照る日曇る日 第1581回
最初は恋に恋するようにウブな学生だった牧水が、超美貌の人妻と巡り会って恋に落ち、さんざん気を揉ませられた挙句に晴れて性交し、その喜びやら煩悶やら悲哀なぞをいちいち歌にして爆発させてゆく。これぞ虚実皮膜の全面展開、藝実一致の浪漫世界であるぞよ。
しかしすでに子持ちの海千山千の人妻相手では歌は詠めても貧乏な苦学生に勝ち目はない。なくなく諦めて斗酒なお辞せずのヤケ酒を浴びるほど鯨飲するのだが、後妻のアフターフォローも虚しく結局はこの世紀の大恋愛の後遺症で若死にしていく牧水を哀れというか、自業自得というべきか。
しかしその空前絶後の悲恋があれほどの名歌の数々を生んだことを思えば、もって瞑すべきか。
なんでこの歌人が若山牧水の評伝を書くのか分からなかったい、考えてみれば、俵万智ほどのロマンチストはざらにはいないのだった。
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