付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「後夜祭」 中村誠

2004-04-14 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 これはイケる!……かなあ……と勘だけで購入した『後夜祭』読了。学園祭で人力飛行機を飛ばそう☆という話。
 失敗。
 もう5年前の本かあ。プレステのゲームが元ネタだそうだし。でも、なんで普通に新刊書店の棚に並んでたのかなあ……(答え:売れなかったから)。
 マルチエンディングの恋愛ゲームで、ストーリーを1本に絞らなければいけなかったので、とりあえず万遍なく網羅しようとしてみました。そしたら、当然ながらどのキャラクターも掘り下げられなくなりました。……といった印象。また中途半端に残したゲームっぽさもマイナス。

【後夜祭】【a sherd of youthful memories】【中村誠】【美樹本晴彦】【ケイエスエスノベルズ】【人力飛行機】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オールナイトニッポンとBCL

2004-04-08 | 雑談・覚え書き
 最近の食玩のシリーズで『青春のオールナイトニッポン』というのがありました。深夜ラジオのテーマ曲やジングルを流すミニ・ラジオだ。このラジオがツボ。1970年代中盤から一世風靡したBCLラジオが元デザインなんだよね。
 今はもうすたれちゃったけれど、当時は短波や中波で遠隔地や海外の放送を受信し、放送局にレポートを送ってBCLカードという受信確認の絵葉書みたいなのをもらうのが流行っていて(今でもあるらしい)、かなりの人間(主に小学生から大学生あたりの男性)がBCLラジオを持っていました。それは普通のラジオと比較して、シャア・ザクと旧ザクくらいの性能差があるもので、洋楽好きや英語を勉強したい者はボイス・オブ・アメリカあたりを聞いていたし、JJY(標準電波発信局)や東京ボルメット放送(航空情報)なんて特殊な放送を聞いて喜ぶ者もいた。特にクーガーとかスカイセンサーあたりは、なんか軍用無線機みたいなごつくて渋いデザインで、今見ても格好良いと思うし、欲しいと思う(ぼくの持っていたスカイセンサー5800がラインナップに無いのは許せない)。
 ただ、そうした高性能機を以てしても、オーストラリアや西ドイツの放送を聞くのは至難の業でした。ただでさえ条件が悪い上に、ソ連や北朝鮮といった共産圏の対外宣伝放送が大出力でガンガン割り込んでくるからです。
 そういうわけで、聞きたくもないのに「コチラハ、ぴょんやん・ちょそん・チュンオンホーソーキョクデス…」なんていう放送を耳にタコができるまで聞かされていたのです。モスクワ放送なんかは、そのBCLカードのデザインが月替わりで変更されたので、毎月レポートを送っていたような気がするし、『今日のソ連邦』なんてグラビア誌も長いこと購読していた。今思えば、よく親が許していたもんだよね。
 まあ、それが功を奏して、『レーベンスラウム1985』や『レーベンスラウムLF』で共産陣営をプレイしていても、空々しいプロパガンダを実感込めてかけられるわけで……やりすぎで「実はプレイヤーも共産主義者」と言われたこともあったとか、なかったとか(ゲームにおいて「共産陣営をロールプレイしたらプレイヤーも共産主義者」というなら、「負けるくらいなら核戦争だ」とか「民間人も巻き添えにしてやれ!」と言う鬼畜なPCがいたとしたらプレイヤーは何者になる?)。
 まだ若い時分に世の中のことを真面目に考えていれば、そういう主義主張に関心を持つのはよくある話で、真面目に生活しながら周囲に目を見開いていれば、いつまでもそんなプロパガンダを信じていられるものでも無し。ほら、アメリカ陸軍情報部だったラインバーガー博士だって、若い頃は共産主義にかぶれていたけれど、それを知った父親によってソ連旅行に送り込まれたら治ってしまったというではないですか。

"If you are not a liberal at age 20, you have no heart. If you are not a conservative at age 40, you have no brain."
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ゴジラ」 香山滋

2004-04-03 | 怪獣小説・怪獣映画
 子供も大きくなったので、そろそろよかろうと『ゴジラ』を与えてみる。もちろん子供に添加物の含有されたものを与えるなど論外であるので、昭和30年版を昭和51年に復刻した香山滋の奇想天外ノヴェルス版。文章作法では禁じ手とされていて、昨今ではライトノベルかPBMのリアクションくらいでしかお目にかかれない「ボキーン、ザザ…」「グワーッ!!」とかの擬音満載。なんか目から鱗が落ちてしまうよね。(……という話をしたら「架空戦記あたりじゃ編集者が擬音をどれだけいれろと指示してるんだよ」とのツッコミが。そうか!?)

 ゴジラ 東京編・大阪編を読了したので、そのまま映画版鑑賞。うーん、もはや天災だよね。単なる特撮レベルだったら、今の作品の方が遙かに上なんだけれど、モノクロ画面が効果を出してるんだな。
 でも、こうやって、原点が最初に頭に入っていれば、あとはゴジラが正義の味方だったり、単なる巨大な野獣だったり、あるいはストーリーが破綻していたり、ゲスト役者が浮いているようなゴジラ映画を見ても平気さ☆ パロディを見てオリジナリティを讃えるような物知らずにはしたくないじゃないか……。
 不思議な話に出てくる博士が不自然ではいけないのだ。

【ゴジラ】【香山滋】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「マリア様がみてる/チャオ・ソレッラ!」 今野緒雪 17

2004-04-01 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 21世紀になってから『クララ白書』や『丘の家のミッキー』が表紙イラストを変更して再販してます。だいたい氷室冴子の『クララ白書』の1巻初版が出たのは1980年、久美沙織の『丘の家のミッキー』は84年。四半世紀前の作品です。確かに当時は人気がありました。『クララ白書』はみさきのあがコミック化し、さらには少女隊の主演で映画にもなってます。『丘の家のミッキー』もめるへんめーかーがコミックにしてますね。少女小説の王道。
 『マリア様がみてる』が最初に出たのは98年で、これらに再販がかかっているのが01年以後だから、やっぱり『マリみて』人気のおかげかな。内容も時代で古くなるものではないし、イラストを変えると完全新作で通用します(でも自分には精神的に読み辛くなってたな)。主人公が携帯メールではなく手紙を書くところが20年の歳月かなと思いましたけど、そもそも『マリみて』だってインターネットはあっても携帯電話は登場してなかったし。

 そうなんですよね。25年や50年では人間社会なんて目立って変わりはしないんです。確かに気軽に海外旅行に行けるようになった。ファッションなんかで流行廃りはある。でも21世紀になって高層ビルが立ち並ぶ間に(古都でなくても)50年前100年前のままの建物が残っている。そして、そんな古い家に住んでいる人も、月旅行に使った以上の能力のコンピュータが収まった携帯電話を使い、自家用車にはカーナビが積んであったりします。未来なんて、そんなもんです。“未来”はじんわり来るもんなんです。

 で、修学旅行篇『チャオ・ソレッラ!』を読了。学園コメディとして安心して気軽に読めます。
 こういう学園物(特に少女が主人公の作品)というのは、もういい年した男性には読むのが辛いことが多いのです。とかく登場人物の過剰なまでの思いこみや思い入れに辟易させられたり、陶酔しきった作品世界の設定についていけない部分があったり。昔は好きだった『丘の家のミッキー』(久美沙織)とか『クララ白書』(氷室冴子)なんてもう読めません。
 これは作品が悪いんじゃなく、読み手が作品世界とかけ離れてしまっただけ。大騒ぎしている登場人物たちの言動を、つい「なに、そんなことで騒いでるんだ」「くだらない」としか受け止められなくなっちゃってます。共感できない。
 でも、このシリーズでは、そういう部分に他のキャラや作者自身による「なんだ、そんなこと」とか「あなた、おかしいです」とツッコミが入るので、それでバランスがとれるんですね。な、そう思うよね?と。

 ただミッション系女子校の卒業生たちにいわせると、「あの学校って、すごくリベラルだよね」とのこと。「上級生には丁寧なのに、教師らへの言葉はぞんざい」「応援合戦で学生服が認められるなんて信じられない!(あたしたちはさんざん頼み込んで却下されたのに!!)」「シスター、全般に物わかり良すぎ!!」……まあ、女子高生の元気とか、上流階級の子弟ならではのリベラルさなんてものは、"ミッション系ならではの保守性"には勝てないもんらしいです。
「でも、あんたら卒業してずいぶん経ってんだから、今の学校は変わってない?」
「ああいう世俗と隔絶した世界にとって10年や20年は、時間が経ったうちには入りません」
 って、ロストワールドかい。

 ただ、この作品、ときどきネタが20年くらい古いと思うこともあって、それがしっくりする原因かもと思ったり。いまどき水面から足が2本生えていて「スケキヨ」と連想する女子高生なんかいませんって。
 おっと、ひらがなが読めるようになった末の子が、置きっぱなしになっていた本を読んだらしく、「ごきげんよー、ごきげんよー」と言い出したので取り上げる。まだ早い!

【マリア様がみてる】【チャオ・ソレッラ!】【今野緒雪】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする