付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「峡谷の昆虫人~ドラル国戦史(4)」 ディヴィッド&リー・エディングス

2008-06-30 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「重労働はつねに敵にさせることだ」
 長弓の言葉。

 神々の世代交代の時期がやってきた。その期に乗じて勢力を拡大しようとする邪悪なるヴラーとその昆虫人軍団。
 しかし万能であるべき神々に、命を奪ってはならないという制約が科せられていたばかりに、この世界の命運を賭けた戦いに集結したのは金の亡者の海賊や傭兵、アマゾネスという顔ぶれになってしまう。
 それでも、戦況は神々の軍勢優位で進むかと思われたが、後背に莫大な財宝の噂に海を超えてやってきた50万の教会軍が出現する。このまま神々の軍勢は挟み撃ちにあってしまうのか……。

って、その教会軍が信仰しているはずの女神は、その軍勢の中核にいるんですが、まあ、欲に目のくらんだ宗教集団ですからねえ……。
 それから、表紙イラストの中央上部のホットパンツのねえちゃんはアーラ奥さんだと思いますが……そりゃあ、こんな格好をしていたら……ねえ? ジャルカンは悪くないと思うよ?

【峡谷の昆虫人】【ドラル国】【エディングス】【黄金の砂漠】
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「徳川慶喜家の食卓」 徳川慶朝

2008-06-29 | 食・料理
 徳川慶喜家、第四代当主にしてカメラマンである著者が、将軍家、徳川慶喜家の食生活のエピソードや食に関する考え方を、自分自身の経験や意見を交えながら綴ったエッセイ。
 将軍家とはいえ、大政奉還で所領も返上し、太平洋戦争で焼け出され家財を切り売りしてしまえば庶民とさして変わることも無し。それでがっかりして「それでも将軍家の子孫かよ」という意見には、できれば切腹を命じたいというノリが好き。インスタント食品にしても、かつおぶしや醤油と同じで、家庭に届くまでにたいへんな手間暇がかかっているからこそ食卓で簡単に使えるのだとか、柔軟な思考ですよね。
 カラスのミートパイを食わされた話、松平家で毎年9月1日にハムエッグを食べるのはなぜか、いきなりコーヒーを焙煎してしまった話などなど。

【徳川慶喜家の食卓】【徳川慶朝】【ハムエッグ】【大阪城のフランス料理】【あんぱん】【悲しい誕生日】
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「地底世界のターザン」 エドガー・ライス・バロウズ

2008-06-28 | その他SF(スコシフシギとかも)
 エドガー・ライス・バローズはアメリカの人気大衆小説家。アメリカでは主に「ジャングルの王者ターザン」の原作者として、SFファンには火星シリーズや地底世界ペルシダー・シリーズの作者として。
 そのバローズが調子に乗ってか、自分の人気シリーズ2作をクロスオーバーさせてしまったのが、この『地底世界のターザン』。

 波瀾万丈の冒険の末、地底世界ペルシダーの皇帝となったデヴィッド・イネスだったが、今は敵の手に捕らえられ幽閉の身となっていた。
 地底世界からの知らせを受けた地上では、さっそく彼を救出せんと探検隊が組織されることになるが、ペルシダーは今なお凶暴や未開部族や野獣が跋扈する世界。その世界を踏破し、敵陣を突破して囚われの男を救出するのは簡単なことではない。
 この難事を解決すべく隊長として選抜されたのは、グレイストーク卿ことジャングルの王者ターザンであった!

 ターザンが地底世界で恐竜と死闘を繰り広げるなんて、夢の取り合わせだよねー。
 実はバロウズ作品で最初に購入したのがこの作品。なにせ当時は中学生で、たいした金も持っていなかったので「地底世界かー、ペルシダーかー。どっちを買おうかな。うーん」と迷った末に、「これを買えば、両方読めるじゃん」と究極チョイス。でも、これはあくまでクロスオーバー。
 もともとのシリーズを読み込んでいないと、面白さ半減なんですよ……。

【バロウズ】【地底世界】【ターザン】【ペルシダー】
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「エスパイ」  小松左京

2008-06-27 | 超能力・超人・サイボーグ
「征服者はだれにでもなれる。勝敗は力と運だからな。しかし、支配者にはだれでもなれるとはかぎらない」
 ルドルフ・ホッホマイヤーの言葉。
 手に入れるのは簡単だけれど、それを維持するのは難しい。イラクとかパレスチナの様子を見ていると痛感します。

 1974年には東宝特撮映画にもなった、小松左京のSFスパイ・アクション。エスパーのスパイだから“エスパイ”というセンスが、東西冷戦下の60年代の産物ですね。
 ただ、東西冷戦というのは魔法の言葉だと思います。一般市民がさらされている危険の度合では今も変わらないというか、核兵器が厳重に管理され隠匿されている大国の秘密兵器ではなくなり、アメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦との対立という構図が崩れているだけ危険なのでしょうが、東西冷戦=核戦争一触即発の危機=世界滅亡へのカウントダウンという判りやすい図式にはかないません。

 まざまな超能力を持つエージェントの組織エスパイの諜報員・田村良夫は、ソ連首相暗殺阻止を命じられた。だが、仲間と共にニューヨークへ向かう田村たちの前に現れた敵もまた、超能力者の集団だった!

 映画にもなった小松左京原作のスパイアクション。予告編はワールドコンで見ましたけれど、ジョン・ウーとかがあたりまえの今となっては驚きもなく。まあ、先駆的作品なので、トータルで評価しなくてはいけないんですけれども。
 超能力者の戦いなので、普通のスパイ・アクションのように単なるイデオロギーの優劣ではなく、人間とは何かという問いかけになっているところが小松SFなのですが、今リメイクしたら、椎名高志の『絶対可憐チルドレン』になるんじゃないでしょうかね……って、すでに同じか……。

【エスパイ】【小松左京】【スパイ】【超能力】【藤岡弘】【由美かおる】
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「ドスコイ警備保障」 室積光

2008-06-26 | その他フィクション
 相撲取りになったからといって、全部が全部横綱関取になって親方株を手に入れて引退できるわけではない。幕内に入れずに消えていく者も少なくない。
 そこで、相撲協会理事長・南ノ峰親方は、力士たちの再就職先として、彼らの体格と運動神経にふさわしい会社を立ち上げることを決断した。民間警備会社、「ドスコイ警備保障」の誕生である。

 ……という、導入部から想像できるままの話。面白い。エンターテイメント小説の名にふさわしいし、テレビシリーズとかにしたら、1章ごとの起承転結とかもしっかりしているんで面白いかな。
 相撲取りは単なる太った大男ではなく、たとえ幕下力士クラスでも、筋力や瞬発力は一流で普通の人間は太刀打ちできないぞ……という視点で話が進んでいきますが、あれこれ話の中心となる人物が変わる群像劇的な構成なのに、話全体を貫く物語が「引退した力士の再就職先として作った会社はなんとか成功して軌道に乗りました。よかったですね」というものだけなのですね。途中で出てくる刑事やカメラマンなども、そのときに出番があるだけで、結局、以後のストーリーに絡まないし、伏線にもならない。唯一、その後のストーリーに絡むのは不良高校生3人組だけ。あとは、みんな園場かぎりさん。
 良くも悪くも、エンターテイメント小説ですね。自分の本棚には残らないと思います。

【ドスコイ警備保障】【室積光】【芸能界】【役者】【パパラッチ】
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「宇宙戦艦ヤマト全記録集 設定資料版」 編著:西崎義展・松本零士

2008-06-25 | 宇宙・スペースオペラ
 最近、ひんぱんにお世話になっているのが、この本。
 『宇宙戦艦ヤマト2』放映当時に刊行された、TV版1作目の資料集。昭和54年の2000円ですから安い買い物ではなく、同時刊行セット売りされていたフィルムストーリー集は手も足も出ず。というか、バラ売りされるようになったので、なんとか買えたというのが本当のところ。
 それでも、企画書から艦船や小物、キャラクターまでの設定が、豊富なカラー図版と共に掲載されているので、得と言えば得なのですねえ。設定オンリイのハードカバー・ムックです。
 まあ、いろんな設定を考えるときに、ここまで用意すればいいというガイドライン、見せ方のテキストとして、いまでも愛読してボロボロになっているのでした……。

【宇宙戦艦ヤマト全記録集】【設定資料】【西崎義展】【松本零士】
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「SF英雄群像―スペース・オペラへの招待」 野田昌宏 

2008-06-23 | 宇宙・スペースオペラ
 この1冊からスペースオペラにはまった人間も少なくなかったんじゃないかと想像します。野田昌宏が出会い、蒐集してきたコレクションの中から選りすぐりのスペオペ作品群を紹介していくというもので、SFマガジンに昭和38年9月から連載していた記事をまとめたもので、刊行時点では未訳の作品ばかり。
 エジソン司令、フランク・リード、スターウルフ、キャプテン・フャーチャー、ジェイムスン教授、あるいはスペオペに限らず、当時のパルプ雑誌で人気を博したさまざまな作品群……。これらを自らの体験談と共に、本当に面白そうに紹介していくんですよね。これを読んだら、スペースオペラの1冊や2冊、読みたくならない方が不思議です。

 後にNHKの人間大学で『宇宙を空想してきた人々―SF史に見るイメージの変遷』と題して野田昌宏は講師を務めたけれど、あれは資料的にはともかく授業として面白くはなかったです。シラノ・ド・ベルジュラックとか『竹取物語』とか、古典話から延々と続き、「SFは絵だねえ!」を実感させるようなところまでなかなかいかないのが辛いところ。なにか権威付け優先っぽく、面白さが伝わりにくかったと思います。それこそ、『SF英雄群像』から宇宙英雄中心に構成しても良かったのに……。

【SF英雄群像】【スペース・オペラへの招待】【野田昌宏】【パルプフィクション史】【スペースオペラ】
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「トリックスターズC PART1」 久住四季

2008-06-22 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 学園祭やっと3日目!
 しまったもまだ初日の話を読んでない!とこれ続いてる!の2連撃。なんだかなあ。
 予告して密室からアイテムを次々に盗み出すのは何者か!? それは魔術かトリックか? 続々集結する面々に混乱必至。

【トリックスターズC】【久住四季】
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「フランス幻想小説傑作集」 サド他

2008-06-21 | その他フィクション
 フランスの幻想小説16編を収録した短編集。幻想小説とファンタジーは違うねえという1冊。これが中国の作品になると,妖怪とか仙人とか出てきそうだけれど、フランスだからなのか、怪異とは人間の心が生み出すもので、つまりは狂気だよね……という話が多いかな。

「学者先生は説明し、愚か者は否定し、単純な人間は,私もそのひとりですが、ただ口をつぐむだけです」
 クレダンの村の司祭の言葉。

 水の上の村とか、ミイラにされた弟とか、目に見えない人類の後継者とか、死者の復活とか。

【フランス幻想小説】【サド】【バルザック】【ロラン】【モーパッサン】
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「新アラビア夜話」 R・スティーヴンスン

2008-06-20 | その他フィクション
「恋愛は強い感情じゃない。強い感情といえば、恐怖です。もし生きる喜びを強烈に味わいたいなら、恐怖を弄ばなければいけない」
 自殺クラブの名誉会員マルサスの言葉。

 ロンドンに滞在し続けているボヘミアのフロリゼル王子は、退屈しのぎにジェラルディーン大佐をお供に街に出ては怪しげな事件に首を突っ込んでしまう。
 あるときは、40ポンドの入会金で自殺ができるという「自殺クラブ」に飛び込んでしまい、またあるときは呪われた宝石盗難に巻き込まれる。
 そして、こうした破天荒な冒険の果てに……。

 『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』のスティーヴンスンが、アラビアンナイトの世界を一部19世紀ロンドンに持ってきた夜話という位置づけ。まあ、お忍びの王様とその忠実な僕が遭遇する不思議な事件の数々。
 悪くはないけれど、『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』に比べると,インパクトは劣るよねえ。

【スティーヴンスン】【新アラビア夜話】
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「スターハンドラー」 草上仁

2008-06-19 | 宇宙狩人・調教師
 『スター・ハンドラー』『さまよえる海』『ゲートキーパー』の3部作でそれぞれ上下巻の計6冊が、今は無きソノラマ文庫から出版されました。これもソノラマノベルスに拾って欲しいシリーズですよねえ……。

 ちょっとしたトラブルから宇宙生物訓練士の養成所で最低の成績をつけられしまったミリ・タドコロは、なんとか卒業したものの職にあぶれそうになってしまう。
 たまたま草レースで活躍したことから、異生物ハンターの会社に雇われることになったが、クルーは人格異常者ばかりで、宇宙最強といわれる怪生物ヤアプを捕獲し調教しなくてはいけないという……。

 失敗する可能性のあるものは必ず失敗し、状況が悪化する可能性のあるものは必ず悪くなるというノンストップ・アクション・コメディで、一種のファースト・コンタクトものであり、ハードSFで、美少女活劇。
 血も涙もない美女やら悪の組織のボスやらそれ以上に胡散臭い自然保護団体やらが入り乱れ、宇宙空間では踊り子さんたちがラインダンスで群舞する……というと、いかにもいい加減なスチャラカもののようですが(それはそれで好きですが)、「生命と情報」を中心に据えたファースト・コンタクトものだったりして、なかなか侮れません。
 朝日ソノラマから刊行されていたシリーズなので、今は絶版状態。ぜひともソノラマノベルで再登場してもらいたいものです。

【BEMハンター】【異生物訓練士】【ファーストコンタクト】【歪んだ愛情表現】【コメディ】【演芸艦隊】
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「回転スシ世界一周」 玉村豊男

2008-06-18 | 食・料理
「必要なのはちょっとしたイタズラごころと、正直な精神」
 ロンドンのマッサージサービス付き居酒屋を企画したサイモン・ウッドロフの言葉。

 仕事絡みで世界各地は飛び歩くのだけれど、わざわざ海外に来てまで閉鎖的な日本人社会を反映したような日本料理店だとか、オリジナルとは似ても似つかぬ料理など食べたくないと、あえて日本の料理は避けていた著者だけれど、今、世界のスシ屋に何かが起きていると聞き込んで急遽調査旅行。1999年から2000年にかけて、高級デパートのフードコーナーから1日平均1万食を生産するアムステルダムのスシ工場まで、1日5食はスシを食うという旅をして回った結果をまとめたルポルタージュ。

 確かにスシは変わっていたといいます。そして「外人は生魚は食べない」というのも日本人の勝手な思いこみだったことも。
 気軽に外出して楽しく食事するための場所の1つが回転スシであり、店の方もそれに応えて、清潔で、目新しく、楽しく、安く、美味しい料理を食べさせようとしているというのです。だから、日本そのままの形式ではなく、その国、その店ならではの工夫が凝らされています。
 もしかしたら本来の寿司とは違っているかもしれないけれど、料理としてのセオリーはしっかり押さえ、独創的な美味しさと安さを探究しています。
 その一方で、頑なに正統派の寿司にこだわる者もいます。

「回転スシ? 問題外だね。(中略)ぐるぐる回っているうちに乾いちゃうじゃないか。ぼくにはとても受け容れられない」
「でも、バルセロナの2軒目の回転スシは……ぼくがやりたい」

 アムステルダムの寿司職人ニルス・バッカー。

 なんにせよ、なにかよくわかってないけれど「とにかく食べてみよう」と思った客が足を運んだら、それに応えて「なんとか食べてもらおう」と工夫するのが職人の仕事。
 パリ、ロンドン、アムステルダム、ニューヨーク、ロサンジェルスを回った20世紀最後の世界スシ事情。そしてその後、スシはさらに世界へと広まり、今ではレバノンからミラノまでスシ屋が進出しているんだとか。
 ついこの前、「そんな世界のあちこちに寿司屋なんてないし、あっても食べに行く者なんかたいしていない」という発言を聞いて、「そうかなあ」と思っていたら、直後に見たテレビでイースター島の寿司屋の話をやっていて、「ここにあるならどこにでもあるじゃないか!?」と思っていたら、やはりそうでしたねえ。
 空想が現実に負けてちゃいけません。

【回転スシ世界一周】【玉村豊夫】【回転寿司】
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「イスタンブールの群狼」 ジェイソン・グッドウィン

2008-06-17 | 時代・歴史・武侠小説
「何ひとつ変えるすべはないんだよ、アシュール。なくしたものは二度と償えない。痛みが完全に癒えることはない。それがわれわれ人間の運命なんだ、男であれ女であれ」
 白人宦官ヤシムの言葉。

 イェニチェリ軍団が近代化した国王の軍隊によって粛正された「イスタンブールの慶事」から10年後の1836年、オスマントルコ帝国の首都イスタンブール。
 4人の近衛士官が行方不明になり、順番に惨殺死体で発見されるという事件が勃発した。スルタン臨席の閲兵式を控え、早急に事件解決を図ろうとする司令官は、聡明さで知られる宦官ヤシムに調査を託す。
 だが、誘拐殺人の背後に、近代化の障害となって抹殺された、かつてのオスマントルコの精鋭軍団イェニチェリの陰が見え隠れするのに気がついたヤシムに、祖国を失ったポーランド大使パレフスキーは「ある種のパターンが見つからないことには始まらん」と言うのだが……。

 19世紀のイスタンブールを舞台に、宦官が祖国を失った外交官や図書館司書の奴隷少年らの協力を得ながら連続殺人の犯人や宝石泥棒を捜し求める物語。映像向きのミステリーで語るイスタンブール探訪。
 いちばんキャラが活き活きとしていたのは、呑んだくれのポーランド大使だと思いますね。ヘタレ具合が、かっこいいよ。

【イスタンブールの群狼】【ジェイソン・グッドウィン】【ハヤカワ・ミステリ文庫】【イエニチェリ】【イェニチェリ】【宦官】【大鍋】【風呂】【メフレヴィー派】
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「新人賞の獲り方おしえます」 久美沙織

2008-06-16 | エッセー・人文・科学
 小説の書き方ではなく、あくまで「新人賞を獲るのに必要なノウハウを叩き込む」ための本。書評なんかを見ていると「こんな本を読んでも小説は書けない」「書くための基礎を教えてくれない」とかいうものを散見するけれど、当たり前です。タイトルを見ろっての。そんな読み取りもできない段階で読む資格はありません。
 実践形式の講座の内容を書籍化したもので、既に、最低限の技量がある人間のために、その先の実践的なテクニックを紹介する本なのです。

 自分としては、マクガフィン(物語の登場人物にとっては重要なものだが、観客や読者には説明がなかったり価値があるとは思えなかったりする「アイテム」のこと)の存在と、その重要性を明記してくれているだけでも購入した価値はありましたね。
 ぼくは文章の書き方は、高校時代の新聞部や大学時代のゼミで叩き込まれたもの。記事や論文ですから、あやふやな言葉の存在は許されません。だから、どうしても書く文章が説明過多だったり注釈だらけになってしまうのですね。
 文の目的によっては、省くのも重要。書く方の自己満足で読者を飽きさせるなという指摘は勉強になりますね。ケース・バイ・ケースということで。

【新人賞の獲り方おしえます】【久美沙織】
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「i.d.I」 三雲岳斗

2008-06-15 | その他SF(スコシフシギとかも)
 特異な能力を持った少年少女が閉鎖空間に閉じこめられ、疑心暗鬼に陥ったり殺し合ったり協力しながら打開策を探す話。

 ライトノベル的な売り方をされる作品では読み手におけるイラストの比重は高いと思います。

【i.d.I】【神使いたちの長い放課後】【三雲岳斗】【宮村和生】【電撃文庫】【閉鎖空間】【生き残り】【学園祭】
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