ラブコメディというジャンルはウィキさんによればシェイクスピアの時代からあるらしい。言われてみれば『夏の夜の夢』とか『じゃじゃ馬ならし』とか結婚をテーマにした喜劇なのでラブコメといえば言えなくも無いです。普通にラブコメというと、10代の少年少女が主役の、ライトタッチな青春コメディ(青春小説+コメディ)を連想するので、ちょっとピンとこないけど。
前にSNSで「90年代のライトノベルに学園ラブコメが本当に無いのか」という話題があったけれど、そもそも少年文化に「ラブコメ」の要素が希薄だったんですよ。少年マンガは友情努力勝利で、ラブの代わりにエロがあり、愛と掲げられると大河ロマンになって愛の代わりに死ねるかになる世界。
80年にあだち充が週刊少女コミックで『陽あたり良好!』をヒットさせ、そのまま横滑りで少年ビッグコミックに移籍して『みゆき』をヒットさせ、その勢いで翌年には週刊少年サンデーで『タッチ』を同時連載することで少年マンガに殴り込み、そのあたりからやっと少年誌でコンスタントにラブコメが読めるようになったんだよ。それまではスカートがひらひらしてパンチラで喜ぶようなギャグマンガ以外はろくになかった……というか、なんかあった?
1970年代の少年ジャンプの連載陣を見てみれば『アストロ球団』『ど根性ガエル』『マジンガーZ』『包丁人味平』『はだしのゲン』『東大一直線』『すすめ!!パイレーツ』『サーキットの狼』『コブラ』『リングにかけろ』と、ギャグ、スポーツ、アクションが柱。ラブコメっぽいものというと、転校生と番長グループの抗争を軸にした池沢さとしの『あらし!三匹』、かわいい女の子がモブで多数登場してスカートがひらひらしてパンティがちらちらする金井たつおのゴルフマンガ『ホールインワン』くらいだけれど、恋愛メインじゃないんですよね。
80年代になって『北斗の拳』『キャプテン翼』『銀牙』とか格闘・スポーツものが増える一方、『3年奇面組』『シェイプアップ乱』『Dr.スランプ』『キャッツ♥アイ』などメインキャラに女性が加わる作品が出てくる中、『ストップ!! ひばりくん!』がかろうじてスラップスティック寄りのラブコメといえなくもないあたり。『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』が登場する後半になると『きまぐれオレンジ☆ロード』がかろうじてラブコメといえるかな。『電影少女』はラブだけどコメじゃない。
これが少年マガジンになると70年代は『愛と誠』『釣りキチ三平』『三つ目がとおる』『うしろの百太郎』『デビルマン』『野球狂の詩』と愛とバイオレンスとオカルトとスポーツの組み合わせであんまりラブとかコメディの組み合わせにはいかなかったのが、80年代に柳沢きみおの『翔んだカップル』がヒットして「もしかしてラブコメって少年マンガでもいけるんじゃない?」となり、『The♥かぼちゃワイン』とかが登場します。『コータローまかりとおる!』あたりも恋愛要素がちょっとだけ強めです。月刊の方ではエッチなコメディ『Oh!透明人間』『パラダイス学園』とかがヒットしてますが、これらはラブコメというより「エッチなギャグ」ですね。
70年代はテレビ特撮SF系を志向したり、対象年齢を高くしたり低くしたりと迷走していた少年サンデー。『男どアホウ甲子園』『銭ゲバ』『ダメおやじ』『漂流教室』から『おれは直角』『男組』、石川賢の『ゲッターロボ』と絵面の印象がかなり暗いです。熱血×バイオレンスがメインで、警察ものの『おやこ刑事』が一服の清涼剤。これが変わったのが、1978年の高橋留美子の『うる星やつら』と81年のあだち充の『タッチ』のヒットで「ラブコメもいけるよね!」となり、原秀則『さよなら三角』が登場。月刊の週刊少年サンデー増刊号ではみず谷なおきが『人類ネコ科』でラブコメを支えてました。
ただ、少年マンガがこうなら少女マンガはどうなんだというと、今の感覚でラブコメと呼べるものがそんなに多くなかったような気もします。ラブストーリーはある、ロマンチックコメディはある、青春ストーリーもあるけれど、長期連載でラブコメ的なものってあったかな?……と連載作品のリストをあされば、庄司陽子の『生徒諸君!』はそれっぽく始まったけど、性の問題を問いかけたりメインキャラが死んだりと重い青春ものに舵を切ってしまうし、大和和紀の『はいからさんが通る』はシベリア出兵からの関東大震災だし、読み切り短編なら笈川かおるの『ハートチェックをさあどうぞ』とかいろいろあるけれど、長編だとすぐにドラマ重視になってしまう気がするのだけれど、このあたりご教授願いたい。長編でそれっぽいものだと『ときめきトゥナイト』を待たねばならないのかもしれません。
これもそもそもの定義論ってことになるかもしれないけれど、まずロマコメとラブコメを切り分けるのか一緒くたに考えて良いのかって話で、たとえば川原由実子の『KNOCK!』あたりはどこに含まれるの?ってあたりがはっきりしないと先に進めなくないですか?
まあ、シェイクスピアのアレがラブコメなら、恋愛要素の入ったコメディはみんなラブコメなんで話は早いですけどね。
ライトノベルにくくられる少女小説でもコバルト文庫あたりの初期作品を読んでいると、恋愛をテーマにした青春小説はあるし、コメディもあるけれど、男女間の恋愛×コメディってほとんどない気がします。
映画化もされた氷室冴子の『恋する女たち』(1981)も、ウィキ定義ならラブコメだけれど、映画のキャッチフレーズだと「女子高生3人娘の恋愛模様を、ユーモラスでセンチメンタルに描いた青春ドラマ」ということで青春ドラマが先に来るんです。
とりあえず結論は出ない。そういうことを論じた本を見つけたら読む。
前にSNSで「90年代のライトノベルに学園ラブコメが本当に無いのか」という話題があったけれど、そもそも少年文化に「ラブコメ」の要素が希薄だったんですよ。少年マンガは友情努力勝利で、ラブの代わりにエロがあり、愛と掲げられると大河ロマンになって愛の代わりに死ねるかになる世界。
80年にあだち充が週刊少女コミックで『陽あたり良好!』をヒットさせ、そのまま横滑りで少年ビッグコミックに移籍して『みゆき』をヒットさせ、その勢いで翌年には週刊少年サンデーで『タッチ』を同時連載することで少年マンガに殴り込み、そのあたりからやっと少年誌でコンスタントにラブコメが読めるようになったんだよ。それまではスカートがひらひらしてパンチラで喜ぶようなギャグマンガ以外はろくになかった……というか、なんかあった?
1970年代の少年ジャンプの連載陣を見てみれば『アストロ球団』『ど根性ガエル』『マジンガーZ』『包丁人味平』『はだしのゲン』『東大一直線』『すすめ!!パイレーツ』『サーキットの狼』『コブラ』『リングにかけろ』と、ギャグ、スポーツ、アクションが柱。ラブコメっぽいものというと、転校生と番長グループの抗争を軸にした池沢さとしの『あらし!三匹』、かわいい女の子がモブで多数登場してスカートがひらひらしてパンティがちらちらする金井たつおのゴルフマンガ『ホールインワン』くらいだけれど、恋愛メインじゃないんですよね。
80年代になって『北斗の拳』『キャプテン翼』『銀牙』とか格闘・スポーツものが増える一方、『3年奇面組』『シェイプアップ乱』『Dr.スランプ』『キャッツ♥アイ』などメインキャラに女性が加わる作品が出てくる中、『ストップ!! ひばりくん!』がかろうじてスラップスティック寄りのラブコメといえなくもないあたり。『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』が登場する後半になると『きまぐれオレンジ☆ロード』がかろうじてラブコメといえるかな。『電影少女』はラブだけどコメじゃない。
これが少年マガジンになると70年代は『愛と誠』『釣りキチ三平』『三つ目がとおる』『うしろの百太郎』『デビルマン』『野球狂の詩』と愛とバイオレンスとオカルトとスポーツの組み合わせであんまりラブとかコメディの組み合わせにはいかなかったのが、80年代に柳沢きみおの『翔んだカップル』がヒットして「もしかしてラブコメって少年マンガでもいけるんじゃない?」となり、『The♥かぼちゃワイン』とかが登場します。『コータローまかりとおる!』あたりも恋愛要素がちょっとだけ強めです。月刊の方ではエッチなコメディ『Oh!透明人間』『パラダイス学園』とかがヒットしてますが、これらはラブコメというより「エッチなギャグ」ですね。
70年代はテレビ特撮SF系を志向したり、対象年齢を高くしたり低くしたりと迷走していた少年サンデー。『男どアホウ甲子園』『銭ゲバ』『ダメおやじ』『漂流教室』から『おれは直角』『男組』、石川賢の『ゲッターロボ』と絵面の印象がかなり暗いです。熱血×バイオレンスがメインで、警察ものの『おやこ刑事』が一服の清涼剤。これが変わったのが、1978年の高橋留美子の『うる星やつら』と81年のあだち充の『タッチ』のヒットで「ラブコメもいけるよね!」となり、原秀則『さよなら三角』が登場。月刊の週刊少年サンデー増刊号ではみず谷なおきが『人類ネコ科』でラブコメを支えてました。
ただ、少年マンガがこうなら少女マンガはどうなんだというと、今の感覚でラブコメと呼べるものがそんなに多くなかったような気もします。ラブストーリーはある、ロマンチックコメディはある、青春ストーリーもあるけれど、長期連載でラブコメ的なものってあったかな?……と連載作品のリストをあされば、庄司陽子の『生徒諸君!』はそれっぽく始まったけど、性の問題を問いかけたりメインキャラが死んだりと重い青春ものに舵を切ってしまうし、大和和紀の『はいからさんが通る』はシベリア出兵からの関東大震災だし、読み切り短編なら笈川かおるの『ハートチェックをさあどうぞ』とかいろいろあるけれど、長編だとすぐにドラマ重視になってしまう気がするのだけれど、このあたりご教授願いたい。長編でそれっぽいものだと『ときめきトゥナイト』を待たねばならないのかもしれません。
これもそもそもの定義論ってことになるかもしれないけれど、まずロマコメとラブコメを切り分けるのか一緒くたに考えて良いのかって話で、たとえば川原由実子の『KNOCK!』あたりはどこに含まれるの?ってあたりがはっきりしないと先に進めなくないですか?
まあ、シェイクスピアのアレがラブコメなら、恋愛要素の入ったコメディはみんなラブコメなんで話は早いですけどね。
ライトノベルにくくられる少女小説でもコバルト文庫あたりの初期作品を読んでいると、恋愛をテーマにした青春小説はあるし、コメディもあるけれど、男女間の恋愛×コメディってほとんどない気がします。
映画化もされた氷室冴子の『恋する女たち』(1981)も、ウィキ定義ならラブコメだけれど、映画のキャッチフレーズだと「女子高生3人娘の恋愛模様を、ユーモラスでセンチメンタルに描いた青春ドラマ」ということで青春ドラマが先に来るんです。
とりあえず結論は出ない。そういうことを論じた本を見つけたら読む。