ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

’80のバラッド / 泉谷しげる

2013年03月22日 | ロック(日本)

Izumiya

’80のバラッド / 泉谷しげる (1978)

泉谷しげるの最高傑作という人も多い「’80のバラッド」。故・加藤和彦プロデュース。泉谷自身、その後、ことある度に「~のバラッド」というタイトルを付けた作品を出していることからも重要作と認識していることが分かる。長い間CDでは入手困難だったが、今回リマスターされ、企画物なのか何故かタワーレコード限定という形で発売された(現時点で既に入手出来ないようになっているようだ)。リマスターされ、ボーナストラックが1曲追加されている。素晴しいアルバムだけにこういった限定で発売されるのはとても残念。

自分は学生時代にLoser時代の泉谷の学祭追っかけをしたこともあるが、このアルバムはその頃、母校の地下にあったレンタル・ショップで借りてダビングしたカセットテープで保有して愛聴していた。余談だがこのレンタル・ショップ、ストーンズやツェッペリンの海賊盤やらの品揃えが豊富で、日本のロックも当時でさえ入手困難になっていたマイナーなものが多く、大いに利用させてもらった。何しろ物によっては当時1万円近くもするブートCDが300円位で借りることが出来た(注・当時そういった禁制品は高かったのだ)。ロック好きな他校学生や一般の人にも有名だったので、こう書くだけで母校がどこか分かってしまう人もいるかも…。

のちのライヴでは定番曲になっている1、3、7など名曲ぞろい。彼独特の詞の世界は、分かりやすい直観的なものではないが、都会生活者の視点での焦燥感、虚無感などが彼なりのやさしさを含めた言葉で吐き出される。そういえば泉谷の詞って絶対田舎で聴いてもピンとこないものだ。自分も都会で生活していた頃は強く反応出来たけれど、今は田舎暮らしなので当時とは全然受け取ることの出来る感度が違うと思う。加藤和彦のアレンジは98年の「私には夢がある」でもそうだけれど、ガツガツしていないというかどこかクールな所があって、泉谷の曲ととても相性がいい。一般的にはワイルドなイメージの泉谷だが、彼の音楽はよく聴くととても繊細だからそうなんだろう。

タワーレコードで購入(¥1,800)

コメント
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