付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「エロイカより愛をこめて」 青池保子

2008-09-30 | その他フィクション
 1970年代後半から80年代にかけてというと、面白いマンガはほとんど少女マンガだったりしました。少年マンガって、頭の悪い主人公が殴り合う熱血マンガか、頭の悪い主人公たちがどつき合うギャグマンガばかり。SFとかミリタリーといった話をまともに読めるのは少女マンガがほとんど……というイメージでしたから。
 まあ、少年マンガにも『ブルーシティー』の星野之宣とか『暗黒神話』の諸星大二郎とかいましたもんね。それは単なるイメージとしても、確かに嗜好に合うモノは少女マンガに多かったのは事実で、特にパロディものは少女マンガの独壇場でした。
 昔は同人誌を作る代わりに自分の作品内で好きな作品やアーティストへエールを送ってたんですよね。一時期の少女マンガ誌なんて、ロック・アーティストとサンライズアニメとカリオストロの城で花盛りでした。

 この『エロイカより愛をこめて』もそんな流れの中で登場した作品。美形キャラ満載ながら、まともに戦車や戦闘機が登場し、キャラはロック・アーティストがモデルで、パロディネタも振りまきつつシリアスもありという話。
 「BSマンガ夜話」で取り上げられたときは案の定、どうでも良い些末事ばかりで時間を取られてしまって不遇でした。番組レギュラーが全体の中の位置づけできちんと語れない作品を取り上げたらいかんだろう(「マンガの面白さと単純な絵の上手い下手とは関係ない」といいつつ、いかに絵が上手くないかの解説に時間を費やしたり)。

 美術品窃盗犯である怪盗エロイカこと男色家ドリアン・レッド・グローリア伯爵が美少年に目をつけるが、実は彼も彼の友人2人も超能力者だった……
という話がいつの間にか(というか3話にして)鉄のクラウスことNATO情報部のクラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐の諜報任務に怪盗エロイカが介入して大騒ぎに……というパターンに。
 主役だったはずの3人の少年少女はいつの間にかドロップアウト。超能力コメディからスパイアクション・コメディへとスライドしちゃいましたね。
 シリアスなスピンオフ作品も生まれましたが基本はコメディ。メインキャラのモデルは、イギリスのロックバンドLed Zeppelinのメンバーでそろえたところがミソで……(ということをマンガ夜話では語らないんだ!)。

【エロイカより愛をこめて】【青池保子】【ゼニ盲者】【芋クラウス】【執事】
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「ブラウン神父の不信」 G・K・チェスタトン

2008-09-29 | ミステリー・推理小説
 まん丸顔に団子っ鼻。帽子とオンボロ傘を身につけた全身黒ずくめの僧服姿といったら、世界の名探偵で何番目かに入るブラウン神父。「賢い人は木の葉をどこに隠すかね?」に始まる会話が有名。
 この巻は呪いとか奇跡とかにまつわるエピソードが目立ちます。人が神を信じないと、愚かな奇跡とか呪いに振り回されるようになるということで、信仰深い神父は目先のトリックに惑わされず真実を見抜きます。危うく自分が奇跡になりかける話もありますが……。

「百万人もの正気な人間が形づくる社会のなかで、それに敵対するたったひとりの狂人がわたしを迫害するとか、死ぬまで追いまわすとかほざく気になったからといって、なにも心を悩ますことはないじゃないか」
 九死に一生を得た考古学者スメール教授の言葉。社会そのものに弾圧される時代に比べたら、いかほどのことがあろうか。世界は自分の味方なのだ。

 それから、密室殺人のエピソードで「黄色い部屋」にちらりと言及されていたりして、既にルルーのミステリは密室トリックの定番となっているわけですね。

【ブラウン神父の不信】【チェスタトン】【黄色い部屋】【名探偵】
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「狼と香辛料3」 支倉凍砂

2008-09-28 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
『商人の狩りは卑怯と誠実の合間を行く』

 窮地を脱した行商人ロレンスと狼神ホロは、ホロの故郷ヨイツの情報を求めて冬の大市と祭りでにぎわうクメルスンに到着。しかし道中で知り合った若い魚商人アマーティがホロに一目惚れ。ホロが2人で旅している口実にしたロレンスへの借金を、自分が耳を揃えて支払ってみせると契約書をロレンスに突きつける。
 だが、ホロの故郷についての情報からロレンスとホロの間に気持ちのすれ違いが生じ、ついには街全体を巻き込んでの投機騒ぎへと発展していく……。

 「ホロはオレの嫁」宣言をした若者に、行商人としての経験の差で勝負を挑むロレンス。まあ、この場合の経験というのは、どれだけあこぎなマネができるかということなんですが。
 あと旅の行商人と、店を構えた商人の違いなんかも重要なポイントです。

【狼と香辛料3】【支倉凍砂】【投機】【信用手形】
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「チャーリー・チャンの活躍」 E.D.ビガーズ

2008-09-27 | ミステリー・推理小説
「神様の決めたこと、人間変えられない。わき道によけて、運命逃げることできない」
 チャーリー・チャンの警句。

 哲学博士ロフトン率いる世界周遊の旅行団内で連続殺人が発生する。ロンドン、ニース、サン・レモ、横浜……。
 捜査を担当していたダフ警部がホノルルにて凶弾に倒れたとき、その代理を買って出たのはチャーリー・チャン。警部の友人にして、ホノルル警察の捜査主任である。
 旅行団とチャン警部、そしてチャンの部下カシマを乗せた<プレジデント・アーサー>号は一路サンフランシスコをめざす。果たしてチャン警部はサンフランシスコ入港までに殺人者を見つけ出すことができるだろうか。

 チャーリー・チャンは本家よりパロディの方で先に名前を知りました。複数の名探偵が登場するパロディ作品というと、たいていチャーリー・チャンもどきが名を連ねていたんですね。カタコトで怪しげな警句を吐きまくる中国人というキャラクターですが、本物は家族愛にあふれた、もっとまともな人でした……。
 日本での知名度は今ひとつ。時代的には第一次大戦以後のいわゆる黄金時代の作品群の1つなので、日本では今ひとつ他の作家、クィーン、クリスティ、カー、ヴァン・ダイン、クロフツといった面々の影になってしまっています。
 いや、チャンの助手のカシマの情けなさが日本人には敬遠されたのかも。話としては面白いと思うので、翻訳数が少ないのが不思議です。

【チャーリー・チャンの活躍】【ビガーズ】【世界一周】【連続殺人】【名探偵】
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「クィン氏の事件簿」 アガサ・クリスティー

2008-09-26 | ミステリー・推理小説
 アガサ・クリスティーの作品はどれも好きで、全部揃えて、全部読んで、ほとんどが東海豪雨で流された……のだけれど、その中でどれか1つを選べというと連作短編集『謎のクィン氏』収録の「海から来た男」。個人的に、人生でいちばん影響の大きかった小説。

 浅黒い肌の痩せた異国人であるクィン氏は普通の意味での名探偵ではなく、どちらかといえば演出家であり人形使い。彼は周囲の人々に何かを示唆するだけであり、実際に謎解きするのは、人間観察が趣味のサタースウェイト氏であることが多いかな。

 物語の語り手であるサタースウェイト氏にとっても、ハーレ・クィンと名乗る人物の正体は不明である。職業、経歴はおろかどこに住んでいるかも定かではない。
 けれど、何か恋愛がらみの事件が起こるとどこからともなくクィン氏は出現し、それとなく解決への糸口を指し示し、またいつの間にか消えていくのである。

「時は問題を解決しない。ただ、ちがった形で改めて提示してくれるんだ」
 クィン氏の言葉を、アレックス・ポータルがまとめて。

 人は生まれ、ただそこに存在するだけで、神の用意した一幕劇の登場人物となるのです。勝手に役目を放棄して退場するなど許されはしません。
 人の生きる役割とか意味とか、この本で改めて認識した気がします。

【謎のクィン氏】【クィン氏の事件簿】【アガサ・クリスティー】【死者の代理人】
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「神無き世界の英雄伝」 鴨志田一

2008-09-25 | ミリタリーSF・未来戦記
「もし、お許しいただけるのなら、わたしと戦艦アロンダイトをお受け取りください」
「わたくしと戦艦ダインスレイフを、どうかお受け取りください」

 契約の式典にて。

 少女の姿をした電子妖精に能力を認められ主従契約を結んだ者は、それがいかなる階級の者であっても無条件で一個艦隊を指揮することになる。艦隊旗艦となる宇宙戦艦と電子妖精は一心同体であり、電子妖精は常に提督となる能力を持つ者を見極められたからだ。
 その年、電子妖精に選ばれることになっていた者は2名。
 電子妖精コーデリアが選んだのは、その能力にも家柄にも非の打ち所がないロイ・クローバー。
 そしてもう1人は彼の妹、士官学校を飛び級で追いかけてきたネリーであると誰もが思っていた。
 だが、電子妖精オフィーリアが選んだのは、たまたま式典会場に顔を出していたコック、レン・エバンスだった。士官候補生ですらない、ただの民間人である……。
 彼らが司令官に任じられて12時間後、共和国に内戦が勃発した。

 別に1巻ともなんとも書いてありませんが、2人の若き英雄の誕生と新たな戦いの火蓋が切られたところで完結。話はけっこう面白い。毛色の違う2人の英雄が帝国と共和国に別れて戦うのではなく、同じ陣営で競い合う話。
 妖精に選ばれて英雄となり戦場に立つってあたりが神話的構成ではありますね。
 イラストはちょっと力不足。イフェクトで誤魔化しても迫力は出ません。

【神無き世界の英雄伝】【鴨志田一】【電子妖精】【メカフェチ】【人型端末】
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「お熱い殺人」  ロバート・L・フィッシュ

2008-09-24 | ミステリー・推理小説
 日本でも裁判員制度が導入されることになり、その準備であれこれ騒がしいですが、そこでつい連想してしまうのが『懐かしい殺人』に始まるフィッシュの殺人同盟シリーズ3部作。

 シンプスン、ブリッグズ、カラザズの3人の老人は、英国ミステリ作家クラブの創立者でありながら、その懐はいまや破産状態。この窮乏状態から抜け出すべく、彼らは過去の遺産の活用を決意した。ミステリ作家として彼らがこれまでに考え出してきた殺人トリックを駆使した殺人代行業「殺人同盟」を発足させたのだ……。

 ……というのが『懐かしい殺人』。事業は順風満帆だったものの、最後の最後で紆余曲折有り、2万ポンドの大金を手に入れた3人が豪華客船<サンダランド号>の船旅に出て、自分たちの仕業ではない殺人に巻き込まれて窮地に陥った顛末が『お熱い殺人』。そして後日談『友情ある殺人』へと続くわけですが、このシリーズに共通して登場するのがパーシヴァル・ピュー卿。報酬がべらぼうに高額な代わりに、黒いモノでもピッカピカの白に仕立てて無罪を勝ち取るという英国法曹界きっての辣腕弁護士にして真の主役。

「どの告白のことかね?」

 明らかな有罪の証拠があってさえ、即座に論点をすり替えてしまい、誰もが納得する無罪を勝ち取ってしまうテクニックは神業。また一を訊かずして十を知るという名探偵ぶりもたびたび披露してくれます。
 裁判ってのは、証拠を解釈して人が判断するんだよね……。

 これも全作揃えたんだけれど、東海豪雨の際に、本棚の1段差で残り2冊は廃棄処分。火事も怖いけれど、水害も怖いねえ。また本棚の壊れっぷりも強烈です。安物のカラーボックスがばらばらになるのは当然としても、ごっつい無垢の木の本棚でさえ、中の本が水を吸って膨らんだあげくにぱっきりと裂けてしまうのですから。

【お熱い殺人】【ロバート・L・フィッシュ】【パーシヴァル卿】【ビルマ式トランプ一人遊び】
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「学校の殺人」 ジェームズ・ヒルトン

2008-09-23 | ミステリー・推理小説
「3年も、法と正義の名において無益な殺生が行われるのを目のあたりに見てきた者には、誰かが故意に人のふたりやさんにん、殺そうとしたところで、世間なみに憤慨する気持ちなんか起きなくなるもんだよ」

 母校の校長に、3ヶ月前に発生した事故の真相を解明するよう依頼された詩人コリン・レヴェルは、渋々ながらオーキングトンへと旅立った。寄宿舎で寮生がガス灯の下敷きとなって死亡したが、その生徒が死ぬ直前に残していた遺言が発見されたのだ。
 彼は自分の死を予期していたのか?

 オーキングトン校教師ランバーンの言葉。 『チップス先生、さようなら』『鎧なき騎士』のヒルトンが書いた本格ミステリ。文章で名を上げると、誰でも一度はミステリを書きたくなるものなのでしょうか。
 まあ素人探偵ものといっても、本当に素人が探偵を務める話で、警察もそんなに無能じゃないよという話でした。

【学校の殺人】【ジェームズ・ヒルトン】【ガスリー刑事】
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「365日たまごかけごはんの本」 T.K.G.プロジェクト

2008-09-22 | 食・料理
 「たまご+ごはん+醤油」の組み合わせから始めて、冷蔵庫のあり合わせでできるものから本気の料理まで、さまざまな「たまごかけごはん」のレシピを集大成したもの。
 最初のうちは、生玉子に唐辛子をかけたり梅干しを添える程度だったのが、「なめたけ茶漬け+大根おろし+七味」と冷蔵庫のあり合わせになり、「バニラアイス+醤油+黒コショウ+ミント」といったゲテとしか思えないものまで365種類のたまごかけごはん+おまけ1種類を紹介したまるまる「玉子かけごはん」の1冊。
 生卵をそのまま食べるかと世界各国の人々にインタビューしたり、養鶏場の生産工程のレポートを掲載したりと、レシピ以外にも読むところは多いです。

【365日たまごかけごはんの本】【T.K.G.プロジェクト】
 
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「黄色い部屋の謎」 ガストン・ルルー

2008-09-21 | ミステリー・推理小説
「私は、外面的な兆候を頼りにして真相をつかもうとはいたしません。ただ単に、そういう兆候が、私の理性の正しい働きによって指し示された真相と矛盾しないようにするだけです」
 裁判長へのジョゼフ・ルールタビーユの言葉。なんか小難しい言い方だねー。

 フランスの作家ガストン・ルルーといえば、『オペラ座の怪人』とか『ガストン・ルルーの恐怖夜話』以外にも、ミステリも書いてたよなあと思いだしたのは、現物の『黄色い部屋の謎』を書架の奥から引っ張り出してきてからのこと。そういや、昔読んでたっけ……というか、密室トリックの代表作品。あのブラウン神父だって「黄色い密室とは」などと口の端に乗せるくらい。
 というか、一時期はミステリガイドとか名探偵紳士録っぽいものに登場する名探偵物は一通り目を通そうと頑張っていたんだなあという名残の1冊です。

 18歳の新聞記者ルールタビーユが活躍する『黄色い部屋の謎』は本格ミステリの古典にして金字塔。最近は、わざわざ密室にするなんて意味無いじゃんという主張もあって、いまいちパッとしませんが。

【黄色い部屋の謎】【ガストン・ルルー】【密室殺人】【名探偵】【優しい密室】
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「狼と香辛料2」 支倉凍砂

2008-09-20 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 行商人ロレンスの仕入れた武器防具は目的地にたどり着いたときには暴落しており、それを見越した取引相手の詐欺まがいの謀略で、破産の瀬戸際にまで追い込まれてしまう。
 そこで一か八か、行商人ロレンスは羊飼いの少女を巻き込んだ密輸に手を染めることを企むが……。

「物事にはたくさんの終わらせ方があるだろうが、明日もまた生きていくのであれば明日につながるものを選択しなければならない」

 こういう話って、結構経済的窮地に陥ったらダンジョンアタックでお宝狙いとかに走りがちですが、本当に商売の話だけで続きます。 
 まあ、ビジネスの世界も海千山千で、生半可な魔王より恐ろしい敵ばかりです。

【狼と香辛料2】【支倉凍砂】【交易】【羊飼い】
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「秘密組織」 アガサ・クリスティー

2008-09-19 | ミステリー・推理小説
 中学時代にエラリー・クィーンとかS・S・ヴァン=ダインとか、いわゆる本格ミステリを読みあさった反動で、本格ミステリはおなかいっぱいになってしまい、高校時代はアガサ・クリスティーへと走ります。
 別にクリスティーが本格ではないというのではなく、キャラクターが楽しいのですね。
 ほら。クィーンもファイロ・ヴァンスも、主人公は衒学趣味なディレッタントじゃないですか。そりゃあ、主人公は登場人物の誰よりも頭が良くないといけませんが、ラテン語混じりに百科辞典的な知識を披露する有閑人ばかりでは飽きますもん。
 クリスティーの探偵はもうちょっと親しみやすいですからね。
 頭は良いけれど偉ぶった外国人の小男エルキュール・ポワロとか、田舎のおしゃべりおばあちゃんにして“復讐の女神”ミス・マープルとか。そして、トミーとタッペンスのおしどり探偵トミー&タペンス……。

「(結婚とは)1つのスポーツよ!」

 第一次大戦が終結し世界に平和が取り戻されたが、世の中は不景気で職探しの人々であふれていた。
 偶然再会したトーマス・ベレスフォード少尉(トミー)と元看護婦のプリューデンス・カウリー(タッペンス)の2人の男女も職探しに奔走する日々。しかしこうして再会したのも良い機会だと「冒険青年株式会社」の名前で事業を起こそうとしたことから、2人は大きな陰謀に巻き込まれていくことになる。
 それは英国汽船ルシタニア号撃沈に端を発したスパイ事件だった……。

 こういう冒険活劇というかスパイ物が好きでねえ。適度にユーモアがあり、適度にスリルがあり。だから何度でも読み返せるんだろうと思います。でもって、2人が結婚し、老いを迎えるまでおつきあいしていくのです。

【秘密組織】【アガサ・クリスティー】【共産主義者】【ミスター・ブラウン】
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「れじみる。Junk」 藤原祐

2008-09-18 | 超能力・超人・サイボーグ
 あの、陰惨かつ不条理な戦いが繰り広げられたセカイ系学園小説『レジンキャストミルク』全8巻の後日談の第2作。
 本棚を整理してみる。
 1、2、3、4、7、8……あ、本編を4巻までしか読んでない! 外伝1の『れじみる。』も読んだかどうかどころか、買ったかどうかも分からなくなっているぞ……。
 そんな状態で、番外編2を先に読んじまったよ……。

「……お帰りくださいませご主人様」
 喫茶「姉妹」にて、ゴスロリ店員の出迎え。

 番外編ということで、カラー口絵も愉しく、温泉、ナース、文化祭、ハーレムと大賑わいなのに、本編を読んでないと「ちょっと頭のネジのはずれた少女ばかり出てくる話だなあ」という感想だろうね。
 この娘たち、これでもかなり正常に戻って社会復帰してるんですっ!!

【れじみる。Junk】【藤原祐】【レジンキャストミルク】【露天風呂】【覗き】【虚軸】【ナンパ】【プリン】【青酸カリ】
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「フランス白粉の謎」 エラリー・クィーン

2008-09-17 | ミステリー・推理小説
 中学時代はエラリー・クィーンの作品ばかり読んでいた気がします。もう「読者への挑戦」がないと推理小説を読んだ気にならなかったのです。
 そのクィーンの作品の中で最初に読んだのが国名シリーズ『フランス白粉の謎』。これで「おしろい」という漢字を覚えました。
 国名シリーズというのはエラリー・クィーン初期の作品群で、タイトルに国名が入っていることと、探偵役がエラリー・クィーンである以外に共通点はありません。その国名にしても、ギリシア十字架とかオランダ靴とかチャイナ橙とか、かなりこじつけっぽかったりしますが気にしてはいけません。クィーンの作品で、本格推理ということだけが重要なのです!

 さて、ニューヨークのフレンチ百貨店のショーウィンドウに設置された壁面収納ベッドから社長夫人の射殺死体が転げ落ちてくるという、『フランス白粉の謎』はエラリー・クィーンの出世作であり、国名シリーズの代表作なんだけれど、今読むと……本当に文章で読むパズルなので、辛いわ。
 殺人事件が起こり、警察の捜査が始まり、関係者の証言が求められ、また捜査が進み、また新たな証拠が集められ、探偵が皆を集めて「さて」と言い、最後の1ページで犯人が明らかになって終幕。うーむ。
 なんてハードなミステリィでしょうか。
 ちなみにこの時点で、エラリィは片眼鏡をかけてラテン語の警句なんかを吐きまくっています。典型的なディレッタント探偵です(しかもスポーツマン体型。たぶん痩身の筋肉質)。やがて片眼鏡が鼻眼鏡になっていくのですが、これはどのあたりからかな……。

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「拝啓、悪の大首領さま~世界平和は一家団欒のあとに2」 橋本和也

2008-09-16 | 超能力・超人・サイボーグ
「あんたの胸に今、野望はあるか?」

 星弓一家は、家族全員が何らかの超能力を持ち、なんとなく世界平和、宇宙平和のために戦うことが家業のようになっている。
 だが正義が家業の一家があるのなら、悪が家業の一家というのも存在しうるわけで、なにかにつけて星弓軋人をつけねらう鶴見敬吾の父親こそ、軋人がついこの前壊滅させた悪の組織の首領だった。
 組織を失い、すっかり呆けてしまった鶴見家の父親を立ち直らせ、家族の絆を取り戻すのに力を貸そうとする軋人だったが、その前に鶴見家長女の銀子が立ちふさがる……。

 正義の味方が悪の組織のアフターケアに奔走するという、ちょっと良い話だよね。銀子がけっこう強いので、今後の絡みに期待ということで。

【拝啓、悪の大首領さま】【世界平和は一家団欒のあとに】【橋本和也】【巨大ロボット】【家族の絆】
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