
最近の食玩のシリーズで『青春のオールナイトニッポン』というのがありました。深夜ラジオのテーマ曲やジングルを流すミニ・ラジオだ。このラジオがツボ。1970年代中盤から一世風靡したBCLラジオが元デザインなんだよね。
今はもうすたれちゃったけれど、当時は短波や中波で遠隔地や海外の放送を受信し、放送局にレポートを送ってBCLカードという受信確認の絵葉書みたいなのをもらうのが流行っていて(今でもあるらしい)、かなりの人間(主に小学生から大学生あたりの男性)がBCLラジオを持っていました。それは普通のラジオと比較して、シャア・ザクと旧ザクくらいの性能差があるもので、洋楽好きや英語を勉強したい者はボイス・オブ・アメリカあたりを聞いていたし、JJY(標準電波発信局)や東京ボルメット放送(航空情報)なんて特殊な放送を聞いて喜ぶ者もいた。特にクーガーとかスカイセンサーあたりは、なんか軍用無線機みたいなごつくて渋いデザインで、今見ても格好良いと思うし、欲しいと思う(ぼくの持っていたスカイセンサー5800がラインナップに無いのは許せない)。
ただ、そうした高性能機を以てしても、オーストラリアや西ドイツの放送を聞くのは至難の業でした。ただでさえ条件が悪い上に、ソ連や北朝鮮といった共産圏の対外宣伝放送が大出力でガンガン割り込んでくるからです。
そういうわけで、聞きたくもないのに「コチラハ、ぴょんやん・ちょそん・チュンオンホーソーキョクデス…」なんていう放送を耳にタコができるまで聞かされていたのです。モスクワ放送なんかは、そのBCLカードのデザインが月替わりで変更されたので、毎月レポートを送っていたような気がするし、『今日のソ連邦』なんてグラビア誌も長いこと購読していた。今思えば、よく親が許していたもんだよね。
まあ、それが功を奏して、『レーベンスラウム1985』や『レーベンスラウムLF』で共産陣営をプレイしていても、空々しいプロパガンダを実感込めてかけられるわけで……やりすぎで「実はプレイヤーも共産主義者」と言われたこともあったとか、なかったとか(ゲームにおいて「共産陣営をロールプレイしたらプレイヤーも共産主義者」というなら、「負けるくらいなら核戦争だ」とか「民間人も巻き添えにしてやれ!」と言う鬼畜なPCがいたとしたらプレイヤーは何者になる?)。
まだ若い時分に世の中のことを真面目に考えていれば、そういう主義主張に関心を持つのはよくある話で、真面目に生活しながら周囲に目を見開いていれば、いつまでもそんなプロパガンダを信じていられるものでも無し。ほら、アメリカ陸軍情報部だったラインバーガー博士だって、若い頃は共産主義にかぶれていたけれど、それを知った父親によってソ連旅行に送り込まれたら治ってしまったというではないですか。
"If you are not a liberal at age 20, you have no heart. If you are not a conservative at age 40, you have no brain."