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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

オリオンラジオの夜

2019-03-02 18:53:53 | 諸星大二郎
諸星大二郎 2019年2月 小学館・BIG COMICS SPECIAL
きのう、雑誌(将棋世界)買いに本屋へ行って、なんか新しいものあるかなとコミックのエリアにも行ったら、これ見つけた。
いいぢゃないですかー、新生活の初日に、諸星先生の新刊を手に入れるなんてー、幸先がいいというか、前途を祝福されてるような気分になれた。(単純なのだ。)
「諸星大二郎劇場 第2集」ってなってるけど、1ってなんだっけって帰ってきて本棚見たら『雨の日はお化けがいるから』だった。
いいねえ、去年のことぢゃないですか、このペースで短編集出続けたらうれしいったらありゃしない。(でも、西遊妖猿伝は?)
連作の「オリオンラジオの夜」は、巻末の著者解題によると、若いころ深夜放送を仕事のBGMにしてて、
>主にその頃、ラジオに流れていたヒット曲、特に洋楽をモチーフにして、ちょっと短編を描いちゃってみよーかなーなんて思ってやっちゃったのが、このシリーズです。
ということだそうで、そうですか、描いちゃってみよーかなーですか、そのノリで今後もおねがいしたいですねえ。
なので、曲の時代はちょっと古いことになってて、60年代から70年代にかけてというとこかな。
オリオンラジオってのは、どこから放送してんのか、周波数とかもわかんない謎の放送で、屋外の特定の場所でしか聞けないし、それも冬の晴れた日にしか電波入らない。
最初の三話では、そのラジオに魅入られたように聴いてたひとが、どこか遠くへいなくなってしまって、こちらの世界に残された親しいひとに何かを伝えようとしている、みたいな調子。
四話目は、諸星作品らしいSFっぽい話なんだけど、これに出てくる『西暦2525年』って曲はまったく知らないが、ちょっと聞いてみたい気がする。
五話目は異界の話、六話目はスリラー調、いずれも諸星テイスト満載だと思います。
「原子怪獣とぼく」と「ドロシーの靴」は、音楽ぢゃなくて映画を題材にして、少年が異界に迷い込むような感じのもの。
いいよねえ、日常のすぐとなりに、なにか違うものがあるって雰囲気、「夢見る機械」とか「影の街」とかってころからのおなじみな諸星ワールドで。
コンテンツは以下のとおり。
オリオンラジオの夜
 第1話 サウンド・オブ・サイレンス
 第2話 ホテル・カリフォルニア
 第3話 悲しき天使
 第4話 西暦2525年
 第5話 赤い橋
 第6話 朝日のあたる家
原子怪獣とぼく
ドロシーの靴 または虹の彼方のぼく
コメント (1)
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総特集諸星大二郎 大増補新版

2018-07-14 17:11:51 | 諸星大二郎
文藝別冊 2011年初版発行・2018年5月大増補新版 河出書房新社
いや、出たのは知ってたんだ、この新版。
でも、前の2011年のやつ、持ってるしね。
こういうムックでも刷り直すことあるんだー、くらいにしか思ってなかったんだが。
新しいマンガはあるというし、星野之宣との対談もおもしろいらしいなんてウワサを聞いてしまっては。
買わずにはいられなくなってしまった、サブタイトル(?)変わってた、「怪を語り、快を生み出す」ね、ふむふむ。
わかりやすいことに、表紙とか目次とかに、前回の版に加えて新しくなったとこは、NEW!って表記してくれてる、それでいい。
新しいもの、思ったより多いなと驚いてたら、巻末の編集後記に、
>6年半ぶりの総特集ということで気合い満点で編集作業に臨んだところ、なんと新規100ページ、全336ページという大ボリュームの本が完成しました!(略)
>(略)文藝別冊史上で最も厚い本になりました。この本の厚さは私の諸星作品への愛情の証です。(略)
とあった、すばらしいよ、穴沢優子編集者。
もっとも、その新しいページのひとつである、諸星大二郎責任編集ページの冒頭において、肝心の諸星先生御本人から、
>このたびは文藝別冊『総特集 諸星大二郎』増補新版をお買い上げいただき、ありがとうございます。前とほとんど同じ内容なのに描き下ろしを加えただけでまた同じ本を売ろうというあくどい商法にもかかわらず、また買ってくださったお客様には、特に厚くお礼申し上げます。
なーんて言われてしまっていますが。
そのセンスに、私はついていきます。

コンテンツは以下のとおり。
・NEW!描き下ろしカラーマンガ「カタツムリの話」
・NEW!親友対談諸星大二郎×星野之宣 稗田教授と宗像教授、北海道で再会
・NEW!お蔵出し企画諸星大二郎責任編集ページ 10代の頃に描いた落書き
・特別寄稿 NEW!上條淳士、NEW!ヒグチユウコ、萩尾望都、山岸涼子、吾妻ひでお、星野之宣、江口寿史、高橋留美子、伊藤潤二、藤田和日郎、高橋葉介
・リスペクトインタビュー細野晴臣
・NEW!単行本未収録マンガ「怒々山博士 未踏の大砂漠を行く」「怒々山博士と珍面犬」「怒々山博士と宇宙からの訪問者」
・NEW!最新カラーイラスト2013-2017
・幻の初期作品 マンガ「恐るべき丘」
・諸星大二郎2万字ロングインタビュー 「現代の神話」を語り続けて
・アイデアノート大公開!「Gの日記」「海神記」NEW!「鳥居の先」
・諸星大二郎の仕事場 諸星作品の生まれる場所
・諸星マンガの貴重なシナリオ初公開!「ロトパゴイの難船」「栞と紙魚子 本の魚」「西遊妖猿伝 伊吾城の章」
・キャラクター事典72
・公開対談諸星大二郎×呉智英
・「人類学」で読み解く諸星大二郎
・「民俗学」で読み解く諸星大二郎
・「中国文学」で読み解く諸星大二郎
・作品解説55+全351作品リスト
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雨の日はお化けがいるから

2018-01-07 18:25:40 | 諸星大二郎
諸星大二郎 2018年1月 小学館・BIG COMICS SPECIAL
犬も歩けば棒に当たるというか、休みの日にはたまには本屋でものぞかなきゃと思って、地元でフラッとコミック売り場に寄ったら、こーんなにイイものを見つけた。
私の最も好きなマンガ家のひとり諸星大二郎の新刊、しかも焼き直し版ぢゃないとみた、帯に“初収録読切、満載。”ときたもんだ、こいつぁ春から縁起がいいや。
急いで買って帰って、急いで読んださ、あー幸せだ。
読んだことあるのはひとつだけ、あとは雑誌読まないせいもあって初見、それでいて昔から馴染みのテイストが感じられて、ワクワクしながらも安心。
あと嬉しいのは単行本のサブタイトルが「諸星大二郎劇場 第1集」となっていること。
第2集以降も続々出るんだろうな、小学館!? 頼むぜ、おい。
(「稗田の生徒たち」も1だけで2は出てないしな、そもそも『子供の王国』だって「珠玉短編集(1)」だったんだがそれきりだし、正直あまり期待せずに、それでも待とう。)
「闇綱祭り」(2013年)
いまはない小さな町の片身神社で毎年行われていた祭の話。
闇のなかで見えない相手と綱引きをするんだが、勝っても負けてもいけない、この世でいちばん大事なのは均衡だという。
これは『天才たちの競演(1)』ってアンソロジー単行本で読んだことがある。
「雨の日はお化けがいるから」(2015年)
タイトルから想像したとおり、「あもくん」の話。
雨の日には嫌でもお化けを見てしまうのだが、家へついてこられないように、自分で工夫してルールを作るのだけど、うまくいかない。
「ゴジラを見た少年」(2014年)
小さいころに両親と妹も亡くした少年は、その日に自分はゴジラを見たんだと言う。
その後も夢にゴジラをみるし、その場所へ行ってみるとビルが壊れていたりする。
周囲の大人たちはとりあわないが、少年はゴジラを見たことをはっきり覚えている、ゴジラは何かの象徴なのか。
「影人」(2016年)
私の好きな中国もの「諸怪志異」シリーズっぽいやつ。
宋の下級役人の李昌のところへ、ある夜、影人(えいじん)が李昌の影を迎えにやってくると、影は本体から離れて遊びに行ってしまう。
たびたび影が留守にするようになり、李昌は自分も影人の国へ行ってみたくなる。
「(眼鏡なしで)右と左に見えるもの~エリック・サティ氏への親愛なる手紙~」(2016年)
エッフェル塔の見える広場にすわり、眼鏡をかけたりはずしたりして街を見る二人組。
ふつうのひとには見えないものが見えて、使命は危険なものがいたら退治することらしい。
私はサティの曲を知らないので、何がなんのひっかけになってるのかとか、いまいちわかんない。
「空気のような…」(2006年)
“悪趣味クラブ”という突拍子もない話を語り合う集まりの場で、新たに参加したベネット卿は自分の家族の話をする。
家族というのは空気のようなものであるべきだというポリシーの持ち主だが、妻が自分の思ったより嫉妬深い性格だったことからトラブルになったという。
「怒々山博士と謎の遺跡」(2006年)
「怒々山博士と巨石遺構」(2006年)
なつかしの怒々山博士シリーズに新しいのがあったなんて。
博士と助手の林くんが山中で遺跡を探すんだが、当然バカバカしい展開になる。
「河畔にて」
第1話「クーリング・オフ」(2013年)
第2話「上流からの物体X」(2016年)
第3話「欲しいものは河を流れてくる」(2017年)
大きな河のほとりに住む少年が主人公。ほとんどセリフがなし。
河にはいろんなものが、流れてくるので、それを拾い上げるのが人生の一環。
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BOX ~箱の中に何かいる~3 完結

2017-11-05 18:03:54 | 諸星大二郎
諸星大二郎 2017年10月 講談社モーニングKC
あぶない、あぶない、どうも近ごろ書店に寄るという習慣がなくなって。
なんでだろ、通勤経路が変わって、ターミナルで降りなくなったのもあるかな。
まあ、それでも休日に地元のレイアウト変えた書店のコミック売り場をのぞいてみたら、諸星大二郎の最新刊出てるのに気づくことできた。
パズルを解いてダンジョンめぐりをする物語の最終巻、めでたく完結である。
今回は「錯視の塔」なるものが登場、マンガの自由さならではって感じで、最高です。
好奇心のためなら死んでもいいと思ってる猫、を自称する、主要登場人物のキョウコさんも喜んでます。
そして、ゴールで待ち受ける、ひとの大事なものを餌にする、“あれ”の存在が明らかに。
正体がわからないのは、ちょっと『魔障ヶ岳』の「モノ」に似た感じ。
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暗黒神話 完全版

2017-05-07 18:33:16 | 諸星大二郎
諸星大二郎 2017年3月 集英社
きょう、(なんせヒマだし、ブログに書くこともないし)何か目新しいものでもないかと、近くの書店へ行ったら、コミック新刊が並んでるとこに、「暗黒神話」が積まれてた。
びっくり。

そうかー、ウワサには聞いてたが、なんか豪華装丁の新しい版が出たっていうのはこれのことかあ。
と思って、値段見たら、またびっくり、3200円+税? 高っ!
うーん。さすがにちょっと躊躇した。
私は愛読者のつもりだが、コレクターではないので、持ってないからって何でも買うわけではない。
探してる古本だったら、その場でつかんで勢いで買うんだが。
まだ数も多くあるから、ちょっと様子見でもいいだろと思い、いったんウチ帰って、情報集める。
そうすると、外装変えただけぢゃなくて、どうやらなかみは、大幅に加筆された「完全版」ということらしい。
うん、買おう。
ふたたび出かけてって、さっさとレジへ。マンガ一冊で三千円超えは初めてだなあ、いままで一番高かったのって何だろ、とかボンヤリ思う。
>黒と銀、2色のインクが描き出すのは、現実と心象世界が交差するひと函の小宇宙。さらなる加筆と新釈、印刷技術の粋を集めた豪華装丁によって、不朽の名作がここに甦る。
って外に貼ってあるのの、印刷技術のなにがどうなのかは私にはわからん。凝ってることは確かのようだけど。

さ、読むか、って箱から取り出す前に、つい手を洗ってしまったよ。
表紙めくったとこに、“羅睺”の画が描かれた紙が挟み込まれていたのは、うれしい遊び心だ。
読んでくと、最初のほうはそれほどでもないけど、中盤から一挙に加筆が増えてて驚かされた、これはハンパぢゃない描き加えようだ。
天台宗からは、慈空上人だけではなく、慈海和尚なんて新しい登場人物が出てくるし。
飛鳥から京へかけてのエピソードがふくらんでいて、ここらへんはまったくの新展開、うれしい。
以前は「そして 飛鳥 奈良 京都で 腰に みいっつ…」だけで終わってたとこだ。
スサノオ像の登場も新しいかたちを見せてくれてるし。
ケータイのない時代だから、追っかける菊池一族に連絡をとりあうための無線機なんか持たせてるのは、ちょいと苦しい感じするがご愛嬌か。
最後は聖徳太子までアートマンの系譜に巻き込むことができて、ジグソーパズルのピースがまた増えて、物語世界の複雑さが深まったのは長年のファンとしても満足。
さあ、せっかくだから本棚しまう前に、みんなそろっての記念写真でも撮るか。

…しかし、どこにしまうかな。ガラス付きの新しい本棚でも買うかな…
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