付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「晴れた日は図書館へいこう」 緑川聖司

2013-07-31 | 本屋・図書館・愛書家
『言葉はわたしたちの、剣であり、盾であり、食事であり、恋人である』
 ポプラ文庫ピュアフルは一般文芸扱いだけれど、実際は中高生あたりがターゲットなのかな。これももともとは「文学の森」で出ていた小学校高学年以上が対象だけれど、子供が読むだけではもったいない……という感じの作品。

「いわないほうがいいことを、本当を全部いわないでおくと、それはどんどん心の中にたまっていって、心がどんどん重くなっていくのよ」
 だからたまには吐き出した方が良いと美弥子さん。

 小学生の茅野しおりは従姉の美弥子さんが司書をしている雲峰市立図書館へ通うのが日課だ。晴れた日は外で遊びなさいというけれど、図書館で本を読んでいたっていいじゃないか。
 でも、しおりは本にまつわる不思議な事件に何度も巻き込まれ、そのたびに本の大切さを知るのだった……。

 本と図書館が大好きな少女が図書館で出会うミステリアスな出来事を描いた連作短編。

【晴れた日は図書館へいこう】【緑川聖司】【toi8】【ポプラ文庫ピュアフル】【第一回長編児童文学賞佳作】【日常の謎】【ぬれた本】【延滞本】【図書館祭り】【不明本】
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「昨日まで不思議の校舎」  似鳥鶏

2013-07-30 | 学園小説(ミステリ)
『人生は、なかなかどうして素晴らしい』

 「にわか高校生探偵団」シリーズの第5弾で、シリーズ1作目の『理由あって冬に出る』での伏線も回収されてしまったので「これで完結!?」かと思ったら、まだまだ続きますよと作者あとがき。編集者も同じことを思ったようです。

 オカルト研の会報によれば、この高校には7不思議があるというが、そのうち4つは不思議でも何でもない。だって、どれも自分が絡んだ事件が元ネタなんだから。
 あえていうなら、これだけの事件が起こるこの学校そのものがおかしいのだろうか。どこの学校も似たようなものかと思ったら、そんなことはないという……。

 オカルト研のいい加減な記事から始まる怪奇な事件の、背後に隠された本当の怪異の物語。出番は少ないけれど、こっちの妹はなかなかするどい。あちらの妹の出番にも期待します。
 コミカルではあるけれどドタバタではなく、ときにほろ苦くやるせなく、だからこそ彼らには希望があってもいいと思う。

「日本人はとにかく控え目なのを褒めたがるけど、問題が起こった時、対処する能力のある人間が遠慮して前に出ないのは、決して美徳なんかじゃない」
 困っている人がいたら助けようとしてもいいのだと管家先生。

【昨日まで不思議の校舎】【似鳥鶏】【toi8】【創元推理文庫】【コミカルな学園ミステリ】【市立三怪】【言霊信仰】【時効】【口裂け女】【トイレの花子さん】【カシマレイコ】
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「さくら荘のペットな彼女(10)」 鴨志田一

2013-07-29 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人はそれぞれ違う生き物だ。自分と同じ人間などいない」
 うどん派の母さんを愛している、そば派の空太の父の言葉。

 ちょっと分厚めの最終巻は、もう1回、山や谷があって自分と相手の関係を見つめ直して後日譚。それぞれが夢を求めて動き出していくときに互いへの思いは障害になるのか、「さくら荘」と「ましろ当番」というシステムが2人をつなぎとめていただけではないのかという話で構成的には王道。
 やっぱり8巻で終わっても良かったけれど、もう少しさくら荘の面々の先まで見たいなあという読者には贈り物……という感じかな。
 個人的には、その問題はまだ解決していなかったんかい!?と思わないでも無いけれど、高校生という位置ではそれがせいいっぱいだったのかな。

【さくら荘のペットな彼女】【鴨志田一】【溝口ケージ】【電撃文庫】【変態と天才と凡人が織りなす青春学園ラブコメ】【昨晩はお楽しみでしたね】【マスターROM】
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「チャーチル閣下の秘書」 スーザン・イーリア・マクニール

2013-07-28 | ミステリー・推理小説

 第二次大戦下のロンドン。イギリス生まれながら、両親の死によってアメリカの叔母に育てられたマギー・ホープだったが、MIT進学資金のためにイギリスの舘を処分しようと渡英。いつの間にか友人らと同居生活をするようになって1年が経過していた。
 そんなにマギーに舞い込んできた仕事は、首相官邸でのタイピストというものだったが……。

 数学者なので、その知識を活かした仕事につきたいと思っていても、そういう仕事は自分よりバカな男たちにとられてしまい、カリカリしているマギー。
 タイピストなんか誰でもできると思っていたけれど、チャーチル首相の演説原稿や外交文書の清書とか、いろいろ重要な仕事も回ってきます。
 出だしの印象と異なってロマンス分は控えめで、戦時下のスパイアクションとしてはヒギンズよりぬるめ。ただ、ロンドン空襲やらIRAのテロを背景に、死んだはずの両親の謎を巡って陰謀が錯綜し、共同生活をしている友人たちとの友情や裏切りなどてんこ盛りで一気に読んでしまいました。
 これはこれでアリで、続きが楽しみ。

「わたしたち自身が、この戦争の新たな前線にいる」
 このナチスとの戦いは、遠くの前線の兵士だけの戦いではないと、マーガレット・ホープ。

【チャーチル閣下の秘書】【スーザン・イーリア・マクニール】【シライシユウコ】【創元推理文庫】【IRA】【セント・ポール大聖堂】【アプヴェーア】【白鳥の湖】【ロンドン空襲】【MI-5】【同性愛】 【オペレーションズ・リサーチ】【アラン・チューリング】【エニグマ】【RDF】 【クロスワードパズル】 【バトル・オブ・ブリテン】
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「犬とハサミは使いよう(7)」 更伊俊介

2013-07-27 | 本屋・図書館・愛書家
「本当のことを言わないのは、嘘をついたとは言わないのよ?」
 ワタシは今まで嘘をついたことがないと、夏野霧姫。

 夏野と紅葉がサイン会をすることになったが、なぜかそれが2人の対決になってしまった上に、どちらもこれまで覆面作家状態で人前に出たことが無いのでサイン会は未経験。どうやってサイン会で対決するかというより、そもそもサイン会とはなにかも分かっていないらしい。
「沢山読者を倒した方が勝ちに決まっているじゃない」
 駄目ぇぇ!!

 作風も読者層も生き方も異なる3人作家がぶつかり合う、波瀾万丈のサイン会の裏で画策される陰謀。サイン会の結末は……。
 毎回、白い背景に真っ黒な女性と犬の表紙が続くのに飽きたので、ちょいとばかし華やかなドラマCD付き特装版を購入。

【犬とハサミは使いよう】【更伊俊介】【鍋島テツヒロ】【ファミ通文庫】【不条理コメディ】【読書三昧な犬ライフ】【サイン会】【新人作家】【カツオ一本釣り】
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「ウルトラクイズ伝説」 福留功男

2013-07-26 | 伝記・ノンフィクション
 今となっては「みんな、ニューヨークへ行きたいかーっ!」「罰ゲームは怖くないかーっ!!」のセリフも通用しなくなり、「ウルトラクイズ」そのものの解説が必要です。
 今はテレビのクイズ番組というとタレントやアイドルが回答者になるものがほとんどですが、当時は視聴者参加がほとんどすべて。そんな中で日本テレビの開局25周年記念番組としてスタートしたのが『アメリカ横断ウルトラクイズ』です。
 これは年1回ペースで放送され、1992年の第16回、1998年のネッツトヨタスペシャルで終焉。その派生で高校生クイズなどになごりが今も残っているけれど、グランドキャニオンでクイズ問題を空からバラまいて「取ってこーいっ!」とか、ニューヨークの大通りを封鎖してマラソンしながらクイズとか、やはり本家のムチャぶりにはかなわない。
 「知力、体力、時の運」を合言葉に日本各地から何万人と集まった挑戦者たちが、一次予選の野球場から空港の待合室、航空機内と次から次に出されるクイズでふるい落とされながら、決戦地の自由の女神像までを旅するドキュメンタリー調の番組。

 スタートしたのは1ドル360円の1977年。ビジネスや新婚旅行以外で海外に行ったことのある者は少ない時代です。そんな時代に、何十人というクイズ参加者やスタッフを引き連れ、日本と違って定刻通りに動くとは限らない航空機などを乗り継ぎしつつ、いつクイズが行われるかわからない夜討ち朝駆けの1ヶ月の旅。その企画時から最終回までの軌跡を、そのほとんどで司会者兼クイズ出題者であった福留功男が綴ったもの。
 参加者の安全確保から機材の移動までリスクがむちゃくちゃ高く、コストも膨大となり、こうやってその裏側を読ませてもらうと「よく10何回も事故もなく続いたなあ」と感心します。
 番組最大の特色はアメリカ本土上陸してからの脱落者に科せられる過酷な罰ゲームと、優勝者に贈られるどうしようもない賞品。でも、「本当にやっているの?」という質問が多発したほどの罰ゲームは本当にやっていて、砂漠に放り出されて空港まで徒歩移動を強いられたり、川に流されたりとあれこれあったけれど、時には話を通していない国境警備隊やドライバーに遭遇して危険なこともあったようです。一方、未組立の飛行機とかエンジンのないクラシックカーなど、豪華だけれど役に立たない賞品は法律で定められた限度額ぎりぎりで、いかにインパクトのあるものを用意できるかという工夫の産物だったとか。
 こういう壮大なバカ企画を日本がやれた時代、アメリカが受け入れてくれた時代があったのだなあと懐かしがるための1冊。

【ウルトラクイズ伝説】【福留功男】【日本テレビ】【すべての挑戦者とファンに捧げるウルトラクイズ年代記】【アメリカ横断ウルトラクイズ】【日付変更線】【罰ゲーム】【早押しハット】
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「こちら弁天通りラッキーロード商店街」 五十嵐貴久

2013-07-25 | その他フィクション
 借金取りに追われて無人の寺に逃げ込んだ笠井武は、寺を訪れた老人に僧侶と勘違いされたことからニセ坊主となり、その適当な言葉の積み重ねで商店街を再興させていくのだが……。

 読んで気がついたのだけれど、雑誌連載のときに読んでいたんですね。
 面白い話なのだけれど、淡々と話が進む展開が物足りなくて残念。もうちょっとドタバタしていても良いのだけれど、動き始めるといつの間にか坦々と事態が進行していきます。寂れた老人ばかりの商店街なので元気な子供も活きの良い若い娘もいないし、主人公はあくまで傍観者であり意識して第三者であろうとします。そのあたりが面白いながらも、今ひとつ痛快さに欠ける要因かもしれません。
 商店街振興のビジネス小説としても、仕掛けがもう一つ欲しいかな。『雷撃☆SSガール』と同じで、こんなに話がうまくすすんでいいの?という不安が残るんですよね。

【こちら弁天通りラッキーロード商店街】【五十嵐貴久】【光文社】【読んだら希望が湧いてくる、痛快エンターテインメント】【百均】
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「日本全国 波瀾万城」 桝田道也

2013-07-24 | エッセー・人文・科学
 軍艦を擬人化したゲームが人気だけれども、日本のお城を擬人化してエピソードを紹介していく、萌え擬人化によるお城入門書。
 ただし、ものが城なので炎上したりすると(エッチにはならず)グロかったりする。それから、有名な城以外にも4コマでさまざまな城が紹介されているのだけれど、索引が端折られているので「この城はあったかな」と探すのに不便。
 やはり姫路城が好きかなー。

【日本全国 波瀾万城】【桝田道也】【新人物往来社】【ご当地お城擬人化コミック】【コミック大河】【姫路城】【小田原城】【熊本城】【江戸城】【安土城】【彦根城】【五稜郭】
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「デュラララ!! ×12」 成田良悟

2013-07-23 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 セルティは暴走し、門田は病院から姿を消し、罪歌は街中に広がっていく。
 壊れ始めた池袋で、静雄がついに臨也と対峙する。結局のところ、どちらも相手が気にくわないだけなのだ……。

 混沌としたまま、収縮に向かうように見せながら一方ではまた別方向に広がっているように見えて、なかなか一筋縄ではいきません。
 そもそも、登場人物が多い上に、1人が複数の立場や役割を併せ持っているキャラが多く、それが入り乱れて抗争を繰り広げているというのに、ここんところ1年1冊の刊行ペースです。続きを読む頃には前の話がもやもやとしか残っておらず、なにかごちゃごちゃしてたなあという印象なので、ますますとっちらかっていきます。
 完結してから、もしくは一区切りついてから一気に読み返すのが正解なのかもしれません。

【デュラララ!!×12】【成田良悟】【ヤスダスズヒト】【電撃文庫】
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「僕の学園生活はまだ始まったばかりだ」 岡本タクヤ

2013-07-22 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 「高橋、部活はじめるってよ」の帯に惹かれて購入。新人かなと思ったら『千の剣の舞う空に』の人でした。あと『武装中学生2045』シリーズ。

 サークル活動が盛んな八百万学園で1年間帰宅部を貫いた高橋は、ぼっちなまま2年生に。
 そんな高橋に接触してきたのは、生徒会役員にして完璧な美少女の佐藤だった。彼女は高橋に、「高橋部を作れ」とわけのわからないことを言い出した。
「新しい部活動を作るのよ。その無駄に溢れる才能をもって、この学園を陰から支配する部活動を作るのよ!」
 佐藤の瞳は澄んでいたが性根は腐っていた……。

「僕そういう青春とか愛とか情熱とか人間的成長とかいう抽象的なキラキラした言葉を振り回せば他人のお金や労働力を一方的に搾取しても許されるっていう感覚キライだな」

 文武両道の天才ながら性格が悪すぎて友達ができないまま高校生になってしまったチートな少年が、容姿だけは理想の女子高生な少女に振り回されながら、サークル活動を繰り広げる学園バトルコメディー。主人公の隙の無い天才でクズぶりと、メインヒロインのクズぶりが印象的な作品。
 久々に「辣腕」とか「陰謀家」以外の生徒会長を観たような気がします。「善人で無能」。ばんざい。

【僕の学園生活はまだ始まったばかりだ】【岡本タクヤ】【のん】【ファミ通文庫】【恋もない友情もないロストピース学園コメディー】【脳内会議】【番長】【巨大学園】【自己演出】【フードコンサルタント】【逆美味しんぼ】【流しそうめん部】【キャット空中三回転】【名探偵】【忍者】【変死体】
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「オツベルと笑う水曜日」 成田良悟

2013-07-21 | ミステリー・推理小説
『私は、何一つ悪事を働いておりません。故に私は、己の身が清廉潔白である事を証明しようかと思います』
 乙野辺ルイこと通称オツベルは、芸能ゴシップからオカルト・都市伝説までを扱う三流雑誌の編集部に君臨する若き女帝。そのオツベルの編集部に突然配属されてきたのは、身長2mはあるのではないかという顔面に傷痕が走る巨漢、喜佐雪弘だった。
 凶悪な人相に反して常に低姿勢で礼儀正しい喜佐に、オツベルはなんでもいいから特ダネ記事をとってこいと放り出したのだが……。

 自分は悪人だと自負するルイと強面の新人記者・喜佐が、包帯男の連続強盗事件をきっかけに連続殺人事件に巻き込まれていくサスペンスアクション。根拠不明のオカルト記事の断片などから『バッカーノ!』『ヴぁんぷ!』『デュラララ!!』など他のシリーズと世界を共有していることがうかがわれるが、『越佐大橋』シリーズが始まるよりは少し前の時代みたい。
 ただし、これらシリーズとは関係なく愉しめるし、むしろ知らない方がいいかな。今、誰かに成田良悟の作品を1冊だけ薦めるなら、この作品になると思います。一気に読めて面白く、ストーリー展開やキャラクター設定の振れ幅がそれほど大きくなく、それでも十分アクの強いキャラクターが活発に動き回りますので。

【オツベルと笑う水曜日】【成田良悟】【メディアワークス文庫】【サスペンスアクション】【冤罪】【偽証】
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「彗星狩り」 笹本祐一

2013-07-20 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 彗星を捕獲して水資源の供給基地にしようとしていたニュー・フロンティア社が倒産し、そのプロジェクトが宙に浮いた。
 その権利が、有人宇宙船によって最初に彗星にたどりついた会社に与えられることになり、大企業から有象無象の中小企業まで参加する壮大な宇宙レースがスタートすることとなった……。

 民間の航空宇宙会社がしのぎを削る、宇宙開拓時代のチキチキマシン猛レース。
 現代科学で民間企業レベルがどこまでできるかというシミュレーション小説と読めないこともないくらい、1つ1つの問題点をピックアップして、リアルな解決策を提示していきます。その巨大プロジェクトが組み立てられ動いていくプロセスが、この作品最大の魅力であり欠点。単なる娯楽活劇だけを期待するような読者には、この面白さは通じない気がします。
 宇宙探査ミッションの熱気を味わうべき作品なんです。

【彗星狩り】【星のパイロット2】【笹本祐一】【鈴木雅久】【ソノラマ文庫】【朝日ノベルズ】【有人宇宙飛行】
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月刊OUT12月号「超人ロック ついに登場!」 

2013-07-19 | 超能力・超人・サイボーグ
 表紙には大きく「宇宙戦艦ヤマトこおなあ!」とあるけれど、これは単なる読者投稿ページの話なので、本当の特集は「超人ロック」のみ。
 『超人ロック』は、いまだに新作が発表され続けている聖悠紀のSFコミックなのだけれど、そもそもは1967年に肉筆同人誌の回覧用として描かれた作品。それが仲間内で評判となり、2作目、3作目と続いて、ついには自費出版となり、1977年にはみのり書房の「ランデヴー」で5回連載、1979年には「週刊少年キング」で連載開始。以後、「月刊MEG」「ヤングキングアワーズ」「コミックフラッパー」と、掲載誌は休刊・廃刊しても作品は止まらず40年超。
 まさに主人公と同じく不死身っぷりをいかんなく発揮するのですが、この時点では4作目の『コズミック・ゲーム』までしか出ていません(しかも3作目までと4作目では絵のレベルが全然違いますし)。それをあえて総ページ数の半分を費やす大特集! 先物買いの大博打というかなんというか……。

【月刊OUT12月号】【超人ロック ついに登場!】【みのり書房】【科学忍者隊ガッチャマン】【さなぎロマンシリーズ】【SF特撮教室1】【世界初のアニメ小説】
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「海底軍艦(全)」 押川春浪

2013-07-19 | 架空戦記・仮想戦史
「米国が独立国たるごとくヒリッピンもまた独立国たり、この地球上には決して特権ある優等人種あることなくまた奴隷の生涯を送るべき劣等人種あることなし、汝等武侠を魂としてあくまで強暴に抵抗せよ」
 自由・独立・人権はなにより尊いと、フィリピン独立闘争を指揮した南洲翁、大西郷の檄。
 この話、映画化された『海底軍艦』のイメージが強いのだけれど、実際は海洋SFではなく、仮想戦記とか冒険小説のジャンルなんですよね。はっきりいって武侠小説。

 武力にものをいわせ、植民地を拡大していく西欧列強に対抗すべく、大日本帝国の桜木海軍大佐とその部下は南洋の孤島・朝日島に秘密の造船所を建造し、海底軍艦<電光艇>を建艦していた。
 いかに列強の大艦隊といえども、海底からの攻撃には手も足も出ないだろう……。

 『海底2万マイル』と同じく、軍艦が水中を進むだけで超兵器扱いされる時代の物語。
 海賊も悪いし、アメリカも卑劣だけれど、もっとも極悪な敵はロシア帝国。ムウ帝国なんか出てきません……という『海底軍艦』と空中戦艦が登場する続編『武侠の日本』の2作を収録した1冊。アジアを見下す西欧列強を、日本人が中心となって団結したアジアの人民の力で退けて自由・独立を!という、当時の世相を色濃く反映した押川春浪の主張がぎゅぎゅっと詰まってます。

【海底軍艦】【武侠の日本】【海島冒険奇譚】【押川春浪】【桃源社】【スーパーサブマリン】【電光影裏斬春風】【海賊船】【西郷隆盛】
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「小説版めだかボックス【下】」 西尾維新

2013-07-18 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 黒神めだかの生徒会長立候補を阻止しようとする教師たちの物語、小説版めだかボックスも後半に突入。ああ、これでコミック1巻につながるんだねと満足して読了。
 それなりに個性的な教師陣ですが、あの生徒たち相手となると本編に登場しないのも納得。別の話になってしまいますものね。

【小説版めだかボックス【下】】【朳理知戯のおしとやかな面従または椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト】【西尾維新】【暁月あきら】【JUMPJBOOKS】【選挙管理委員会】
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