照る日曇る日 第1580回
今頃になって読んでみた第138回芥川賞の受賞作品。ここ10年ほどこの賞を受賞した作品を読むたびに失望と落胆、選考委員の阿呆莫迦さ加減に憤りさえ覚えてきたが、この人の、この作品での受賞は頷ける。
大阪弁を交えた文章も知的だし、大阪から上京してきた巻子と緑子を巡る軋轢が最後の最後である種の和解にいたる終わり方も素敵。「才能アリ」というのはこういう作家をいうのら。
されどこれを何で映画や芝居にしないのであるか、不可解ずら。
撥ねられてのたうつ私に駆け付けて「大丈夫ですか」と聞く撥ねたその人 蝶人