フレドリック・ブラウン/青田勝訳 1971年 創元推理文庫
これはたしか去年9月の古本まつりで買った文庫、読んだのは最近。
短篇集の『まっ白な嘘』とか読んでみたらおもしろかったフレドリック・ブラウン、SFも書くと聞いたんで読んでみたが、SFはもともとそれほど私の好みぢゃなく、ミステリも書くと聞いたんで、こんどはそっち方面読んでみようと思った次第。
予備知識もなんもなしでね、裏表紙の「エド・ハンター・シリーズ第一作。アメリカ推理作家協会賞受賞作」くらいの文字見ただけで決めてみた、シリーズものを途中からだと話つうじないおそれあるから。
読み始めて、おや短篇集ぢゃなくて長篇かい、って思うくらい何もわかってなかったんだが、そしたら、主人公のエド・ハンターってのは、名探偵かなんかだと思ってたら全然そんなんぢゃない、18歳の印刷見習工だった。
天才少年とかでもない平凡そうな若者で、同じ仕事している父と、ママと呼んではいるけど実母ぢゃない後妻と、その連れ子である14歳の血のつながりない妹と住んでる。
で、ある朝、父が帰ってきてねえなと思ってると、警官が来て、父が殺されたことを家族に告げる、横町で強盗にやられたらしい、何軒か酒飲んでまわって帰るところを殴られて、すでに死んでるところを見つかったんだという。
エドは家族の女性二人はほっぽっといて、汽車に乗ってアンブローズ伯父さんに会いに、父の死んだことを知らせに出かけてく。
アンブローズ伯父さんは、カーニバルの興行一座に加わって旅してまわってて、ボール当てゲームの出しものしてるんで、これまた名探偵とかそんなんぢゃない。
でも、エドの話を聞くと伯父さんは、シカゴぢゃこんなありふれた夜道の強盗殺人に警察は本気で取り組んぢゃくれないから、俺たち二人で犯人を追いつめるぞ、みたいに宣言する。
かくして、エドとアム伯父さんは独自の捜査をはじめるんだが、証拠品集めて科学的分析するとかってできるわけぢゃなし、夜の街などでつっついてまわれば何かを知ってる誰かがボロを出すだろう、みたいなハードボイルドものにあるような手法をとってく。
見世物興行師にしては妙に手慣れているなと思うんだが、途中で実は以前にロサンゼルスのある私立探偵社に勤めていたんだ、なんて伯父さんは言う。
それどころか、伯父さんの弟=エドの父親は、「向こう見ずの若者で、メキシコを放浪してあるき、決闘をやり、スペインで闘牛士になろうとしたり、魔術ショーで手品師になり、ボードビル一座で暮らした」(p.129)ことがあるんだと、エドの知らなかった父親のことを語ってくれる。
ということで、ほかの短篇集読んだとこから勝手に想像した、あっと驚く意外なトリックとかブラックユーモアみたいな味とかは特になくて、わりと淡々とすすんでくんだが、もちろん、それなりに冒険はあって、ミステリってよりもエド少年が大人になるためにどうしたらいいのか物語って感じ、後半ではだいぶタフになりますが。
原題「The Fabulous Clipjoint」は1947年の作品、訳者あとがきによれば原題の由来は、シカゴの街を見下ろす光景をまえに、アンブローズ伯父さんが「でっかい低俗なキャバレーさ、エド。ここじゃどんな気違いじみたことでも起こりうるのだ」(p.285)って言ったところらしい。
これはたしか去年9月の古本まつりで買った文庫、読んだのは最近。
短篇集の『まっ白な嘘』とか読んでみたらおもしろかったフレドリック・ブラウン、SFも書くと聞いたんで読んでみたが、SFはもともとそれほど私の好みぢゃなく、ミステリも書くと聞いたんで、こんどはそっち方面読んでみようと思った次第。
予備知識もなんもなしでね、裏表紙の「エド・ハンター・シリーズ第一作。アメリカ推理作家協会賞受賞作」くらいの文字見ただけで決めてみた、シリーズものを途中からだと話つうじないおそれあるから。
読み始めて、おや短篇集ぢゃなくて長篇かい、って思うくらい何もわかってなかったんだが、そしたら、主人公のエド・ハンターってのは、名探偵かなんかだと思ってたら全然そんなんぢゃない、18歳の印刷見習工だった。
天才少年とかでもない平凡そうな若者で、同じ仕事している父と、ママと呼んではいるけど実母ぢゃない後妻と、その連れ子である14歳の血のつながりない妹と住んでる。
で、ある朝、父が帰ってきてねえなと思ってると、警官が来て、父が殺されたことを家族に告げる、横町で強盗にやられたらしい、何軒か酒飲んでまわって帰るところを殴られて、すでに死んでるところを見つかったんだという。
エドは家族の女性二人はほっぽっといて、汽車に乗ってアンブローズ伯父さんに会いに、父の死んだことを知らせに出かけてく。
アンブローズ伯父さんは、カーニバルの興行一座に加わって旅してまわってて、ボール当てゲームの出しものしてるんで、これまた名探偵とかそんなんぢゃない。
でも、エドの話を聞くと伯父さんは、シカゴぢゃこんなありふれた夜道の強盗殺人に警察は本気で取り組んぢゃくれないから、俺たち二人で犯人を追いつめるぞ、みたいに宣言する。
かくして、エドとアム伯父さんは独自の捜査をはじめるんだが、証拠品集めて科学的分析するとかってできるわけぢゃなし、夜の街などでつっついてまわれば何かを知ってる誰かがボロを出すだろう、みたいなハードボイルドものにあるような手法をとってく。
見世物興行師にしては妙に手慣れているなと思うんだが、途中で実は以前にロサンゼルスのある私立探偵社に勤めていたんだ、なんて伯父さんは言う。
それどころか、伯父さんの弟=エドの父親は、「向こう見ずの若者で、メキシコを放浪してあるき、決闘をやり、スペインで闘牛士になろうとしたり、魔術ショーで手品師になり、ボードビル一座で暮らした」(p.129)ことがあるんだと、エドの知らなかった父親のことを語ってくれる。
ということで、ほかの短篇集読んだとこから勝手に想像した、あっと驚く意外なトリックとかブラックユーモアみたいな味とかは特になくて、わりと淡々とすすんでくんだが、もちろん、それなりに冒険はあって、ミステリってよりもエド少年が大人になるためにどうしたらいいのか物語って感じ、後半ではだいぶタフになりますが。
原題「The Fabulous Clipjoint」は1947年の作品、訳者あとがきによれば原題の由来は、シカゴの街を見下ろす光景をまえに、アンブローズ伯父さんが「でっかい低俗なキャバレーさ、エド。ここじゃどんな気違いじみたことでも起こりうるのだ」(p.285)って言ったところらしい。
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