大江健三郎 昭和47年 新潮文庫版
ひさしぶりに読み返した、短編集の文庫。
持ってるのは昭和59年の13刷。
なんで読もうと思ったんだっけか。
村上春樹を読むより前だからなあ、「万延元年」を読もうと思ったのより前だ、きっと。
そうそう、『Ev.Cafe』のなかに、あったんだ、いま探したら、村上龍のつぎのような発言。
>例えば『空の怪物アグイー』というのを大江健三郎は書いたけど、あれは武満徹がモデルでしょう。(略)
というのだけを手掛かりに、いちど読んでみようと思ったんぢゃなかったかと。
だいたいタイトルがいいやね、なにが書いてあるか読んでみたくなるもん、空の怪物、しかもアグイー、アグイーってなんだ?って。
・「不満足」
鳥(バード)というあだ名の年上の男についていって、隣りまちである地方都市に就職口を探しにいったはずの僕と菊比古は、いつのまにか鳥のおかげで、この世が地獄だと考えている“気ちがい”を探すことに巻き込まれる。(しかし、放送禁止用語がビシバシでてくるね、この時代のものは。)
・「スパルタ教育」
新興宗教の団体や信者を写した組写真を発表した、若いカメラマンのところへ、宗教団体とおぼしき相手から、手紙や電話での脅迫が舞い込んでくる。
・「敬老週間」
三人の学生が雇われたアルバイトの内容というのは、もうずいぶん長いあいだ閉じ籠っている老人に、現在の外の世界のことを話すことだった。ただし、なるべく、現実世界はいま幸福であふれているということにしてくれという注文が看護婦からつけられていた。
・「アトミック・エイジの守護神」
広島にやってきたひとりの男が十人の原爆孤児を養子にした、美談としてとりあげられた面もあるが、保険金目当てではないかという見方もあった。数年後に男は、アラブの健康法を紹介して再びマスコミの話題となろうとしていた。
・「空の怪物アグイー」
大学に入ったばかりの学生が知人のつてで始めることになったアルバイトは、ある音楽家の外出の付添いだった。音楽家は、最近ある怪物にとりつかれているのだという。
(ちなみに、ひきあいにだされるのはジェームス・スチュアートの『ハーヴェイ』という映画だが、私はそれを観たことがない。)
・「ブラジル風のポルトガル語」
四国の森林の奥深くの集落に住む五十人ほどの老幼男女すべてが、あるとき突然その集落を放棄して立ち去ってしまったという。なんか「万延元年」につながるものある感じ。
・「犬の世界」
14年前に生き別れた弟が訪ねてきたというんだが、いつも適当なことをいう大伯母の調べだというので、主人公夫婦はあまり本気にしていない。それでもなんだかんだと面倒をみてやることにしたんだけど、この弟というのが不可解なまでに暴力的な世界の住人のようだった。
ひさしぶりに読み返した、短編集の文庫。
持ってるのは昭和59年の13刷。
なんで読もうと思ったんだっけか。
村上春樹を読むより前だからなあ、「万延元年」を読もうと思ったのより前だ、きっと。
そうそう、『Ev.Cafe』のなかに、あったんだ、いま探したら、村上龍のつぎのような発言。
>例えば『空の怪物アグイー』というのを大江健三郎は書いたけど、あれは武満徹がモデルでしょう。(略)
というのだけを手掛かりに、いちど読んでみようと思ったんぢゃなかったかと。
だいたいタイトルがいいやね、なにが書いてあるか読んでみたくなるもん、空の怪物、しかもアグイー、アグイーってなんだ?って。
・「不満足」
鳥(バード)というあだ名の年上の男についていって、隣りまちである地方都市に就職口を探しにいったはずの僕と菊比古は、いつのまにか鳥のおかげで、この世が地獄だと考えている“気ちがい”を探すことに巻き込まれる。(しかし、放送禁止用語がビシバシでてくるね、この時代のものは。)
・「スパルタ教育」
新興宗教の団体や信者を写した組写真を発表した、若いカメラマンのところへ、宗教団体とおぼしき相手から、手紙や電話での脅迫が舞い込んでくる。
・「敬老週間」
三人の学生が雇われたアルバイトの内容というのは、もうずいぶん長いあいだ閉じ籠っている老人に、現在の外の世界のことを話すことだった。ただし、なるべく、現実世界はいま幸福であふれているということにしてくれという注文が看護婦からつけられていた。
・「アトミック・エイジの守護神」
広島にやってきたひとりの男が十人の原爆孤児を養子にした、美談としてとりあげられた面もあるが、保険金目当てではないかという見方もあった。数年後に男は、アラブの健康法を紹介して再びマスコミの話題となろうとしていた。
・「空の怪物アグイー」
大学に入ったばかりの学生が知人のつてで始めることになったアルバイトは、ある音楽家の外出の付添いだった。音楽家は、最近ある怪物にとりつかれているのだという。
(ちなみに、ひきあいにだされるのはジェームス・スチュアートの『ハーヴェイ』という映画だが、私はそれを観たことがない。)
・「ブラジル風のポルトガル語」
四国の森林の奥深くの集落に住む五十人ほどの老幼男女すべてが、あるとき突然その集落を放棄して立ち去ってしまったという。なんか「万延元年」につながるものある感じ。
・「犬の世界」
14年前に生き別れた弟が訪ねてきたというんだが、いつも適当なことをいう大伯母の調べだというので、主人公夫婦はあまり本気にしていない。それでもなんだかんだと面倒をみてやることにしたんだけど、この弟というのが不可解なまでに暴力的な世界の住人のようだった。
