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『未来少年コナン』は原作とまったく別物なので置いとくとして、スペースオペラの古典『キャプテン・フューチャー』がテレビアニメ化したのが1978年。
国産スペースオペラの第一作『クラッシャージョウ』が劇場アニメ化したのが、ちょいと遅れて1983年。同じ年に超能力者による終末戦争SF『幻魔大戦』も劇場アニメ化。
このあたりから日本のSF・ライトノベルが年に数本、劇場やOVA用作品としてアニメ化されるようになり、1985年には伝奇ファンタジー『吸血鬼ハンターD』もOVA化。『クラッシャージョウ』の劇中劇が注目されていた、『ダーティペア』はテレビアニメ化。さらには新井素子の異世界召喚もの『扉を開けて』や萩尾望都原作の『11人いる!』、眉村卓のジュブナイル時間SF『時空の旅人』が劇場公開と、なんかマイナージャンルの気分だったSF界にも日の目が当たり始めたような気がした80年代。ええ、みんな観に行ったし、買いましたよ。
で、その終わり際の1989年に前後編で発売されたのが『ARIEL』の「SCEBAI最大の危機」。ただ、これは1994年のKSS版『マップス』でも思った事だけれど、制作サイドが「この原作のどういうところが面白いのか」理解できないような、既存のフォーマットに焼き付けようとして消化不良の感。なんだかんだ理屈をつけても、地球の科学で恒星間文明と正面から渡り合って勝つような話じゃないんだってば。
そうした不満を解消したのが、1991年の『DELUXE ARIEL 接触編 THE BEGINNING』と『DELUXE ARIEL 発動編 GREAT FALL』。廃棄物は稼働限界で自滅し、地球文明の危機は腹筋で救われて、初デートと受験はさんざんな結果に終わるという、いかにもSFファンが好きそうな壮大なバカ話は原作者自らシナリオ執筆したものでした。
そのオープニング、『ウルトラセブン』そのまんまじゃねえか!?というテーマが収録されているのは、今のところ、この「正規ユーザー・サポート・パック」という名のサウンドトラックCDと原案小説と設定資料等が収録されたセットのみ。
小説原作のアニメ化は多々あれど、曲がりなりにも商業作品で他作品のパロディを堂々とやってしまうという暴挙に、先鞭をつけたのはたぶんこの作品。この「エリアルのうた」を聞くだけでも購入した価値がありました。ただし、テレビサイズの収録はなし。
エンディングの「危ない土曜日」は、某イベントで原作者の方が「俺はアイドルを使って欲しかったんだよ。アイドルソングとはちょっと違わないか?」とぼやいていたのが印象に残ってます。
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