山崎浩一 昭和61年 光文社文庫
サブタイトルは「僕的情報整理術」。
おもに80年代前半ころに雑誌なんかに書かれたコラムを集めたもの。
構成として、刺激と退屈を交互に並べて、読んだら得点をつけて集計しろってスコアボードも用意されてる。
まえがきにあたる部分で、
>(略)80年代における退屈的刺激状況、あるいは刺激的退屈状況を、イタチごっこの形式を借りて記録したスコアブック(略)
>どうやらいまでは退屈と刺激は、まるでアイスクリームのフレーバーとトッピングのように溶け合い、不倫の共犯関係になっちゃったらしいのです。おかげでぼくたちはホンモノの退屈も刺激もどちらも見つけにくくなってしまいました。
というように、なにが刺激でどっちが退屈なのかなんてそのときによって変わっちゃうに決まってんだからってことことわってはいますが。
ネットもなかった80年代において、すでに情報化社会のおかしくなったとこ指摘してたりして、
>情報化社会は、僕たちを断片的情報(=結果)の収集と蓄積に駆り立てる。でも、そんなものが面白いはずがなかったのだ。それは“プロセスの抜け殻”のコレクションなのだから。(略)
>ミステリー小説の結果が知りたいからと言って、いきなり最後のページを読んでしまう人がいるだろうか。
>野球の結果が重要だからと言って、9回裏が終わるころに球場に足を運ぶ人がいるだろうか。(略)
>ところが、僕たちは、日常生活の中で往々にして、それと似たようなことをくり返しているんじゃないだろうか? 結末だけをせっかちに追い求めるあまり、最も面白いはずのプロセスをはしょってしまう。そして「何か面白いことない?」などと退屈そうに物欲しそうに、また結果ばかりを漁り回る。(p.294-295「街のポトグラフィー・パフォーマンス」)
なんてのは、現代の脳ミソをスマホんなかに移しちゃったような人種について言えてるようで。
どうでもいいけど、前回の『おやつストーリー』のとこで出した“ビンボー遊戯”ってのは、並行して読んでた本書のなかにある。
1985年の記事で、“港区少女”がカフェバーよりも今は〈村さ来〉という導入から始まって、
>高度情報化社会が知のハイアラーキーのネジをバカにしてしまった時、“知との軽やかな戯れ”が始まったように、高度消費社会が貧乏をフィクションの中に幽閉してしまった時、人は“ビンボーとの軽やかな戯れ”を始めたのである。(p.304「カフェバーから居酒屋へ」)
なんていって、モノがあふれかえって、あらゆるものを完備したところで、ひとは貧乏とか不便とかってのに目を向けて楽しむようになっちゃってる、みたいな話。
泉麻人と近いようなとことしては、何が流行するかなんて話のなかで、
>とにかく、いまや受け手や消費者を「一般大衆=マス」としてとらえることは、ほぼ不可能になっている。モノや情報や娯楽の量が限られていた時代ならともかく、万人にウケようとしてつくられたものなどロクなものではない、ということを“万人”が知りつくしてしまっているのだ。(略)
>流行させようという作為が少しでも匂ったりすると、たちまち受け手はソッポを向く。(p.266-267「面白がられて飽きられて」)
なんて狙ってわざとらしくつくったものは面白くないみたいなことを解説してくれてる。
コンテンツは以下のとおり。
刺激1 サッちゃんの股間探険が残した永遠の謎。 退屈1 "珍人類3人組”が回顧する1986年
刺激2 世紀末妖怪パラダイス 退屈2 SF:子どもたちの忘れ物
刺激3 放課前のゲームセンター 退屈3 魔球・秘球・怪球・妖球 大研究
刺激4 ジャンプ大研究 退屈4 鉄とコンクリートの日常
刺激5 花と美形の“現実離れ” 退屈5 山崎浩一が選んだ失恋から立ち直る5冊
刺激6 セックスの快感の〈本質〉 退屈6 予備校の広告を見た
刺激7 サントリーのレトリック 退屈7 学園都市 八王子(another side of tokio city)
刺激8 RC或日立志伝 退屈8 エイド・フォー・アフリカ
刺激9 J・Pホーガンのすすめ 退屈9 奇妙な女権社会の到来
刺激10 松田聖子 最後の成長神話(サクセス・ストーリー) 退屈10 セイコのシアワセ特上フルコース
刺激11 男の美容整形手術 退屈11 ある日、突然、就職戦争
刺激12 会社は劇場。 退屈12 山アラシより賢く生きる法
刺激13 スキッパラ症候群(シンドローム) 退屈13 ビョーキの星
刺激14 東京イトイ学概論・短期集中図説ゼミ 退屈14 キーワードの時代
刺激15 CI講座 退屈15 面白がられて飽きられて
刺激16 ヒット商品の〈心〉 退屈16 無国籍効果〈エフェクト〉
刺激17 街のポトグラフィー・パフォーマンス 退屈17 メディアの国のお嬢さま
刺激18 カフェバーから居酒屋へ 退屈18 サイフから生まれた〈新人類〉
刺激19 幼児的無邪気さのマネー・ゲーム 退屈19 信じられるのはお札だけ
刺激20 田中角栄現象〈素朴な7つの疑問〉 退屈20 個性なんて犬にくれてしまえ
刺激21 文庫本ウォーズ 退屈21 日米両国ナメ本文化with松尾多一郎
刺激22 コラム化現象 退屈22 新生『朝日ジャーナル』徹底診断
刺激23 その後の新生『朝日ジャーナル』 退屈23 70年代アメリカの大変化
刺激24 YARASE 退屈24 四角い箱のペテン
刺激25 『きょうの出来事』論 退屈25 『いま世界は』論
刺激26 娯楽番組としてのTVニュース 退屈26 TV、それだけの話二題
刺激27 TVフォアランナーの分析 退屈27 「生活のデータベース」としてのニューメディア
サブタイトルは「僕的情報整理術」。
おもに80年代前半ころに雑誌なんかに書かれたコラムを集めたもの。
構成として、刺激と退屈を交互に並べて、読んだら得点をつけて集計しろってスコアボードも用意されてる。
まえがきにあたる部分で、
>(略)80年代における退屈的刺激状況、あるいは刺激的退屈状況を、イタチごっこの形式を借りて記録したスコアブック(略)
>どうやらいまでは退屈と刺激は、まるでアイスクリームのフレーバーとトッピングのように溶け合い、不倫の共犯関係になっちゃったらしいのです。おかげでぼくたちはホンモノの退屈も刺激もどちらも見つけにくくなってしまいました。
というように、なにが刺激でどっちが退屈なのかなんてそのときによって変わっちゃうに決まってんだからってことことわってはいますが。
ネットもなかった80年代において、すでに情報化社会のおかしくなったとこ指摘してたりして、
>情報化社会は、僕たちを断片的情報(=結果)の収集と蓄積に駆り立てる。でも、そんなものが面白いはずがなかったのだ。それは“プロセスの抜け殻”のコレクションなのだから。(略)
>ミステリー小説の結果が知りたいからと言って、いきなり最後のページを読んでしまう人がいるだろうか。
>野球の結果が重要だからと言って、9回裏が終わるころに球場に足を運ぶ人がいるだろうか。(略)
>ところが、僕たちは、日常生活の中で往々にして、それと似たようなことをくり返しているんじゃないだろうか? 結末だけをせっかちに追い求めるあまり、最も面白いはずのプロセスをはしょってしまう。そして「何か面白いことない?」などと退屈そうに物欲しそうに、また結果ばかりを漁り回る。(p.294-295「街のポトグラフィー・パフォーマンス」)
なんてのは、現代の脳ミソをスマホんなかに移しちゃったような人種について言えてるようで。
どうでもいいけど、前回の『おやつストーリー』のとこで出した“ビンボー遊戯”ってのは、並行して読んでた本書のなかにある。
1985年の記事で、“港区少女”がカフェバーよりも今は〈村さ来〉という導入から始まって、
>高度情報化社会が知のハイアラーキーのネジをバカにしてしまった時、“知との軽やかな戯れ”が始まったように、高度消費社会が貧乏をフィクションの中に幽閉してしまった時、人は“ビンボーとの軽やかな戯れ”を始めたのである。(p.304「カフェバーから居酒屋へ」)
なんていって、モノがあふれかえって、あらゆるものを完備したところで、ひとは貧乏とか不便とかってのに目を向けて楽しむようになっちゃってる、みたいな話。
泉麻人と近いようなとことしては、何が流行するかなんて話のなかで、
>とにかく、いまや受け手や消費者を「一般大衆=マス」としてとらえることは、ほぼ不可能になっている。モノや情報や娯楽の量が限られていた時代ならともかく、万人にウケようとしてつくられたものなどロクなものではない、ということを“万人”が知りつくしてしまっているのだ。(略)
>流行させようという作為が少しでも匂ったりすると、たちまち受け手はソッポを向く。(p.266-267「面白がられて飽きられて」)
なんて狙ってわざとらしくつくったものは面白くないみたいなことを解説してくれてる。
コンテンツは以下のとおり。
刺激1 サッちゃんの股間探険が残した永遠の謎。 退屈1 "珍人類3人組”が回顧する1986年
刺激2 世紀末妖怪パラダイス 退屈2 SF:子どもたちの忘れ物
刺激3 放課前のゲームセンター 退屈3 魔球・秘球・怪球・妖球 大研究
刺激4 ジャンプ大研究 退屈4 鉄とコンクリートの日常
刺激5 花と美形の“現実離れ” 退屈5 山崎浩一が選んだ失恋から立ち直る5冊
刺激6 セックスの快感の〈本質〉 退屈6 予備校の広告を見た
刺激7 サントリーのレトリック 退屈7 学園都市 八王子(another side of tokio city)
刺激8 RC或日立志伝 退屈8 エイド・フォー・アフリカ
刺激9 J・Pホーガンのすすめ 退屈9 奇妙な女権社会の到来
刺激10 松田聖子 最後の成長神話(サクセス・ストーリー) 退屈10 セイコのシアワセ特上フルコース
刺激11 男の美容整形手術 退屈11 ある日、突然、就職戦争
刺激12 会社は劇場。 退屈12 山アラシより賢く生きる法
刺激13 スキッパラ症候群(シンドローム) 退屈13 ビョーキの星
刺激14 東京イトイ学概論・短期集中図説ゼミ 退屈14 キーワードの時代
刺激15 CI講座 退屈15 面白がられて飽きられて
刺激16 ヒット商品の〈心〉 退屈16 無国籍効果〈エフェクト〉
刺激17 街のポトグラフィー・パフォーマンス 退屈17 メディアの国のお嬢さま
刺激18 カフェバーから居酒屋へ 退屈18 サイフから生まれた〈新人類〉
刺激19 幼児的無邪気さのマネー・ゲーム 退屈19 信じられるのはお札だけ
刺激20 田中角栄現象〈素朴な7つの疑問〉 退屈20 個性なんて犬にくれてしまえ
刺激21 文庫本ウォーズ 退屈21 日米両国ナメ本文化with松尾多一郎
刺激22 コラム化現象 退屈22 新生『朝日ジャーナル』徹底診断
刺激23 その後の新生『朝日ジャーナル』 退屈23 70年代アメリカの大変化
刺激24 YARASE 退屈24 四角い箱のペテン
刺激25 『きょうの出来事』論 退屈25 『いま世界は』論
刺激26 娯楽番組としてのTVニュース 退屈26 TV、それだけの話二題
刺激27 TVフォアランナーの分析 退屈27 「生活のデータベース」としてのニューメディア