歌舞伎 「本朝廿四孝」「身替座禅」「伊勢音頭恋寝刃」 (10月8日 名古屋・日本特殊陶業市民会館)
名古屋の金山にある日本特殊陶業市民会館(旧称・名古屋市民会館 ※ネーミングライツで変更)にて行われた歌舞伎「錦秋名古屋顔見世」を観劇した。現在、名古屋の伏見にある御園座(みそのざ)は建て替え中(でも全然壊さないけど…)で、定例の公演はこちらで行われている。自分は2階席だった。会場は2階は空きが目立ったが、1階は(見える範囲で)8割がた入っていたかな。まだまだ歌舞伎観劇初心者の自分は、尾上一門がメインの公演を観るのは初めてだったのでとても楽しみにしていた。
演目は下の通りだが、今回も1と3は長い話のうちの一幕なので、あらかじめストーリーを頭に入れておいた。歌舞伎って不思議なもので、当日にストーリーが完結する訳でなく、その部分だけ演じる事が多いので、前知識無しでは演じる役の人間関係がさっぱり分からなかったり、中途半端なところで終わりっていう事があり、それも観る側が折り込み済み。だから初心者の自分には楽しむための予習が欠かせない。
「本朝廿四孝」ではやはり時蔵の存在感がすごい。それを受け止める菊之助は大変だろうと思うが、声の張りといい、華やかさといい、さすがエース。若手の女形(おんながた)梅枝の美しさも素晴しい。武田と上杉の時代がさっぱりな自分にはストーリーというか人間関係が分かりにくかったが、予習しておいて良かった。「身替座禅」はもう難しいこと抜きで、笑いっぱなし。菊五郎と左團次のコンビなので、どちらも余裕綽々といった感じ。「伊勢音頭恋寝刃」はある意味スプラッター・ホラー。すごいね、歌舞伎は。こんな事もやるんだね。ここでも嫌がらせをする役の時蔵の憎たらしさ(笑)は抜群。残念ながら自分の観た夜の部では出番が少なかったが、松緑は他の人に無い独特の声と雰囲気があり、目立つ。
今回も面白かったなァ。昼の部も行きたくなってきた。
一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
十種香
八重垣姫 中村 時 蔵
武田勝頼 尾上 菊之助
腰元濡衣 中村 梅 枝
白須賀六郎 中村 萬太郎
原小文治 坂東 亀 寿
長尾謙信 市川 團 蔵
二、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)
山蔭右京 尾上 菊五郎
太郎冠者 河原崎権十郎
奥方玉の井 市川 左團次
三、伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
福岡貢 尾上 菊之助
料理人喜助 尾上 松 緑
油屋お紺 中村 梅 枝
油屋お岸 尾上 右 近
今田万次郎 中村 萬太郎
油屋お鹿 坂東 亀三郎
仲居万野 中村 時 蔵