連れと待ち合わせて向かったのは恵比寿の老舗居酒屋「さいき」(昭和23年・1948・創業)。東京の居酒屋を扱った書籍などには必ず出てくる有名店です。店の佇まいはごく普通の年季の入った居酒屋という感じ。店に行った時は知らなかったのだが、最近人気テレビ番組「孤独のグルメ」の最終回に出てしまったらしい。こんな有名店をわざわざ取り上げなくってもいいのにね(ドラマの主人公は下戸だし)。店先に名物主人の姿は見えなかったが、暖簾をくぐり、中に入ると「お帰りなさーい」とお約束の声掛け。テーブル席は空いているものの(予約でも入っているのかな)、入ってすぐ横のカウンターの狭い端っこに案内された。給仕は古い店には似合わず若い女の子ばかり。仕切っているのも年長の若い女性だ。ビール(サッポロ)を注文すると、自動的にお通し3品が運ばれる。刺身、煮込み、鴨肉のお通しはどれもそれぞれ一品と言っていいほどで、旨い。
座った席は後ろに物も置いてあって(野郎2人なので)かなり狭いのには閉口したが、煤けて貫禄のある店内は「ザ・居酒屋」という感じでとても落ち着く素晴しい空間。客がいたかどうかは分からなかったが、2階にも客間があるようだ。若い客も居て、老舗の堅っ苦しい感じはない。すぐに酒(一ノ蔵)に切り替えて、黒板に書いてある品書きの中から、海老しんじょ、新生姜の天ぷら、葱と牡蠣の治部煮などを追加した。どの酒肴もちょうどいい味付けの按配で、本当に旨い。酒類は特にこだわった感じはないので、酒肴の旨さと雰囲気が客を離さないのだろう。ちょっと気にかかる事もあって、何から何まで素晴しいという訳ではないんだけれど、いつまでも呑んでいたい気分。こんな店が近くにあったら大変だ(笑)。結局テーブル席には誰も座らなかったので、途中でそちらに移してくれる配慮があればもっと良かったかな。店を出る時には「いってらっしゃーい」(笑)。(勘定は¥7,500程/2人)
酒寮 さいき
東京都渋谷区恵比寿西1-7-12
(恵比寿さいき えびすさいき 酒寮さいき)