付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「カルミナ・ブラーナ」 シカゴ交響楽団

2007-12-31 | 時代・歴史・武侠小説
 今日のBGMは『カルミナ・ブラーナ』。ルネッサンス音楽の研究家であるカール・オルツが修道院の図書室から発見された13世紀あたりの古詞に曲をつけ、昭和12年に初演した歌曲。
 この曲を薦めてくれたのはHPL研の若月さん。ちょうど1988年のこと。なんというか「こういうの好きでしょ?」とどんぴしゃで推薦されました☆ 荘厳な曲なのに、歌詞をよく読んでみれば「私を見て。好きにして」とか「湖の白鳥がいまや真っ黒焦げで皿の上」などと恋歌だったり酒場の戯れ歌だったり。
 いや、白鳥が黒こげはないだろ? 戦場の白鳥の話をしてるのに……。
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「軌道離脱」 ジョン・J・ナンス

2007-12-30 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 それは民間宇宙飛行会社アメリカ・スペース・アドベンチャーズ社(ASA)が主催する、地球を4周するたった6時間のフライトにすぎなかった。宇宙を漂う小さなゴミ、スペースデブリの1つが宇宙船を貫くまでは。
 イントレピッド号を貫いたデブリはルート上にいたパイロットを即死させ、メインエンジンは動かなくなり、地上との通信も途絶した。生存者は宇宙飛行の無料招待枠に当選した44歳の製薬会社セールスマン、キップ・ドーソンただ1人だった。
 だがASAの所有するもう1機の宇宙船は修理中で動かせず、予算削減が続いて組織の立て直しを求められているNASAには救助用シャトルを打ちあげる余裕はなかった。船内の空気は保っても5日分。宇宙空間に孤立したまま緩慢な死を迎えようとしているキップにできることは、ただ持ち込んだノートパソコンにその心境を、家族へのメッセージを入力することだけだった。
 しかしキップは知らなかった。データ送信専用の回線がわずかに生きていて、彼の打ち込むキーの1つ1つを逐次地上に送信していることを……。


 世界まるごとピーピングトム。
 意識しないまま自分の妄想や赤裸々な回想を全世界に垂れ流し続けるなんて事態は本人にとっては悲劇だけれど、それを読むものにとっては死に直面した人間の生の言葉なだけにインパクトは絶大。そしてアメリカ大統領が、ロシアが、日本が、中国が、世界が彼を救うために動き出すけれど、家庭に問題を抱える、たった1人の中年男性もまた世界を変えていくという物語です。

「それがロシアだろうと、NASAだろうと、ASAのちっぽけな宇宙船だろうと、あるいは、中国であったとしてもかまわない。この件でわれわれの助力を欲する者は、それを全面的に得られる」
 北米航空宇宙防衛司令官クリストファー・リズン。

 どうにも救出方法が見つからなくて悶絶しているASA、民間企業への対抗心から対応が鈍るNASAに対し、前半は北米航空宇宙防衛司令部だけがやたらにカッコイイですね。わずかな観測データから状況を正確に推測し、見守りつつ、いざというときには切り札を持ち出して障害を排除していく姿に、NORADだけがこんなに立派でいいのか!?と思いました。文句はないけれど。

【軌道離脱】【ジョン・J・ナンス】【航空事故】【デブリ】【ピーピングトム】【DELL】
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「太陽レンズの彼方へ~マッカンドルー航宙記」 チャールズ・シェフィールド

2007-12-29 | 宇宙・スペースオペラ
「対話という相互作用は貴重で示唆に富む」
 <サイバーの方舟>が生み出したAIの言葉。まあ、簡単に言ってしまえば、「話し合いって大事だよね」ということなんだけれども……。

 チャールズ・シェフィールドの書く『マッカンドルー航宙記』シリーズは、天才科学者マッカンドルー博士と女船長ジーニーが遭遇する様々な事件や発見の顛末を描く短編集。「太陽レンズの彼方へ」もその1編。他の作家だったら大長編のネタにしそうな科学的アイデアの数々を、短編のネタに使いまくる豪勢なハードSF。
 でも最近までマッカンドルーとバッカルーを混同していたのはナイショさ。

【太陽レンズの彼方へ】【マッカンドルー航宙記】【チャールズ・シェフィールド】【天才科学者】【女船長】
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「銃姫」 高殿円

2007-12-28 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「世界は変えるものじゃない。変わるものなのよ」
 『銃姫』からリムザの修道院長エステラの言葉。

 銃の力を借りなくては人が魔力を発動させられなくなった時代。既に大都市では電話やタイプライターが実用化されつつあったが、それでも人と人との戦いには、銀の銃弾に魔力を封入する魔銃士が大きな役割を担っていた。
 魔銃士のセドリックとアンブローシア、そしてセドリックの姉であるシスター見習いエルウィングの3人は、世界を滅ぼすことさえできるという兵器〈銃姫〉を奪って逃亡した天才魔術師オリヴァントを追跡しているのだが……。


 ちょっとした笑えるエピソードが合間合間に挿入されているけれど、基本的に暗くて重い話。救いがありそうで……実はないよね。この先、なんらかの転換点があるかもしれないけど、乳の大きさに惑わされてはいけない。
 あと、魔銃士が主役というのに、1巻の時点では、今ひとつ銃撃魔法戦に盛り上がりが欠けるのが残念。せっかくの設定なので、もっと「銃を撃つ」ということにこだわって欲しいな。このままだと単に杖の代わりに銃を使いました、杖を使わないのに魔法が使えるなんて!?というレベルに終わってしまうんでもったいないです。

【銃姫】【高殿円】【エナミカツミ】
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「D-DAY 史上最大の作戦の記録」 ウィル・ファウラー

2007-12-27 | 戦記・戦史・軍事
 ノルマンディー上陸作戦ってのは、その規模の大きさと作戦の実施を巡る駆け引きが面白く、半可通のシロウトでも楽しめて、さまざまなスパイ小説や戦争小説で取り上げられる題材です。それに、マーケット・ガーデン作戦みたいに語り手から見て悲惨な話でもないし、ガダルカナルや沖縄とは違って他人事で楽しむ余地も大きいわけで……そういうわけで、『史上最大の作戦の記録』を購入。
 コーネリアス・ライアンのドキュメンタリーや戦車マガジンの写真集もなんとなく手元にあるのだけれど、買って損はありませんでした。作戦の経緯を豊富な地図と共に語るだけでなく、さまざまな人物や軍事用語についてのコラム、作戦参加者の証言等、さまざまな角度から記述しているので飽きません。ユタ海岸上陸第一波の上陸部隊のチーム編制が、船首に下士官1名とライフル兵5名、それ以外には4人組鉄条網切断チーム×1、2人組自動小銃チーム×2、2人組バズーカ砲チーム×2……なんて、知らなくても良い雑学が増えますけどね。

【ノルマンディー上陸】【編成】【兵站】【地図】【エニグマ】【書簡】
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「サイコスタッフ」 水上悟志

2007-12-26 | 超能力・超人・サイボーグ
「地味で愚直な努力の繰り返しによってのみ 人は強くなれるべきなのよ!!」
 惑星ルルイエ宇宙軍・桜木梅子。

「他人ではなく、自分に誇るために生きたいんだ」
 50億人に1人のB級エスパー・柊光一。

 面白い話ってのは必ずこういう決め台詞の1つや2つはあるもので、こういうのが出てこないってことは登場人物が物語に真っ正面から向き合っていないってことなのかもしれません。
 話自体は、平凡な少年である柊光一が初めてもらったラブレターの相手は、彼の超能力に目をつけて母星ルルイエの戦力にスカウトしようとした宇宙人だった。Bクラス能力といえば、どんな戦況もひっくり返す無敵の念動力。超能力など関係なく、あくまで実力で大学進学しようという光一の前に、梅子や科学の悪魔に魂を売り渡した惑星ヤディスの巨乳校医が立ちふさがる……というツンデレ・ラブストーリー(宇宙戦争付き)。
 嫁さんが表紙を見て「『惑星のさみだれ』の人だ☆」と一瞥して確認。しかし登場するキャラクターたちはみんな端から見るとヘンなやつばっかだけど、行動があまりぶれないよね。それぞれの信念というか目的に従って動いている。それはすごくカッコイイわけで、なにがあっても動じない光一の両親なんかものすごくカッコイイのです。だからこそ、走馬燈からあとの怒濤の展開が盛り上がってしまうのじゃないかと思います。
 でも姫萩先生、根は悪人なんですね……。

【サイコスタッフ】【水上悟志】【縞パン】【年収1万ダゴン】【アルマゲドン】
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「おまけのこ」 畠中恵

2007-12-26 | 時代・歴史・武侠小説
 廻船問屋の若だんな、一太郎は病気をしていなければ病気になりかけているか病気から回復したばかりという病弱な若者。けれど病の床ばかりの若だんなの周囲には、鳴家や屏風のぞきやら物の怪たちが常に右往左往している。実は若だんなは大妖怪の血を引いており、病弱な息子を心配した両親が世話係につけてある手代たちも実はかなりの大物妖怪だったりする。
 そんな若だんなが、身辺に持ち込まれる怪事難事を、妖怪たちの助けも借りて解決したりできなかったり……。

 「しゃばけ」シリーズの第4弾。文庫落ちして購入。ハードカバーでもいいけれど収納場所がないから、文庫になるやつは文庫買いですね。今回は、関わる者は全て不幸になる狐者異(こわい)をめぐる一幕「こわい」、ぬりかべみたいな厚化粧がやめられない娘と屏風のぞきが深夜に問答する「畳紙」、まだ妖怪たちが来る前の若だんなの冒険譚「動く影」、若だんなが吉原の禿を足抜けさせようと大騒ぎの「ありんすこく」、そして所在不明になった真珠の珠と鳴家の「おまけのこ」の5編。いちばん面白かったのは「おまけのこ」かな。周到に計画を立てても結局は無駄骨に終わる「ありんすこく」もなかなか。
 ワンパターンにならず、いつも楽しめるシリーズですね。

【薬種問屋】【寝たきり探偵】【妖怪】
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「黒騎士物語」 小林源文

2007-12-26 | 戦記・戦史・軍事
 四半世紀前に模型専門誌『ホビージャパン』で連載していたコミックの復刻愛蔵版。
 隻眼の戦車隊長バウアー大尉指揮する黒騎士中隊が、スターリングラード近郊からポツダムまでを転戦していく様を綴った戦記コミック。左綴じ雑誌に合わせた形式にアメコミ調の効果音がマッチしてなかなかカッコイイ。カッコイイというか、以後の戦記物でこの作品の影響を受けてない作品は少ないんじゃないかというエポックメイキング的な作品。松本零士の「戦場ロマン」とこの「黒騎士物語」は示準化石みたいなもんですね。
 以前、天下布武からシミュレーション・カードゲームが発売されたときのタイトルが、この作品中で罵り言葉として頻出する「バカモン!俺のケツでも舐めろ!」から採った『俺のケツをなめろ!』
 あまり上品でないタイトルなものですから、おかげで買いに行った店頭でタイトルを告げた途端「未成年には売れない」と店員に怒られたという話も聞きました。いったい何と間違われたのやら……。
 劇画風というか絵物語的な絵が取っつきにくかったけれど読めば面白い話なので、こうして再び手に取れるのは嬉しいですね。ゲームでミリタリー的な雰囲気をつかみたいときには必読です。

【黒騎士物語】【小林源文】【末期戦】【戦車猟兵】【東部戦線】【独ソ戦】
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「世界をだました男」 F・アバネイル/S・レディング

2007-12-25 | 伝記・ノンフィクション
 20世紀最大の詐欺師の自叙伝『世界をだました男』。正確には「世界中でだました男」。

 パンナムの副操縦士になりすますことを思いついたのがきっかけ。パイロットの特権を利用して世界各国・各都市をうろつき回り、行く先々で偽造小切手を乱発。ほとぼりを冷ます間にも、病院の専門研修医になりすましたり、大学講師になりすましたり……。
 でも、20世紀最大の詐欺師と言われるだけあって、単なる自称ではなく、本当に病院の部門管理者になっては7人のインターンと40人の看護婦を監督し、大学講師になりすましては社会学部の夏期講習を勤め上げ、各地で偽造小切手を使いまくって手に入れた金額だけで250万ドル以上。
 でも、彼が逮捕されたとき、実は大学に入学もしていない高校中退の21歳……
ってのが……あ~……う~ん……なんか美女に囲まれて優雅な生活だったらしいですよ。もうそれだけで「おまえ、いつ死んでも良いだろ?」という感想しか持てませんね。そうでしょ?
 まあ、逮捕された後のフランスの牢獄が前近代的で悲惨な状況だったそうだけど、あちこち引き渡しがあったり、逃亡したりと紆余曲折あった末に、母国アメリカで服役。出所後は詐欺対策のコンサルタントとして活躍……って……。

【パイロット】【詐欺師】【独房】
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「ドラル国戦史1~四方を統べる神」 デイヴィッド&リー・エディングス

2007-12-24 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 ドラルの世界を支配している神々に代替わりの時が近づいてきていた。覚醒しつつある新たな神に世界を譲り渡し、4人の兄弟姉妹神が眠りにつくときが来ていたのだ。
 しかしそれはまた世界の危機でもあった。この端境期を狙って、悪しき存在<ヴラーなるもの>の勢力が活性化しつつあったのだ。彼らは強力な毒を持ち、蛇とも虫ともつかない異形の勢力だ。
 それぞれの養い子である子供たちの夢見によって危機を察知した神々は、黄金の力で傭兵や海賊たちを駆りあつめ、邪悪な軍勢との戦いに送り込もうとするのだが……。


 2007年12月の時点で『四方を統べる神』と『蛇民の兵団』が刊行され、残り6冊の予定。まあ、この2冊がもともと原書の1巻なので、まとめてコメントしようっと。
 あいかわらず水準以上の面白さだけれど、個人的なランクだと、エディングスの作品では『マロリオン物語』>『タムール記』>『ベルガリアード物語』>『エレニア記』>『ドラル国戦史』の順番。なんというか、まあ、大河歴史ファンタジーなので、どうしてもキャラが活き活きしてくる後半・続編の方が面白いんですわ。だから、残り6冊でどれだけ急上昇するか楽しみではあります。
 この1・2巻の話の展開は、ドラル西部を司る女神ゼラーナとその養い子エレリアを中心にした神々、船鍛冶ウサギの視点を中心にしたマーグの海賊団、若き士官ケセロ視点中心にトログ帝国軍と、視点をくるくる変えながら進んでいくのだけれど、その結果、同じエピソードが何回も再話されることが多く、ちょっと飽きる。もう少しはしょってもいいのにな。
 ただ、ウサギやケセロに長弓といった登場人物たちも魅力的なので先行きが楽しみではあるけれど、一方で戦いを指揮する神々が、なんというかスティリクムの神々っぽく、のんきでまぬけで頼りないものだから下克上近し!って予感。
 そもそも世界の覇権を賭けた戦いに「サムライさ、傭うだ!」的な発想をしてしまう神さまってどうよ?(笑)

【ドリーマー】【黄金】【毒蛇】
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「ユメ視る猫とカノジョの行方」 周防ツカサ

2007-12-24 | 超能力・超人・サイボーグ
 別の世界から来た思念体のカノジョは、天谷智季の愛猫ミケと同化した。追っ手と戦うために人と同化するつもりがずれたらしい。そしてずれた何分の一かは智季の中にあるというのだけれど。

 自分の好みとしてはもう少しテンポの良い方が良いね。帯にラブストーリーといいつつ、そこまで達してないし、そのあたりは物足りないな。

【ユメ視る猫とカノジョの行方】【周防ツカサ】【猫】【思念体】【乗っ取り】【2人で1人】
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「金星のZ旗」 吉岡平

2007-12-23 | ミリタリーSF・未来戦記
「自分の知らないことを恥と思わない風潮って、本当にそれでいいと思ってる?」
 著者は金星シリーズは決してマイナーではないと考えている。

 偉大なる火星の英雄ジョン・カーターは死に際して火星世界へと移行した。
 ならば他の偉大なる戦士であっても、志半ばで倒れるようなことがあれば火星の大地で再び活躍することがあっても良いのではないか……。
 そんなコンセプトでバロウズの『火星のプリンセス』でお馴染みの、火星(バルスーム)の都に新撰組を再生させた『火星の土方歳三』の続編。今度は秋山参謀、ヘリウムに行く……って、どこまで行くんでしょうね……。
 大日本帝国海軍中将・秋山真之といえば一般的にはあまり知られていないかも知れないけれど、戦史・近代史に少しでも興味のある人なら誰でも聞き覚えのある知将。バルチック艦隊との日本海海戦などで活躍していますね。

 地球の情勢を把握するのも怠っていなかったヘリウムの土方歳三は、秋山中将が49歳で病死するや、その魂魄をはるばる火星まで招聘した。彼にヘリウムの空中艦隊を指揮させようというのだが、呼び寄せてみれば理論派の秋山と武闘派である土方は反りが合わず、このままでは危険だと秋山は金星行きを決意するのだが……。

 好み的には時の政権を少しちゃかし過ぎてるかな。笑って読み飛ばせば良いというレベルではあるけれども。

【金星のZ旗】【バローズ・リスペクト・シリーズ2】【吉岡平】【末弥純】【ソノラマ文庫】【火星シリーズ】【陸上戦艦】【地底世界ペルシダー】
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「マインドスター・ライジング」 ピーター・F.・ハミルトン

2007-12-22 | 超能力・超人・サイボーグ
 大きな戦争が終わり、社会主義政権が産業基盤をめちゃくちゃにしまくった後始末の時代。地球温暖化による海面上昇もあって、近未来の英国はかなりひどいことになっている。
 今は一介のフリーランサーとして何んでも屋まがいのことをしているグレッグ・マンデルも大戦中は実験的特殊部隊《マインドスター》の一員として活躍していた特殊能力者。そのマンデルをイギリスの新興大企業イヴェント・ホライズン社の創設者にして会長であるフィリップ・イヴァンズが招聘した。
 軌道上の工場で巧妙な破壊工作・横領がなされているらしいので調べて欲しいというのだ。彼をサポートするのは演算能力を完備された17歳のエリート少女であり、会長の孫娘ジュリア。しかし事件はどうやら単なる横領では収まりきらない陰謀の隠れ蓑だった……。


 超能力者やらオプション装着した美少女やら再起を画策する社会主義者やら乗っ取り屋やらハッカーが右往左往する、サイバーパンクでハードボイルドな近未来小説。

【軌道工場】【企業乗っ取り】【サイバーテロ】【ハードボイルド】
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「地球を肴に飲む男」 小泉武夫

2007-12-21 | 食・料理
 東京農大の教授が日本全国、世界各地を旅してはそこで愉しんだ料理や酒や人々との出会いを綴ったもの。なんか大学の講義風の「~であります」口調が印象的。
 中国の薬味酒、世界各地のチーズ、蛆虫、屁臭虫、カブトムシ、オムレツ、山羊汁、世界各地のカニ、漬け物、濁り酒、キャベツの浅漬け、カワハギの肝、フォアグラ、ネズミの燻製、大吟醸、ポートワイン、黒いマヨネーズ、豚汁、黄金のリンゴ……読むだけでお腹の虫が鳴るものから眉間にしわが寄るものまで、さまざまな酒や肴が登場し、それをその地の人たちとまた愉しそうに飲み食いしているのですね。

 そして、神出鬼没の「八溝の義っしゃん」なる謎の人物。これまた日本全国、世界各地でふらりと著者の前に現れて、また愉しく飲んで騒いでまた消えていく。ほんとうに、こんな自由な人間が存在していて良いものなんでしょうか?

 まったく羨ましい1冊です。

【地球を肴に飲む男】【小泉武夫】【霧のトイレ】
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「らいかデイズ オールカラー版」 むんこ

2007-12-20 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 これもコミック通常版で全部揃えているのに、わざわざ買ってしまう愚かさ。まあ、よりぬきだし、ミニイラスト集も付いているのでまったくの損ではないよね。

 『らいか・デイズ』は「まんがタイム」などに連載されている学園4コマまんが。主人公は小学6年生の天才少女らいか。天才といっても、すごい発明をするようなマッド系ではなく、試験は常に満点、スポーツもできるし、なにごともてきぱきと仕切れるスケジュール能力も完璧なタイプ。弱点は、料理がへたなことと色恋沙汰に疎いこと。ごく普通のほのぼの系といって言えなくもない。
 クラスメイトはもちろん、担任教師から保護者までみんなが頼り切ってしまう彼女も家に帰れば普通の少女。彼女が潰れてしまわないのは、彼女を特別扱いせず傍若無人に扱う男性教師やライバル視するクラスメイトがいるからだろうなと思ったり。

 周囲では同じ作者の『だって愛してる』の方が好きという者はいるけれど、自分はこっち。あっちはちょっと身につまされすぎ。

【小学6年生】【4コマ】
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