照る日曇る日 第1576回
「やっぱ本は題名だな」と、つくづく思わせられる見本がこれで、そらあ若い女性の詩集のタイトルが、男性性器の世紀末的比喩が煽情的な関西弁で繰り出されているんやから、いったいどんな中身何だろうと男も女も読む前から期待するんたけど、実際に読んでみるとこれがロマンポルノを遥かに凌駕する期待通り以上の「詩ろもの」なので、旧弊も新派も老若男女うち揃って脱帽、という仕儀に立ち至ったので、なんなら藤田嗣治がかの有名な戦争画「アッツ島玉砕」の傍らに立てた「脱帽」の看板を再度掲げてもええくらいに思った訳なのだが、続く「少女はおしっこの不安を爆破、心はあせるわ」、「ちょっきん、なー」、「彼女は四時の性交にうっとり、うっとりよ」なども、凡百の自称詩人なんかが真似して書ける文章ではないわいな。
白秋の「朱欒」などを思いつつがぶりと喰らう土佐の文旦 蝶人