付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ゴールデンタイム6 この世のほかの思い出に」 竹宮ゆゆこ

2013-05-31 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「記憶と想像の垣根が低いだけ」
 過去をねつ造なんかしていないと、記憶喪失の多田万里。

 8月が終わっても大学生の夏休みは終わらない。
 けれど、海水浴の帰りに居眠り運転で事故を起こして以来、万里と香子の関係はギクシャクしていて……というか、香子が一方的に落ち込んで引きこもってしまい……。

 なぜかオネー言葉になってしまった香子の父が印象的な夏の終わり篇。そのあたりだけ、ちょっとコメディっぽいかな。「青春ラブコメ」で売っているけれど、そもそも大学生というのは「見かけは大人、中身は子供」で、それをそのまま描いた青春小説であって、コメディかどうかは微妙。
 本当に毎回、上げて落としてまた上げて落としてで、ストーリーに波を作るのが巧く、今回もここで続くのかよ!の幕引き。 

【ゴールデンタイム6】【この世のほかの思い出に】【竹宮ゆゆこ】【駒都えーじ】【電撃文庫】【青春ラブコメ】【花火大会】【クラス会】【マルちゃん正麺】【ドッジボール】
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「絶対城先輩の妖怪学講座」 峰守ひろかず

2013-05-30 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 田舎から出てきて愉しいキャンバスライフを楽しもうと思っていた湯ノ山礼音だが、原因不明の怪奇現象に悩んだあげく、生きる妖怪データベースともいうべき文学部4号館4階44番資料室の主に借りを作ってしまった。
 この怪しい青年、絶対城阿頼耶は妖怪学の専門家にして詐欺師で……。

 大学を舞台にした怪異現象解決+オカルト詐欺話で、妖怪の専門家がインチキな怪奇現象は許さないと真相解明しつつ詐術でちゃっかり小遣い稼ぎするのを、長身でスレンダーすぎる女子大生が手下としてこき使われる話。
 「阿頼耶」が辞書変換したのにびっくり。あやかしの専門家にして詐欺師というと貝木泥舟を連想しちゃうけれど、あそこまで陰気じゃない……かな。
 この作者の『ほうかご百物語』は魑魅魍魎が跋扈する高校でのなんとものんきでラブラブな、ゆるさと真剣さのバランス加減の絶妙さが好きだったのだけれど、こちらはその大学版でもうちょい重い。
 でも、本当と嘘、通説と作者の創作を上手いこと混ぜ、現実的論理的でありながらふいにファンタジーに走り、絶対城先輩は人が悪そうで人が良く、そして利用される後輩ユーレイは状況に流されているようで足元はしっかりしていて、安心して愉しめる妖怪譚。

【絶対城先輩の妖怪学講座】【峰守ひろかず】【水口十】【メディアワークス文庫】【伝奇ミステリ】【新歓コンパ】【合気道】【シミュラクラ現象】【べとべとさん】【幽霊】【九十九髪】【付喪神】【土蜘蛛】【覚】【二口女】【馬鬼】【ぬらりひょん】【サイコメトリー】
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「ハルさん」 藤野恵美

2013-05-29 | ミステリー・推理小説
「友情ってなくなったりしないよね」

 今日は一人娘の結婚式。
 人形作家の「ハルさん」は式場へと向かいながら、男手一つで育てた娘との日々を思い起こします。
 その中で語られる5つの謎は、小さかった「ふうちゃん」の成長の彩りとなるものでした……。

 お弁当から玉子焼きが消えたのはなぜ? 「ツリーの間」とはどこ?など、少女が保育園児だった頃から小学生となり高校生となり、成長していく今日までのタペストリーを、天国にいる奥さんの瑠璃子さんとの対話の中で回想していく物語。
 ミステリ難度は低めで、素直に「頼りない花嫁の父の回想」として読むべき話。しかし、娘は着々と成長してしっかりしていくのに、仕事を口実に引きこもりがちな父親はぜんぜん成長していなくて、今ひとつ頼りない気がするところがポイント。
 娘が結婚して大丈夫か、はなはだ不安です。

【ハルさん】【藤野恵美】【大塚砂織】【創元推理文庫】【花嫁の父】【日常の謎】
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「少女は黄昏に住む」 山田彩人

2013-05-28 | ミステリー・推理小説

 童顔で甘い物好きだけれど、任侠映画を愛して日本男児を誇る姫山誠は刑事。しかも数々の難事件を解決してきた名刑事『名探偵マコちゃん』だ。
 しかし、その推理は警察OBの作家に助言されていたというのが真相で、さらに真が初めて知った真実は、その謎を本当に解いていたのは引きこもりのオタク女の琴乃だということだった……。

 やたら偉そうで偏見バリバリの童顔のスイート刑事が、これまた偏見を助長するだけの性格が悪くて嫌みな少女探偵に使いっ走り扱いされながら事件を解決していく話。もうちょいどこかで突き抜けないと笑い飛ばすのに苦労します。
 ホームズがいて、レストレード警部がいるのに、愚直なワトスン博士がいないミステリは人間関係が終始ギスギスしていて構図として不安定なのです。
 これだけギスギスしているから最終話のインパクトが活きてくるわけですが。

【少女は黄昏に住む】【マコトとコトノの事件簿】【山田彩人】【烏羽雨】【東京創元社】【本格ミステリ連作集】【密室殺人】【人間消失】【ライトノベル作家】
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「デート・ア・ライブ7~美九トゥルース」 橘公司

2013-05-27 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 第6の精霊である美九の力は他者の支配。
 四糸乃や八舞姉妹まで支配下に置かれてしまった五河士道だが、その美九は実は男嫌いの美少女好き。歪んだ幻想を持ち続ける精霊を士道にはデレさせることができない。
 そんな八方ふさがりの士道の前に現れたのは、最悪の精霊、狂三だった。
「さあ、私たちの戦争(デート)を、始めましょう」
 いまだデレない最狂の敵・狂三との共同戦線で、DEMから十香を奪還する一方、美九をデレさせることができるのか?

 美九篇の後編。DEMの存在も五月蠅くなってきて、どう決着をつけていくのか気になりますが、やはりひたむきで真面目な主人公が好印象。こういうハーレム化が進行することが前提の話だと、主人公が単なる優柔不断で無責任に見えがちですが、ここはうまく描いています。
 もっとも、このまま決着をつけないまま最後までいくことはできないでしょうが。

【デート・ア・ライブ7】【美九トゥルース】【橘公司】【つなこ】【富士見ファンタジア文庫】【文化祭】
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「デスニードラウンド ラウンド1」 アサウラ

2013-05-26 | その他フィクション
「走るからこそ、無様にでももがいているからこそ、夢を抱くことが出来る。生きることが出来る」
 公園のベンチに座っていた老人の言葉。
 ケージの中のモルモットには、諦めて死を待つか、夢を見ながら車輪の中を走り回るかの選択しかないが、それでも選ぶことはできる。

 銃器の流入と拡散に歯止めのきかなくなった日本では、内戦に一区切りついた今も銃撃戦は頻発している。
 家族の夜逃げに取り残された女子高生のユリは、借金返済のために傭兵稼業に足を踏み入れた。もはや体を売っても返済しきれない額だった。
 そんな彼女が送り込まれたのは、「死に損ない」ばかりがいるという松倉チームで、初任務は有名ハンバーガーチェーンのマスコットキャラの殺害だった……。

 女子高生が学校通いしながら、放課後はアルバイトでクレージーピエロと銃撃戦を繰り返す話。
 『ベン・トー』の作者だけあって、登場する食べ物がどれも美味しそうなんです。巧いなあ。
 ただ、内容的には殺伐とした銃撃戦の連続。主人公の少女がおかしなくらい前向きなことだけが救いですが、『ベン・トー』のように横道にそれまくるということはありません。一癖も二癖もある、信頼できるが信用できない連中が集まって、金のために人を撃ちまくる話なので、『ブラック・ラグーン』が好きな人にはお薦めかな。東京の街がロアナプラナみたいだ(T-T)。

【デスニードラウンド ラウンド1】【アサウラ】【赤井てら】【オーバーラップ文庫】【北海道独立戦争】【栃木群馬間紛争】【連帯保証】【ドナルドマジック】【ブルセラ】【民間軍事会社】
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「ARIEL II 幻影の侵略」 笹本祐一

2013-05-25 | 巨大ロボット
 まだ音声記録媒体がレコードかカセツトテープしかなかった時代。朝日ソノラマはオーディオ・ドラマを収録したカセットテープを文庫サイズのボックスで販売していました。今だったらオリジナル・アニメあたりの位置づけで、小説がアニメ化されるなんてほとんどなかった時代の自社作品のメディアミックス化の先駆けです。
 その12本目が巨大美少女ロボット作品……というか、赤字経営の侵略会社の奮闘記と化していたエリアルの2本目です。

 ソノラマ文庫カセット版は『吸血鬼ハンターD』とか『ハイスピード・ジェシー』とか、通し番号を見ると40作近く発売されています。そのうち『ARIEL』は3本。
 1つめはオーソドックスな原作そのままアレンジの内容紹介版、2つめがこの「侵略宇宙人が予算が無いのでやっつけ仕事でノルマ達成」の回。そして3つめが「地球を滅ぼしにバーサーカーが攻めてきたけれど、超巨大な殺戮マシンの艦隊と戦うより、戦闘のための臨時支出を経理部長に納得させる方が難しかったよ」という話で、こちらについては2004年発売のARIEL読本に、復刻ドラマ「野良無人戦艦の恐怖」としてCD版が収録されていますので、今でも聞くことができます。これは傑作。

【ARIEL II】【幻影の侵略】【笹本祐一】【鈴木雅久】【ソノラマ文庫カセット版12】【原えりこ】【渡辺菜生子】【富沢美智恵】【阪脩】【塩沢兼人】【山寺宏一】【平野文】【田中和美】
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「悩み相談、ときどき、謎解き?」 成田名璃子

2013-05-25 | ミステリー・推理小説
 田中花子は夜と昼との顔を使い分けていた。
 昼間は周囲から何を考えているかわからないと噂される、冴えないOLのミス・ブースカ。夜は街角の占い師として人気のミス・アンジェリカ。
 最初は単なるインチキ占いだったが、ときおり本人の意志とは関係なく降りてくる言霊が妙に的中することから評判となり、気がつけば持ち込まれる一風変わった悩みに翻弄されるようになっていた……。

 日常系というほどミステリ要素は強くなく、タイトル通り「ときどき、謎解き?」。最後に「?」がつくところがポイント。女性の悩みのエネルギーを、占いを介することによって地球緑化の資金へと変換する、緑のマネーロンダリング小説というべきかな。

【悩み相談、ときどき、謎解き?】【占い師ミス・アンジェリカのいる街角】【成田名璃子】【日野かほる】【メディアワークス文庫】【鍵穴からの観察者】【婚活】【キャンドル売り】【結婚式】
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「モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(入門)」 谷春慶

2013-05-24 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「コートは戦場。最後に立っていたほうが勝者!」
 テニスにだってノックアウト勝ちはあるとウィザードのウバタマ。『燃えるV』を彷彿とさせる展開です。

 おー、今度は短編集か!と手にとってみれば「短編集第2弾」……って、第1弾は1月に出てたのか……。地方の中小書店にはなかなか入荷しないんだよね。客注してても大都市の大書店が発売日に面陳した売れ残りが1ヶ月くらいして届くのがやっと。山積みしても幾ばくかは売れ残るんだから、その分を中小に回してくれれば機会損失しなくて済むのに……。
 などと書店に天井まで山積みされた村上春樹の新刊が映し出されたテレビを観ながら思うことですよ、まったく!

 砕月は女と見れば人妻でもメスでも幽霊でもオートで口説くゲス男だけれど、それはたいした問題じゃない。だって、そんな彼のことが好きで好きでたまらない病んだ女性が同級生から義妹義母まで、美少女から人外魔境まで有象無象なんだもの。

 かくして、世界の危機より目先の女難の修羅場7連発の短編集です。
 テンションとしては『うる星やつら』に近いよね。こちらは主人公自身がビョーキについて自覚的で、なんとかしようとしてもできないうちにドツボにはまっているということ、そして集まってくる女性/メスがどいつもこいつも濃くて病んでるというあたりがエクスキューズでバランスがとれてます。

【モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(入門)】【谷春慶】【奈月ここ】【このライトノベルがすごい!文庫】【修羅場オンリー本】【夜這い】【水着】【FX投資】【霊符】【キャンプ】【バーベキュー】【温泉】【悪霊】【話は聞かせてもらいました】
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「戦略大作戦」 主演:クリント・イーストウッド

2013-05-23 | 戦記・戦史・軍事
 第二次大戦末期。フランスでは敵味方の戦線が入り組んだまま膠着状態が続いていた。
 ケリーたちの小隊には3日間の休暇が与えられたものの、周囲には酒場もなければ女もおらず、何もすることがない。そんなとき、密かに転がり込んできたのは、ドイツ軍が近くの街から金塊を運びだそうとしている情報だった。
 金塊は前線の向こう、ドイツ軍支配下の銀行だけれど、このまま日向ぼっこをしていても3日後にはまた前線に送り込まれて死ぬことになるだけならば、一攫千金を狙ってもいいんじゃない?
 ケリーたちは武器をかき集めて敵陣の奥深くへと潜入していくが、いつの間にか金の匂いを嗅ぎつけた欲の亡者たちが集まってきて、司令部の意図しないところで一大攻勢が始まっていた……。

 すっかり生活の場になっちゃっている姿も良いけれど、トンネルから出てくるシャーマンも格好いいんだ。戦争映画が円熟しきって役者も脂がのりきっている時期の作品で、戦車や銃器もそれっぽく大物から細かいところまで揃うくらいにリアリティは重視しているけれど、一方で人道的とか思想的な面から戦争を語ろうなんてリアリズムや大作嗜好は持ち合わせていなくて、結局は戦争なんてエライさんの都合で起きているんで、下っ端は欲得だけだよ……という話。当てにならない支援砲撃とかファイアーフライみたいに砲身だけ太くしてみました……ってあたりも泣かせるけれど、いろいろ余計なものが付きすぎです。
 ガルパンを視ていたら、なんか女の子たちも『戦略大作戦』を視ていたようで、なんかほっこりしちゃいました。

「橋はある…………今はもう無いっ!」

 なんどもDVDになりブルーレイも発売されていますが、どれにも日本語吹き替え版が入っていないのが難点。山田康雄のイーストウッドに大平透のテリー・サバラスに宍戸錠のサザーランドは最高なのに……。
 最期にカール=オットー・アルベルティが登場するに至り、戦争映画としてはカンペキになっちゃったのではなかろうか。

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「登校途中の百物語」 天堂里砂

2013-05-23 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 橘秀一は妖怪や幽霊が視える体質。それでいろいろ困ったり悩んだりしたこともあったが、鏡ヶ原へ引っ越して1ヶ月もすると照覚寺で住み込みのアルバイトにも慣れてきていた。照覚寺は妖怪がむやみやたらと棲み着いている場所なのだけれど。
 だが、高校では妖怪オタクの鈴花から郷土史研への勧誘が延々と続き……。

 坊主で退魔師と巫女で祓魔師の間にはさまった神眼の少年の物語。

【登校途中の百物語】【鏡ヶ原遺聞 弐ノ巻】【天堂里砂】【中央公論新社】【祓魔師】【退魔師】【屍食鬼】【七人みさき】
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「龍のすむ家」 クリス・ダレーシー

2013-05-22 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「物語を書くのは、ちょっと魔法のような感じがするんです」
 何が事実で何が想像かわからなくなるときがあるし、行き先を知らない旅のようでもあるとデービット・レイン。

『下宿人募集―ただし、子どもとネコと龍が好きな方』
 大学生のデービットが下宿に決めたのは、陶器の龍がそこら中に置かれた家だった。
 デービットは下宿の娘ルーシーに頼まれ、怪我をしたリスを保護しようと奮闘するのだが……。

 デービットがなにかに導かれるようにインスピレーションを受けて書き綴る物語と現実の事件が同時進行する、児童文学系英国ファンタジーの佳作。ハードカバーのときのままの表紙に惹かれます。
 少女が生と死について知り、青年が世界の不思議について悟る物語。

【龍のすむ家】【クリス・ダレーシー】【竹書房文庫】【ドングリかいじゅう】【図書館】【ハイイロリス】【野生動物病院】
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「質屋「六文屋」の訳アリな訪問客」 吉川美樹

2013-05-21 | ミステリー・推理小説
 ビルの谷間の狭い路地を抜けた先にある質屋「六文屋」は、喫茶店が併設されていて、どちらが主だかわかりかねる不思議な店なのだが……。

 最近多い「お店ミステリ」で今回は質屋。
 ポストカードやら黄色い浴衣やら、持ち込んだ当人にもわからない謎を、店主である片倉十士の目利きと、喫茶店を受け持つ少女ミカのテキトーな推理で明らかにしていく話。
 ただ、日常系ミステリとしても軽め。

【質屋「六文屋」の訳アリな訪問客】【謎、買いとります】【吉川美樹】【古夏からす】【メディアワークス文庫】【日だまりのコージーミステリー】【林檎の紅茶】【窃盗団】【義母】【ドリフターズ】【カリオストロの城】
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「女王陛下の魔術師」 ベン・アーロノヴィッチ

2013-05-20 | ミステリー・推理小説
 美中年っぽくて、ちょっと手に取りにくい表紙イラストですね。自分はハリー・ポッターみたいな架空のキャラクターではないと、憮然とする警部はかわいいですが。

 ピーターは「オバマの替え玉に使えるんじゃないか」とジョークの種にされるようなアフリカ系の新米巡査で、彼の配属先の第一希望は殺人課。第一線で活躍して市民のために働きたいというのは立前で、本当は派手に活躍して出世してかっこいい車を乗り回したいだけ……という本音はナイショだ。
 そんな彼が特殊犯罪課に配属されることになったのは、通り魔殺人の目撃情報を通りすがりの幽霊から聞かされたのがきっかけで……。

 こちらもニュートン卿が最後の錬金術師ではなく、科学と魔法を統合した近代魔術の始祖のような位置づけです。一般人は何も知らされてはいないけれど、警察には魔術やオカルトにかかわるたった1人の部署があり、そこに配属させられた新米警官の冒険。ちょうど香月日輪の『全裸男と柴犬男』を読んだばかり。警察の日英オカルト事件対策の比較をするつもりで読了。
 ピーターは今まで魔法のマの字も信じていなかったのに、「この目で見たものは信じる」と、ちょっと適応が早すぎます。もっとも、特殊犯罪課に配属というか英国唯一の魔法使いであるナイティンゲール主任警部に弟子入りするや否や、原因不明の連続殺人は暴動へとスケールアップしていくし、テムズ川で男神と女神の紛争に介入せざるを得なくなるし、メイドは牙がはえてるし……そりゃあ、慣れるしかないですね。 

【女王陛下の魔術師】【ロンドン警視庁特殊犯罪課1】【ベン・アーロノヴィッチ】【山本のり】【ハヤカワ文庫FT】【悪霊】【吸血鬼】【妖精】【パンチ&ジュディ】【テムズ河】【ドルリー・レーン劇場】【暴徒鎮圧】【幽霊ハンター】【エッチング】【女王陛下の平和】
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「水の迷宮」 高千穂遙

2013-05-19 | 水の世界・海洋冒険SF
「種の保存を最優先としている以上、すべての生物は必ず戦争を起こす。戦争のできない種は滅びていく」
 ネレイスの言葉。

 今回の仕事は水の惑星マルガラスでの先史文明調査。だがマルガラスは内戦のただ中で、チームの責任者ディーラーを護衛するため海底遺跡調査船に乗り組んでいたジョウとアルフィンの目前で戦闘が始まる。
 そして、被弾して調査船に飛び込んできたのは、水中行動に特化した能力を持つ傭兵アプサラの機体だった……。

 久々のクラジョウです。
 これ以前には宇宙を舞台にしたジュブナイルSFはあったし、翻訳のスペオペもありました。けれど、スペースオペラといえる日本の作品はなく、これがアニメ『宇宙戦艦ヤマト』に燃えた本好きの少年が真っ先にたどり着く作品となり、その後、『銀河乞食軍団』『ハイスピード・ジェシー』などと続くことになります。
 今回は水の惑星での遺跡探査の護衛任務。もちろんドンパチはありますが、ミリタリーSFではなく冒険アクション。欲を言えば、メロドラマというかラブコメというか艶っぽい笑いの一つも欲しいところですが、最近はアルフィンがおとなしいので残念。物わかり良すぎ、手際よすぎで、すっかりベテランっぽくなっていて、「おてんば娘」はもう死語の世界。
 話は壮大で血生臭いだけに、もう少し潤いが欲しいなあ。いや、クラッシャー・ジョウは1作目から話が壮大で血生臭い作品だったのですけどね。

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