照る日曇る日 第1583回
「乳と卵」で芥川賞、「先端で、さすわさされるは そらええわ」で中原中也賞を獲った作者による2012年の詩集。表題作のほか「戦争花嫁」「治療、家の名はコスモス」「バナナフィッシュにうってつけだった日」など全9編をあつめた詩集です。
川上選手のばやい、詩と小説とは相互にあまり大きな距離を感じないのだが、今回はそのスタイルが童話や夢物語のスタイルをとっているのが一つの問題ではなかろうか。
この人は「乳と卵」や「あなたたちの恋愛は瀕死」のようなリアルな題材を取り扱った時のほうが一等詩的ファンタジーの威力を発揮すると思うのだが。
CMでけなげに笑う杏なれど心の中ではきっと泣いてる 蝶人