付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「七人ミサキも恋をする2」 丸山英人

2014-06-30 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 嫁姑戦争勃発!
 高校生、臼谷伊吹の食事をどちらが世話するかで、初希と郁が激突した。もちろん2人とも幽霊だ。
 あおりをくらって、ぶっ壊れたオーブンとエアコンの修理代を稼ぐため、コンビニでバイトを始めた伊吹だが、そこでの同僚がほのかは同級生だったという少女で……。 

 7人1組の悪霊集団“七人ミサキ”に取り憑かれた、気遣いと誠意と書いてヘタレと読む高校生の物語。
 七人ミサキそれぞれの事情も少しずつ明らかになり、それによって状況も若干複雑化してますが、基本的に七人ミサキが成仏するか、憑かれて死ぬか、現状維持でだらだらいくかの三択なので、だらだら優柔不断に行くしかないんですよね。
 でも死人は死人なので、伊吹くんは生きた彼女をつかまえて欲しいなあ。

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「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか5」 大森藤ノ

2014-06-29 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「折れても構わん、挫けても良い、大いに泣け。勝者は常に敗者の中にいる」
 意識を失い、力尽きようとしていたベルに心に届いたのは、ヘルメスが語る祖父の言葉だった……。

 ベルたちのパーティーが遭難した。
 崩壊した別パーティーに、彼らが相手にしていたモンスターの群れを押しつけられたのだ。
 女神ヘスティアは禁を犯してでも自ら捜索隊を率いようとするが、それに同行しようと助力を申し出たのは、意外にもヘルメス神だった……。

 自分より弱くても熟練したガイドの提案には耳を傾けるべきだということと、提案を聞いた上で決断するのがリーダーの仕事だという話でした。そして、酒場のメイドのリューさんが大暴れする回でもあります。ひゃっはー!
 そろそろハーレム最高!と孫を育ててきたじいさまの正体が気になり出しますが、女神フレイアだけでなくアポロンも動きだし、この先はますます混沌としていきそうです。
 ダンジョンの中に街が登場。こちらは『アラビアの夜の種族』に比べると、いかにももっともらしい説明でした。

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「はたらく魔王さま!(11)」 和ヶ原聡司

2014-06-28 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 故郷のエンテ・イスラから、なんとか無事にこちらの世界へ帰還した勇者エミリア。
 しかし、彼女は無職の借金まみれになっていた……。

 とりあえずエンテ・イスラ篇を終えての総括で、前半はやたらに「前回までのあらすじ」とか「ストーリーの裏事情」みたいな説明調の会話が多く、解説回かよ!?と思っていたけれど、後半はいつものペースでテンポ良く、庶民派ファンタジーをやってました。
 よしよし、これでまだまだ応援できます。

「今までお互い魔王とか勇者とか意地張って、何か良いことありましたかっ!!」
 ちいちゃん、激怒する。

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「最終戦争は二学期をもって終了しました」 扇智史

2014-06-27 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 大沢七瀬は相棒の日本刀“天火迅雷”と共に、もうひとつの世界、あらゆる多元宇宙を統率する外津邦から連城市に派遣されたエージェントだ。その使命はこの街に本拠地を置く悪の秘密結社「根元学会(アソシエイション)」を倒すこと。
 ところが女子高生として潜入してみれば、根元学会は異能者のクラスメイトのグループによって壊滅させられていて、根元学会が最終戦争の切り札として開発していた実験体666も今では恒華院幽日という名の少女として小学校に通っているという……。

 『アルテミス・スコードロン』の扇智史の新作。「最終戦争」というから大きな戦争が終わったのかと思いきや、ビッグウォーとかラストウォーとかハルマゲドンとかではなく、フリガナままのアポカリプス。異能者同士の大決戦!くらいの意味でした。

 終始のんきに異能を使って授業を受けたり遊びに出かける少年少女らに対して、戦う相手が本当に居ないのか、大きな罠にはまって欺されているだけでは無いかと疑心暗鬼の七瀬ですが、読者の方も本当に終わってる?という不安感は残っていてギャップを笑うまでには至らず。『ランボー』のSFコメディ版というより、日常系超能力者もの。
 普通に小学4年生をやっている幽日の日常ってのも見たい気がしました。

【最終戦争は二学期をもって終了しました】【壱ノ刀・カグヤ】【扇智史】【白谷こなか】【一迅社文庫】【異能×日常学園コメディ】【話す武器】
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「ばけもの好む中将 弐」 瀬川貴次

2014-06-26 | ホラー・伝奇・妖怪小説

 青年貴族の宗孝は13人の異母姉弟の末っ子。目下の悩みは左近衛中将・宣能に気に入られてしまったこと。
 中将といえば宮廷でも上位の官職、エリートである。その中将に気に入られるのは悪いことでは無いはずだが、この中将は大の怪異好き。怪異の噂を聞きつけては宗孝を道連れにあちらこちらへ。宗孝など、そのうち本当に何かに祟られはしないかと気が気でない。
 ところが「泣く石」の噂を確かめに都の外れに向かった、宣能と宗孝か見つけたのは捨て子の赤ん坊。宗孝は成り行きで預かる事になってしまった上に、姉たちの追及に対して苦し紛れに自分の子だと答えてしまい……。

 怪異を探してあちらこちらに首を突っ込んで回る中将が、怪異ならぬ事件ばかり突き止めてしまい、後始末に青年貴族が振り回されるシリーズの2冊目。クライマックスは牛車のカーチェイスかな?
 そろそろまとめないと覚えきれないので宗孝の姉リストを作らないといけません。

3.内親王に仕える思慮深い女房、三の姉。
4.恋多く罪深き美女、四の姉。
5.理論的な五の姉。
6.身分の低い武士と駆け落ちし、乳飲み子をかかえた六の姉。
8.帝の妃、梨壺の更衣。心優しい八の姉。
10.神出鬼没、正体不明の十の姉。
11.才気あふれる小宰相の君。明るく闊達な十一の姉。

【ばけもの好む中将 弐】【姑獲鳥と牛鬼】【瀬川貴次】【百足屋ユウコ】【集英社文庫】【平安怪奇冒険譚】【燐火】【蹴鞠】【光源氏の再来】
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「幼女戦記2」 カルロ・ゼン

2014-06-25 | 架空戦記・仮想戦史
 『幼女戦記』というふざけたタイトルでは成年向けマンガかほんわか4コマみたいな印象しか浮かばないけれど、どちらかというと「幼女」より「戦記」に重きが置かれた作品で、20世紀初頭の欧州に似た異世界での世界大戦ものです。それでもって 「見た目は子供、頭脳は大人」ね。
 これは長男からのオススメなんだけれど、気がついたら三男も同じ本を買っていて、我が家には同じ本が2冊あります。三男曰く「本は借りない・貸さない・盗まない」主義なんだそうだ。

「シャベル、それは、文明の利器だ。文明万歳」
 ターニャ・フォン・デグレチャフの言葉。塹壕にシャベルはつきものです。

 この帝国は第一次大戦期のドイツに似ていると、ターニャ・デグレチャフ少佐は前世の記憶に思いをはせる。まさに四方八方に戦線を抱えていての四面楚歌で、みんなそんなに戦争が好きなのかと呆れてしまう。願わくば、自分が退役して年金暮らしを堪能できるまで、国家が存続しますように。
 テクノロジーの近代化に置いてけぼりをくらった万の大軍を磨りつぶし、敵の首都までおでかけし、とりあえず敵の軍需工場は潰してしまいましょう。
「けいこくします。
 わたしたち、ていこくぐんは、これから、ぐんじしせつを、こうげきしますっ!」
 デグレチャフ魔導少佐は幼女である。幼女であることの何がメリットかというと弾が当たりにくいということで、デメリットは酒が呑めないということなのだ……。

 自分では単に他人にうまく仕事を押しつけて効率よく仕事をしているつもりでも、端から見れば戦略的視野と一流の作戦参謀としてこなせる頭脳を持った勇猛果敢で沈着冷静な前線指揮官。給料泥棒と言われない程度の仕事だけ効率よく処理しているつもりでも、周囲の評価は働きの完璧主義者で戦争狂。自分がワーカーホリックなことに気づいてないのは、いかにも前世が日本のエリートサラリーマンです。しかも、いつの間にか部下が血に飢えた、危険を笑い飛ばすような豪胆な人間ばかりになっていく理由がわからなくて悩んでます。
 それはあんたのせいや。

【幼女戦記2】【Plus Ultra】【カルロ・ゼン】【篠月しのぶ】【エンターブレイン】【世界大戦】【高空迎撃】【遠足のしおり】【塹壕戦】【対艦攻撃】【対潜攻撃】【臨検】【軍法会議】【亡命政府】【ジャガイモ】【西部戦線異状なし】【お誕生日プレゼント】【広報】【行きて帰りし物語】
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「“藤壺”~ヒカルが地球にいたころ……(10)」 野村美月

2014-06-24 | 学園小説(ミステリ)
 たった1回ことばを交わしただけで死んでしまったプレイボーイの美少年と人相が悪くて友達が今までいなかった少年の物語もついに完結。

 もう少し早く出会って友達になっていたら、ヒカルと是光の運命も何か変わっていただろうか?
 それは今更どうにもならないことで、もうヒカルは死んで幽霊となった身だけれど、花のような女性たちには幸せになって欲しいと2人は最後の最後まで走り続ける。
「出会ってくれて、ありがとう。友達になってくれて、ありがとう」 

 大団円……というか、しあわせな結末でした。ストーリー的には後半はほぼエピローグ。ヒカルほど女性慣れていない是光でしたが、女性関係にすっぱりケリをつけました。めでたし。
 けれども、なまじヒカルが女性たちを心底徹底的に褒め続けるのを傍らで聞き続けていたばかりに、自分では控えめなつもりな是光の言葉が世間一般的には「女性を積極的に褒めすぎ」に近くなっていて、この先にちょっと不安がありますね。

【藤壺】【ヒカルが地球にいたころ……(10)】【野村美月】【竹岡美穂】【ファミ通文庫】【学園ロマンス】【目つき悪い主人公】
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「紅茶スパイ」 サラ・ローズ

2014-06-23 | 食・料理
 阿片戦争の発端の1つは英国への茶葉の輸入超過であったけれど、阿片戦争後も英国は紅茶を輸入に頼るしかないものでした。紅茶を輸入して代金を阿片で支払うって状況だけでもとんでもないのに、できればそれすらも払いたくなくて、中国政府にとっては門外不出のトップシークレットである茶の製法と種子を手に入れんと、英国はその秘密を探り出して自分のものにすべく植物学者たちをプラントハンターとして中国奥地に送り込みます。
 中国としてはたまったものじゃありませんね。
 主に活躍するのは、幕末に日本も訪れたロバート・フォーチュン。ただ、英国としても政府や東インド会社やら一枚岩ではありませんでしたし、せっかくサンプルを確保して送り出しても、船主や船長の思惑で寄り道して輸送にやたら時間がかかったり、受け取る側の植物園長がコネで役職を手に入れた無能だったりして、二重三重にトラブルが積み重なっていくわけですが、そこは冒険心というより報酬であり個人の名誉欲があってハンターたちは食らいついていきます。
 英国視点で見れば知的でスリリングな冒険小説にして科学研究史。中国視点で見れば泥棒の自白調書みたいなもんです。

【紅茶スパイ】【英国人プラントハンター中国をゆく】【サラ・ローズ】【原書房】【プラントハンター】【ミステリアスな紅茶の歴史】【歴史ノンフィクション】【ロバート・フォーチュン】
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「終末のグレイト・ゲーム」 ラヴィ・ティドハー

2014-06-23 | 時間SF・次元・平行宇宙
 遥か昔に地球に漂着した蜥蜴人とそれが生み出した計算機械が支配しているヴィクトリア朝の大英帝国を中心に繰り広げられる「ブックマン秘史」の3冊目。
 吸血鬼ドラキュラがヘルシング教授を返り討ちにした時間線の『ドラキュラ紀元』と似たようなアイデアですが、こちらの方が節操ないかな。『ドラキュラ紀元』に登場するのは、その時代のその場所にいても不思議はない実在および架空の人物の大集合でしたが、こちらは時代も場所もあまり気にしていないようです。前巻のミレディとダルタニャンとか、今回ならいきなりグレン・セント・メアリー村で『プリズナーNo.6』ネタを始めてしまうところとか。

 グレイト・ゲームが大きく動き出したが、いまだその全貌を知るものは少ない。
 英国諜報部を仕切っていたマイクロフト・ホームズが殺され、自らの死を予期していたマイクロフトによって「村」に引退していたスミスはスパイとして現役復帰させられる。
 一方、マイクロフトが生前に指示していた諜報員ルーシー、謎の存在ブックマンの手先となったフーディーニらもそれぞれゲームの謎を追い始めていた。
「やつらを殺しなさい」
 ルーシー・ウェステンラが部下に与える命令はそれだけだ……。

「紅茶を飲めるなら、人殺しだって辞さないな」
 英国諜報部員、バーラインの言葉。

 謎のトライポッドが街を蹂躙し、ロシュフォール伯爵はジキル&ハイドというよりハルクというかキングコングだし、結局はチャールズ・バベッジに帰結して赤い星に落ち着くと。ただ、借用キャラクターの扱いがぞんざいかなとは思いました。オリジナルへのリスペクトを感じられないチョイ役が多すぎます。
 じっくりと腰を落ち着けて、1冊目から何度も読み返した方が良い本かもしれませんが、物語がある程度ミレディ中心に推移していた前巻に対し、複数の登場人物の視点が錯綜し、しかも死屍累々の展開なのでストーリーを追うのはなかなか難しいです。

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「大航宙時代」 ネイサン・ローウェル

2014-06-22 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 タイトルと「ひとりの若者が商船員をめざして、いま銀河の荒海へと船出する!」「ホーンブロワー・ファン必読」の帯にひかれて購入。
 面白いけど、このあおり文句は詐欺みたいなもの。本家ホーンブロワーみたいな血みどろの激戦はないし、『太陽の女王号』シリーズみたいな異星人も伝染病も古代遺跡もなく、本当に帯から期待されるようなものではなく、帯に書かれているままの「ひとりの若者が商船員として一人前になる」までの物語。馬車の代わりに宇宙船で、神が出てこない『狼と香辛料』。ぶっちゃけ交易……というかフリマ小説。

 母親の交通事故死で天涯孤独となってしまったイシュメール・ホレイショ・ワンは、そればかりか住むところさえ失ってしまった。ネリス星は企業惑星であり、ネリス社の関係者またはその家族以外は住むことができないのだ。
 イシュメールは寄港した巨大交易船に、なんとか最下級の船員として乗り込むことができたのだが……。

 司厨補助員、つまり料理人手伝いに任命された主人公の初仕事が、いかに美味いコーヒーをいれるか。話として最初に登場した食事が薄焼きパンを丸めたロール2個にフルーツ1きれ、クッキー1枚にドレッシングを添えた野菜サラダ。これが夕食と言われ、粗末だなあと思い、まん中あたりで「この船は食事がうまいことを誇りとしている」とあって嘘だあと思ったけれど、あくまで入出港時の弁当扱いなのね。普段は朝食にオムレツとか、夕食にはビーファロー肉のステーキとか、確かにけっこう美味しそうなものを食べてます。
 主人公はひたすらコーヒーを入れ、食事を作り、トレーニングして、掃除して、コーヒーを入れ、船の減価償却費や維持費から利益の配当がどれくらいになるか勉強し、トレーニングして、勉強して、避難訓練して、コーヒーを入れ、手荷物に持ち込んだ品をフリマで売って小遣い稼ぎし、コーヒーを入れて、試験を受ける……そんな話で波瀾万丈の要素はどこにもないけれど、地味に面白い。
 結局、ここで語られていることは18歳で家族も家も失った少年が、居場所を見つけるまでの物語で、安く買って高く売るという商売の基本で、なおかつ「やっぱり売り子は女子にかぎるね」という真理なのです。

【大航宙時代】【星海への旅立ち】【太陽風帆船の黄金時代】【ネイサン・ローウェル】【ハヤカワ文庫SF】【コーヒーメーカー】【フリーマーケット】【マッケンドリック商業組合】
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「マージナル・オペレーションF」 芝村裕吏

2014-06-21 | 架空戦記・仮想戦史
「人間、スケールの大きな事を始めるとすぐに感覚が麻痺する。24人の子供も3000人もあまり変わらないだろうと引き受けたが、実際引き受けてみると大分違った」
 そりゃあ、違うわなあ……。

 親を失った、親に捨てられた子供たちを助け、食べさせていくために、他にできることがないからと傭兵稼業に手を染めることになった元・日本人オタク青年を主人公にしたミリタリー冒険小説、5巻で完結した『マージナル・オペレーション』の外伝&後日譚の短編集。
 エルフ娘のためにタイまで来てしまったマフィアこと梶田のハードボイルドな日常を描いた「マフィアの日」、ハサンの視点から父アラタの姿を語った「父について」、ライトノベル作家と星海社の編集者が山手線の車内で奇妙な赤毛少女と出会ったことから始まる事件の顛末、アメリカ人ライターが伝説の傭兵にインタビューを申し込むのに偽者しか現れなかった「ミャンマー取材私記」、そしてアラタとジブリールの二人旅「チッタゴンにて」の5篇。ジニのアホ毛はますます自己主張するようになっています。
 本編を読んでいない人が、この巻からお試しに読んでみるというのは有りだと思います。本編はもちろん『遥か凍土のカナン』などの他作品とリンクしている箇所も多々ありますが、知らないなら知らないで面白く読めます。伊藤さんも以前に登場したときも存在感というか実在感のなさが指摘されていたけれど、今回もそれは変わらず。やっぱり伊藤さん家の人なんだね。

 3人が仲良くオレンジジュースを飲んでいるイラストが好きです

【マージナル・オペレーションF】【FRAGMENTS】【マフィアの日】【父について】【赤毛の君】【ミャンマー取材私記】【チッタゴンにて】【芝村裕吏】【しずまよしのり】【星海社FICTIONS】【遥か凍土のカナン】【土屋つかさ】【イーヴァ・クロダ】【グラディウス】【富士学校まめたん研究分室】
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「世にも奇妙なマラソン大会」 高野秀行

2014-06-20 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「レースで辛いときはお産を思い出して我慢するの。でも、お産は最後に赤ちゃんがゲットできるけど、マラソンは筋肉痛だけ」
 サハラ・マラソンに参加したマヌエラの言葉。

 なんとなくインターネットを検索して回っていたらサハラ砂漠でマラソン大会が開催されることを知り、ふいに思い立って主催者にメールしてみたらなし崩しに参加することになってしまう。
 しかもランニング初心者なのにフルマラソン、開催地は西サハラの難民キャンプ。参加者は世界各地から集まった1000名、その中にアジア人はただ1人だった……。

 本の雑誌社から出ていたやつの文庫化です。半分はサハラ砂漠でのフルマラソンの話で、残りはブルガリアで奇妙なおじさんの家に泊めてもらうことになった話とか、インド政府のブラックリストに載ってしまったのでなんとかインドに入国すべく名前を変えようとする顛末とか、ムンバイで出会った謎のペルシア商人と国際語について語り合ったりとか、拾遺集みたいなエピソード集。
 アヘン栽培で有名なゴールデン・トライアングルの村に住み込んでみたり、幻の怪獣を探してアフリカの奥地へ行ってみたりと、ノンフィクション・ライターとか冒険家というより、ワンマン川口浩探検隊みたいな高野秀行の体験談やら回想やらの詰め合わせですが、いつもノリと勢いだけで世の中を渡っているような気がします。これが独身なら自由気ままで良いでしょうが、結婚しているようなので家族が気の毒で仕方がありません。

【世にも奇妙なマラソン大会】【高野秀行】【集英社文庫】【超絶ノンフィクション作品集】【沖縄の巨人】【it】【人体実験】【石原莞爾】【自由バスク】
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「機動戦艦ナデシコ~The prince of darkness」 監督:佐藤竜雄

2014-06-20 | 巨大ロボット
 1998年の『機動戦艦ナデシコ~The prince of darkness』劇場公開に合わせて、名古屋市交通局がタイアップした地下鉄用プリペイドカードを発行し、ナデシコC艦長の「電子の妖精」ことホシノ・ルリがデザインされました。まあ、デザインと言っても映画ポスターの転用ですが、地下鉄駅で普通に定価で買いました。もちろん使いました。
 笑いどころは、テレビ版の主人公がミスマル・ユリカで、このプリペイドカードもユリカと呼ばれているのに、あえてユリカじゃないということですね。みんな、そんなにるりるりの方が好きかっ!?
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「犯罪者書館アレクサンドリア」 八重野統摩

2014-06-19 | 本屋・図書館・愛書家
 死んだ親の借金の形に臓器売買のパーツにされてしまうところだった神田六彦は、夏目と名乗る女によって身請けされて彼女の経営する店で働くことになった。
 そこは犯罪者のみが集まるアンダーグラウンドな本屋だったが、常連達がシャーロック・ホームズを名乗る殺人鬼によって次々と消され始めていた……。

 美人の店長に拾われて非合法な書店に勤めることになった大学生が持ち込まれる謎を解いていく、安楽椅子探偵の書店ミステリ。ただし、殺し屋やら贋作屋やら解体屋やら運び屋やら顧客がすべて犯罪者なので、落ち着いた書店の片隅でのほほんとコーヒーを飲んでばかりのような話なのに、結果的に死屍累々。
 盗品でも稀少書でも無いのに、犯罪者向けに一般書を売る地下書店という設定には、意外とすんなり納得させられました。なるほどねーという感じ。つつきすぎなければ大丈夫。
 謎解きそのものは、ミステリ好きな読者ならメタ視点で見当がつくような気がしないでもないけれど、ひっそりと隠された、それでいて書架だけは膨大にある書店で落ち着いた会話が繰り広げられる雰囲気は大好物です。少なくともこの書店には、人気の新刊書はどれだけ発注をかけても送ってこない取次も、売れない本ばかり送りつけてくる無能な本部も、大規模書店に在庫が滞留してしまって中小書店に回す在庫もないくせに大規模な宣伝を仕掛けてくる出版社の営業も出てきません。
 アーミン、こわいけどかわいい。

【犯罪者書館アレクサンドリア】【殺人鬼はパピルスの森にいる】【八重野統摩】【メディアワークス文庫】【女には向かない職業】【さらば愛しき女よ】【シャーロック・ホームズの冒険】
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「ワカオク」 入江紀子

2014-06-18 | その他フィクション
「夢も金もない男は、女も結局つかめない」
 女は結局「金だ」と23歳のフリーター、池上くんの叫び。

【ワカオク】【入江紀子】【JOUR COMICS】【大人が知らない子供の国】【トンネル】
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