ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

People, Hell & Angels / Jimi Hendrix

2013年03月13日 | クラシック・ロック

Jimi

People, Hell & Angels / Jimi Hendrix (2013)

まだ出るの?と不思議なぐらい「ニュー・アルバム」が発売されるジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)。もちろん彼の場合,たかだか実質3~4年の活動期間だったから、その間にスタジオで録音されたセッション素材を切り貼りして曲に仕上げる作業が必要だ。それにしても短い期間に膨大な量のテープが存在するんだなぁ。「もう無い、もう無い」と言われ続けても「まだある、まだある」(笑)。

彼の死後~90年代前半までは他のミュージシャンを使って完成曲を「でっちあげ」たり、場所を偽ったライヴ・アルバムが出たりと散々喰いものにされてきたが、ジミの遺族が版権を勝ち取ってから、当時のエンジニア、エディ・クレイマー(Eddie Kramer)をスーパーバイザーに置いて良質な音源を発表してきた。ただ未だに元マネージャー経由でデモ音源やライヴ音源が出たりと混乱は収まっていないのが不思議。

どちらにせよ完成曲があったらすでに発表しているはずなので、切り貼りの作業は必要なわけだ。このアルバムもそんな作業の賜物だろうし、ほとんどの曲は発表済みの曲なので正直新鮮味はない。以前発表された「Valleys of Neptune」や「South Saturn Delta」と同様に音質は素晴しいのでアルバム通しても違和感なく、ジミのエッセンスは感じ取る事が出来る。ただジミらしくないフレーズが散見されるのは何だろう? 晩年はジャズへの感心があったとか、マイルス(Miles Davis)とのセッションが予定されていたというが、このアルバムにはあまりその影響は大きく感じられず、お遊び程度にしか聴こえない。

前回発表されたボックス「West Coast Seattle Boy」を聴いた時もそうだが、個人的にはもうこれ以上どれだけ音源が発表されようとも新たな「感動」は無いような気がする。もちろん、「あぁ、すごいな」「やっぱり、かっこいいな」とは思うのだが…。ぜいたくな話だがすでに満腹感を感じてしまっている。以前(それこそ80年代)なら、必死になって入手困難なアナログ盤を探したり、でっちあげ(「Crash Landing」とか)だろうと聴き込み、高価なブート音源まで漁って、微かなジミの痕跡をそれこそ宝物のように思って聴いていたのだが。飢餓感がそうさせたのだとは思うが今思えば幸せな時代だったのかも。今までにジミを聴いた事の無い人にはオリジナル・アルバム3枚とライヴ以外はお奨め出来ない。

amazonにて購入(¥1,189)

  • CD (2013/3/5)
  • Disc: 1
  • Format: CD, Import
  • Label: Sony Legacy
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