皆さん、こんにちは。事務局の宇野毅です。今日は外食業界の2020年を振り返り、2021年のトレンドについて少し触れてみたいと思います。
まず、2020年について、年初には外食業界全体が「東京五輪・パラリンピック」の開催に伴うインバウンドに大きな期待を持っていました。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、その需要は消滅するとともに、外出自粛などの影響から外食需要そのものが激減するという極めて大きな打撃を受けました。
日本フードサービス協会の発表によると、2020年外食産業の売上前年比は84.6%と1994年の調査開始以来、最大の下げ幅となりました。特に、昨年4月の緊急事態宣言時には、前年同月比60.4%と単月で最大の下げ幅となっています。業態別では、「パブレストラン/居酒屋」が、年間前年比50.5%と特に大きなダメージを受けました。他方、テイクアウトやデリバリー需要に支えられたファストフード業態は、比較的堅調に推移し、マクドナルドやKFCは営業最高益を見込むなど、業種業態により大きな格差が生まれています。
世の中では、感染防止のための行動自粛、テレワーク増加などの働き方の変化が起こりました。そして、「繁華街・オフィス街」、「店内飲食」、「ディナー利用」、「大人数宴会」から、「郊外・住宅地」、「テイクアウト・デリバリー」、「ランチタイム」、「少人数」に対応する店舗や業態へ、消費者のシフトが起こりました。
帝国データバンクによると、昨年1年間の飲食店の倒産件数は780件と過去最多を記録したそうです。そのような中、大手外食チェーンは、さまざまな資本政策によって資金調達を図り、不採算店の閉店とともに新業態への転換を進めています。特に、ダメージの大きかった居酒屋業態は、焼肉や食堂などの食業態への転換が顕著です。また、デリバリー対応店舗を増やしたり、から揚げなどのテイクアウト専門店を出店したりと、ウィズコロナでの生き残りをかけて、さまざまな手を打っています。
さて、このように外食産業にとって極めて厳しい時代ですが、2021年の外食業界のトレンドをあげるとしたら何でしょうか。私は、「個客対応」「テイクアウト・デリバリーの進化」「デジタル・AI化の進行」の3つであると考えています。
まず、「個客対応」については、昨年、ひとり焼肉やひとりカラオケが話題となりました。今年も感染防止の観点などから、ひとり客需要がさらに大きくなると思われます。また、この需要にあわせて、モーニングタイムの掘り起こしや店舗のテレワーク・スペース化なども広がっていくと思います。
次に、「テイクアウト・デリバリーの進化」ですが、これは、私が以前このブログでも取り上げた「ゴーストレストラン」の多店舗化や調理設備を備えたキッチンカーでの飲食提供などが進むと思われます。
最後に、「デジタル・AI化」です。これは、店内業務の生産性をより向上させる方向に進むと思います。AIロボットによる配膳はTVでも話題になりました。最近もレストランでのセルフレジ導入やAIを活用した洗い場業務の自動化などの記事を目にします。現状、「外食業界の人手不足」は2019年以前のようには深刻ではないですが、将来に向けての開発や投資が進められていくでしょう。
2020年は外食業界とって極めて厳しい1年でした。そして、残念ながら、この状況は暫く続くとみられます。1日も早くコロナが収束して、皆が飲み・食べ・集う、明るい外食業界が復活する日を心待ちにしています。
コロナにより、日々の生活スタイルが変わってしまい、外食産業が大変な状況で、自分が何ができるかを考えてみます。ありがとうございました。