付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

私的年間ベスト2017

2017-12-31 | ランキング・カテゴリー
 この1年、体調は悪いし、気分は滅入るし、そんなときは新しい本を読む気も起きなくて、あらすじも結末もわかりきった本を何度もパラパラ読み飛ばしながらゴロ寝。なので、積ん読の山が大きくなるばかり。
 ただ、けっこう「小説家になろう」の作品は読んでます。布団にくるまっていても、読めるのが良いね。新刊出たら購入前に内容は最新話までチェックするのが鉄則。こういう話って、導入部は面白くても勢いが続かないとか、展開が好みに合わなくなるのも多いので。それからジャンルごとの期間ランキングはひととおりチェック……だから、山が低くならないのかなあ。
 とりあえず、今年読んで面白かった本。

『ドラゴンは寂しいと死んじゃいます』 藤原ゴンザレス
 たった1人で戦局をひっくり返すことのできる傭兵アッシュは、身長2メートルを超える巨漢で、顔は殺人鬼のように怖い。でも、本当は畑仕事とお菓子作りの生活に憧れている、多感な17歳なのだ。そんなアッシュが傭兵を引退し、手に入れた幽霊屋敷で助けたのは、小さなドラゴンだった……。
 巨漢と小さなドラゴンの田舎暮らしのはずが、本人たちは何も変わらないのに周囲が右往左往して国が滅びかねない大惨事が連発して自業自得に陥るスローライフ・ファンタジー。

『黒の召喚士』 迷井豆腐
 転生者ケルヴィンは戦闘狂である。敵は強ければ強いほど嬉しいし、強い者は味方であるより敵であって欲しいという男だ。だから、転生した当初は完全に後衛向きのスキルだったのに、いつしか最前線で殺し合う冒険者になっていた。召喚士が接近戦に弱いと誰が決めたと……。
 清々しくも知性派脳筋な主人公による異世界冒険譚。どいつもこいつも頭は良いのに、最後は脳筋で残念なことになるあたりがツボ。

『スーパーカブ』 トネ・コーケン
 おとなしい女子高生が免許を取ってスーパーカブを手に入れ、自分でパーツつけたり整備とかしながら、学校に通ったりバイトしたりツーリングするだけの青春小説。バイク小説につきものの「知り合いが事故死」もない。これをスニーカー文庫で出したのがすごいと思う。絶対、一般文芸だよ。
 それでも2巻が出ました。よかった。

『BLACK TO THE FUTURE』 左高例
 犯罪者が跋扈するアメリカの大都市ゴッタマシティの黒人警官はギャングに襲撃されて死に、なぜか奈良時代の日本で転生した。その名は、坂ノ上田村麻呂……。
 異世界転生ものは多いけれど、ひねりすぎてしまった怪作。転生してもアメリカ人なので日本の歴史なんか知らないし、コーンフレークくらいしか料理をしないので内政チートもできないという、なんにもメリットのない転生チートもの。でも、球技は強くて修羅場慣れはしてるのな。

『陶都物語』 
 斜陽の多治見の陶磁器業者の社長が過労死して、幕末に転生。今からスタートを切れば、多治見の陶器は天下を取れると考えるのだが、彼はいまだ幼子で、しかも貧農の末っ子。なんの力もないのだった……というところから始まる、陶磁器好きの下克上。
 山あり谷ありのかっぱぎ人生も、尾張藩主からかっ剥ぎ、大老からかっ剥ぎ、ロシア人からかっ剥ぎ、今はアメリカ人からどれだけかっ剥げるか!?というところまでウェブ連載は来てます。続きが楽しみ!

『オッサン(36)がアイドルになる話』
 真面目で人柄は良いのに、太っていたため苛められ続けた少年時代。頑張って大学を卒業して就職しても業績不振を口実にクビを切られて無職に。成果を出しても評価されない社会人生活についに折れ、弥勒は自室に引きこもってしまう。それからおよそ10年で、ミロクも36歳。動画サイトに影響されてダンスを始め、スポーツジムに通っているうちに体重は減り、そのカラオケ動画がネットに流れてしまい……。
 36歳のオッサンが、なぜかアイドルになってしまう人生やり直し芸能小説。転生しなくても人間って変われるんだー。でも、やはり性格の良さと努力は大事だよね。そこがスタートなのだ。

『魔王様、リトライ!』 神埼黒音
 自分で運営していたオンラインゲームのボスキャラに転生してしまったものの、その世界は現実世界でもゲームの世界でもなかった。しかし、なぜかゲームのアイテムは使用することができて……というところから始まる、勘違い系悪役無双ストーリー。
 魔王あるいは堕天使と呼ばれるようになった主人公が、適当に話を合わせて会話しているだけで相手は勝手に深謀遠慮だと勘違いし、また実際にそれを成し遂げる力があるものだから、話はなりゆき任せに転がって、勇者や魔人、はたまた周辺諸国を巻き込む大騒ぎになっていく。

『その無限の先へ』 二ツ樹五輪
 その世界には転生者が普通に存在していた。とはいえ、現代日本からの転生者はそんなに多くはなかったのだが、ツナは迷宮都市へ向かう車中で日本人から転生したというユキという少年と出会う。彼らが向かう迷宮都市は、外部にはその実態がほとんど知られていないが、どうやら日本人が創り上げた都市らしい……。
 死んでも復活できる不思議な迷宮で、1度も死なないまま攻略を続ける少年とその仲間たちの迷宮探索ストーリー。この話も3巻でドM紳士の武闘家サージェスが仲間に加わってから加速しはじめ、次第にパンダが増殖しはじめ、いつの間にか主人公のパーティーがキワモノ冒険者の溜まり場と化していくあたりが面白いわけですが、いよいよこれからという5巻で刊行が足踏みしてます。続きが待ち遠しいシリーズです。

『神達に拾われた男』 Roy
 世界間の魔力のやりとりに使われるため転生することになったリョウマだが、その人柄が異世界の神々に愛されて人一倍の加護を得てしまう。だが、もともと人づきあいが得意ではなかったリョウマは、これ幸いと森の奥深くに引きこもり、スライムの研究や武術の鍛錬に明け暮れて、なかなか人間社会と接触しないまま数年が経過していくのだが……。
 雑魚キャラ扱いされていたスライムのテイマーとして頭角を現していく主人公の冒険譚。あるいはクリーニング&ハウスクリーニング・ストーリー。

『雷帝のメイド』 なこはる
 貧乏貴族の若様が屋敷のメイドとして連れてきた少女ナナキは、かつては帝国最強の戦士である五帝の1人であり、単身で神をも屠る雷帝であり、今は予言によって帝国の敵とされた逃亡者でもある。メイドに転職したナナキはマスターメイドをめざし、掃除洗濯に奔走しながら(厨房には立ち入り禁止)、行く手を遮る障害物を抹殺していく。己の誇りのために。
 最強最悪の戦士がメイドとしても有能なポンコツぶりを発揮するアクションコメディなファンタジー。

 今年いちばんの良いニュースは『陶都物語』が書籍化したこと。
 今年いちばんの悪いニュースは『陶都物語』が1巻で打ち切りになってしまったこと。
 こういうの多いよね。『嫌われ者始めました』とか『異世界詐欺師のなんちゃって経営術』とか、あれやこれや。連載が続いているのに新刊が長く出ていないと、これもそうかなと不安になります。
 作者が自作が書籍化したことに満足したり本業が忙しくなって書けなくなったというならいざ知らず、そうでなければ、これって出版社の無能を示しているだけかと思います。
 たとえば「小説家になろう」っていうのは長短合わせて約50万作品がひしめくところで、そこで期間限定だろうがランキング上位を取った、何百万プレビュー獲得したというのは、週刊雑誌のアンケートで4週連続トップを取ったくらいの快挙です。小説の新人賞と比較したって、下読みから選者・編集者まで合わせたところで、その何千倍かのウェブの読者の評価を得て出てきた作品です。
 それだけの中から抜き出てきた作品をひょいひょいとつまんで書籍化して、売れなかったから打ち切りねー!(^_^)なんてのは、編集者の無能で、営業や宣伝の無為無策の結果でしかありません。自社レーベルの読者層と合わない作品を引っ張ってしまった、読みたい読者の手に届くように宣伝できていなかった、買おうと思った読者が買いに行った書店の店頭に配本できなかった……それだけです。
 まあ、商売ですから、売れなければ切るのは当然かもしれませんが、売りようによっては売れたはずの作品をドブに捨ててしまったということで、自分たちの恥をさらしているということでもあると気づいて欲しいですね。
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「幼女戦記07」 東條チカ

2017-12-31 | 架空戦記・仮想戦史
『規律なき自由は単なる破壊であり、自由なき規律は圧政となる。そのアンビバレンツを解消する道具が「ルール」に他ならないのだ』

 危険な任務を嫌って冬季進軍を阻止しようとしていたターニャだが、なぜだか冬季進軍が決まっていて、彼女とその部隊は敵陣後方へと空挺降下することになっていた……。

 ものすごいペースで進むコミック版。もう書籍版を追いこして、ウェブ版のエピローグまでぶっ飛ばしてくれても良いと思います。

【幼女戦記07】【東條チカ】【カルロ・ゼン】【篠月しのぶ 】【角川コミックス・エース】【仁川上陸作戦】
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「警部マクロード(30)~市警本部大攻防戦」 主演:デニス・ウィーヴァー

2017-12-30 | ミステリー・推理小説
 ニューメキシコ州タオスからニューヨーク市警へ研修に派遣された保安官補サム・マクロードは、大都会においてもカウボーイハットとシープスキンのジャケット姿で西部の流儀は崩さない。
 しかし、今夜の市警本部は監査の役人がやってきて来るし、男の全身にペンキを塗りまくった女権論者がわめき立ててと大騒ぎだった。ところがそんな騒ぎをさらに煽るかのように、この市警本部に密かに保護されていた重要事件の証人を狙って重武装の殺し屋たちが突入しようとしていた……。

 『警部マクロード』は『刑事コロンボ』など3作品と合わせてアメリカでは「NBCミステリー・ムービー」として週替わりで放映されており、日本ではNHKで宍戸錠による吹き替えで放映されていました。
 ニューメキシコのド田舎から大都会ニューヨークの市警本部に出向してきた型破りな保安官が、都会の洗練された捜査方法なんかお構いなしのニューメキシコ流で犯罪に挑むという話で、現代アメリカが舞台なのに列車強盗や牛泥棒が暴れ回ったり、騎馬警官隊が活躍したり、大型トラックがコンボイを組んで暴走したりとやりたい放題。その中でも、この「市警本部大攻防戦」を含む市警本部三部作が、警察本部をアラモ砦に見立てた暴走回として有名。
 なろう系小説に多い、科学技術が遅れた異世界で内政チートで活躍する系の話の逆パターン、洗練された大都会に昔ながらの腕っ節とガンアクションで押し通すのが当たり前の田舎から来た男が大暴れして、既存の秩序をぶち壊していくのです。あくまで流儀が違うだけでローフル・グッドの陣営なので成立するアクションドラマで、そうでないとタダの怪獣映画かピカレスクですね。

【警部マクロード(30)】【市警本部大攻防戦】【NBC】【ブロードウエイ】【デニス・ウィーヴァー】【J・D・キャノン】【ダイアナ・マルドー】【ケン・リンチ】【宍戸錠】【マンハッタン無宿】
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「異世界魔法は遅れてる!(8)」 樋辻臥命

2017-12-29 | 異世界転移・召喚
 ネルフェリア帝国へ侵攻する魔族軍を退けた水明は、ついに親友の遮那黎二に現代魔術師であることを打ち明けた。もはや隠し通すことはできないし、その必要もなくなっていた。
 黎二と一旦別れた水明は、アステル王国で消息を絶った勇者エリオットの救出に向かうのだが……。

 勇者でも何でもないのだけれど、巻き込まれで異世界召喚された高校生は現代日本の魔術師で、召喚された勇者たちより最初からよほど強かった……という異世界ファンタジー。今回ついに友人たちに正体を明かします。いやあ、現代の地球にも魔法はあって、一般人の知らないところで魔法の戦いが繰り広げられていて、この世界ではスゴイ魔法使いみたいに言われてるけど、地球じゃまだヒヨッコなんだよ……という感じ。

【異世界魔法は遅れてる!(8)】【樋辻臥命】【猫鍋蒼】【オーバーラップ文庫】【現代魔術と異世界魔法が交錯する異世界ファンタジー】【水着】【プール】
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「約束の国IV」 カルロ・ゼン

2017-12-28 | 過去転移・人生やり直し
「ジン、若者に未来を見せられない国家は滅びる」
 だから、中高年世代と若者のどちらを優先すべきかは明白なのだ。

 最小限度の犠牲として戦友を切り捨てることでヒルトリア共産党を手中に収めたダーヴィドとトルバカイン議長。これで時間を稼いだ2人は、20年先30年先のソフトランディングを目指して、穏健な野党勢力を育てながら機構改革を進め、西側との関係改善を進めながら、危機的状況に陥っていた祖国ヒルトリアを救うべく動き出す。
 しかし、権力を掌握することで明らかになった国家の真の状況は想定以上に深刻な事態に陥っていた……。

 砂場の棒倒しみたいなもので、真ん中の「約束の国」という高い理想が、足元の砂を思い思いに削り取っていく諸勢力のために今にも倒れそうになっているのです。このまま歴史通りに進めば、実の家族を撃ち殺す内戦に突入し、そして国家が分裂したまま経済危機に陥るルートに。
 果たして内戦の悲劇は再現され、家族も友情も霧散した果てに理想は失われてしまうのか。緊迫の最終巻。

【約束の国4】【カルロ・ゼン】【巖本英利】【星海社FICTIONS】【共産主義英雄譚】【人生やり直し】【穏健な野党】【党に不可能はない】【新婚旅行】【ノーメンクラトゥーラ】【コカコーラ】
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「救わなきゃダメですか?異世界5」 青山有

2017-12-27 | VRMMO・ゲーム世界
「俺は相変わらず弱いようだ。優しいというのは勘違いだ。もし優しいと映るなら、それは俺の弱さからの行動だ」
 ミチナガは白アリにそう告げる。

 ミチナガが指揮する部隊〈チェックメイト〉は、巧みな戦術、圧倒的な火力、神出鬼没の機動力で連戦連勝。その戦果によって軍内でのフリーハンドを広げ、上層部とのパイプも強化していく。
 しかし、戦争での戦果と迷宮攻略を両立させようとする彼らの作戦は、ついに女神の堪忍袋の緒を切ってしまう。いくらなんでもそりゃなかろうと……。

 やっていることはむしろ悪役みたいな主人公たちの冒険譚。あいかわらずやることはえげつないですが、戦争では敵も味方もえげつないので相殺された感じです。
 ともあれ、なんだかんだと何人かの女性の気を惹きながらも本命は女神様ですか?

【救わなきゃダメですか?異世界5】【青山有】【ニリツ】【ぽにきゃんBOOKS】【なろうコン大賞】【異世界ファンタジーバトル】【落とし穴】【責任】【迷宮攻略】【鉄条網】
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「オベロンの手」 ロジャー・ゼラズニイ

2017-12-26 | 時間SF・次元・平行宇宙
「再びやり直すよりも、損傷を修理する方がはるかに、この上もなく、困難だということを知っているだろうに」
 この物語の根源は、どうしようもなくなったものを捨てて0からやり直すのか、それとも手間はかかっても修復修正すべきなのかという対立から始まったのだ。

 コーウィンとランダムはユニコーンに導かれ、“大パターン”へと到達する。真の世界を複製する基となる大パターン。だが、ガネロンはそこでアンバーもまた「影」の1つに過ぎないことを看破した。最も最初に生み出された「影」。それに関わったのは始祖オベロンと狂える魔術師ドワーキン……。

 ファンタジーとSFの境界をあざ笑うがごとく行き来する幻想譚。世界を複製する大パターンとそれを変色させる王家の血を巡る謎が提示され、真世界の謎が暴かれていく4巻。
 誰が生きていて、誰が死んでいるのか、これはファンタジーで、SFで、ミステリーで、家族の愛憎劇となんですね。

【オベロンの手】【真世界シリーズ4】【コーウィン5部作】【真世界アンバーシリーズ】【ロジャー・ゼラズニイ】【ハヤカワ文庫SF】【グリフィン】【トランプ】【ティルナノーグ】
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「トップをねらえ!超百科」 コンプティーク

2017-12-25 | 巨大ロボット
 銀河中心殴り込み艦隊の成否を待たず、地球を脱出してシリウス星域に移住を始めた人々は、地球外文明が残した超先史時代の遺跡を発見。精神をエネルギー化する「理力」と呼ばれる力の理論化・兵器化に成功した移民者たちはシリウス同盟を結成。地球政府に対して独立を宣言した。
 地球政府はシリウスの独立を認めず戦端が開かれるが、カルネアデス計画によって人的にも物的にも資源が枯渇していた地球と、今なお発展途上のシリウス同盟では、互いに全面戦争に突入するほどの余力はなかった……。

 雑誌コンプティークの別冊付録の小冊子。OVA『トップをねらえ!』と『トップをねらえ2!』の間にマルチメディア展開で『トップをねらえ!NeXT GENERATION』という企画を展開していた時期がありました。そこで矢野健太郎、そうま竜也、西田司らによるコミック、苑崎透の小説などが発表されていましたが、それに加えてパソコンゲーム雑誌『コンプティーク』において読者参加ゲーム(リーダーズチャレンジ)も、「ロボクラッシュ!」と隔月で開催されていました。ゲームデザインはクロちゃんこと黒田幸弘。
 この別冊は『トップをねらえ! NeXT GENERATION』の設定資料集であり、読者参加ゲームのマニュアルであり、巻末に銀河中心殴り込み艦隊が地球に帰還するまでを描いたそうま竜也版コミックが収録されています。今、読めば、この中途半端にロストテクノロジー化してしまったカルネアデス計画の残滓と、超科学というより魔法に近いシリウス文明が混ざった果てが『トップをねらえ2!』なんだなあと感慨深く思えます。
 この『NeXT GENERATION』の存在を知らないと、1から2への変化って、ちょっと唐突ですよね。

【トップをねらえ!NeXT GENERATION超百科】【コンプティーク10月号付録】【ガイナックス】【角川書店】【そうま竜也】【美樹本晴彦】【黒田幸弘】【A.C.M.E.】【貞本義行】【吉田ひでとし】【M&Fプロダクション】
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「天才外科医が異世界で闇医者を始めました。5」 柊むぅ

2017-12-24 | 異世界転生
 世界の大半の治療師ギルドにエクリクスに睨まれた芦屋薫は冤罪で指名手配されてしまうが、意に介することもなくトルキアへと向かい、その闘技場で開催されているトーナメントに夫婦そろって参加してしまう……。

 薫をインチキ治療で法外な料金をふっかける詐欺師みたいな噂を流すエクリクスですが、その噂が意外にもあっさり吹き飛ばされてしまうので、ストーリー的には敵の大ボス的な立ち位置のはずなのに、やけに小物っぽく見えてなりません。
 病が癒えたアリシアが武闘大会で無双っぷりを発揮したり、鬼人族の少女フーリが仲間に加わったりと、なかなかにぎやかです。

【天才外科医が異世界で闇医者を始めました。5】【柊むぅ】【ゆらん】【モンスター文庫】【異世界医療ファンタジー】【小説家になろう】【奴隷商人】【温泉旅館】【浴衣】【闘技会】
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「誰にでもできる 影から助ける魔王討伐3」 槻影

2017-12-23 | 異世界転移・召喚
「人と違って、金はあればあるだけいい」
 優しいアレス・クラウンはすべて割り切った。

 アレスは自分が失敗したことを自覚した。
 部下のアメリアに相談することなく本部に求めた増援のステファン・ベロニドは、確かに能力は高い。レベルは勇者の倍以上だし、上位の神聖術も使えて、全属性の精霊と契約済みで、容姿端麗で胸は大きいし性格は明るい。でも、へっぽこ。致命的なレベルのドジっ子なのに自覚がない。しかも有力な枢機卿の娘なのだ。へたに放り出すこともできない。
 深く考えるな、いざとなったら力尽く。どうしようもなくなったら埋める……アレスは覚悟を決めた……。

 魔王の深遠な計画の一端が、ついに解き明かされる……な3巻。

【誰にでもできる 影から助ける魔王討伐3】【槻影】【bob】【エンターブレイン】【カクヨム】【ゴーレム】【紐なしバンジー】【初めてのお使い】
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「図解ミリタリーアイテム」 大波篤司

2017-12-22 | 戦記・戦史・軍事
 ガスマスク装着のコツから弾薬の保管方法、果ては携帯コンロの使い方まで、軍服から水筒、ホルスターまで軍装品あれこれをその発展史から使い方まで網羅したマニアになるための入門書。ケッテンクラートに1項目費やしているような本です。
 枕元において、ぱらぱらと読んで面白い感じ。

【図解ミリタリーアイテム】【F-FILES No.25】【大波篤司】【新紀元社】
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「われら顔を選ぶとき」 ロジャー・ゼラズニイ

2017-12-21 | 超能力・超人・サイボーグ
 1970年代に殺されたマフィアの殺し屋〈天使のアンジー〉ことアンジェロ・ディ・ネグリは、事前に手配していた冷凍保存によって未来世界で復活を遂げた。人類が宇宙進出し、超光速宇宙船やテレポーテーション技術があたりまえとなった時代。しかし、そんな時代になっても非合法な紛争解決手段としての暴力は必要とされていたのだ。
 彼はやがて自分自身のクローンによるファミリーを築き、やがて彼らは表社会に出ることなく、人知れず社会を動かす存在になっていた。だが、そんなファミリーを狙う者が現れた。
 次々に暗殺されるファミリーの構成員、つまりアンジェロのクローンたち。けれど、殺された男の記憶と人格は別のファミリーへと引き継がれ、その記憶もまた引き継がれていく。
 誰も存在を知らないはずのファミリーを殺していくのは誰なのか……。

 マフィアあがりの殺し屋が作った組織が世界を裏から支配し、守護しているという、ハインラインのハワード・ファミリー(長命種)みたいなものですが、こちらはもっと記憶を引き継ぐクローンの一族で、マフィア寄り。
 主人公がころころ死んで、そのたびに語り手が代わり、記憶と人格は引き継がれているとはいうもののそれぞれに少しずつ個性があるあたりがポイント。でも、表紙イラストから想像したような白兵戦闘はないわけじゃないけど、ちょっと期待したのとは違うかなーという感じでした。

【われら顔を選ぶとき】【ロジャー・ゼラズニイ】【ハヤカワ文庫SF】【マフィア】【ファミリー】【クローン】【精神共鳴】【不死の存在】
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「最強呪族転生 ~チート魔術師のスローライフ4」 猫子

2017-12-20 | 異世界転生
 婚約者である妹から逃れるべく、アベルは辺境ファージ領へと向かう。
 ファージは領主の評判が悪く、しかもその街道を不死身の三つ首のドラゴン、ナルガルンが封鎖していて完全に孤立していた。まさに逃げ込むのに最適の地であった。
 そのナルガルンだが……
「……あ、割とどうにかなりそう」

 不死身のAランク魔獣も悪魔も入念に張り巡らされた罠も、結局すべて正面から粉砕していく、マッドサイエンティストな魔術師の暴走譚。今回も領地開発チート話のはずなのに、終始力押しです。

【最強呪族転生-チート魔術師のスローライフ4】【ファージ領の改革】【猫子】【Mika Pikazo】【アース・スターノベル】【魔術が好きすぎる少年の転生ファンタジーコメディ】【天候操作】【魔獣退治】【品種改良】
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「アイ・オブ・キャット」 ロジャー・ゼラズニイ

2017-12-19 | その他SF(スコシフシギとかも)
 直訳したら「猫目」。

 引退した宇宙狩人のビリー。恒星間を飛び回り、数多の異星生命体を捕獲してきた名人だったが、その彼が国連に召喚されてしまう。異星文明との通商条約締結を目前に、相手星の過激派が送り込んできた暗殺者を阻止せよというのだ。
 彼は相棒として、かつて捕獲した変身獣キャットの助力を求めることにした。キャットは最強の生命体であるが、ビリーを殺したいほど憎んでいた……。

 『惑星間の狩人』とか『明日の狩りの詞の』とか『ベムハンター・ソード』みたいな、宇宙生物ハンターの冒険譚。
 地球人類が今までまともに戦ったことのない宇宙人が相手ということで、軍隊とか傭兵ではなくハンターに白羽の矢が立ちます。相棒は主人公の命を狙うキャットのみ……というハードボイルドな活劇です。

「子孫よ、われらは虹の上に立つのだ」

……というか、このあたりのゼラズニイは1回や2回読んでも、話の構成がどうなっているか分かりにくいのです。

【アイ・オブ・キャット】【ロジャー・ゼラズニイ】【創元推理文庫】【変身獣】【ブラックホール、オークションにかけられる】
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「混線次元大騒動」 キース・ローマー

2017-12-18 | 時間SF・次元・平行宇宙
 異世界アルテシアに飛ばされた青年ラファイエット・オリアリイは、妻ダフネと共に王家の一員として悠々自適の生活を送っていたが、庭園を散歩しているうちにいつしか別の世界へ迷い込んでいた。
 アルテシア王国とよく似ていて、見知った顔の人物ともすれ違うけれど、すべて赤の他人。これまた別の異世界メランジだった……。

 難しいことを考えず、センス・オブ・ワンダーな冒険譚がサクサク読めるキース・ローマーの作品。
 シリーズ1作目『多元宇宙の王子』が書架に見当たらないのだけれど、ともかく現実の世界と良く似ていながらも細部が異なる平行世界が幾つも存在している多元宇宙を舞台にした冒険譚。前作が1966年、これが1970年の作品ながら、平凡な青年がひょんなことから異世界に放り込まれ、とんとん拍子に出世してヒロインを手に入れるという昨今のなろう系小説でもお馴染みの展開。王道パターンです。
 平行世界の警察ともいうべき「セントラル」という組織はあるけれど、電話して繋がるというあたりがいかにもドタバタ劇。

【混線次元大騒動】【混線次元シリーズ2】【キース・ローマー】【石原春彦】【ハヤカワ文庫】【ユーモアSF】【時空連続体(コンティニュア)】【肉体説得専門職】【空飛ぶ絨毯】
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