We Get Requests / The Oscar Peterson Trio (1964)
ピアノ・ジャズを聴くのは嫌いではないが、自分で購入した事は一度もない。中古店を覗いていたら、子供が買う駄菓子のような値段で中古CDが売られていて、その中にジャズのアルバムが何枚かあったので試しにと買ってみた。オスカー・ピーターソン・トリオの64年の名盤(邦題は「プリーズ・リクエスト」)。トリオのメンバーは、
Oscar Peterson - piano
Ray Brown - double bass
Ed Thigpen - drums
という布陣。リラックスした雰囲気と転がるようなピアノの音が心地良い。ただ、アルバムを通して聴くと、やはり自分が求めるタイプの音楽とは違う。スタンダード・ナンバー中心で、洗練されていて、軽快だが、自分にはあくまで「ラウンジ・ミュージック」としてしか聴けない(あくまで個人の感想です。悪しからず)。ま、静かな興奮にまで行き着かない未熟な耳だということだろう。
こういう古い優秀な録音を聴いているとテクノロジーって何だろうって考えてしまう事がある。巷では最新の器材を使用した汚い音(録音)がはびこっているのに、50年も前の録音が、弦の振動や、鍵盤のタッチまで感じられるような素晴しい音だったりする。そんな音を一般的な大多数の人々は今よりずっと劣る器材で聴いていた訳だ。最近の旧作リマスターの傾向は、一時のようなクッキリと輪郭を強調した音から、自然な、耳当たりのいい音に変わってきている。もちろんアナログ的な音への回帰だ。結局廻りまわって、元の場所に戻ってきたという事か。それでも昔は「その音」で聴ける環境だった人は少ないはずだから、やはり今が一番幸せな時代と言えるのかな…。
中古店にて購入(¥50)