ロバート・B・パーカー/菊池光訳 1994年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
パーカーつながり。
いくらスペンサー・シリーズを読み返してるとはいえ、これをもう一回読むとは思わなかった。
ってのは、文庫出たときに確かに読んだんだけど、これは二度は読まんよと判断して何度目かの引越のときに売っちゃった、明確な記憶があるから。
それなのに、ことし年明けに古本屋でフラフラと買った、原題「LOVE AND GLORY」は、探偵小説ぢゃない。
簡単にいうと、女にフラレタ男がとことん落ち込んで、そっから再起してくるって話。
自分をとりもどすんだ、彼女にふさわしい立派な男になるのだ、みたいなスペンサー以上に、男はこうあるべき的なテーマが初めて読んだとき、ダメだったんだよねえ私には。
主人公のブーンは1950年に大学に入学、あまり真面目な学生ではないが、作家志望でクラス中の作文を引き受けたりするようなとこある。
新入生のパーティで一目ぼれしたジェニファは最初他の学生とつきあってたんだが、やがてブーンとつきあうことになる。
>十九歳、何かが起きようとしている。(略)神様が今まさに自分に刻印を打とうとしておられる、それがわかっていて、私は心底から怯えた。
ってのが彼女を自分のものにしようとしたときの心境だが、神様が出てくるのはたぶんカソリックだからぢゃないかと。
これでハッピーな人生が開かれるかというと、成績も素行もわるくて退学になってしまい、ブーンは徴兵されて朝鮮戦争に行くことになってしまう。
(スペンサーも朝鮮戦争行ってたね、たしか。)
どこへ行っても熱烈な手紙を彼女に送り続けるんだけど、ジェニファは彼の留守中にべつの男と婚約してしまう。
>あなたに対してはいつまでも特別の感情を抱いているが、あなたの愛情の激しさ、完全を求める気持ちにはとうてい応えられない
だそうだ彼女の言い分は。その後ブーンから送った手紙はいつも未開封で返送されてくる、やれやれ。
帰国して、彼女の結婚披露パーティに出たとき、ブーンは酔っぱらってしまったけど、
>二人で愛について語り合った時、私たちは別々のことについて話していたのだ、自分の解釈の仕方が常に正しいとは限らない
ってことに気づく。彼女のほうは「わたしたち、友だちでいられる」とか言うんだけど。ときに1954年8月。
かくして希望してたのと別の人生を歩むことになったブーンだが、就職すんのも苦労して52社目の面接でようやく雇われる。
しかし、会社でうまくやっていけずに、すぐやめる。そのあとも職を転々としながら、二日酔いで無断欠勤してクビになったりを続けながら、だんだんひどい状態になりながら放浪してく。
あてもなくさまよい続けて、ボストンからスタートしたはずだが、服もぼろぼろ浮浪者同然でたどりついたとこは西海岸のサンタモニカ。
どこへ行っても、投函されるはずはないがジェニファにあてて書き続けてる手紙というか日誌のノートは、離さず持ってるんだけど。
絶望しきって泣きながら浜で寝て、目覚めたとこで、彼はようやく再起を志す。東のほう見て「君を必ず取り戻す」とか言う、よしなさいって。
で、皿洗いの仕事を始めたのをきっかけに、心身の健全さをとりもどすことを始める。
浜を走ったり、雇い主につれられてベンチプレスを教わったりすんだ、やっぱスペンサーとやること一緒だ。
その後、仕事を大工に変えたりしながら、とうとう一年後にはボストンへ戻る。目的は夫の教授といっしょに大学で助手をしているジェニファに会うため。執念深いねえ。
彼女のほうは、あいかわらずの性格で、「またあなたがそばにいてくれて、ほんとに嬉しい」なんて言う。
もっともブーンのほうも、彼女が義母と言い争うことがあるなんて話をすると、即座に「きみと意見がくいちがったら、彼女がまちがっている。きみが正しい。」なんて言い方するんだから、おいおいどれだけ女神さまなんだよ。
かくして、再会した二人はいろんなことを語り合ってくうちに、お互いの存在のおかげで、自分は自力ではなれなかった、まともな人間になれたって認め合うことになるんだが。
やっぱ、なんかおもしろくないんだよなあ、そのへんが。かっこつけすぎで。
パーカーつながり。
いくらスペンサー・シリーズを読み返してるとはいえ、これをもう一回読むとは思わなかった。
ってのは、文庫出たときに確かに読んだんだけど、これは二度は読まんよと判断して何度目かの引越のときに売っちゃった、明確な記憶があるから。
それなのに、ことし年明けに古本屋でフラフラと買った、原題「LOVE AND GLORY」は、探偵小説ぢゃない。
簡単にいうと、女にフラレタ男がとことん落ち込んで、そっから再起してくるって話。
自分をとりもどすんだ、彼女にふさわしい立派な男になるのだ、みたいなスペンサー以上に、男はこうあるべき的なテーマが初めて読んだとき、ダメだったんだよねえ私には。
主人公のブーンは1950年に大学に入学、あまり真面目な学生ではないが、作家志望でクラス中の作文を引き受けたりするようなとこある。
新入生のパーティで一目ぼれしたジェニファは最初他の学生とつきあってたんだが、やがてブーンとつきあうことになる。
>十九歳、何かが起きようとしている。(略)神様が今まさに自分に刻印を打とうとしておられる、それがわかっていて、私は心底から怯えた。
ってのが彼女を自分のものにしようとしたときの心境だが、神様が出てくるのはたぶんカソリックだからぢゃないかと。
これでハッピーな人生が開かれるかというと、成績も素行もわるくて退学になってしまい、ブーンは徴兵されて朝鮮戦争に行くことになってしまう。
(スペンサーも朝鮮戦争行ってたね、たしか。)
どこへ行っても熱烈な手紙を彼女に送り続けるんだけど、ジェニファは彼の留守中にべつの男と婚約してしまう。
>あなたに対してはいつまでも特別の感情を抱いているが、あなたの愛情の激しさ、完全を求める気持ちにはとうてい応えられない
だそうだ彼女の言い分は。その後ブーンから送った手紙はいつも未開封で返送されてくる、やれやれ。
帰国して、彼女の結婚披露パーティに出たとき、ブーンは酔っぱらってしまったけど、
>二人で愛について語り合った時、私たちは別々のことについて話していたのだ、自分の解釈の仕方が常に正しいとは限らない
ってことに気づく。彼女のほうは「わたしたち、友だちでいられる」とか言うんだけど。ときに1954年8月。
かくして希望してたのと別の人生を歩むことになったブーンだが、就職すんのも苦労して52社目の面接でようやく雇われる。
しかし、会社でうまくやっていけずに、すぐやめる。そのあとも職を転々としながら、二日酔いで無断欠勤してクビになったりを続けながら、だんだんひどい状態になりながら放浪してく。
あてもなくさまよい続けて、ボストンからスタートしたはずだが、服もぼろぼろ浮浪者同然でたどりついたとこは西海岸のサンタモニカ。
どこへ行っても、投函されるはずはないがジェニファにあてて書き続けてる手紙というか日誌のノートは、離さず持ってるんだけど。
絶望しきって泣きながら浜で寝て、目覚めたとこで、彼はようやく再起を志す。東のほう見て「君を必ず取り戻す」とか言う、よしなさいって。
で、皿洗いの仕事を始めたのをきっかけに、心身の健全さをとりもどすことを始める。
浜を走ったり、雇い主につれられてベンチプレスを教わったりすんだ、やっぱスペンサーとやること一緒だ。
その後、仕事を大工に変えたりしながら、とうとう一年後にはボストンへ戻る。目的は夫の教授といっしょに大学で助手をしているジェニファに会うため。執念深いねえ。
彼女のほうは、あいかわらずの性格で、「またあなたがそばにいてくれて、ほんとに嬉しい」なんて言う。
もっともブーンのほうも、彼女が義母と言い争うことがあるなんて話をすると、即座に「きみと意見がくいちがったら、彼女がまちがっている。きみが正しい。」なんて言い方するんだから、おいおいどれだけ女神さまなんだよ。
かくして、再会した二人はいろんなことを語り合ってくうちに、お互いの存在のおかげで、自分は自力ではなれなかった、まともな人間になれたって認め合うことになるんだが。
やっぱ、なんかおもしろくないんだよなあ、そのへんが。かっこつけすぎで。