付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「魔法科高校の劣等生(9)」 佐島勤

2013-03-31 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「フェアという言葉は自分が有利な立場にある時に有利な条件を維持するために使われる建前、アンフェアという言葉は自分が不利な状況にある時に相手から譲歩を引き出す方便だ」
 すべて口先の方便でたいした意味は無いと司波達也。

 3ヶ月の交換留学で雫と入れ替わりでアメリカからやってきたのはアンジェリーナ=クドウ=シールズ。達也はこの金髪碧眼の少女が、米軍最強の魔法師部隊スターズの一員であることに気づくが、彼女は潜入調査をするにはあまりに畑違いで役者不足。
 様子見で彼女を泳がす達也だが、その頃都内では吸血鬼による被害が続発していた……。

 1学年度の最終エピソードだそうだけれど、今回は上中下巻の3部構成で、中巻は6月予定で先は長いね。
 面白いけれど、もともと規格外の兄妹の話なので、だんだん学園ものの枠から外れ始めて気が気ではありません。「学校の実技では落第生だけれど、理論だけは優等生。でも実戦では無双」というのが当初のおもしろポイントだったので、「実は」の部分があたりまえになると、楽しむギャップが少なくなって残念。

【魔法科高校の劣等生9】【来訪者編】【佐島勤】【石田可奈】【電撃文庫】【パラサイト】【P145.小佐】【幽体】【交換留学生】【精神汚染】
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「任務外作戦(上)」 ロイス・マクマスター・ビジョルド

2013-03-30 | 宇宙・スペースオペラ
「両親に対する負債はあなたの子どもの手で回収され、その子どもが次に渡すのよ。一種の継嗣限定相続ね。あるいはあなたが子どもを持たなければ、それは一般の人類社会に負債として残されるの」
 家族の経済は、膨大な惑星の生涯の中では勘定に入らないと国守夫人コーデリア。

 マイルズが帰還した帝国の首都バラヤーは皇帝の戴冠式を控えて慌ただしい。皇帝直属の聴聞卿であるマイルズにはさまざまな仕事が降りかかってくるが、その合間を縫ってなんとか未亡人であるエカテリンに求婚しようと作戦を練るのだが……。

 このシリーズの主人公マイルズは、数多の軍事作戦やら諜報工作やら政争を乗り越え、無数の敵に煮え湯を飲ませてきたのに、こと恋愛に関してはフーテンの寅さんとかシラノ・ド・ベルジュラックのレベル。今回に至っては、なんというか「めぞん一刻」の五代くん(金と権力はあるけど、相手は未亡人だし)。脳内イメージは一の瀬さんの胴体に五代くんの頭が乗ったマイルズ・ヴォルコシガン。
 そしてまさに帝都は一刻館の様相を呈し、策士策におぼれるというか、案の定、ナイショにしたい本人をよそにお節介なおばちゃんやら余計なことしーな友人とか周囲が勝手に勘ぐったり煽りたてたり妨害したり先走って話を進めようとしたり……。
 このシリーズ最大のトリックスターであるイワンは今回も健在。いつまでたっても分別が身につかないねえ。でも、結局、いつも自分の身を削って帳尻あわせしているような……。
 今回も邦訳タイトルは今ひとつ。そのままシビル・キャンペーンとでもしてくれた方がわくわくしますし、この内容なら「どいつもこいつもオレのプロポーズを妨害しようとしている」というタイトルもアリ。

【任務外作戦(上)】【ロイス・マクマスター・ビジョルド】【創元推理文庫SF】【求婚作戦】【バター虫】【未亡人】
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「小説家の作り方」 野崎まど

2013-03-29 | 本屋・図書館・愛書家
「この世界に存在する全ての言葉が正解です」
 駆け出しの作家・物実の言葉。

 作家の物実にファンレターを送ってきた少女は、とびっきりの美少女だけれどどこか世間知らず。彼に小説の書き方を教えて欲しいと頼み込んできた。
 この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのだけれど、それを文章にすることができないというのだ……。

 『2』を読み終えてからじっくり読み込むと二度愉しめる。あの原稿はあんなんだったのかとか、後に鈴木友子さんになるところの彼女の天才クラッカーぶりと脆弱な人間性のアンバランスさとか。
 最初は本当になにかのハウトゥー本かエッセーだと思い込んでいたのです。それが、この原稿用紙の表紙と前半の内容からは想像しにくい、急転直下の展開でした。
 こういうネタって、筒井康隆か星新一か菊地秀行あたりが書いていそうな気がするのだけれど、そういうのがあるともないとも思い出せず、もやもやばかりが腹にたまっていきます。

【小説家の作り方】【野崎まど】【メディアワークス文庫】【ノベル・ミステリー】【小説教室】【キャラクター作り】【AI】【スーパーハッカー】【モスバーガー】【ロボット】【この世で一番面白い小説】
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「まほうびんぼう」 伊藤螺子

2013-03-28 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「地獄の沙汰も金次第! エコノミカルウィッチ・シルクちゃん、ただいま推☆参!」

「あ、ありのまま今起こったことを話すぜ! 『横綱が区長の家に乱入したかと思ったら巨大化して空に飛び立った』……何を言ってるのかわからねーと思うが俺も何が起きてんのかピタイチわからねえ」
 今日も東京都戸坂区では怪事件が発生している……。

 肩こり・美白から怪奇現象まで、マッドサイエンティストと魔法少女の貧乏親子が繰り広げる何でも屋稼業。
 表紙イラストのとおり、なんでもありのゴチャゴチャっとした感じの話なのに、読後感はさわやかなバカ小説で、これはコミックやアニメより実写映画で観たい気がするけれど、今の邦画だと春日部アケミは竹中直人になりそうな予感。

【秘密結社 来夢来人】【まほうびんぼう】【伊藤螺子】【村崎久都】【徳間文庫】【おバカでキュートな青春マジカル小説】【ラーメン】【魔法陣】【匿名掲示板まとめサイト】【錬金術の基本は等価交換】【心太】【ムベンベ】
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「[映]アムリタ」 野崎まど

2013-03-27 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 『2』から始まる野崎まどを読み返す週間。

「天才監督はね、スゴイ映画を作る人だよ。過程なんかどうでもいい。フィルムが何より凄いんだ。どう凄いのか誰にも説明できない。だから誰にも真似できない。でも絶対的で唯一で無二の映画」
 ビデオレンタル・販売店『映画館』の店長は語る。
 まるで「牛の首」みたいだなあと思ったけれど、当たらずといえど遠からず。

 二見遭一は手渡された自主制作映画のコンテを読み始め……気がついたら2日間が経過していた。中身は普通の恋愛映画だったはずなのに、なぜ自分は50時間以上も読み返していたのか?
 混乱したまま大学に向かった二見は、そこで映画の監督を担当することになった最原最早に出会う……。

 真実を追い求める者と天性の大嘘つきの物語。
 芸大の映画サークル話というと、細野不二彦の『あどりぶシネ倶楽部』が大好きで、あの「好きなことを好きなようにやれる喜び」と「自分のめざす理想と自分の能力という現実のはざまであがく苦悩」が醍醐味だと思っているので、ついこの作品にもそんなテーマを期待していて足をすくわれました。この作者は、いつも導入部からの読者の予想を裏切るミスリーディングが好きだと思います。

【[映]アムリタ】【野崎まど】【森井しづき】【メディアワークス文庫】【メディアワークス文庫賞】【ボケとツッコミ】【古代のテクノロジー・VHS】【悪魔の発明】【ナジミの塔ごっこ】【カタンの開拓】【鬼愛】【沈黙の艦隊】【裸エプロン】
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「2」 野崎まど

2013-03-26 | ミステリー・推理小説
「すべての創作は、人の心を動かすためにある」
 映画監督・最原最早の言葉。

 中高年向きのラノベのおすすめということで10作品をあげたツイートがあって、エドワード・スミスの『侵略教師星人ユーマ』とか佐島勤の『魔法科高校の劣等生』とか、そこで紹介されていた既読の作品は確かに面白かったものばかりだったので、未読のそれも面白いんじゃね?とぼちぼち購入開始。
 それで「2」を読み始め、有川浩の『シアター!』みたいな演劇話かと思わせておいて、創作者の性とか、知識や意志の継続による不死性とか、いつものキーワードをちりばめながら読者を大車輪で放り出す豪快さに愕然。さらにどこかで見覚えのあるキャラクターが続々参入。
 読後感は「雨の午後はヤバイゼ」というか、野崎まど版「スーパーロボット大戦」。そうか、『2』というタイトルだけど、これは『[映]アムリタ2』であり『舞面真面とお面の女2』であり『死なない生徒殺人事件2』であり『小説家の作り方2』であり『パーフェクトフレンド2』なのね……と思っていたら、終盤でさらにもう2回ほどひっくり返されました。
 この人の作品はジャンルをひとことでまとめられないものばかりで、これは新本格ミステリだとかホラーだとかSFだとか言うだけでもネタバレになりかねないものが多いのです(だから、この作品がミステリーだというくくりも半分は間違い)。さらに、その登場人物にはささみさんとかハルヒさんとか現実を改変しちゃいそうな常人を超えた者が多いので、たぶん前作群を読まずに読んでいる人は、この伏線も何も無いような後半の展開に怒り出すんじゃないかな。
 中学の同級生に同姓同名がいることもあって、鈴木友子さんは応援したいです。

【2】【野崎まど】【メディアワークス文庫】【ノベル・ミステリー】【進化】【集団遺伝学】【ミーム】【永遠の命の生徒】【Z一歩】【マルチ商法まがいの不老不死の女】
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「東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる」 森橋ビンゴ

2013-03-25 | 本屋・図書館・愛書家
「言葉は所詮、道具に過ぎないから」
 気持ちを他人に伝えるための手段に過ぎない。

 英太と東雲も2年生になったが、とうとう東雲侑子=西園幽子であることがクラスメイトたちにばれてしまった。
 やや強引ぎみではあったけれど、演劇部から学園祭の舞台の脚本を頼まれた東雲は、スランプから脱却する機会になるかもと引き受けたのだが……。

 『東雲侑子は短編小説をあいしている』の続編。東雲がスランプに陥る一方で、2人の交際が明らかになったことから演劇部の喜多川の参入など英太の周囲はにぎやかになってきて、そのギャップでギクシャクし始めていきます。
 合間合間に挿入される西園幽子の短編の断章が、作者の心情を反映させているようにも読み取れますが、「作家というのは基本的に嘘つきだからなあ」と今ひとつ信じ込めないので、ますます展開にどきどきさせられます。

【東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる】【森橋ビンゴ】【Nardack】【ファミ通文庫】【沖縄】【修学旅行】【文化祭】
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「エイリアン・チャイルド」 パメラ・サージェント

2013-03-24 | 破滅SF・侵略・新世界
「人間のいちばんの特徴は、戦いになるのではないかと疑心暗鬼にかられたり過敏になったりすることです」
 レインの言葉。

 少女ニタは地球のどこかにある研究所でひっそりと暮らしている。彼女を育てているのはネコ型エイリアンのリペル。話し相手と言えば、リベルのパートナーのレアや人工知能のマインドくらい。
 研究所の中には他には誰もいないみたいだし、研究所の外に誰か生きているのかも彼らはおしえてくれない。
 けれど、そんなある日、彼女は自分と同じ地球人の男の子が存在していることを知る……。

 はじめて他の人間と出会った少女と少年が互いの気持ちを通じ合わせるのが、案外とあっさりと。長編にする必要があったのかしらと思うくらい、さくさく感たっぷりに淡々と話が進むジュブナイルSF。

【エイリアン・チャイルド】【パメラ・サージェント】【斉藤友子】【森のぞみ】【ハヤカワ文庫SF】【最終戦争】【進化】【冷凍装置】【ボーイ・ミーツ・ガール】
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「太陽の簒奪者」 野尻抱介

2013-03-23 | ファーストコンタクト
 西暦2006年、高校の天文部部長の白石亜紀が水星の太陽面通過を観察していて発見したのは、水星の地表から噴き上げられた鉱物資源の細い柱だった。それはやがて、太陽をとりまく直径8000万キロのリングを形成し始め、日照量の激減で人類は破滅の危機に瀕する。
 白石亜紀はやがて科学者となるが……。

『人類が滅亡することに恐怖は感じなかった。亜紀が恐れたのは、あの異星文明を知らずに死ぬことだった』

 愛想もなにもない、根っから知的興味に染まっている女性を中心に語られる、人類文明の危機とファーストコンタクトの物語。これぞ古き良きハードSF。古いというと怒られるかもしれないけれど、

【太陽の簒奪者】【野尻抱介】【ファーストコンタクト】【ダイソン球】【ナノテクノロジー】【アトミック】【ダライ・ラマ】【恒星間飛行】【AI】【やっぱりお家がいちばん】
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「あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します」 菅野彰・立花実枝子

2013-03-22 | 食・料理
 店も「生きてるか死んでるかわからない」けれど、取材者も終わったときに「生きてるか死んでるかわからない」話です。それを文とコミックでレポートしたもの。
 『とんねるずのみなさんのおかげでした』の『きたな美味い店』は、ちゃんとADが足を棒にして「店は汚いけれど美味い店」を探してきているわけで、その下準備をしなくて営業しているのかいないのかわからない店にいきなり飛び込むと地獄を見るという、リアルな探訪記。

「たった3回でおまえらはすっかりおかしくなってる!! ボーダーラインが狂ってる!」

 行ってみたら「実は美味しかった」という店はほとんどなく、そこそこ食べられたまで含めても数軒。大半は「店が汚ければ料理も不味くて不衛生」で名前も出せない店ばかりで、こんなに毎回取材陣が半死半生でよく企画が続いたな……と思う次第。

【あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します】【菅野彰】【立花実枝子】【ウィングス文庫】【古い油】【妙な味付】【過剰な化学調味料】【ハッテンバ】【ホワイトハウス】
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「東雲侑子は短編小説をあいしている」 森橋ビンゴ

2013-03-21 | 本屋・図書館・愛書家
「人間ってとてもちっぽけで、小説にしてみればせいぜい原稿用紙50枚とか60枚とかの短編小説みたいな人生しか送れないんじゃないかって」
 大長編の主人公みたいな人生の人間はそんなにいないからこそ、無い物ねだりで長編小説を求めるのでは無いかと東雲侑子。

 無気力無関心で、部活をやりたくないからと、さほど本が好きというわけでもないのに図書委員になった三並英太。だが、彼と当番が一緒になった少女・東雲侑子の秘密を知ったことから、彼女との距離が縮まっていくのだが……。

 森橋ビンゴは「ラビオリウェスタン」があまり好みでは無かったので敬遠していたら、次男が珍しくも「これ読んでみたら」お薦めしてくれるので挑戦。
 よくあるハーレム小説の鈍感主人公の言い訳、経験不足で相手の言動から本当に自分が好きかなんて確信が持てないし、勘違いだったら恥ずかしいじゃないか……というあたりをじっくり描いたラブストーリー。確かに痛い。

【東雲侑子は短編小説をあいしている】【森橋ビンゴ】【Nardack】【ファミ通文庫】【早熟な少年少女に贈る、もどかしく苦いラブストーリー】【取材】【ストラップ】【ラブホテル】
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「僕は友達が少ない ゆにばーす2」 平坂読

2013-03-20 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「聞こえない振りなんていう誠意のないことはしちゃダメだと思うんだ。耳が遠いわけでもないのに」
 ラブコメの王道を頭から否定する発言。

 レーベルの垣根を越えて、あっちこっちから人気作家やイラストレイターを引っ張り込んだ、『僕は友達が少ない』のアンソロジーの第2弾。
 買い物に街まで出かけた小鷹がいかにも脇役な高校生に知り合って「おまえはリア充だ」と突きつけられたり、毎回のように夜空にやられては部室を飛び出していく星奈がどこに行っているのか追求してみたり、小鷹が我慢するのに疲れてしまったり、今回はかなり隙間をついて読者目線のツッコミが入る作品ばかり。白鳥士郎と切符のコンビはいつものようにイラストの存在感をフルに活かした作品に仕上げてます。さすがに下品じゃないですけど。
 最後の『生徒会の一存』とのコラボ作品は再掲だそうです。今回は2篇しかありませんでしたが、せっかくレーベルの枠を超えたアンソロジーなんですから、こういうクロスオーバーな作品をもっと読みたいもんです。

【僕は友達が少ない】【平坂読】【アサウラ】【あさのハジメ】【岩波零】【白鳥士郎】【鏡貴也】【ブリキ】【みやま零】【トモセシュンサク】【狐印】【榎宮祐】【柴乃櫂人】【菊池政治】【皆村春樹】【切符】【MF文庫J】【残念アンソロジー】【エシュロン】
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「人類は衰退しました(8)」  田中ロミオ

2013-03-19 | 破滅SF・侵略・新世界
「昔の人間も繁殖欲を愛とリパッケージしたものですよ。明日の地球をよろしく」
 プチモニによろしくお願いする“わたし”。

 モニュメント計画の余波でクスノキの里は壊滅状態。日々の人口流出が止まりません。
 これをなんとかするのが国連調停官の仕事だと面倒ごとを押しつけられたわたしは、Yの口車に乗ってアニメで村おこしをしようとするのですが……。

 拡張現実が巻き起こす、新たな創造の可能性。すばらしき腐女子の桃源郷。
 でも、ナゾベームが登場する作品はちらほらあるけれど、平行植物が出てくる作品は初見。そーきたか!

【人類は衰退しました】【田中ロミオ】 【戸部淑】【ガガガ文庫】【あにめかのこうか、ばつぐんです?】【勝新】【無医村】【iphone】【世界五分前仮説】【平行植物】
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「翼の帰る処4 時の階梯(上)」 妹尾ゆふ子

2013-03-18 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「言葉というものはだな、君、思いついたらすぐ口にする方がいい。でないと苦くなる」
 口にしない言葉は腹の底で腐って臭うとタナーギン尚書官の言葉。

「隠居を許す」
 隠し鉱床の存在を暴き出し、皇帝に献上した形になったヤエトに皇帝が与えた褒美は「隠居」の許可!
 しかし、帝国の4公家の1つである<黒狼公>を隠居したといっても、北嶺王の副官であることまではやめさせてもらえなかったし、<黒狼公>を隠居するには跡継ぎを作って育てなければいけない。
 せっかく隠居を許されたのに忙しいばかりで、ちっとも暇にならないのはなぜなのか……?

 でもって、皇帝にも隠居を許したのにそれなりの思惑があり、皇妹殿下がいつも以上に大暴れしたあげく、隠居といえば諸国漫遊がつきものよねと砂漠に旅立つ怒濤の展開。
 尚書卿の半生を愉しめる蝋燭セットはぜひとも読者プレゼントか通販用に開発していただきたい。

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「裕仁皇太子 ヨーロッパ外遊記」 波多野勝

2013-03-17 | 伝記・ノンフィクション
「日本では親英というと馬鹿みたいに親英になってしまうし、親独というと馬鹿みたいに親独になってしまうが、国際問題はよほど冷静に大局から見て考えないといけない」
 ニュルンベルグにてヒトラーと会見した後の、秩父宮の感想。

 大正10年。当時皇太子であった昭和天皇は、6ヶ月に及ぶヨーロッパ外遊に出発した。それは、カゴの鳥であった皇太子が単に自由というものを知り、個人的な見聞を広めたというだけのものではなく、明治維新の功労者である元老たちが自分たちの引退前に現実的な帝王学を学ばせておきたいという政治的な思惑があってのことだった。
 しかし、さまざまな思惑から渡航先はなかなか決まらず、出発直前までスケジュールが二転三転し、最後まで予断を許さない旅程だった……。

 船旅の中で西欧風のテーブルマナーを促成で叩き込まれ、ゴルフでも柔道でもカードゲームでも皇太子だからと手抜きはされず、まだ戦死者の回収も終わっていないソンム、ヴェルダンの戦跡を見学し……という洋行の顛末を中心に、明治大正の政治情勢から、日英皇太子によるゴルフ対決、太平洋戦争後の訪米までを総括した1冊。海軍資料や関係者の日記や書簡、電報文等から再構築しています。

【裕仁皇太子 ヨーロッパ外遊記】【波多野勝】【草思社文庫】【昭和天皇の行動の原点】【可愛い子には旅をさせよ】【薩長】【排日移民法】【日英同盟】【ロイド・ジョージ】【ベーコンエッグ】【関東大震災】【日米親善野球】【スミソニアン自然博物館】
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