付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「マージナル・オペレーションFⅢ」 芝村裕吏

2023-08-16 | 架空戦記・仮想戦史
「結局人間は、いつも勉強や努力をしないといけないし、これでいいやとじっとしていることに良いことは1つもないんだよ」
 アラタからの受け売りだけれど、シンは金のシンシアにそう告げた。

 アラタは誰よりも頭がおかしい存在だとシュワは評価している。そのくせ、軍事の才能だけはある。そして、そのアラタは子供たちを食わせ、教育を受けさせるためならなんでもやる。なんでもといっても、今のアラタたちにできることは戦争だけなのだけれど、誰も彼らを助けてくれなかったので傭兵稼業にせいを出し、アラタは「子供使い」と呼ばれるようになった。そのうち、日本政府が彼らに金を出すようになったけれど、時すでに遅しで国が2つほど滅んでいた。そして生まれた戦力の不均衡は次の戦いを呼ぶものだ。
 とりあえず、今のタイは平和である。この平和がいつまで続くのかと思いつつ、シュワはカジタと共に氷の溶けたビールを飲む……。

 今まで星海社FICTIONSから刊行されていた「マージナル・オペレーション」ですが、電書版がKラノベブックスから出たのをきっかけに、新刊FⅢもKラノベブックスからの発売です。
 時系列的には改11の続きで、解体業に手を出したりマチアソビに参加する前あたり。バンコクに残って孤児たちの面倒を見ているシュワさんの章、治安維持活動をしたいとアラタに願い出たシンの章、いつまで経っても小さい子扱いされてしまうメーリムの章、平和に暮らしてたら周囲で一斉に火の粉が上がったアラタの章の4編。今回もまめたん大活躍。ジニは「お姉さん」になったのに、ジブリールはあいかわらずの猛獣扱い。そして、案外仲良くアラタとホリーはやっているようです。

【マージナル・オペレーションFⅢ】【FRAGMENTS Ⅲ】【シュワの章】【シンの章】【メーリムの章】【アラタの章】【芝村裕吏】【しずまよしのり】【Kラノベブックス】【鉄】【貧乏が悪い】【都市占領】【虐殺】【シベリア共和国】【ウクライナ】
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「異西部の剣士」 菊地秀行

2023-07-01 | 架空戦記・仮想戦史
 科学王国フランスから貸与された機械人間(オートマン・ソルジャー)の戦果もあって、反乱軍との戦いは幕府軍有利に展開。既に土佐・長州は降伏し、薩摩も鳥羽伏見の戦いで西郷が重傷を負ったことにより屈するのは時間の問題となっていた1875年。ここに至り、幕閣にとって唯一の懸念は、新大陸アメリカに逃れた坂本龍馬の存在。《龍馬ある限り、陽は沈まぬ》と讃えられた男の生存は無視できない。
 そんな坂本龍馬の捕縛を命じられたのは、新選組一番隊長・沖田総司であった……。

 パラレルワールドの19世紀末アメリカ西部で繰り広げられるサムライバトル。
 最近はDと魔界都市を交互に書いて、合間にエイリアンがはさまるペースの菊地秀行ですが、これはいろんなテーマに挑んでいた時期の作品です。83年『インベーダー・サマー』『風の名はアムネジア』、84年『妖神グルメ』、85年『幻夢戦記レダ』『切り裂き街のジャック』『妖魔軍団』と、後に他のシリーズに合流するものもありで千差万別でしたが、ここにいきなり『ウェスタン武芸帳』の登場です。最初は雑誌「獅子王」でスタートしてソノラマ文庫で全3巻。
 沖田総司も坂本龍馬も生きていて、怪生物が跋扈する無法の西部で追いつ追われつの攻防戦。そして2人に負けず劣らずのアメリカの怪人超人たちが乱入してきます。異世界に怪人やら怪物がいるのはあたりまえなので、歴史の影に知られざる異能力者の戦いがあったとか、実際と異なった史実の世界でヘンなメカや怪人が大暴れする話は大好物。なので、この話は勿論、『ヴァンパイアハンター・リンカーン』とか『屍者の帝国』か大好きなのです。

【ウエスタン武芸帳(1)~異西部の剣士】【菊地秀行】【山田章博】【ソノラマ文庫】【鬼才が描く壮大なSFアクション時代劇】【獅子王】【水中船】【新撰組】
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「アキレス最後の戦い」 吉岡平

2023-06-14 | 架空戦記・仮想戦史
「俺たちは、かつては敵だった。しかし、今となってはそんなことは、どうでもいい」
 元武装SS上級中隊指揮官、アーノルト・ハイネマンの賛辞。

 第二次大戦の終結から2年。米、独、伊、日とかつての敵、味方をとりまぜた、元兵士たちが輸送機で砂漠へと運ばれていた。彼らは戦車兵であり、航空兵であり、一騎当千の腕前ながら平和な世界に居場所のない曰く付きの男たちだ。
 彼らが集められた理由は、ただひとつ。核戦争を想定してアメリカが極秘裏に開発していた人工知能搭載の超弩級重戦車T‐97「アキリーズ」が暴走していたのだ……。

 著者曰く「ギャリソンゴリラ」や「特攻野郎Aチーム」みたいなスペシャリストの寄せ集め、特殊部隊ロジャーズ・ラフネックスが活躍する軍事冒険アクションで、戦争始末の特殊部隊の物語。前半は「サンダーバード」を見ていればわかるけれど巨大メカは必ず暴走するからそれを止めるのだ!ということから、超弩級の無人戦車アキリーズとの戦い。そして、ヨークタウン級の幽霊空母ヴィンセント、北のスパイに奪われたB-36、今も戦争を続けるゼロ・ファイターと戦いは続きます。

【アキレス最後の戦い~ロジャーズ・ラフネックス~】【吉岡平】【居村眞二】【徳間ノベルズ】【ミリタリー・アドベンチャー】【SFアドベンチャー】
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「凍てる波濤」 吉岡平

2023-05-05 | 架空戦記・仮想戦史
 アメリカを打ち破って第二次世界大戦に勝利した日本だったが、戦後処理を巡ってドイツとの間に早くも深刻な対立を生じさせていた。
 ドイツと同盟関係にあるトルステイン公国を牽制することで政局のバランスを取ろうとする日本は、帝国艦隊を示威航海の旅に派遣したが、その行く手には恐るべき謎の巨大戦艦が待ち受けていた……。

 「謎の巨大戦艦が……」というヒキですが、どちらかというと表紙イラストにも登場している、大和型2隻を並べてつなげた双胴戦艦〈筑後〉の方がよっぽど謎です。とはいえ、この作品そのものが太平洋戦争で日本を勝たせ、その上で大艦巨砲主義の戦艦同士の対決をやらせるためにかなりの無茶振り設定(破天荒な構想)をしてますので、ここまで来たらゴジラ対キングコング並にガチバトルするしかありません。

【凍てる波濤】【北海の墜天使 第二部】【吉岡平】【安田忠幸】【吉田文則】【ソノラマ文庫】
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「戦国小町苦労譚16」 夾竹桃

2023-05-03 | 架空戦記・仮想戦史
 難攻不落の居城を拠点に、自力での新型銃開発にも成功した北条ではあったが、総大将信忠にはもはや油断も慢心もなく、ただ着実に準備を整え、機会あれば一気呵成に攻めかかるのみである。
 1578年6月下旬には小田原は落城、東国侵攻もこれにて区切りとなった。朝廷は信長に対して東国の惣無事を任じ、信長はそのまま静子に東国二十五カ国の統治権限を与えた。見事治め、繁栄させてみせよと……。

 今回でまたまた静子に大きな権限が与えられますが、織田家の武将たちはいずれも彼女の滅私奉公ぶりと欲の無さを知っているので平然としています。秀吉も光秀も彼女の兵站支援があってこその西国遠征でその価値を十二分に理解しているのですね。
 表紙は裏表で戦国版白衣の天使が描かれていますが、(医療制度改革に着手はするものの)看護師さんたちの活躍はありません。ただ、ヤング伊達政宗が酒乱童子となり、ワーカホリック静子が休みを返上するために走り回ったり、鬼の足満が天使の微笑みを見せたりしています(イラストはほぼ魔王)。

【戦国小町苦労譚】【十六、決戦! 小田原城】【夾竹桃】【平沢下戸】【アーススター】【戦国ライトノベル】【無煙火薬】【完全装甲弾】【ナパーム弾】【回遊式庭園】【角力大会】【原油精製施設】
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「羽林、乱世を翔る3」 イスラーフィール

2022-10-02 | 架空戦記・仮想戦史
「余は弱いのだ。だが弱いと思われるよりも薄情と思われた方がましだ」
 第13代将軍、足利義輝は自分に力が無いことも愚かなことも知っている。知っていてなお生き方を変えられず、朝廷との関係を良くしようとも親三好に転じることもできないだけだ。

 1560年、織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を討ち取った。
 尾張半国も掌握できていない信長が東海道の三国を支配する守護大名を下すなど常識ではあり得ず、単に運が良かったでは片づけられない大番狂わせだ。そこで人々は考える。直前になって尾張を訪れた右少将、飛鳥井基綱が何かしたのではないかと。
 その頃、幕府では近衛稙家が公方に対して基綱を幕府に引き込み利用せよと助言していたが、義輝はそれを拒絶する。公方と基綱は婚姻関係を通じて縁戚関係であり、基綱の出自である朽木家と足利家の関係は深い。だが、それでもそれはできないという。
 基綱は親三好ではないが、彼は強い。強い者は強い者とのみ取引する。基綱は三好とは取引するだろうが、幕府のためには動かないと確信していたのだ……。

 右少将から新蔵人へ任官、祝言を挙げるところまで。
 足利義輝は現状認識できていないのではなく、ちゃんと自分や周囲の人間の能力とその限界、置かれている状況やその関係を把握した上で、基綱から見れば先のない選択肢しか選べなくなっている自暴自爆。かろうじて一歩踏み出そうとしても、現状把握できていない幕臣にご破算にされるだけなのです。
 つまり、側に置く人間は選ぼうね。

【異伝 淡海乃海~羽林、乱世を翔る~《三》】【不安】【乖離】【イスラーフィール】【碧風羽】【TOブックス】【本格大河ドラマ】【戦国サバイバル小説】【あっち向いてホイ】【運上金】
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「マージナル・オペレーション改11」 芝村裕吏

2021-09-25 | 架空戦記・仮想戦史
「あんたの呪いは私たちで解くわ。自己評価が低いのも、なぜか罪悪感に埋もれているのも、一人を好きにならないといけないという、そんな思いからも」
 ホリーはジブリールやジニらとタッグを組んだ。駄目人間になれと。アラタはもう逃げられない!(かもしれない)

 東南アジアへの侵攻がレインボープランの支援を受けたアラタたちによって阻まれ、タイから撤退を余儀なくされた中国は、ついに核兵器で恫喝をかけるが、それほど追い込まれていたのだ。中国各地で起きた内戦は、収まるどころか拡大を続けていく。
 そんな中、ついに核兵器が使用され、ミャンマーの首都ネピドーにいるホリーの身にも危機が迫る……。

 「大ヒットシリーズ、ここに完結」と銘打たれた11巻ですが、終わったのは『マージナル・オペレーション改』で今度は「真」とか始まるんじゃなかろうかと思うのは、時代を少しずらして主人公を変えただけで世界は(ほぼ)同じの『クラスに銃は似合わない』とか『統計外事態』、まめたん誕生秘話を描いた『富士学校まめたん研究分室』、アラタの後日譚的なエピソードがちら見えする『この空のまもり』、『マージナル・オペレーションFII』に主人公たちが客演する『宇宙人相場』などがあるので、まだまだアラタやジブリールたちの活躍に期待してしまうのですね。「わくわくアラタランド」とかありそうじゃないですか。
 そして、この最終巻の注目はイトウさん。役に立つのか立たないのか、有能なのか無能なのか分からない猟犬の人。いきなり意味不明の能力を垣間見せ、この人、本当はどんな存在なんだ?とここに来てドキドキさせてくれます。しかも投げっぱなしの世界の謎。うーん。

【マージナル・オペレーション改11】【芝村裕吏】【しずまよしのり】【星海社FICTIONS】【補給線】【まめたん】【アラタランド】【尖閣諸島】【鬼子母神は鬼子母神】【航空支援】
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「女皇の帝国」 吉田親司

2021-09-04 | 架空戦記・仮想戦史
 1941年冬、ソ連軍の奇襲によって皇国は陥落した。北海道のみならず、内通者による帝都襲来までは想定外だったのだ。
 欧州を親善訪問中であった内親王『桃園宮那子様』は、ソ連の包囲網を抜け、犠牲を払いながらもトルコから御召艦の重巡〈銀河〉で黒海を抜け、スエズ運河を経由してハワイ停泊中の連合艦隊との合流を目指す……。

 架空の歴史を舞台に、邪悪な赤き帝国に北海道と帝都を占拠された皇国軍が、帝国最強の姫君を旗頭に祖国奪還に挑む仮想戦記。フランスはヴィシー政権下、ドイツは口では巧い事言いつつ牙を隠し、イギリスは相変わらずのイギリス仕草で、アメリカは伝染病の蔓延からの復興半ばでいまだ動かず。果たして内親王殿下は皇国を救えるのか?
 この時期に一気に増えた、女性を主人公にした架空戦記の一角です。

【女皇の帝国~内親王那子様の聖戦~】【吉田親司】【颯田直斗】【鷲尾直広】【ワニノベルス】【パールハーバー】【新黒死病】【オートジャイロ】【空挺戦車】【カルフォルニアシンドローム】【雪の進軍】
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「マージナル・オペレーション改10」 芝村裕吏

2020-12-11 | 架空戦記・仮想戦史
「バーカバーカ。今すぐ行くから首洗って待ってろトウヘンボク」
 アラタはまたホリーを怒らせてしまったらしいが、ジブリールには「私もホリーさんみたいに大人の会話がしたいです」と好評。

 死の商人のロイさんが教えてくれた話によると、中国軍の被害の大きさに市民が怒り始めているという。一方、シベリアもアラタとの関係修復に躍起で、話を聞いてくれるだけで1億ドル払うとか言い始めている。
 戦争に飽き飽きしているアラタだが、そろそろ戦争を終わらせるための戦いを始めることにした。
 ミャンマーとタイをまたにかけ、アラタが指揮する子供たちとまめたんの戦場が動き出す……。

 子供たちからは転がる丸い友、日本のマスコミからは挽肉製造器と悪評ふんぷんのまめたんですが、まだただの道具に過ぎません。表紙イラストのまめたんが、陸戦型ボールに見えて仕方がありませんけど。
 かっこいいイラストのストックは増えているので、人物紹介のアラタのイラストも、ニート脱出直後のものと差し替えてもいいんじゃないですか?

【マージナル・オペレーション改10】【芝村裕吏】【しずまよしのり】【星海社FICTIONS】【補給線】【まめたん】
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「幼女戦記」 カルロ・ゼン

2020-10-15 | 架空戦記・仮想戦史
「奴は、あの化け物は、化け物ではなく必然の産物なのだ」

 魔法が存在し、最初の世界大戦がそのまま第二次世界大戦までなだれ込んだような世界に幼女として転生した元・鬼畜サラリーマンの転生戦争譚。エンターブレインから刊行されている書籍版は面白いですし、東條チカのコミック版も最高。ただ、ちょっと長い。
 もともとはウェブ連載。それをしっかりはっきり細部まで書き込みし、作品としての完成度を上げているから文句はありませんが、それでも末期戦が続くと逆境に次ぐ逆境。読んでいてゼートゥーア将軍、もういいよ!と叫びたくなります。それに続きも気になりますし……ということでウェブ版です。
 β版ともいうべき存在ですが、大筋はおおよそ変わらず。さくさくさくっと戦後の東西冷戦や東南アジアの不正規戦、外伝の秋津島戦役あたりまでを読みながら、書籍版やコミックの続きを待っているのです。

幼女戦記Tuez-les tous, Dieu reconnaitra les siens】【カルロ・ゼン】【ミュンヒハウゼン・ブックス】
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「貴族になったが、未来がヤバかった」 やがみ

2020-10-12 | 架空戦記・仮想戦史
 お約束の異世界転生である。ヴェルナーは転生して貴族の家に生まれたのだ。
 しかし、まったくの異世界と思えば、なんとなく見覚えのある世界。なんと19世紀末のドイツ帝国。未来の歴史を知るヴェルナーからすれば破滅へ向かって絶賛行進中なのだが、名門の軍人家庭であり、いわゆるユンカーである家族はテコでも祖国から離れないだろうから亡命もできない。
 彼はできる範囲でなんとかしようと動き出すのだが、そこはそれ。まだまだ裕福な実家からはそれなりの資金を引き出せ……。

 20世紀初頭、ヴィルヘルム2世の治世にある帝国を舞台に、実家の財力と前世の知識を活かして国家崩壊を食い止めようとする男の一代記。いわゆる知識チートものではあるけれど、テンポ良く話を転がして大きくして、ドカーンと正史を吹き飛ばしてサッと着地する全47話。へたに長くして枝葉に入り込むと収拾がつかなくなって話の焦点がボケがちなんだけれど、このほどほどの長さが痛快感を生み出すのですね。
 壮大な話をホラ話半分にさくさくさくっと読めてしまうところが良いのです。

貴族になったが、未来がヤバかった】【やがみ】【小説家になろう】【バタフライ効果】【きれいなヒトラー】
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「マージナル・オペレーション改09」 芝村裕吏

2020-06-26 | 架空戦記・仮想戦史
「猟師が鳥を捕りすぎたら、その先にあるのは廃業だよ」
 アラタは商売になりたいからそろそろ手を切りたいけれど、人民解放軍の方は損益分岐点を割ってしまって、もはや得られるだけの利益をかき集めないと停まれないのでミャンマーからタイ、半島、沖縄へと怒濤の攻勢です。

 二〇式自動歩兵こと「まめたん」の性能を活かしたアラタたちの戦いは勝ちすぎた。もしくは相手が引き所を弁えなかった。
 地上の人民解放軍は徒らに屍を積み重ねるばかりであったが、制空権をめぐる戦いでは質より量に押されて、合衆国の優位は完全に喪われ、アラタたちと海兵隊は、格好の空爆目標となった。
 ついに本国よりの命令が下って撤退を始める海兵隊だったが、まだアラタたちの次の目的地は決まらない……。

 戦友のつもりだったのは、アラタだけです。

【マージナル・オペレーション改09】【芝村裕吏】【しずまよしのり】【星海社FICTIONS】【ドローン】【まめたん】【ワールドワイド鬼子母神】【ハニーだけ山盛り】
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「幼女戦記12」 カルロ・ゼン

2020-02-27 | 架空戦記・仮想戦史
「良い人間でありたかった」
 ゼートゥーア大将は感傷を込めてつぶやく。しかし、祖国のために彼には手段を選ぶことはできない。
 敵が「邪悪な帝国に正義が勝つ」というウソを信じたいなら信じさせてやろうではないか。

 いくら精鋭揃いで精強な帝国であろうと、世界を相手に戦い続け、なおかつ勝ち続けることは難しい。
 働けるだけ働いたデグレチャフ中佐指揮する魔導部隊も撤退指示が取り消されてしまう。中佐の部隊は少々目立つから、味方が撤退する間、前線で第203魔導大隊だけで暴れ回って時間を稼いでこいというのだ……。

 戦えど戦えど猶わが戦い、楽にならざり。ぢっと手を見る。
 軍が頑張っても頑張りすぎて政府も国民も世界を相手にして勝てると思い込んで止め時を見失ってからの物語。既に戦力は乾いた雑巾を絞ってひねり出すわけで、そこで最後まで便利に使われるのは社畜デグレチャフ中佐なのです。

「私は運命の女神に見放された男だからな。運に任せなければ、成功するんだよ、私は」
 楽しいゼートゥーア大将の八つ当たりが始まる。

【幼女戦記12】【Mundus vult decipi, ergo decipiatur】【カルロ・ゼン】【篠月しのぶ】【エンターブレイン】【壊れた天秤】【講和の模索】【最良の敗北】
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「マージナル・オペレーション改08」 芝村裕吏

2019-12-08 | 架空戦記・仮想戦史
「どこの国だって変わらないよ。悪いヤツもいる。親切なヤツもいる。それ以上に圧倒的に無関心なヤツらが多い。悪口は掃いて捨てるほど聞くし、綺麗なものも一杯ある。大事なのは国じゃない」
 日本の国について聞かれたアラタの答え。

 ミャンマー北東部での紛争は、海兵隊も本格的に米中全面対決の様相を呈していた。純日本製ドローン・まめたんを指揮下に収めたアラタは、子供の損害を減らすことができるのを喜びつつ人民解放軍に多大な出血を強いていたが、それでも中国軍の侵攻は停まらない。
 さらに朝鮮半島や沖縄の情勢もきな臭くなるに到り、日本を守るために合衆国はミャンマー方面の部隊を撤収し、再編することを検討し始める……。

 敵味方共に損害は大きくなり、「量より質」の戦いが押し切られそうになっていきます。
 そして、ジブリールのヤンデレ臭がますます強くなり、状況の悪化に他の女性陣もぴりぴりしているので、読んでいてサキだけが心のオアシスです。

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「売国機関2」 品佳直

2019-10-01 | 架空戦記・仮想戦史
「1人の聖人が真実を書くなら、100人の屑に嘘を書かせればいい。神は数が多い方の味方よ」
 嘘をつくときは大声で堂々と延々とだと、合同調整局のディアナ大佐。

【売国機関2】【品佳直】【カルロ・ゼン】【バンチコミックス】【ヒロポン】【マスコミ】
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