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「半世界」 阪本順治監督 ☓
坂本監督自身のオリジナル脚本で稲垣吾郎が主役を演じています。
炭焼き職人で生計を立てている紘(稲垣吾郎)には、愛妻の初乃(池脇千鶴)と中学生の息子がいます。父親の窯を継ぎ、木の切り出しから炭の配達までひとりで働いています。同級生の瑛介(長谷川博己)が自衛官をやめて帰郷します。ところが、古い家に雨戸を閉じて引きこもってしまいます。もうひとりの同級生光彦(渋川清彦)とともに外に連れ出すのですが・・・。
タイトルは「人々が知っている世界はあくまでも半分で残りの半分はまったく別の世界がある。」ということでしょうか。地理的なことだけでなく、経済的にも人間関係からも半分しか、つまりは自分に直接関わる世界しか理解できていないのです。39歳という年齢から人生の半分ということもいえるのかもしれません。
絶滅危惧職人の炭焼の過程を丁寧に描いていることは大変貴重です。また、海外派兵させられた自衛官のPTSDコンバットストレスについて触れたことも評価できます。ただ、娯楽映画としての魅力がいまひとつ足りないような気がしました。
タバコは、妻の池脇千鶴が喫煙者で、事務仕事をしているときに一度喫煙します。(☓)
主人公の3人は学生時代は隠れて缶ピースを吸っていたようですが、「今はみんな禁煙」し、居酒屋や漁師たちの場面でも喫煙者はいませんでした。石橋、渋川などが喫煙しなかったのは良かったです。ラストのセリフを含め、妙にタバコネタが多い作品でした。