付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ゴジラ×コング:新たなる帝国」 監督:アダム・ウィンガード

2024-05-31 | 怪獣小説・怪獣映画
「わたしたちは、何があってもはなれない」

 地上世界をゴジラが気ままに暴れ回る中、未確認生物特務機関モナークは予算確保と広報活動に奔走していた。そんなことはないと知りつつも、ゴジラは人間のために他の怪獣を退治して回っているのだと言い続けるしかない。
 同じ頃、コングは広大な地下空洞を仲間を求めて彷徨っていたが、その体調は不調だった。本調子にならない。左の犬歯が虫歯になっていて集中できないのだ。たまらず治療を求めて地上に這い出てきたコングを、モナーク専属の獣医トラッパーが治療することになるのだが、コング不在の地底世界では大地が崩れ、さらに地下に広がる空間が出現していた……。

 地上と地下空洞を、北極からフランス、リオデジャネイロまで転戦し、ピラミッドが更地になるまで複数の怪獣が大暴れする大怪獣映画。そんな地球の裏表を駆け回るワールドワイドな映画なのに、なんかこぢんまりしたチンピラ映画みたいな印象が残るのは敵キャラでたぶんラスボスにあたるスカーキングのせい。強さだけなら中の上位なのに、猿知恵を働かせて格上のキャラを手足に使う中ボスとかいますよね。そんな感じ。たとえるなら「超時空要塞マクロス」終盤のカムジン・クラス。
 そしてコングタイプの巨大類人猿ばかりが画面にあふれると遠近感が狂って『猿の惑星』でも観てる気分になってきます。一緒に観に行った妻は「絶対、本当のラスボス、裏ボスが出てくると思ってた」と言ってました。同感。
 でも、映像は迫力あったし、115分があっという間だったのは確か。
 人類言語学者アンドリューズ博士と陰謀論者のバーニー・ヘイズが代わる代わる裏設定と科学的解説を早口で説明してくれるので、ぼんやり視ていても何が起きているか、起こるかは分かります。そして、ゴジラとコングのケンカはモスラの姉御が仲裁してくれます。でも、音楽的にはノスタルジックな面白みはなし。マハラモスラとかファロ島原住民の祈りの合唱とかあれば良かったのに、イーウィス族は地底世界でも寡黙です。

【ゴジラ×コング:新たなる帝国】【アダム・ウィンガード】【ワーナー・ブラザース】【レジェンダリー・ピクチャーズ】【東宝】【一線を越える。常識が変わる。】【モンスターバース】【ブービートラップ】【猿芝居】【レベッカ・ホール】【ブライアン・タイリー・ヘンリー】【ダン・スティーブンス】【ケイリー・ホトル】【アレックス・ファーンズ】【レイチェル・ハウス】【ファラ・チェン】
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「グリッドマンユニバース」 監督:雨宮哲

2024-04-22 | 怪獣小説・怪獣映画
 結局、劇場で3回観た『グリッドマンユニバース』、Blu-rayを予約したつもりがしていなくって、「なかなか発売されないなあ」とのんびりしていたのに気がついて慌てて購入。
 劇場ではついつい観飛ばしていたカットやモブキャラを確認しつつ、なかなかオーディオコメンタリーまで観る暇がなく、連休にはしっかり観たいなあと思います。まる

【劇場版『グリッドマンユニバース』~GRIDMAN UNIVERSE~】【雨宮哲】【円谷プロ】【新世紀エンタテイメント】【TRIGGER】【鷺巣詩郎】【天野正道】【丸山 浩】【西川伸司】【野中剛】【長谷川圭一】【坂本勝】【中村真由美】【マルチバース】【絵心ない】【学園祭】【期末試験】【緑川 光】【広瀬裕也】【斉藤壮馬】【宮本侑芽】【榎木淳弥】【若山詩音】【梅原裕一郎】【安済知佳】【濱野大輝】【高橋良輔】【小西克幸】【悠木碧】【松風雅也】【新谷真弓】【三森すずこ】【鬼頭明里】【鈴村健一】【高橋花林】
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「ゴジラ−1.0」 監督・脚本・VFX:山崎貴

2023-12-16 | 怪獣小説・怪獣映画
「やったか!?」
 今回みんな言う、やたら言う、誰も彼も言う。それがいちばんの敗因。

 太平洋戦争末期、特攻攻撃に失敗して大戸島の基地に帰還した敷島浩一は、その夜、深海から出現した怪獣ゴジラに襲われる。しかし、そこでも敷島は戦闘機の機銃の引き金を引くことができず、結果的に敷島と整備員の橘以外はすべて殺されてしまう。
 大戸島基地は米軍の攻撃に抵抗して玉砕したことになり、敷島は復員したが実家は空襲によって両親共々焼け落ちていた。そして、戦争孤児の明子の面倒を見ている少女、典子と奇妙な同居生活をすることとなり、生活費稼ぎのために米軍の機雷処理をする木造船「新生丸」の銃手の仕事に就いたのだが……。

 『ゴジラ-1.0』観てきました。『ALWAYS 三丁目の夕日』以来、『永遠の0』とか『海賊とよばれた男』、『アルキメデスの大戦』もそうかな? とにかく戦後日本、昭和日本の描写にかけては定評がある山崎監督です。戦争末期から終戦直後の日本を舞台に、日本は武装解除され、米ソの緊張が高まる中で米軍も動けない状況下でゴジラ出現。国は日本も米国も当てにならない。大事な人を守るためには誰かが貧乏くじを引かねばならないと覚悟を決めた、まだ戦争が終わっていない人たちの姿が描かれます。そして、次第に狂気に陥っていく神木隆之介。
 マニアじゃないのでミリタリ関連に気になることもなく、心配したドラマパートも気にならず、さすが特撮も凄くて、2時間ちょいを長く感じさせない面白さ。BGMの選曲以外は満足できる出来でした。
 選曲の気になった部分というのは、確かに曲と画面は合っています。合っているけど、伊福部昭の曲って印象深くて、元々の作品ともしっかり結びついているので曲単体のイメージで選曲すると、別作品のイメージがかぶってMADっぽく見え出しちゃうんです。あまり特撮映画には詳しくない我が家の妻でも「メカゴジラが来るかと思った」というくらい。歌詞がついてる曲なんか、みんな歌えますよね? あーしーあなろい、あさけーさもあい……って。だから、昭和のゴジラ映画をまったく観ていない層は幸せです。
 あと、ちょっと反戦・反政府のセリフがくどかったかなー。ひとこと多くなかったら良いシーンだったのに。

【ゴジラ−1.0】【東宝】【山崎貴】【戦後、日本。無から負へ。】【佐藤直紀】【神木隆之介】【浜辺美波】【山田裕貴】【吉岡秀隆】【安藤サクラ】【佐々木蔵之介】【わだつみ作戦】【震電】【雪風】【高雄】【夕風】【響】【欅】
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「グリッドマン ユニバース ヒロインアーカイブ」 Febri編集部

2023-09-11 | 怪獣小説・怪獣映画
 頼んだ記憶のないグリッドマンユニバースの公式ヒロインファンブック到着。以前刊行されたアーカイブとオールインワンのボックス仕様という解説に、そういやセットで頼んだような記憶がうっすらと……そうそう。特装版はグリッドマン&ダイナゼノンのヒロインアーカイブが入るボックスで、それに合わせて復刻されるというのでついでに買ったんだ。うんうん。ついついセットで購入して、やっと揃ったということですね。
 ウェブくじやグッズ、雑誌ポスターなどに使われた版権絵を中心とした映画『グリッドマン ユニバース』のカラーイラストたっぷりの資料集。ただし、あくまでヒロインアーカイブなので、ストーリープレイバックを含めて男性キャラや怪獣については後ろ姿とかついでに映り込む以外は見受けられません。さすがヒロインアーカイブ。特製ケースのジャケット用イラストも収録されてますので、通常版でも安心。

「『ガウマが生き返ったときに、ひとりだと寂しいから四体合体のロボットを用意しておこう』という発想は、絶対ヤバいですよね(笑)」
 映画でのひめ像はテレビ版でやらかしたことになっているヤバさから逆算されました。

 対談では劇場版のストーリー構成の流れがポチポチと。最初に登場が予定されていて、キャラデザインまで始まってたのに没になった少女については、背景モブで登場してるそうです……って、見てわからんよ?
 六花ママの目が金色だったことだけは、指摘されても解決しませんでした。

【グリッドマン ユニバース・ヒロインアーカイブ~限定スペシャルエディション】【Febri編集部】【一迅社】【雨宮哲】【長谷川圭一】【円谷プロダクション】【TRIGGER】【設定紹介】【監督コメント付きストーリープレイバック】【初期デザイン案】【原画集】【監督インタビュー】【脚本インタビュー】【スペシャル座談会】【ヒロインキャストコメント】
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「グリッドマンユニバース」 水沢夢

2023-07-14 | 怪獣小説・怪獣映画
「ヘーイ、5000年ぶりぃっ!!」

 都立ツツジ台高校の2年生、響裕太はクラスメイトの宝多六花に告白しようと思っているが、なかなか言い出すタイミングが見つからない。彼は過去2ヶ月ほどの記憶がなく、その間に少しは仲が接近したらしいのだが、今はかえって距離が開いている気がする。
 どうも記憶喪失の間に、彼は異次元からやってきたハイパーエージェント・グリッドマンと合体して怪獣と戦っていたらしいのだが、グリッドマンや怪獣のこと、今はいなくなっているクラスメイトらしい新条アカネなどの記憶が残っているのは、六花と親友の内海将だけなのだ。
 そんなある日、突如として街に怪獣が出現した。
 なぜ? 今? 愕然とする六花たちだが、裕太の耳にはどこからかグリッドマンの声が聞こえていた。「この世界のバランスが崩れようとしている」のだと……。

 映画『グリッドマン ユニバース』のノベライズ。買わなくてもいいかなあと思っていたけれど、評判が良いので再版で購入。
 虚実が混沌としだした後の学園祭準備シーンに存在していないはずの人たちの姿がちらほら登場するなど、本編映像になかったシーンが挿入されている一方(……と思ったら、瞬間的なワンカットにちらほら)、後夜祭での2人の会話で物語が完結し、エピローグのカニ鍋のシーンがないという取捨選択が惜しいと思う反面、納得していたり。
 総じて、良いノベライズでした。

【グリッドマンユニバース】【水沢夢】【bun150】【ガガガブックス】【SSSS.GRIDMAN】【雨宮哲】【円谷プロ】【新世紀エンタテイメント】【TRIGGER】
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「グリッドマンユニバース」 監督:雨宮哲

2023-05-25 | 怪獣小説・怪獣映画
「心配なんかしてやらねぇ!……でも、一緒にいてやるよ」

 事前情報がほとんどないまま1回目を観て、指人形をもらって帰宅したらそのままYoutubeでまとめとか解説を視て回りました。それから2回目を観に劇場へ向かい、クリアケース2種類を確保。2回目観ても分からない部分があったので、ウェブ配信でダイナゼノンの1話から最終話までを視て「守らなければいけない3つのもの」ネタは1話から最終話まで伏線張りまくって、オチつけたのは劇場版かよと納得。そのまま遡ってグリッドマンも本編視聴開始(SSSS.の方ね。電光超人の方まではさすがに無理……)。見終わったところで「見逃したシーンがある」と妻が言い出して、再びダイナゼノンに回帰。これで予習というか復習ができたので、あらためて3回目を観に劇場へ。
 さすがに公開2ヶ月近くになると上映館も少なく、夕方に1回だけ枠がある、空港近くにあるシネコンへ夫婦でお出かけ。しかしスクリーンは国内初というキッズ向けシアター。シートが全部やわらかなクッションタイプで座席が低い。ほぼ寝てる。レイアウト的にシネマテークに近いけど、こちらはカラフル、しかも子供用の遊具付きで、映画前後それぞれ15分のプレイタイムがあるのです!って、観客みんないい大人ばっかりじゃん……。
 観て良かったねー。世界中の人が観るべきだよねーとか語り合いつつ帰宅。やっぱり買ってきた蟹の脚の数が合わないし、甲羅は行方不明でした。

【劇場版『グリッドマンユニバース』~GRIDMAN UNIVERSE~】【雨宮哲】【円谷プロ】【新世紀エンタテイメント】【TRIGGER】【鷺巣詩郎】【天野正道】【丸山 浩】【西川伸司】【野中剛】【長谷川圭一】【坂本勝】【中村真由美】【マルチバース】【絵心ない】【学園祭】【期末試験】【緑川 光】【広瀬裕也】【斉藤壮馬】【宮本侑芽】【榎木淳弥】【若山詩音】【梅原裕一郎】【安済知佳】【濱野大輝】【高橋良輔】【小西克幸】【悠木碧】【松風雅也】【新谷真弓】【三森すずこ】【鬼頭明里】【鈴村健一】【高橋花林】
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「DAICON FILMの世界 vol.1」

2023-02-15 | 怪獣小説・怪獣映画
 80年代前半に関西を中心に活動した「DAICON FILM(ダイコンフィルム)」という自主映画製作サークルがあり、それがやがてアニメ制作会社ガイナックスの母体となったわけですが、そのサークル時代の作品をムック形式にまとめたものがこれ。70年代終盤から特撮・アニメ関係でファンタスティック・コレクションとかロマンアルバムとかムック形式の書式が流行していて、主要キャラやメカの紹介、メイキング、ストーリー解説にメカ三面図あたりは必須。その形式に則った雑誌そのものがパロディみたいなものですね。1985年刊行。
 内容は各作品のフォト・ストーリーダイジェストやメイキング、スタッフ座談会に未公開資料、ゲストによる描き下ろしイラストや寄稿文など。グラビアに官能写真集というタイトルが付いているのも、当時のSFファンダムでの流行ですね。
 イラストが加藤直之、矢野健太郎、河森正治。寄稿文が高千穂遙、野田昌宏、宮武一貴、開田裕治、池田憲章、浜松克樹(イニシャルビスケットのK)と、どこのSF専門誌の豪華本かというラインナップも驚きでした。よく依頼できたよなと。
 ダイコンフィルムの作品としては、日本SF大会DAICON3やDAICON4のオープニングアニメ(イベントのオープニングを飾るアニメ映像)とかもうちょいあるのですが、このvol.1では「帰ってきたウルトラマン~マットアロー1号発進命令」「愛國戦隊大日本」「快傑のうてんき」シリーズまで。もしvol.2が出ていたら「八岐之大蛇の逆襲」まで収録されていたのかしら。

【DAICON FILMの世界 vol.1】【スタジオT&M】【DAICON FILM】【ダイコンフィルム】
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「刻をかける怪獣」 メソポ・たみあ

2022-12-14 | 怪獣小説・怪獣映画
 『破壊の怪獣』と呼ばれる謎の怪獣により世界は滅びようとしていた。
 蘭堂シンの幼馴染・凪千代アズサは防衛隊に所属していたが戦死。シンもまた怪獣に捕食され死んでしまうが、気がつくと11年前にタイムリープしていた。
 今度はアズサを死なせるわけにはいかないとシンも防衛隊への入隊に奔走するのだが、いつしか彼には怪獣への変身能力が身についていた。怪獣には怪獣を! しかし、それは彼もまたアズサたち防衛隊の敵になるということだ。
 シンは何度も怪獣への変身とタイムリープによるやり直しを繰り返しながら、正解への道を模索する……。

 昔から言われていたのは「仮面ライダーで主人公が改造されるのがバッタではなく、蜘蛛とかコウモリだったらどうなっていた?」という小ネタで、それをウルトラマンに持ってきたような話。主人公が変身するのが謎のヒーローではなく醜い怪獣だったら……って、マーベルとかDCとか日本のヒーローものにもありますか。いや、そもそも仮面ライダーだって醜く変わる顔を隠すためのマスクという設定だったし(最初は)。でも、怪獣になっちゃうとそれも難しいかな。そういえば、ウルトラマンになりたい!ってのもありましたね。
 そんなダークヒーローものにタイムリープをかけたのが、この作品。破滅への突貫は突破口となり得るのか!?

【刻をかける怪獣】【メソポ・たみあ】【bun150】【角川スニーカー文庫】【怪獣×タイムリープ=無敵の新バトルファンタジー】
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「ゴジラ S.P」 円城塔

2022-10-30 | 怪獣小説・怪獣映画
「あんたたち、なんで怖がらないの」
 金原さとみには、ユンとかおやっさんとかハベルたちが怪獣を怖がっていないように見えるのが不思議でならない。

 アニメ『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』を、シリーズ構成・脚本を担当したSF作家の円城塔が小説化したもの……ノベライズではなく小説化……だよね。

 2030年、なにか音楽に聞こえる音声電波が受信され始めたのと時を同じくして、世界各地で既存の生態系より逸脱した巨大生物が出現するようになった。最初に千葉県逃尾市で確認された翼竜のような巨大生物は、現地に残る錦絵の記述に則ってラドンと呼ばれるようになる。
 逃尾市の町工場オオタキファクトリーは、夏祭りの会場に出現したラドンから市民を救うべく、社長の道楽で開発していたロボット〈ジェットジャガー〉を出動させ撃退するのだが、その後、逃尾市周辺ではラドンの死骸が相次いで発見されていく……。

 アニメでは「突如世界各地に出現する怪獣」という事件に対して、一介の町工場のオヤジから防衛省の官僚までさまざまな登場人物がアプローチしていくわけですが、何かを知っていそうで実は何も知らなかった人とか、なんでも知ってるぽいけど何も言ってくれない人とか、胡散臭そうでも実は良い人と胡散臭そうでやっぱり悪い人とか、いろいろ登場人物が交錯しているのに「すべてを理解して総括して解説してくれる人」がいなかったのですね。
 そのあたり、読んで分かってスッキリするかなあと思ったけれど、加藤ハベルとかティルダ・ミラーとか出番は多かったのに何を考えているかよく分からなかった人たちの過去とか思考の軌跡、自衛隊内部での動きなどについて語られているので、材料は増えたけれどスッキリはしませんでした。最後の最後で語り手がいないんだもの。アニメを読んでから、こちらを読んで合わせて一本というあたり。
 そうそう。メカゴジラはともかく、キングギトラっぽいのは泳いでましたわ。

【ゴジラ S.P<シンギュラポイント>】【円城塔】【集英社】【ドッチボール部】【オキシジェン・デストロイヤー】【オーソゴナル・ダイアゴナライザー】【サトリ】
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「創作怪異怪物事典」 朝里樹

2022-07-29 | 怪獣小説・怪獣映画
 川崎ゆきおの「猟奇王」みたいなインパクトある表紙が目を引きます。
 ゴシックホラーから怪獣映画まで国内外の小説・映画から多種多様な怪異怪物を徹底解説していくという主旨のもので、もとより母数が膨大なのでクトゥルフとかハリポタとか専門のガイドが既にあるものは省くけど、ゴジラ・ガメラシリーズは外せないぜ!というコンセプト。内外ジャンルを問わないという縦横無尽なコレクションは、1982年版ケイブンシャの『世界の怪獣大百科』以来かもしれません。
 収録ジャンルは「野生生物・古代生物」「科学的変異・人造生物」「怪異・オカルト・ファンタジー」「地球外生命体」「マシン・ロボット・アンドロイド」「幽霊・アンデッド」の6分野で、ネクスー(スターウォーズ)からアッシャ(洞窟の女王)まで幅広く、ゾンビは「リビングデッド」から「ドーン・オブ・ザ・デッド」まで映画別に個別に項目分けする細かさ。ただ、『キングコング 髑髏島の巨神』ならスケル・バッファローまで、小説なら星新一のボッコちゃんまで網羅している反面、ここ最近の国内小説についてはやや弱め。たとえば有川浩の『空の中』からフェイク、白鯨とか、『海の底』からレガリスとか出しても良いと思うのね。
 事典の名にふさわしく、索引は50音別、分類別、国別と充実。分類別ならカメーバは「亀」ジャンルと「地球外の生物」ジャンルの複数から検索可能です。図版が全くないのは残念。

【創作怪異怪物事典】【朝里樹】【牛木匡憲】【笠間書店】【キラー・トマト】【処刑ライダー】【水沼美々子】【山村貞子】【テケテケ】【世界を渡る風】【物体X】【物体O】【ヒルゴン】【ガイの自動車の幽霊】【アンドロメダ菌株】【ゴケミドロ】【八人目の女房】【オオタチ】【ベルトラン・カイユ】【ヘレナ・マルコス】【金星竜イーマ】【T-1000】【エミリオの妻の浮気相手】【北園冴子】【佐伯伽椰子】
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「シン・ウルトラマン音楽集」 宮内國郎,鷺巣詩郎

2022-07-22 | 怪獣小説・怪獣映画
 2022年5月13日公開の映画『シン・ウルトラマン』の音楽集初回限定盤を購入。2枚組だけれど、サウンドトラックと言いたいのは1枚目、宮内國郎オリジナルのモノラル音源をリマスタリングしたものをメインに鷺巣詩郎の新録曲を収録したもの。2枚目はロンドンオーケストラによる演奏で鷺巣詩郎の楽曲をメインにフルスコア収録した組曲に近い構成です。
 初回限定版には「ウルトラQテーマ」オリジナルスコア、鷺巣詩郎作曲のフルスコア2曲が収録。その分、楽曲の作曲家や奏者の記事や鷺巣詩郎の年表は掲載されているけれど、ライナーノート的な記事はなし。この曲はどういう意図で採用されたとか作曲されたとか、少しは書いてあってもいいと思うのだ。

【シン・ウルトラマン音楽集】【宮内國郎】【鷺巣詩郎】【キングレコード】
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「シン・ウルトラマン デザインワークス」 企画・脚本・総監修:庵野秀明

2022-06-14 | 怪獣小説・怪獣映画
 劇場で購入。ネタバレ注意の1冊。
 禍威獣や外星人から小道具・記章・ロゴまで、初期デザインから最終版まで網羅し、巻末に庵野秀明のインタビューと企画書を掲載。エヴァで批評の皮を被った誹謗中傷に苦しんだあたりから、さまざまな企画・脚本をやっていたことなどあれこれ。
 映画を見終えてからじっくり愉しむための本でした。 
 以前からある、宇宙人たちが「全裸か着服か」という議論については、エドワード・スミスの『侵略教師星人ユーマ』と同じく「服」という前提でデザインしてたそうです。確かにメフィラスは前後にジッパーっぽいものがありましたね。普通に服として欲しいかも。
 もともと三部作構想で、今回のシン・ウルトラマンを受けて、人類のテクノロジーが跳ね上がって防衛組織ができ始める2作目、宇宙人がひっきりなしに攻めてくるシン・ウルトラセブンに続くものらしいので、1作目が売れないと防衛組織の分だけコストが跳ね上がる2作目が作れないらしいので、掛け値なしにヒットして欲しいですね。
 でもやっぱりゼットンはヴンダーに似てるよ。

【シン・ウルトラマン デザインワークス】【樋口真嗣】【庵野秀明】【カラー】【円谷プロダクション】【前田真宏】【山下いくと】
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「シン・ウルトラマン」 総監督:樋口真嗣

2022-06-13 | 怪獣小説・怪獣映画
「……浅見くんはこういうキャラだったのか」

 オープニングから旧作オマージュ。
 ウルトラマンのデザインに見られるように原典をしっかりリスペクトした上で、「こいつはデザイン画のままならこういう動きができるはずだ」とか「こういう設定ならこうなるはずだ」みたいに再解釈した上で設定からビルド&スクラップ。原典の印象的なキャラクターやエピソードをきちんと抑えて、昭和の作品をそのまま現代の作品として再話しています。段取りとしては、序盤は初期ウルトラシリーズままの怪獣デザインとBGMで、話が進むに従って怪獣デザインのアレンジが強くなり、BGMにオリジナルが混じり、最後の最後で「庵野秀明」らしい刻印を刻むのはいつもの通り。斎藤工がそのまま巨大化しなくて良かったよ。
 それから、禍特対は科特隊というよりSRIと電波研究所を足したような位置づけでした。むふう……。

 メフィラス星人(この作品では外星人第0号)は、予告編でさんざん見せられたように山本耕史の胡散臭さが炸裂。『ギャラクシー街道』を思い出しちゃったよ。「もうちょっと居るつもりだったんだけど、ルパンが来たでしょ。めちゃくちゃになっちゃうから帰るの」という峰不二子みたいな台詞を吐くのにも爆笑。

 作品の好き嫌い、合う合わないは当然あるのだけれど、評価として自分の思い入れをさぞ作品の完成度と同一視して無い挙げ足を取るのがネットの論評。『シン・ゴジラ』でもありましたよね。怪獣プロレスが好きなのでつまらなかったという感想はありだけれど、だからダメみたいな感想。今回も「ウルトラマンが怪獣や宇宙人と戦う話」なのに「禍特対がスーパー兵器でバリバリッとやらない」とか「自衛隊の活躍シーンが少ない」みたいな(意訳)論評ありますよね。そういうのが見たければ、テレビで土曜朝とかにやってるのを視ればいいんですよ。出来が良くて面白いから。
 とりあえず、今回はウルトラQからの初期ウルトラシリーズの流れで、「なぜ怪獣は日本ばかり襲うのか」とか現代の視点でよりリアルっぽくウルトラマンが出現した世界を描いている作品で、当初は「あまり気は進まないけど、一度くらいは見に行くか」くらいの嫌々気分で劇場に足を運んだのに、最終的には「もう1回くらいは劇場で観ないと」くらいになってました。本当に斎藤工が瞬きしてないのかとか(1回もしてませんでした)、本当に好きと断言していないのかとか、パゴスの退治シーンはどうなっていたかとか、いろいろ細かな確認したいシーンが出てきたのです。でも、やっぱりどこが最初に「ウルトラマン」のコードネームを使い始めたかは分かりませんでした。
 ストーリー的にはただ怪獣の出てくるエピソードを並べただけでなく、(巨女案件も含めて)すべて最終局面への伏線であり、あるかもしれない第2部、第3部(シン・ウルトラセブン)へのヒキになっているのですね。あと、初代マンを大人視点で見たときのツッコミ、「なんで毎回ハヤタ隊員いなくなっても誰も気にしないの?」を、今回の神永くんの普段の行動(いつも独断専行、以前からよく消えてる、行動の痕跡を残さない、調べても警視庁の公安畑らしいという以外経歴も分からない )で説得力を創ってるんですよねえ。力業で。

【シン・ウルトラマン】【樋口真嗣】【庵野秀明】【鷺巣詩郎】【カラー】【円谷プロダクション】【東宝】【空想特撮映画】【斎藤工】【長澤まさみ】【有岡大貴】【早見あかり】【田中哲司】【西島秀俊】【山本耕史】【岩松了】【長塚圭史】【嶋田久作】【益岡徹】【山崎一】【和田聰宏】【竹野内豊】【高橋一生】【請求書】【USSエンタープライズ】【マイティ号】【本当は怖い光の国】【星間協定】【マルチバース】【悪質宇宙人】【「ウルトラマンがこんな変態行為に及ぶとは……」】【少女☆歌劇_レヴュースタァライト】【邪悪な獣】【「わかります」】【「わたしの好きな言葉です」】【「頼んだわよシンジ君!」】【巨大生物兵器】【ついに勝つ!】【ヴァレリアン】
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「ウルトラ怪獣アートワークス1971−1980」 中村宏治

2022-06-05 | 怪獣小説・怪獣映画
 書店のディスカウント・コーナーに並んでいるのを見つけて保護。
 書名には「怪獣」とはあるけれど、70年代のウルトラマンシリーズに登場した怪獣やウルトラマン、メカニック、基地、隊員のコスチュームまでデザイン画をメモ書きや指示書まで現存するものを収録しています。
 今までこういうデザイン集を見ていると、元デザインと完成した姿が違っていて「どうしてこうなった?」と思わされることがしばしばありましたが、逆に言えばこのデザインで良く立体造形したな?ってことですよね。よく怪獣やロボットのデザインを子供の投稿イラストで募集することがありますが、あれに近い感覚です。デザイン画がアートですもん。隊員コスに顕著。あれでよく完成時の姿をイメージできたなと思います。三面図はほとんどないし、後ろから見た図もまったくありませんけど、残されていなかったのか最初から造形にお任せだったのか、気になります。

【ウルトラ怪獣アートワークス1971−1980】【中村宏治】【円谷プロダクション】【MOBSPROOF編集部】【帰ってきたウルトラマン】【ウルトラマンエース】【ウルトラマンタロウ】【ウルトラマンレオ】【ウルトラマン80】【ウルトラマングレート】【ウルトラマンパワード】【ウルトラマンシリーズ放送開始50周年】
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「シン・ウルトラマン」 企画・脚本・総監修:庵野秀明

2022-05-14 | 怪獣小説・怪獣映画
 初日にレイトショーで観てきました。ネタバレになりそうな感想ばかりなので、詳細は後日。
 1966年版のウルトラマンが好きだった人は、あのウルトラマンが今の技術で、原典をしっかりリスペクトした上で整合性を与えた設定で再話されているので観た方が良いです。イントロからBGM、効果音までほとんどオリジナルです。
 まったく知らない人にもお薦め。宇宙人ミーツ地球人な怪獣映画です。
 あ、これはさんざん予告編でやってるからネタバレじゃないけど、山本耕史は本当にあのまんま胡散臭いやつでした。いつ鼻が伸び出すかとわくわくしてたのに……。

【シン・ウルトラマン】【樋口真嗣】【庵野秀明】【鷺巣詩郎】【カラー】【円谷プロダクション】【東宝】【斎藤工】【長澤まさみ】【有岡大貴】【早見あかり】【田中哲司】【西島秀俊】【山本耕史】【岩松了】【長塚圭史】【嶋田久作】【政府の男】【益岡徹】【山崎一】【和田聰宏】
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