筋があるかどうかだ」
 たとえ悪人相手の口約束であっても、一度交わした約定は違えないのがラウラリスの信条だ。

 いつの間にか剣姫と呼ばれるようになったラウラリスが立ち寄った街では、凄腕の暗殺者による連続殺人事件が起きているという。厳重に警護されているにもかかわらず、護衛ごと町の商人が相次いで殺されているのだ。犯人を捜すことになったラウラリスは性別不詳のハンター、アイルと協力することになったのだが、その頃、ハンター組合はラウラリスの扱いで頭を抱えていた。
 組合に属していないにも関わらず賞金稼ぎで名を挙げ、調べてみればレヴン商会や献聖教会との上層部とのつながり、さらには国の暗部である獣狩りとも連携しているという劇薬扱いすべき人物なのだ……。

 大きな剣を背負ってぶんぶん振り回す長髪美少女の中身ロリババァという痛快漫遊録、とりあえず四天王の最期を全員確認しての第一部完結。みんな生き残ってあれこれやっていたのだ。

【 転生ババァは見過ごせない!5~元悪徳女帝の二周目ライフ~】【ナカノムラアヤスケ】【タカ氏】【レジーナブックス】【アルファポリス】【最凶少女の超絶スカッとファンタジー】【非売品】【転生】
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「ブレイド&バスタード」 蝸牛くも

2024-11-24 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「善き生と、善き死を迎えられますように」
 シスター・アイニッキは死とは価値ある生をまっとうした結果だと祈る。

 死体漁りと揶揄されるイアルマスだが、彼は迷宮の遺体回収屋ではない。あくまでソロで潜る冒険者だ。《迷宮》に潜っては冒険者の死体を回収しては教会に持ち込むのは、シスター・アイニッキへの借りを返すためでもあるし小遣い稼ぎでもある。そこで蘇生させる金があるのか、蘇生が成功するか否かは関係ない。
 そんな彼が迷宮で全滅したパーティーの生き残り、肉の盾として使われていたであろう〈残飯(ガーベイジ)〉と呼ばれる少女剣士を拾ってしまったのだが、彼女は人の言葉を話せなかった……。

 B&Bなんてタイトルですが、書かれているのは「ダンジョン&ドラゴン」ではなく「ウィザードリィ」の方です。もともと「ウィザードリィ」はD&Dをパソコンゲームでプレイしたいというところから始まったので遠からずかな。リルガミンとかカントとかティルトウェイトとか懐かしい単語がちらほら見え隠れします。
 でも、あくまでフレーバーなので、「ウィザードリィ」を知らなくても楽しめる迷宮冒険譚です。蘇生前の記憶を失い、ソロで迷宮に潜り続ける男イアルマス。人の言葉が分かるのか分からないのか、ただ闇雲に暴れ回り切りまくるだけの女剣士ガーペイジ。クランや謎の男に利用されまくり、死に損なった盗賊ララジャ。この3人を中心に、シスター・アイニッキやら騎士セズマールらが絡んで魅力的な冒険が繰り広げられます。

【ブレイド&バスタード~灰は暖かく、迷宮は仄暗い~】【蝸牛くも】【so-bin】【DREノベルス】【ダークファンタジー】【おおっと】【灰塗れの日常】【馬小屋】【壁の中】
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「転生ババァは見過ごせない!4」 ナカノムラアヤスケ

2024-11-23 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「調子の狂うお嬢さんだぜ。話してると近所に住んでた口うるさい爺婆どもを思い出す」
「不思議なことに、似た類いのことをよく言われるんだな、これが」

 リベルのぼやきにラウラリスは軽快に笑って応えた。

 あいかわらず悪徳女帝の時代に回帰しようとするその秘密結社『亡国を憂える者』はうざい。せっかく平和になった世の中を満喫しているのに、それを台無しにしようとする連中だ。
 以前に縁のあった〈獣殺しの刃〉の一員ケインに誘われて拠点を襲撃し、そこで飼育されていた竜をぶった斬ることとなったのだが、それで大商会レヴン商会子飼いのハンター、胡散臭い青年ヘクトに目をつけられてしまう。しかも、その結果、お尋ね者として手配されてしまった……。

 さまざまな組織の思惑がぶつかり合い、巻き込まれたババァが正面からぶっ潰す、全身連帯駆動がぶつかり合う4巻。この巻からイラスト担当が交代。絵柄は似ているし、ぱっと見では気がつかないけれど微妙な差が前の方が好みだったので残念。

【 転生ババァは見過ごせない!4~元悪徳女帝の二周目ライフ~】【ナカノムラアヤスケ】【黒檀帛】【レジーナブックス】【アルファポリス】【悪役を演じきったババァの、第二の人生譚】
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「役目を果たした日陰の勇者は、辺境で自由に生きていきます2」 丘野優

2024-11-22 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 勇者パーティーの聖女フローラが、政略に明け暮れ自分を手駒として便利に使い倒そうとする教会に嫌気がさしてクレイのもとに押しかけたり、そのクレイとフローラが辺獄の奥に住むエルフたちの悩みをあっさり解決していた頃、王都では勇者である第二王子ユークは王位継承を巡る権力抗争のただ中にいた。
 第一王子を推すコンラッド公爵は、魔王を斃したという彼の功績に疑義をはさんだあげく、その功績を広く知らしめんという口実で衆人環視のもとでのS級冒険者と1対3の模擬試合を企画した。S級冒険者といえば1人で軍隊1つと渡り合えるといわれている猛者だ。それを3人同時に相手すると漏れ聞いてもクレイたちは笑うだけだ。
 魔王討伐の戦いを舐めるなと……。

 勇者の功績を押しつけられ、王都で権力抗争に明け暮れるユーク王子を中心にした回で、それは見物せにゃならんとクレイたちもやって来ます。一方、クレイに助けられたハイエルフたちも自らの種族の存続のために動き出しました。
 魔王を斃しても、まだまだ平和な世界には遠そうです。

【役目を果たした日陰の勇者は、辺境で自由に生きていきます2】【丘野優】【布施龍太】【グラストNOVELS】【引退した真の勇者の自由気ままなセカンドライフ】 【荷物運び】
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「役目を果たした日陰の勇者は、辺境で自由に生きていきます」 丘野優

2024-11-21 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 魔王討伐の勇者パーティーで荷物運びをしていたクレイは、魔王討伐後はひとり辺境で開拓暮らし。辺獄と呼ばれる、人に侵入を阻む魔力が強く強い怪物ばかりの地帯だが、そこを切り開けば誰でも自分のものにできるというのだ。気ままにスローライフを謳歌するだが、彼こそが魔王討伐の真の功労者。辺境の地獄でさえ、スローライフを愉しんでいる。
 一方、王都に残った仲間たちはクレイがひとり辺境に向かったまま、ろくに手紙も寄こさないのでやきもきしていた……。

 【鑑定】と【模倣】スキルを駆使する、史上最強の荷物持ちの話。
 帯に「俺、もう好きにやるわ」「さようなら、勇者パーティー」とかあるので、またケンカ別れか追放ものかと思いきや、意外にも円満にパーティーを解散していて惜しまれつつ道を違えているので、これはキャッチコピーがいけないと思います。
 チート勇者の辺境スローライフもの。

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