丸谷才一 1991年 マガジンハウス
これまた、去年、つい買ってしまった丸谷才一の古本。
例によって、なんのこっちゃわからないタイトルがついてるが、主に書評を集めたもの。
だいたい1980年代に書かれたもので、週刊朝日に連載をもっていたようだ。
その章だけで、72もあるんで、とりあげられてる書名を並べるわけにもいかないが。
うれしいことに、巻末に「丸谷才一 書評索引」というインデックスがあって、本書だけぢゃなく、ほかの単行本に収録されてるものまでリストアップ。
しかも、書名と著者名と翻訳者名とどれからでもひける、いいねえ、これ。
とはいうものの、なんだか、今回にかぎっては、読んでみたくなる本が一読したかぎりでは見つからなかった。
読書的好奇心というか感性がおとろえてしまったのかもしれないと思うと、なんかこわい。
おもしろそうなの見つかって、肝心の本そのものがまた見つからないのも困るのだが。
(※2021年12月19日加筆修正)
大きな章立ては以下のとおり。
コンテンツは以下のとおり。ちゃんとした書評なのに「書評の練習」という章名をつけるところが、なんとも。
I 『源氏物語』から和田誠まで
後朝
榊の小枝
葡萄酒いろの海
水原一の『平家』研究
中野好夫を悼む
書巻の気
文藝時評的な感想
夷齋登仙
八月生れの男の子
一種の反小説
小説好き
敬愛する先輩
現場の人
文学のオルガナイザー
和田誠の装釘
II 書評の練習
シャガールの油絵のやう
思へば遠くへ来たもんだ
死者の国
勇気と意欲の書
上海一九四一年
喪失の感覚
愛と死
巨匠の好み
女の匂ひがたちこめる
短篇小説の技法
距離の取り方
ルネサンス的人間
日本食欲振興会
子供の運命
さまよへるルーマニア人
アボリジニー神話と『ユリシーズ』
苦悩の図像学
門外漢の特権
月夜の逢引き
人間の条件
昭和戦史
萌葱と柿と黒
日本詞華集
ハイク的長篇小説
もつとミルクを
花鳥諷詠
俳諧自在
渦潮の画家
若いフロベール
亡霊の乗る幻の馬車
カトリック反小説?
『百年の孤独』の作家
古俳諧に近く
夜の底が白くなつた
小夜まくら
あるスパイの報告書
家族としての犬
「もののあはれ」と「もののまぎれ」
雲に翔ぶ鳥
子供の研究
あの禿頭の劇作家
架空の古人の伝記
愛と魔法
人間的時間
暗い部屋
アガサ・クリスチーに逆らつて
秩序の逆転
料理自慢の屋敷
作曲家にして知識人
子規の門人
ヴィッカス・ホールの花
論理とイメージの二刀流
カエサルたちの伝記
偉大なジャーナリスト
雌雄男女
当世柳多留
三味線と蛸は血を狂はす
もう一人の白秋
北一輝も石原莞爾も磯部浅一も
フロイト? フロイト左派?
作中人物としての作家
作家の批評
彼の王朝秀歌選
卑弥呼から久美子まで
マチスモとは何か
ボヴァリー夫人は彼だ
悪い冗談?
遠征の記録
俳諧の楽しみ
医学部の先生
音楽批評の巨匠
随筆集の工夫
III 推薦の言葉
国民的説話
思ひ出
新しい同業者
百年の言論
藝の不思議
社会が屹立する
本居宣長の一生
議論と閑談の大家