照る日曇る日 第1570回
平安末期頃に作られた全31巻という大部の説話叢書で、天竺部5巻、震旦部5巻、本朝部10巻にのぼるが、全体を通して3巻の欠本があり、本書でも冒頭の21巻は欠本している。
この新潮版では本朝部10巻を全4冊にまとめているが、天竺部と震旦部を合わせ読むためには岩波版や小学館版に手を伸ばさざるをえないことになる。
それはともかく、いざ本書を読み始めると、22巻では淡海公に始まる藤原氏の誰彼の逸話を並べてあんまり面白くもないが、23巻では相撲取りをぶん投げる怪力女たち、24巻では賀茂忠行や安倍晴明など名だたる陰陽師の活躍が登場するので、まあかなり面白いといえよう。
されど、いつ死ぬか分からんこのおらっちが、全巻を読みあげる日が来るのだろうか?

生と死は極薄の紙一枚で接していると初めて分かった 蝶人