many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

諸星大二郎の世界

2017-03-12 18:54:15 | 諸星大二郎
コロナ・ブックス編集部 2016年 平凡社
「BOX」を読んだあと、年明けすぐくらいに、いまさら作者研究ものはいいんだけどなと、迷いながら、やっぱ買ってみた。
諸星作品とは長いつきあいなので、もう読んでおもしろければそれでいいんで、誰がどんな解説くわえようが関係ないっていえば関係ない。
今回めずらしいのは、書斎の本棚を詳細に紹介しているところか。
すごいなあ、外見の写真撮るだけぢゃなくて、一冊一冊のリストつくってる、取材とはいえ、よく応じたもんだ。
私なんか、こうやって持ってる本恥ずかしげもなくさらしてるけど、実際に本棚を他人が調べようとしたら、ちょっと待て触るな、って絶対言うと思う。
あと、その書斎っていうか仕事部屋の、置いてあるもののサイズまで測って、平面図をつくってるのも、ちょっとおもしろい。
んー、マンガ家の仕事場っていえば、NHKのテレビで浦沢直樹の漫勉ってのやってんだが、私はあのシリーズ好きなんで毎回観てるけど、もし諸星先生とか出てきたら、食い入るようにみちゃうとは思う。
コンテンツは以下のとおり。「諸星研究序説」は、評論は見開き2頁分だけなんだけど、原画がいっぱい。
・諸星研究序説
 古代 松木武彦
 民俗 畑中章宏
 東洋 福島亮大
 南方 都留泰作
 西洋 東雅夫
 日常 東雅夫
・諸星少年のいた街で。
・エッセイ「本木町を訪ねて」諸星大二郎
・諸星大二郎の本棚
・対談 山岸凉子×諸星大二郎
・諸星大二郎に聞く95の質問
・略年譜
・諸星大二郎主要作品解説 斎藤宣彦
・諸星大二郎全335作品初出誌&単行本データ
…「諸星大二郎に聞く95の質問」は、『諸星大二郎西遊妖猿伝の世界』の記事を一部削っての再収録。ダメだよ、手抜きは。


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騎士団長殺し

2017-03-11 17:05:00 | 村上春樹
村上春樹 2017年2月 新潮社 第1部顕れるイデア編・第2部遷ろうメタファー編 全2巻
なんだかんだ言って、やっぱ好きな作家の新しいものは読むんである。
買いましたよ、発売日の2月の24日に。
2冊ホイってレジに持ってったら、書店の店員さんがバーコードリーダーとかレジに触ったりもせず「3888円です」ってサクっと言ったのが、妙に印象に残ってる、朝から売り飽きたか。
当日は夕方から新幹線乗って大阪行くんだったんで、これ以上荷物重くしてどうすんのよと思ったけど、しかたない。
あと私のカバンは中途半端な大きさなんで、運んでるうちに中で本が揺れて折れたり傷んだりしないか気を遣うんだけど。
それはいいとして、行き帰りで読めるかなと思ったんだけど、とんでもない。
ギッチリとした感じのなかみで、とても読みでがある。私の小説読む力が衰えたのかもしれないが。
で、3月から自分の環境がちょっと変わるんで、なかなか落ち着いて本読めずにいたんだけど、まあ1週間後くらいには無事読み終えることができた。
早く目が覚めてしまった休日の朝ってのが、いまの私にとっては新しい本読むにはいちばんはかどる時間帯なのかもしれない。
いつものように、新しいものについて私は、ここに細かくスジとかについて並べ立てるようなつもりはあらない。
忘れないように自分用にメモっとくと、主人公は画家で36歳。奥さんから離婚を申し立てられちゃうってのは、村上作品にはよくあるような気がする。
んー、読んで一週間経ってようやく気づいてきたけど、雰囲気として似てるのは“ねじまき鳥”かなあって感じがしてきた。
(大江健三郎で、“穴の中”にいるの何だっけ、「万延元年のフットボール」?)

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方舟さくら丸

2017-03-05 17:52:17 | 読んだ本
安部公房 平成2年 新潮文庫版
年末に古い本棚から、あらまだ持ってるものあったんだ安部公房、って見つけて、最近読み直した文庫。
もぐらという綽名をもつ主人公は、身長1メートル70、体重98キロ、手足は短めという体型。
海の近くの棄てられた採石場跡の小山ひとつ分ほどの地下空間を勝手に自分のものにしている。
食料や燃料とか備品のメンテナンスも欠かさない、その目的は核戦争が起きたときにそこで生き延びようというもの。
他人の侵入をふせぐために、あちこち罠を仕掛けてあったりして、かなりマニアックというかパラノイアというか。
すっごい広い空間なので、なにも自分ひとりだけで使おうとは思ってなくて、自分は方舟の船長となり、誰を乗組員として認めてやるかってことに頭を悩ましたりもしてる。
で、ある日、県庁のある街のデパートの屋上でやってた、「宝物展示即売会」っていう素人が集まって屋台を並べてる催しものに興味ひかれる。
そこで、エピチャム島に棲息してるというユープケッチャって昆虫を売ってるのをおもしろいとおもって購入する。
その場でのひょんな関わり合いから、その昆虫屋と、そこにいたサクラだという一組の男女を、自分の地下要塞に招くことになってしまう。
かくして、船長の当初の思惑をよそに、闖入者も含めて地下でドタバタの騒動が繰り広げられる。
しかし、私には空間の想像力が無いせいか、読んでてもなんかイメージがわかないんだよなー。
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枕の千両

2017-03-02 19:40:15 | 読んだ本
山上たつひこ 2015年 フリースタイル
この目にも鮮やかな、誰がみても江口寿史が描いたとわかる、すてきなカバー。
以前、書店で見かけて、あーこんなのあるんだ、なんだマンガぢゃないんだ、そのうち買おう、なーんて通り過ぎてしまっていて。
当世の書店事情の例にもれず、ちょっとすると見かけなくなってしまった。
ことし年明けに出張行った先で、わりと大きい本屋で買った。
地方の大きい本屋は、返品しないで在庫かかえても大丈夫な体力あるらしく、よくいろんなものを見つけられる気がする。
それはいいとして。
前に、文藝別冊の山上たつひこ特集のなかにあった文章がちょっとおもしろかったので、読んでみたくなってたんだが。
なんの事前の知識もなく、いきなりとっかかったんだが、おどろいたことに、主人公が枕。
人の母から産まれた枕で、名前が千両。なんだ、そりゃ。
胎児の超音波写真を見せられて、枕がおなかの中にいるけど、産むって決断をしたって、冒頭から奇抜さにぶっとばされた。
枕の体のなかみは蕎麦殻。湯なんかにつかったら死んでしまうと言いつつ、喉から流し込むぶんには大丈夫とかいってビールは飲む。
車も運転できるし、飛ぶような勢いで走りまわることもできる、どうなってんだか。
そして「器物」を動かすという特殊な能力も持っている。
あとは、やっぱ枕だから、寝てるひとのアタマにあてがわれれば、その記憶を読めたりするって、特技もある。
そういう力を駆使して、某地方都市、「百足山市」ってなってるけど、金沢がモデルなんだろうな多分、で起きた事件にかかわって、悪い奴らを退治する。
物語はあんまり気持ちよいとはいえないな、どろどろしてる。
ときどき、「おれはくたびれていた。頭のてっぺんから爪先まで腐った灯油を詰められた気分だった。」みたいな、妙な表現の独白が入ってくるのが、ギャグマンガっぽさ感じられていい。
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