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中小企業診断士と他仕業の連携とすみわけ

2021-07-27 12:00:00 | 21期生のブログリレー
ご挨拶
本年7月から中小企業診断士として独立し、ようやく開業を本格化させた中川聖明と申します。
自分は1996年登録ですが、特定社会保険労務士の資格があり業務も労働組合や人事部が中心だったため、中小企業診断士とはまったく離れてしまっていましたが、外国人の上司を相手にして裏付けのない自信で国際化した業務に再チャレンジしようと考えています。
今回は長年の懸案にしてきた中小企業診断士の業務と他仕業の独占業務との関係について書いてみます。

士業の成り立ち
士業の成り立ちについてはいろいろ諸説あると思いますが、私は国民が行政手続きを円滑にするために当局と本人との間に入って支援する役割と考えています。また、業務については専門性の高い内容も多いので、知識が乏しい方が不特定多数の方を対象として介在すると誤った手続きや解釈で混乱を生じさせるということから国家試験と必要な研修によりライセンスが交付されていると理解をしています。また独占業務については、有償はNG
だが無償がOKだったり、無償でもNGものがあります。意外と複雑です。

いわゆる独占業務について
そのような中で有資格者ではないとできない独占業務についてたまに診断士の先生方と話題になることがありますので改めて確認していみます。少しだけピックアップします。
1. 弁護士は第三条(弁護士の職務)に 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱で、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うこととあり、第七十二条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)では無資格者は業とすることができないとあります。
2. 税理士は税理士法第二条に(税理士の業務)税務代理、税務書類の作成、税務相談と定義されています。2項には税理士は、税理士業務のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。とあり、独占的内容が記載されています。
3. 社会保険労務士は第二条(社会保険労務士の業務)に労働社会保険諸法令の書類作成と手続き代行がさらに、申請、届出、報告、審査請求、再審査請求その他の事項、個別労働関係紛争の代理や、労働社会保険法令に関する裁判で補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述する。さらに第十四条の二(登録)で登録し、他さまざまな条件をクリアしないと業として行うことはできません。
4. 行政書士は 第一条の2で行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類の作成することを業とする。また、第十九条(業務の制限)行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし例外がいくつかあります。
5. 弁理士は特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願、公認会計士は会計監査。司法書士は登記関係と一部の訴訟代理を業として行えることになっています。

 中小企業診断士の業務
さて、中小企業診断士の場合はどうでしょう。ご存じとは思いますが。
中小企業指導法の一部を改正する法律、並びに中小企業支援法第十一条(中小企業の経営診断の業務に従事する者の登録)第十二条 (中小企業の経営診断の業務に従事する者に係る試験)により平成十二年通商産業省令第百九十二号中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則の第一条(中小企業診断士の登録の条件等)の中に、中小企業診断士という文言があり、その内容については中小企業者がその経営資源に関し適切な経営の診断及び経営に関する助言(以下単に「経営診断」という。)といういう規定のみです。
 具体的な業務内容も定義されているわけではありません。中小企業診断士以外やってはいけない業務も定義がなく、独占業務は内容に見えます。

中小企業庁のHPの引用ですが、中小企業診断士の業務とその役割については、
 診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務ですが、中小企業と行政・金融機関等を繋ぐパイプ役、また専門的知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援等幅広い活動が求められています。

(1)診断士の業務
診断士の業務は、支援法では中小企業者がその経営資源に関し適切な経営の診断及び経営に関する助言とされています。現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイスが主な業務ですが、その知識と能力を活かして幅広く活躍しています。

(2)診断士の役割
  診断士は企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスします。また、策定した成長戦略を実行するに当たって具体的な経営計画を立て、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援も行います。このため、診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できる知識や能力が求められています。

以上の状況ですが、法的に独占された業務はありません。ただ、経済産業省からはなんらかの専門知識や能力があるというお墨付きを頂いている状況です。

今後の可能性について
さて、このような中で私達の立ち位置というのは果たしてどうあるべきでしょうか?私は特定社会保険労務士登録をしており、税理士との周辺業務の議論を見たことがあります。最近の官公所に提出する助成金申請の書類の作成については行政書士で力を入れているようです。この状況、クライアントへの便宜の提供以上に、専門性といいながら自身の資格でのビジネスのため、業務範囲の確保に神経質にならざるを得ない事情があるようです。
ところが、事業者の立場では、なんでも教えてくれるコンサルタントが求められていると思います。私は税務署勤務もあり、特定社労士登録をしていますので、人事労務、税務に関する業務内容が全くわからないわけではありません。さすがに、問い合わがあって、それが独占業務だから、全く関与できないというのはサービス業としてはなかなか行いにくいところです。しかしながら一緒にHPの場所を調べて確認する程度と調べ方を支援するというところまでの対応にとどめています。もちろん敢えて独占業務に関する領域の話はこちらから切り出すことはしません。聞かれて複雑なことは知り合いの専門士業におねがいすることが正しいでしょう。ただ、中小企業診断士が経営活動の全般に触れることができるので法的な領域については、少なくとも経営に関するあらゆるテーマ検討の「窓口」機能できる可能性はあると言えます。

また、合わせて独占業務の範囲についてもよく知っておくべきと思います。簡単に言えば、何ができて何ができないかということです。人事労務というと社労士のイメージですが、採用、研修、人事評価制度は独占業務ではありません。そもそも人事労務コンサルは社労士の独占業務ではありません。社労士資格無しで給与制度や評価制度と助言でビジネスをしている事業者はいます。会計帳簿作成について税理士は専門家ですので帳簿をもとに税務申告や相談をしますので不可分ですが、資産運用とか予算策定自体は税理士もしくは会計士の独占業務ではありません。官が関わらない民対民の業務には結構あります。過去の業務経験を活かしながら、資格がなくても診断士としてはできる業務はいくらでもあります。

自分は、今後コンサルティング業務のワンストップ化と、コンプライアンス順守のもとで業務拡大については、今回「稼プロ」での学習を通じて見出していきたいテーマです。インフラ、コンプライアンス、リスクマネジメント、事業開発、ビジネスのベンチマーチング、経営者のコーチングとメンタリング、苦手ですがITなど、オペレーションのプロセスと成果物の整理は必要ですが思いつくだけでもいろいろあります。
中小企業診断士という名刺を見せただけでは何ができるかわからないのが難しいところしが、ここは7月の研修にありました「セルフブランディング」の方策も踏まえながら自身のセールスポイントとなる内容を考えていきたいと思います。1年間じっくりと基盤づくりをして行こうと思います。ご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくおねがいもうしあげます。 

2021年7月27日  中川 聖明

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (佐々木桃太郎)
2021-07-27 17:49:01
社労士とのダブルライセンスとご経験を活かした今後のご活躍が楽しみです。今後とも宜しくお願いいたします。
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Unknown (山﨑 肇)
2021-07-27 20:51:24
診断士✕特定社労士✕〇〇〇
すでにセルフブランディングの引き出しをいろいろお持ちですね!〇〇〇に何が入るか楽しみです。
ワンストップ・コンサルティングいいですね!

どうでもいい話ですが、「他仕業」(しわざ)になってました。
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独占業務への抵触 (太田一宏)
2021-07-27 22:20:06
私は独占業務についての意識が薄い。
そもそも考えたことがないまま診断士になり、
診断士が独占業務がないものだから、
考えないままである。
自分はそれでも困らないが、
領域を侵された方は、困りますよね。
ありがとうございます。勉強になりました。
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Unknown (宇野 毅)
2021-07-27 23:19:50
各資格の考察ありがとうございます。整理されてわかりやすいと感じました。中川さんの考察を見て、4年ほど前の日経新聞で、診断士がAIに代替えされない業務として取り上げられていたことを思い出しました。そのためには、やはり強みを際立たせること=セルフブランディングが重要なのでしょうね。
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Unknown (大井 秀人)
2021-07-28 00:21:48
各資格と独占業務の関係がよくわかりました。素晴らしい考察です。独占業務は、法律が絡むバックオフィス系業務で、専門的でちょっと難しいところですね。実際のビジネスにおいてその間を埋めるのが、診断士のポジショニングのように感じました。何でもありなので、難しいポジショニングですね。だからこそのセルフブランディングなのだと思います。
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Unknown (中川聖明)
2021-07-29 21:20:17
コメント頂きましてありがとうございました。
最近更に老眼が進行してしまい誤字には注意と思いました。
若い経営者の方と接する機会が増えましたが、中小企業診断士と言うよりコンサルタントやメンターが求められている気がして今回のテーマとさせて頂きました。
またいろいろ考えて参ります。中川
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