Original Album Series / Rahsaan Roland Kirk (2015)
盲目の怪人、ラサーン・ローランド・カーク(Rahsaan Roland Kirk)のアトランティック時代の5枚を簡易紙ジャケでセットした「Original Album Series」。このシリーズ、最初は自分で「こうやってまとめて買うのはダメッ」とか言っていたのに、最近ヤケクソ気味に増殖中(苦笑)。ローランド・カーク版に収録されているのは以下のオリジナル・アルバム。
1. 「Here Comes The Whistleman」 (1965)
2. 「The Inflated Tear」 (1967)
3. 「Left & Right」 (1968)
4.「 Volunteered Slavery」 (1969)
5. 「Natural Black Inventions: Root Strata」 (1971)
自分が所有しているのは1969年の「Volunteered Slavery」のみ。それ以前のアルバムをしっかり聴くのは初めてだが、前半は所々荒々しさが感じられるものの、思いのほかスタンダードなジャズ。1はスタジオ・ライヴだそう。彼はMCでかなり際どい事や政治的な事も発言するそうだが、自分の英語力ではその辺りの機微をしっかり理解することが出来ないのは残念。2でも色々な楽器を操るラサーンだが、ラッパよりもピアノが目立っている曲もあって意外。イメージとは違う繊細な音作りの様子も伺う事が出来る。でもこの頃の映像を見ると管楽器を3つも4つも抱えて、ある時は同時に、ある時はソロで演奏する姿はやはり異端。それでも彼の場合、決して不協和音で奇を衒っているのではないところがスゴイ。
思ったより振り幅も大きく、3なんかは映画音楽と言われても納得してしまいそうなムーディーな展開。特にラッパが目立つということはなく優雅に曲が進んでいく。突然現れる強烈なスキャットには面食らうが(笑)。4「Volunteered Slavery」ではビートルズ(The Beatles)やアレサ(Aretha Franklin)の曲を料理。反人種差別を掲げる黒人運動が盛んだった当時の世相もあってかソウルフルなジャムが聴ける。なんて浸っていたら5ではいきなりフリーキーなラッパの乱舞。もうジャズとは言えず呪術的な太鼓や鐘に不穏なラッパが絡んでいく不思議な世界。と、変幻自在なラサーンを味わえるなかなかナイスな5枚組だった。
オークションにて購入(¥1,265)
- CD (2015/9/25)
- Disc : 5
- Format : CD, Import
- Label : Rhino