東京(江戸)の郷土料理のひとつともいえる鰻の蒲焼き。もともと「江戸前」と言えば鰻を指していた事もあったらしい。学生時代は東京に居たけれど、もちろん鰻なんて一度も食べた事無かったなァ。出来るだけ歴史ある店で味わってみたい、と訪れたのは「竹葉亭」の本店。創業は慶応2年(1866)という長い歴史のある店だ。5丁目にも銀座店があるが、今回訪れたのは8丁目(旧・木挽町)の本店。実は名古屋にも「東京竹葉亭」を名乗る店があるのだが、その店と銀座のこの店との関係はいまいちよく分からない(HPでも触れられていない…)。しっかり暖簾分けした店なのか、それとも…。こちらの本店はビルの谷間にあり、料亭然とした外観で、かなり敷居が高そうなのだが、ランチなどで気軽に利用できる椅子席用の入口が右側にある。自分の住む東海地方はほとんどが蒸しを入れない関西風の鰻丼なので、いわゆる本物の東京(江戸)の鰻とはどんなもんだろうと興味津々で訪問した。
思ったよりも広くない部屋のテーブル席には1人客、カップル、家族連れなど様々な客層。でもやはり落ち着いた年輩の方が多く、家族連れといっても妙齢のお嬢様とご両親(※イメージです)といった感じの方達が多かった。「銀座店」のように賑わう通りから少し離れたビルの谷間のこの店にわざわざ足を選んで来るのは、すでに「知ってる」人が多いのだろう。着物姿の仲居さんに「鰻お丼A」を注文。丼に「お」を付けるのに「A」って…(笑)。しばらく待って、吸い物と香のもの、そして丼に入った鰻が運ばれた。
やや淡い色に焼かれた鰻はとても上品。箸をつけてみても、口に運んでみても、フワッとしていて、普段関西風の力強い食感の鰻を食べ慣れている自分にとっては少々頼りなく感じるほど。逆に普段こういう鰻を食べていたら、中部・関西地方ではかなりアクの強いものに感じるだろうな。身は箸で持ち上げようとすると崩れてしまいそう。たれもあっさりしていて、鰻を食べた時に感じるある種の重さもほとんど感じず、すっきりとしてこれはこれで旨い。少し山椒をかけたりしてじっくり味わった。丼でもお腹がもたれないこの上品さが、この地で150年もの歴史を重ねてきた老舗の味なんだろう。一度座敷の方でその歴史を味わってみたいものだ。ただ次に来たときは名物の「鯛茶漬け」にいっちゃうかも。(勘定は¥2,592)
↓ 近くにある昭和建築遺産(笑)、黒川紀章設計の「中銀カプセルタワービル」(1972年建造)。その異質な姿とボロさに圧倒される。
東京都中央区銀座8-14-7
(ちくようてい 竹葉亭木挽町本店 木挽町本店 銀座竹葉亭 竹葉亭 東京竹葉亭)