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ほとんど何の説明もなく始まったけれど、第二次世界大戦序盤のダンケルク大撤退が描かれた映画。日本人には馴染みがないけれど、ここで撤退に失敗していたら後の反抗のための戦力が不足していただろうという、架空戦記におけるターニングポイントの1つ。
大陸に展開していた40万人の英仏軍はドイツ軍によって港町ダンケルクに包囲され、全滅する前に1人でも多くの兵を英国本土に撤退させたいけれど、立ちふさがるのは狭くて広いドーバー海峡。この撤退戦を、包囲された英仏軍の1週間と、撤退のために徴用された民間船(遊覧船)の1日と、上空援護のために飛び立った空軍の1時間を同時並行して描くことで語ろうというもの。
戦争映画というより、観客をダンケルクという世界に叩き込むための映像。だから、高揚感も、ストーリーらしいストーリーもなく、ただ銃声と爆音が轟く海岸体験……に近いかな。いや、狭い船倉に流れ込む濁流もか。
戦争全体で言えば序盤も序盤なので、戦争映画を見に行ったつもりだと消化不良。
ここは、起承転結を抑えたくなります。
まずは、ドイツ軍の猛攻と捲土重来を期する英国を描いた『ダンケルク』が「起」。
映画の中でも「空軍は何をしていた!」と罵られていた英国空軍の辛抱強い戦いを描いた『空軍大戦略』を「承」。
そして、ついに反抗だ!これから大逆転だ!の『史上最大の作戦』を「転」。
そうすると、「結」を何にするかという話ですが、素直に行くなら、これで戦争も(欧州戦線は)終わりだ!ということで『ヒトラー ~最期の12日間』でしょうが、「結」がオチだというなら、このまま一気呵成にドイツ軍をやっつけるぞ!と勢い込んだあげくにコケちゃう『遠すぎた橋』あたりがお勧め。『ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です! 』でも良かろうという意見も。
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