付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

私的年間ベスト2019

2019-12-31 | ランキング・カテゴリー
 今年も歳の終わりに振り返り、この1年で楽しませてもらった書籍を幾つか覚えに残しておきましょう。

『ノームの終わりなき洞穴』 山鳥はむ
 遠征資金稼ぎのために宝石鉱山を採掘していたら、周囲の村人や冒険者が勝手に入り込んでは警備の魔物に殺され続け、そのせいで自分の採掘している鉱山がダンジョンだと噂になってさらに一山当てようという冒険者たちが集まる悪循環の物語。
 基本的に、欲に駆られた冒険者たちが洞窟に潜っては殲滅されるの繰り返しなんだけれど、そこを巧く面白く読ませ、ウェブ版の最終章は壮大な英雄叙事詩となって幕を閉じます。

『信長の庶子』 壬生一郎
 家督相続権のない庶子に生まれながら、不思議な知識を持つ母親の教育で、織田家にその人ありと知られるようになっていく織田帯刀の出世譚。
 転生知識チートは、なにも本人が使わなくてもOKだよねとか、竹簡で同人誌発行みたいな小ネタに走りつつも、物語としてはあくまで群雄割拠の戦国時代の冒険譚で、改編歴史物として完璧な本造りも魅力。

『ダンジョンクライシス日本』 緋色勇希
 日本各地でに迷宮が出現し、自衛隊と米軍による封鎖が続く時代。ひょんなことから迷宮の向こうに通り抜けてしまった元自による、往きて還りし物語。
 小説家になろう発のハヤカワJAの1冊で、なんでもかんでも萌えイラストつけりゃいいってもんじゃないよという1冊。続くといいな。なにげに名古屋界隈のご当地SFだったりします。

『異世界転移、地雷付き。』 いつきみずほ
 修学旅行のバス事故でクラス全滅のところを邪神に救われ異世界転生。ところが邪神の警告を無視して安易にチートスキルを取得したクラスメイトは、巻き添え自爆必至の地雷みたいなもの。そういうわけで、ナオたち親友5人は可能な限り他の地雷クラスメイトに関わらないよう、地味に、堅実に、安全第一で生きていこうとする……。
 異世界転生のスローライフな共同生活もの。派手なところはないけれど、特に暗く重いストーリーでもなく、他の話ならクラスメイト同士で敵対したり支配したりする展開になるところが、地雷付き転生者たちは勝手にどんどん、あまり主人公たちと関わらないところで爆発していきます。リアルな中世風社会の暗黒面は主にそちらが担当。その間にナオたちが1つずつ実績を積み上げ、少しずつ装備を更新し、一歩一歩着実に生活改善を続けていく姿が楽しいですね。派手な英雄譚ではなく、チート頼りの開拓話でもないですが、ほどほどに順風満帆なストーリー展開の起伏がベストバランスです。あとはタイトルにある地雷がほとんど爆発した後、話にどう結末をつけるかってあたりでしょうか。

『悪役令嬢の監獄スローライフ』 山崎響
 乙女ゲームのお約束みたいなもので、公爵令嬢レイチェルは身に覚えのない罪を理由に王子との婚約を破棄され、地下牢に投獄されてしまう。ところが、レイチェルは逆に地下牢の鍵を内側から施錠し、事前に持ち込んだ食料や贅沢品をふんだんに使った監獄ライフを堪能する。誰に頼まれたって出てやるものかと。その間にも、勝手な理由で婚約破棄した王子への圧力は高まり……。
 ひとことでいうと「プリズンイエーーーーーッ!」なハッピーホリデー・コメディ。さらば、王妃教育に追いまくられていた日々よ。ワンアイデアで上下巻という収まりの良さもポイントです。

『スコップ無双』 つちせ八十八
 宝石鉱夫のアランは、ひたすらスコップで穴を掘り続けていたが、採掘100年目のあるとき、なぜかスコップから岩石溶解ビームが出た。これで今まで堅くて掘れなかった岩盤も抜けるとさらに掘り続け、1000年目にはビームは波動砲に進化していた。地道な採掘の経験値は、本人も知らぬないうちにアランを最強のスコップ使いにしていたのだ……。
 スコップ使いの超人が主人公で、新興宗教の教組がヒロインで、波動砲が必殺技のファンタジー小説。世の中のたいていのことはスコップでなんとかなる。ちなみに1巻は「シャベル無双」とのコンバーチブル表紙。

『世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)』 黒留ハガネ
 ひょんなことから超能力が身についた主人公。ところが能力を磨きながら待っていても何も事件は起きないし巻き込まれない。世界の闇の存在もなければ、それと戦う組織もないというなら作ってやるぜと決意した。そこに同じく厨二心を大事に抱える整形美人(美容への並々ならぬ情熱と努力)のお金持ちヒロインをスポンサーに迎え、「世界の闇」とそれと戦うための「秘密結社」を作り始めるのだ。
 本物でなくてもホンモノと同じくらいステキなものを生み出したなら、そこに何の違いがあるというのだろうか。
 書籍版は2巻で中断。ウェブ版のようにせめてワールドワイドに展開するところまではやって欲しいものです。

『異世界国家アルキマイラ』
 VRシミュレーションゲーム『タクティクス・クロニクル』をプレイしていたら突然の地震。天災イベントかと確認してみれば、ゲームにおける自領丸ごとリアルに異世界転移していた。自分は戦闘力が皆無の脆弱な人間のままだけれど、周囲の部下は一騎当千の魔物ばかり。まかり間違って忠誠度が下がればひとたまりも無い。さらに樹海の外では人間とエルフの国家間での紛争が激化している。中身はまだ20歳前の大学生に、この状況に王として立ち向かえというのは、あまりに酷な話であった……。
 ゲームしてたら異世界転移して魔物ばかりの国家を指揮して戦うというと『オーバーロード』とか真っ先に思い浮かびますが、こちらは主人公の中身も器も人間なので冷酷に割りきれず、あれこれ苦悩しながら成長していきます。大学の授業はしっかり聴いておくもんです。

『サラリーマン流 高貴な幼女の護り方』 逆波
 武術の経験はないけれどネゴやプレゼンなどビジネススキルだけはやたら高い青年が、事件に巻き込まれたことで異能覚醒。刀剣を主武器とする異能エージェント集団に迎え入れられ、甘えることを知らない幼女の世話をし、意識高い幼女に諭され、政治的に危険な立ち位置にある幼女を大陸のスパイやらテロリストから護る話で、つまりはボディガードと王女様もの。
 1巻ごとにストーリーが完結し、テンポ良く、飽きさせない構成は見事。今は2巻までしか出ていないけれど、ウェブ版ではほぼ1巻分ごとに1人高貴な幼女が増えるので、ちょうどきりのつく3人目までは刊行して欲しいものです。

『異世界転生…されてねぇ!』 タンサン
 人助けで死んだ高校生が転生しそこない、チート能力を持ったまま元の世界で生き返ってしまったけれど、現代日本も裏では陰陽師や超能力エージェントの抗争が繰り広げられていて、そこに異世界で暴れ回るはずのチート能力者が第三勢力として殴り込んでしまう話。
 基本はスローライフなスクールライフなので、着々と強くなっていく主人公の言動がツボ。

『ハズレ判定から始まったチート魔術士生活』 篠浦知螺
 異世界の王国が戦力不足を補うために異世界からの召喚を強行。ある中学校の2年生が学年丸ごと召喚され、隷属の首輪で奴隷化されたけれど、国分健人だけハズレで使い物にならないと王女によって魔物だらけの密林に放り出され死にそうになる。でも、実は健人こそチートな能力の持ち主で……と、典型的な集団異世界転移もので、宣伝もその路線で押してるんだけれど、展開が早くて、起伏が激しくて、この手の話としてはかなり面白く、右も左も分からない異世界での足場固めと同級生救出作戦の二本立てでてんてこ舞いの展開に飽きずに読んでます。
 ただ、あまりに最悪な出会いの王女が後にヒロイン候補に挙がってくるものですから、書籍版ではちょこちょこ「あんな悪辣な真似をしたのにはやむを得ない理由があるのだ」と言い訳を前倒しにしてるので、そのあたり不自然になってます。そこまで本人も周囲の人間もそんな極悪人ではないというなら、死人が出る前になんとかしろよと。そういう意味ではウェブ版の方がしっくりきます。

『悪役令嬢レベル99』 七夕さとり
 ドルクネス伯爵家令嬢ユミエラ・ドルクネスは5歳にして覚醒した。自分がRPG要素の強い乙女ゲーム「光の魔法と勇者様」通称「ヒカユウ」の世界での悪役令嬢に転生していたことに気がついてしまったのだが、そこで前世のゲーマー魂に火がついてしまった。両親から放置されていたのを幸い、書庫で書を読み、野山で魔物を狩り、ゲームの舞台である学園に入る頃にはレベル99となっていたが、これは理論上のレベル上限。魔王討伐の推奨レベルが60である……。
 バランスブレイカーの裏ボスに転生した主人公が、ゲーマーの血が騒ぐままにレベル上げしていくうちに、なにが常識でなにが非常識か分からなくなってしまい、自分の基準で周囲を引っ張り回す話。彼女の「ちょっと危ない」は普通の人の「命の危機」。
 基本がワンアイデアのバカ話なので、ほどよい長さできりがついているあたりもお薦め。


 乙女ゲームの悪役令嬢転生ものというのは、そもそもオリジナルがほとんど見当たらないのが特色。他のファンタジー系創作などは、明らかにドラゴンクエストとかD&DとかFFとかメジャータイトルがあり、そこに起因するお約束が共通認識としてあるから成立しているわけですが、乙女ゲームにはそれがありません。確かに主人公のライバルとしての悪役令嬢が登場するゲームがないわけではないようですが、いざ具体的なタイトルを挙げようとするとあまりメジャーでないものが1本か2本……というくらい。それがちゃんと「悪役令嬢の登場する乙女ゲーム」というものに対する共通認識ができているのが不思議です。
 むしろネタ的には昔からの少女マンガの方に起因するらしく、2013年スタートの「謙虚、堅実をモットーに生きております!」が少女マンガ転生で、今も「小説家になろう」累計ランキングベスト10に入っているこの作品あたりから増えていったと聞いています。これは確かに面白いもの。連載が中断して2年以上かあ……小学校入学前から始まって、もう高校卒業間近。3年生の夏休みの花火大会直前と、クライマックス目前で途絶えて待つ身は辛いです。もう何回、最新話まで読み直していることか。
 新年こそは更新を期待したいものですね。
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「小説家になろう」とか

2019-12-30 | 雑談・覚え書き
 最近はライトノベル系文芸作品の大半は、まずウェブ小説で人気が出て、青田刈りのような状況で書籍化されて右から左に消費されるという状況で、そんな状態が良いのかどうかは別として読者としては山のようなレーベルから毎月何十と発売される新刊の内容を、まずウェブでチェックできるのはありがたいことです。
 序盤が面白くても、途中でダレる更新止まる、ワンパターンになる、タイトルを忘れて別方向に走るなど評価が変わりそうなものを事前にチェックできてソートできますから。
 そんなことを感じながら読みふけっている中から、書籍化されていないものを幾つか。

閣下が退却を命じぬ限り」剣崎月
 イヴは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の乙女ゲーム攻略対象者たちを除かなければならぬと決意した。イヴには政治がわからぬ。イヴは軍人である。銃を撃ち、猛吹雪と戯れて暮して来た。けれども浮気ものに対しては、人一倍に敏感であった……と、以上作品紹介まま。乙女ゲームのモブキャラに転生した主人公がシナリオのバッドエンドを阻止すべく奔走する物語。
 本編完結。そのクライマックスにタイトルがばーんっとはまるところが最高に燃えます。ざまぁ系恋愛小説というより、謀略系スパイ小説。でもコメディ色強め。青池保子のマンガとかタフな主人公が周囲の美青年たちにかまわず猛進する話が好きな人にお勧め。

イリアの世界」一集
 引きこもり令嬢イリアが弟とその仲間をかわいがり、彼らのために魔法を教えたりゲームを作って与えたりしています。けれど、本人はあまり自覚がないものの、イリアはチート級の転生者だったのです。いつしか弟たちは規格外の成長を遂げ、世界は次第に在り方そのものから変わっていきます。
 2章になって展開遅めの不定期更新になりますが、それでも面白さは色あせないので無事な完結を祈りつつ見守っています。

北海道に魔物が出たので地元ハンターが出動してみた」ジュピタースタジオ
 北海道のハンターシリーズ3部作の2つめで北海道の猟友会vs異世界モンスター。
 1つめの「北海道の現役ハンターが異世界に放り込まれてみた」がタイトルそのままの話の異世界転生で2巻まで書籍化されていますが、2つめの「北海道に魔物が出たので地元ハンターが出動してみた」が1作目のif話。もし最初の主人公が冒頭に熊に襲われて死んで異世界転生しなかったら、こちらの世界でどんな事件が起こっていたかという、銃刀法と猟師の関係とか、銃の管理や猟のやりかたなども含め、田舎のおっさんたちの戦いを、(猟師に撃つなと言いつつ自分たちは何もしないとか)役に立たない警察の横やりや役所の奮闘とか含めて描いたもの。

玉葱とクラリオン」水月一人
 バイトの合間にソシャゲで遊んでたら異世界に迷い込んでいたお気楽青年が、剣と魔法が支配する世界で現代人の知識を頼りに立身出世しようと目論む詐欺話が技術チートになり内政チート話になり、「よくあるパターンだよね」「2015年スタートなので、これがむしろ内政チートもののスタンダードを作った?」とか思いつつ、やたら火薬とか内燃機関の解説とかうんちくが長いよねと読み進めるうちに、いつの間にか戦記物になり、そのまま行くのかと思っていたらトロッコ問題もかくやという「大事な1人を救うか世界を救うか」という人類文明を賭けた話になり、最終的に魔法の存在する意味からゲームみたいなステイタス管理の謎まではっきりさせて、読後感はハインラインな全363話。
 胡散臭い男の双肩に人類文明が乗っかるあたり、ラザルス・ロングってところ。

ホラー女優が天才子役に転生しました」鉄箱
 交通事故死したホラー女優がそのまま転生。今度は子役として演劇界に乗り込んでいくサクセスストーリー。
 「身体は子供で頭脳は大人」なやり直し系転生はそこそこ多いけれど、大半はスポーツものか学園もの。子役ものは意外に少なく、面白いものはさらに少なく、まともに連載が進んだり完結したものはほぼ皆無じゃないかというなかで楽しみな新作の登場。
 演技の面白さ、奥深さがきちんと描かれ、前世もホラーや死体専門と言っても、知る人からはその演技力を高く評価されていた主人公が美少女として転生。努力の秀才が恵まれた天才として新たな人生のスタートを切り、そこから前世で知り合っていた人たちとの再会していくなど物語としても面白くなりそうな序盤です。

不思議の国の海兵隊 #MCWL」高城拓
 合衆国海兵隊に志願した若者が、過酷な訓練過程を経て成長するが、訓練過程修了間際に同時多発テロが発生。彼らは敵も味方もはっきりしない戦場に投入される……という話をスライム視点で描いているのは「衛生兵と書いてスライムと読むことの何が悪いってんだ?」という副題の通り。「宇宙の戦士」をファンタジー風に軽くアレンジして、主役を海兵隊の衛生兵にした話です。
 鬼や吸血鬼が人間と混じって生活している世界で、非正規戦に投入された若き海兵隊の青春譚。ただしスライム。こちらは「なろう」ではなく「セルバンテス」連載です。

俺の音楽ここにあります!」たけのこきのこ
 売れないギタリストが死んだと思ったら時間を数年遡り、女子中学生の身体に心が入り込んでしまったことから始まるガールズバンド・ストーリーが185話で完結。時間遡行のTS入れ替わりものとしては綺麗に面白く終わりました。普通の女子高生に、マニアックすぎてひとりよがりになっちまったテクニシャンが取り憑いた話の結末は前向きにハッピーエンド。

とある魔球のダウンザライン!」うるめいわし
 こちらもTS転生の人生やり直しスポーツもの。
 挫折したテニス選手が、気がついたら引退したテニスプレイヤーの娘に生まれ変わっていて、もう1回テニスプレイヤーとしてグランドスラムで優勝を目指す!という話。軽いノリのスポーツ小説で、あまり長く続けてもテニスの試合って描写が似たり寄ったりになるよねとジュニア編109話で完結。今はぽちぽち外伝の日常編が続いてます。

 タイトルがやたら長いのは「ガリバー旅行記」や「ロビンソン・クルーソー」からの伝統ですが、そのタイトルが「××したら××になっちゃいました」とかキャッチーな導入部の設定だけしか表してないものは作者が結末まで想定して書き始めていないのか、途中でおかしくなることが多いです。テーマが定まってない感じ。
 「本好きの下克上」とか「魔王の副官」とか、作品のテーマとか結末を暗喩するようなタイトルの方が、完成度が高くなる気がしますね。
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「異世界転移、地雷付き。3」 いつきみずほ

2019-12-29 | 異世界転生
「出てくるキャラが全部美少女なのは、ご都合主義のゲームや小説だけだ」

 ディオラさんの地上げも無事に終わり、ナオたちはついにラファンの街に家を持つことになったが、まだ資金が足りないとギルドで割のいい仕事を探す日々。普通だったら目標達成は先の話になりそうだったが、ナオやハルカの時空魔法や錬金術のレベルが上がり、マジックバッグの生産に成功したため、話は一気に簡単になりそうだ。
 その頃、街の近くではオークの目撃情報が増え、その危険性が検討され始めていた……。

 タイトルに「転移」とあるけれど、一度死んで、別の身体に生まれ変わったなら転生だよなあと思いつつ、赤ん坊に生まれて1からやり直すのと、別の身体を与えられて途中スタートするのでは「転生」「転移」以外の区分がいるよね。
 スローライフと言い切るほど、まだのんびりはできていないけれど、バトルファンタジーと言うほど殺伐ともしていないし、差し迫ってもいない。毎日まじめに働いて、たまには美味しいご飯を食べて一服する。そんな錬金術とオーク狩りメインで進む異世界ライフ。

【異世界転移、地雷付き。3】【いつきみずほ】【猫猫猫】【ドラゴンノベルス】【ほのぼの開拓スローライフ】【スネア】【カクヨム】【小説家になろう】【マジックキノコ】
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「過疎ゲーが現実化して萎えてます。」 ぺり一

2019-12-28 | VRMMO・ゲーム世界
「……返して来い! 拾ったところに!」
「ちゃんと育てるから! ね!?」


 最盛期でプレイヤー数が30名、最後には10名にまで落ち込んでしまい、その10人が十傑を名乗って好き放題に遊んでいたオンラインゲーム「聖樹の国の魔法使い」がサービス終了するのに2ヶ月を要しなかった。
 ところが、終了直後から、現実世界にゴブリンやら何やらファンタジー世界の怪物が出没し始め、十傑はそれがMMORPGのままであることに気がついた。いつの間にか、彼らのポケットの中にモンスターを召喚し使役するためのアイテム、魔石が入っていたのだ……。

 現代社会の秩序が崩壊し、人々が孤立していく中、過疎ゲー仲間の問題児たちがモンスターたちに立ち向かう……はずが、いつの間にか魔王軍の広報担当として敵の内部に潜り込み、好き放題に引っかき回す物語。

【過疎ゲーが現実化して萎えてます。】【ぺり一】【赤井てら】【Mノベルス】【抱腹絶倒の「小説家になろう」発バトルファンタジー】【爆死あり】【内輪揉めあり】【魔王幹部ちゃん】【twitter】
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「生徒会探偵キリカS1」 杉井光

2019-12-27 | 学園小説(ミステリ)
「議会では野次が認められている。したがって議論の場ではない」
 生徒会長天王寺狐徹は真面目に語る。議会は議論をする場でないし、政治について何かする場でもないのだ。人の話を聞かずに議論ができるのか、そもそも全員が議論に参加しているわけでもない。だったら、いっそのこと潰してしまおう。

 生徒会長と議長の間では中央議会を来年には廃止することが決定していて、そのための根回しは完璧……のはずが中央議会に異変が発生。引退するはずの3年生議員が再選を果たし、可決されるはずの議題が次々に否決されていく。
 裏切り者は誰か? 何のために反対するのか? 料金体系を見直した《生徒会探偵》、聖橋キリカの調査が始まる……。

 あれやこれや作品外のところでゴタゴタしていたせいなのか、新刊が出なかった「生徒会探偵」シリーズが新章スタート。めでたし。生徒数8000人超の巨大学園を舞台にした生徒会ミステリ。
 してもいない約束を「忘れていた」と責められるひかげくんが気の毒と言えば気の毒ですが、鈍感だから仕方がないですね。

【生徒会探偵キリカS1】【杉井光】【ぽんかん⑧】【講談社ラノベ文庫】【ハイテンション学園ラブコメ・ミステリ】【巨大学園】【1票の格差】【うさぎ】【第九】【クリスマス】【鈍感系主人公】
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「信長の庶子(三)」 壬生一郎

2019-12-26 | 戦国転生・歴史改変
「目の色が変わったな。男は二度、そういう時がある。一度は、始めて女を抱いた時、もう一度は、人を殺した時だ」……という言葉を二度三度と聞かされる帯刀であった……。

 朝倉、浅井、延暦寺、本願寺による信長包囲網を打ち破ることはできなかった。なんとか和議に持ち込めはしたが、織田の一族にも討ち死にする者が出た。だが、織田信長は野望を隠し、臥薪嘗胆で逆襲の機会を覗い、庶子で長子、織田信正は家内の混乱を防ぐため村井重勝と名を改め、あらためて家臣として織田家を支えていくことを誓う。
 その頃、直子の存在をいぶかしむ声も聞こえ始めていた。
 文武で活躍する重勝こと帯刀は確かに麒麟児と呼ばれるほどの才覚を見せたが、それはあくまで試行錯誤の上での結果。しかし、直子は違う。彼女のやることなすことは、どういう理屈で思いついたか分からない。そう、最初から正解を知っていたかに思えるのだと秀吉や半兵衛は語るのだった……。

 未来の知識を持つチートな母親のもとを離れ、織田家の武将として活躍する帯刀あらため織田信正あらため村井重勝の一代記。今回の書き下ろしは、比叡山で出会った僧侶、随風の物語。
 戦国時代転生ものは少なくなく、信長絡みは弟だったり長子だったり八男だったりそこそこあるけれど、その中でも面白くきれいにまとまり、ウェブ連載がきちんと完結したものの1つ。物語の流れと正史の対比表あり、地図あり、戦場も人物も描けるイラストレイターと本作りは完璧で、ここ最近のお薦め。前世知識のままに主人公がチートな活躍をする話は時としてご都合主義で興ざめになるけれど、これは主人公がチートではなく、裏で介入してくる母親の影響で歴史が変わってきているあたりがポイントです。主人公は正解を知らずに時を早めているのだ。

【信長の庶子(三)】【織田家の逆襲】【壬生一郎】【土田健太】【ヒストリアノベルズ】【宙出版】【戦国IFエンタメ】【月歩】【志賀の陣】【比叡山焼き討ち】【長島攻め】【ピザ】【チーズ】【パン】【マグロ】【男性用ブラ】【小説家になろう】
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「クズ異能 温度を変える者の俺が無双するまで2」 鍋敷

2019-12-25 | 超能力・超人・サイボーグ
 エリート高校との対校戦に勝利し、温泉旅行も満喫したアツシたち帝変高校だったが、授業が再開するや驚天動地。大逆事件の余波で廃校が決まった魔聖学園からの転校生がやってきたのだ。対抗戦で苦戦したレベル4の異能者たちだ。
 ところで、そんなサプライズはともかく、生徒会の用事で裏山に向かったアツシは同行した霧島とはぐれ、遭難してしまう。学園の裏山で……。

 異能に目覚める者がそこそこいる時代。「触れたものの温度を多少変えるだけ」というクズ異能を発現した少年が、実は使いこなしたらスゴいんだよと指導を受けて覚醒し、美少女たちとお近づきになったりダメな男友達とつるんだりしながら学園生活を満喫する話。スゴい能力を持っているからといって強いとは限らず、むしろつまらないスキルを活かしてスゴい結果を出す方が強い……みたいな「スレイヤーズ」の後継者かも。異能バトルは、どれだけつまらない能力で、どれだけカッコイイ見せ場を作れるかがポイントなのです。
 今回は温泉編の続きから転校生襲来、山へ差し入れなど次々にトラブル発生しつつ、主人公たちのクズ異能に磨きがかかるさまが描かれます。2巻もダメダメな波瀾万丈です。

【クズ異能 温度を変える者の俺が無双するまで2】【鍋敷】【荻pote】【PASH!ブックス】【異能バトル×コメディ×青春群像劇】【サーモスタット】【のじゃロリ狐】【学園祭】
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「うちの弟子がいつのまにか人類最強になっていて、なんの才能もない師匠の俺が、それを超える宇宙最強に誤認定されている件について1」 アキライズン

2019-12-24 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「人間だ。父は世界を創造した全知全能たる神、母は自然界を守る大精霊と聞いている」
 タクミが拾い育てた少女アリスは人類最強となったが、彼女はタクミについて根拠もなくそう語るのだ。

「よくわかったな、その通りだ」
 タクミは訳の分からないことを言われて問い詰められると、説明や説得を諦め、適当に流してしまう癖がある。

 うだつの上がらないD級冒険者のタクミはパーティーから追放され、山で一人のんびりと暮らすこと10年。食っちゃ寝の毎日が性分に合っているようだ。
 しかし、そんな自堕落な山暮らしに弟子志望のムチャクチャ強そうな女冒険者がやってきて、下界ではとんでもない状況になっていることに気づかされた。タクミが宇宙最強だと認定されているというのだ。人違いだと主張するタクミに、剣士レイアはそれはありえないと断言した。
「貴方様以外のタクミはすべて改名されました。今後もその名前をつけることは、世界ギルド法案で永久に禁止されましたので、未来永劫タクミ様は貴方様一人でございます」
「え、何それ、怖い」

 平凡な男が本人の知らないところで最強認定され、ドラゴンや勇者が訪れたあげく魔王ではないかと糾弾される勘違い系コメディ。
 書籍版だと閑話がまとめて挿入されるので、ちょっと話の流れが途切れるのが残念。ウェブ版みたいに話が一区切りついたところで「実はそのとき」「その頃こんなことが」みたいに別視点が入るのが良かったのに。

【うちの弟子がいつのまにか人類最強になっていて、なんの才能もない師匠の俺が、それを超える宇宙最強に誤認定されている件について1】【アキライズン】【toi8】【サーガフォレスト】【小説家になろう】
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「スーパーカブ6」 トネ・コーケン

2019-12-23 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「行かなきゃいけないところや行きたいところがあるなら、行っちゃいけない場所に足を踏み入れ、壁を壊さなきゃならない」
 卒業後は世界を放浪するという礼子は、自分を囲う心理的な壁すべてを壊そうとしている。

 退院した小熊には補講が待っていた。単位が足りないと卒業できないのだ。そして無事に卒業式。
 でも、辛気くさい卒業式はさっさと抜け出し、椎と礼子の3人で旅に出た。小熊と椎が4月から住む街、東京の端から端までカブで走り回る卒業旅行だ!
 しかし、東京の街はコンビニ1つとっても、彼女らが親しんでいたものとは別物だった。カブを駐める場所を探すのすら一苦労なのだ……。

 大人から見れば青臭いとか、もうちょっとうまくやれよと思うところはあるけれど、彼女らにも彼女なりのプライドとか矜持とかこだわりがあるのだ。そんな彼女らの卒業旅行編。
 こんな地味な話が巻を稼いでいるなあと思っていたら、なんとアニメ化決定とのこと。ゆるキャン実写化とかと同じベクトルですね。

【スーパーカブ6】【トネ・コーケン】【博】【スニーカー文庫】【少女×バイクの青春】【カクヨム】【ネカフェ】【千葉】【フリーマーケット】【うまい棒】【Vtuber】
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「巨大ロボットの社会学」 編著:池田太臣 他

2019-12-22 | 巨大ロボット
 日本のアニメは、マジンガーZ、ガンダム、エヴァンゲリオン、パトレイバー……と現実離れした「巨大な人型ロボット」を生み出してきた。そのアニメ作品の世界と現実社会との相関、あるいは玩具・ゲームから観光まで影響が波及する巨大ロボットの意味や意義について社会学のアプローチで分析していくという主旨の論文集。
 そんなに難しく書かれていないので読むのは楽だけれど、読み飛ばせるほど浅い内容ではないというレベルです。いかにも大学のテキストに使う内容で、巨大ロボットアニメを総括する序論から各論に展開していく形になります。帯にはメジャーどころのロボットしか名前が挙がっていませんが、当然のようにどマイナーな作品にまで目が届いている論文です。

【巨大ロボットの社会学】【戦後日本が生んだ想像力のゆくえ】【池田太臣】【木村至聖】【小島伸之】【法律文化社】【レナト・リベラ・ルスカ】【荒木菜穂】【菅浩二】【松井広志】【塩谷昌之】【岡本健】
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「サイコパスSS (上)」 吉上亮・茗荷屋甚六

2019-12-21 | その他SF(スコシフシギとかも)
 「シビュラシステム」によって人間のあらゆる心理状態や性格傾向の計測が可能となり、犯罪係数が規定値を超えれば、実際に罪を犯していなくても「潜在犯」として裁かれている西暦2112年の日本。
 そんな監視社会でも犯罪は発生し、厚生省管轄の警察組織「公安局」の刑事は、シビュラと有機的に接続されている特殊拳銃「ドミネーター」を用いて、治安維持活動を行っているのだが……。

 公安局刑事課一係所属メンバーたちを主役にした、近未来犯罪SF。
 フジテレビ「ノイタミナ」枠で放映されていたProduction I.G制作のオリジナルアニメ。その劇場版のノベライズで、表紙イラストは公開時にリーフレット等で使用されたものの転用。
 上巻は、潜在犯隔離施設〈サンクチュアリ〉の心理カウンセラーが車両で公安局ビルに突入する【Case.1 罪と罰】と、無人の武装ドローンが東京の国防省を攻撃した事件を国防軍のパイロット・須郷徹平と刑事課一係執行官・征陸智己が捜査する【Case.2 First Guardian】の2編。
 今回はノベル版サイコパスをいつも担当していた吉上亮に加え、ゲーム版シナリオを担当していた茗荷屋甚六も参加しています。ただ、アニメの方はほとんど見ていないので、どこがどう違うかとは言えないのです。

【PSYCHO-PASS Sinners of the System (上)】【サイコパス】【吉上亮】【茗荷屋甚六】【マッグガーデンノベルズ】
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「パタリロ!」 原作:魔夜峰央

2019-12-20 | 時間SF・次元・平行宇宙
 常春の国マリネラ。
 その王国の皇太子パタリロ・ド・マリネール8世が、側近のタマネギ部隊を引き連れて大英帝国にやってきた。そのボディガードに任命されたのは、MI6のトップエージェント・バンコラン少佐だったが……。

 ダイヤモンド産出国の王位継承を巡る権力争いを軸に、美少年たち(自称を含む)の耽美な世界が繰り広げられる……ということになっているスラップスティックSF。

 1978年に少女マンガ誌『花とゆめ』で連載が始まった古いギャグ漫画ですが、2016年には舞台化され、2019年6月には実写映画化。少女マンガって、本当に息が長いですよね。過去転移&現代知識チートの元祖、77年連載スタートの細川智栄子『王家の紋章』も、86年スタートの中山星香『妖精国の騎士』もいまだに新刊が出るし。
 さて、「パタリロ!」はマンガをよくぞここまで実体化させたと好評だった(呆れさせた)舞台版と同じメインキャスト、スタッフで製作。なので映画の雰囲気もミュージカル舞台的。いつの間にか、そのDVDが我が家のテレビの前に鎮座していました。なんでや?
 「わざわざ劇場に観に行く必要はありません。自分で金を払って借りてくるまでもありません。しかし、一見の価値はあります。ですから、私が買いました!ここに置いておくので、みなさん一度は観ておいてください」……まさかの義務だった! いや、お客が来る度に流していたら、その都度、私は視ることになるんだけど?

【パタリロ!】【小林顕作】【HIGH BROW CINEMA】【魔夜峰央】【池田テツヒロ】【加藤諒】【青木玄徳】【佐奈宏紀】【哀川翔】【埼玉県春日部】
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「おいら宇宙の探鉱夫2」 監督:飯田馬之介

2019-12-19 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 軍事衛星の接近はトータチスでも気づいていた。しかし、破棄されていた軍事衛星から自動対応で放出されたミサイルのすべてを迎撃することはできなかった。トータチスは大きな被害を受けて各所が分断され、捕獲計画の最終局面にあったハレー彗星は、地球へ衝突する軌道を描き始めた。
 一方、事故の瞬間、小型艇もろとも宇宙へ放り出されていた牛若は、トータチスの坑道奥深くに正体不明の装置を見つけていた。地球はトータチスを信用していなかったのだ……。

 男も女も老いも若きも関係なく、この空間にいる者たちはすべてプロフェッショナル。茶をすすっていた婆さんも、軽口叩いていた小僧も、いざとなるとさっと切り替え、それぞれのベストを尽くすべく動き出します。
 レーザーディスクの2巻には、未制作に終わった第3話「大気圏突入」から最終巻である第6話「トータチス1B9-6」までのプロットが収録されていて、購入者の涙を誘っていたのでした。

【おいら宇宙の探鉱夫2「デストロイ&エクソダス」】【飯田馬之介】【ケイエスエス】【フォースマン・ランチフィールド】【早坂律子】【飯田つとむ】【川元利浩】【今掛勇】【ムーチョス・メカヒノス】【津野田勝敏】【谷口淳一】【片山由美子】【川井憲次】【トライアングルスタッフ】【山口勝平】【日高のり子】【大塚明夫】【一城みゆ希】【上田祐司】【辻村真人】【折笠愛】【京田尚子】【鹿島灘之】【トータチス】【ハレー彗星】
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「おいら宇宙の探鉱夫1」 監督:飯田馬之介

2019-12-18 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 時は未来、所は宇宙。
 ラグランジュ・ポイントのひとつに固定された小惑星トータチスは、レアメタルの採掘現場であり、地球に最接近するハレー彗星捕獲のための基地となっていた。
 牛若はこのトータチスで生き残っている唯一の子供だが、このままトータチスに居続けるためには次の小型ビークル操縦免許試験に合格し、一人前の探鉱夫として認められる必要があった。試験に向けて遮二無二な牛若をフキたちは心配しながらも見守るのだが、そのトータチスとデブリに紛れた軍事衛星の軌道が交差しようとしていた……。

 巨大プロジェクトを動かすため地球高軌道上で働くプロフェッショナルな人間たちのドラマと、なぜかその現場に存在することを許されている少年の謎を軸に語られる宇宙冒険活劇であり、パニックSF。
 中身はすごく面白くてカッコイイのに、それを伝えられない。たぶんジュブナイルというのを強く意識していたのだろうけれど、タイトルからして1962年映画「妖星ゴラス」をオマージュしたものと思われるけれど……正直野暮ったい。パッケージも「大盗賊」とか「奇巌城の冒険」とかそれくらいの邦画っぽいし、さらに主題歌が「おいら宇宙の探鉱夫節」……地味。地味すぎ。作曲が川井憲次なのに!?

【おいら宇宙の探鉱夫1「118,000ミリセコンドの悪夢」】【飯田馬之介】【ケイエスエス】【フォースマン・ランチフィールド】【早坂律子】【飯田つとむ】【川元利浩】【今掛勇】【ムーチョス・メカヒノス】【津野田勝敏】【谷口淳一】【片山由美子】【川井憲次】【トライアングルスタッフ】【山口勝平】【日高のり子】【大塚明夫】【一城みゆ希】【上田祐司】【辻村真人】【折笠愛】【京田尚子】【鹿島灘之】【トータチス】【ハレー彗星】
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「復興名家の仮名目録2」 シムCM

2019-12-17 | 戦国転生・歴史改変
「いいですか。策というものは、状況の変化のたびに手を打つのではありません。変化に対応できる手を打つべきなのです」
 井伊家はそのうち今川家の敵に回るだろうし、そうしたら今度は井伊家ごと松平家まで飲み込むと、こともなげに井伊家の娘である直姫に言う十英。

 黒衣の宰相と呼ばれた師匠と同じく、僧侶でありながら外交官として今川氏真を補佐する十英承豊だったが、当面の仮想敵は甲斐の武田信玄。東の北条とほどよい関係を維持しながら、井伊家を転がして徳川を良いように動かし、織田信長に目を付けられつつも西側の動きを封じた。
 どのように事態が進展しても、如何様にも対応できるようにしておくのが策というもの。幾重にも張り巡らせた十英の知略は、武田の軍勢に通用するのか……。

 1巻と表紙のレイアウトがほとんど同じだったので、間違えて同じ本を買ってしまったかと思ったよ!
 前作『加賀100万石に仕えることになった』と同様、戦国時代に転生した現代人が寺の僧侶として無難に生きていくつもりが有名武将に文官として見いだされてしまう……という話なのだけれど、兵站担当の内政官として味方を転がしていく加賀100万石に対して、こちらは外交官なので周辺諸国を主に転がしていきますので、「全ては私の思うがまま……」と性格の悪さに磨きがかかっています。そういう意味で共感しにくい主人公なんだよね。

【復興名家の仮名目録(ルールブック)2】【戦国転生異聞】【シムCM】【巌本英利】【MFブックス】【戦国転生歴史ファンタジー】【地獄に落ちろ】【直姫】
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