平日に休みが取れたある日、以前から地図を見て気になっていた区割りや古い建物を確認しにバスで南区の道徳近辺へ。気になっていた区割りとは「七福湯」のある辺り。下の地図の通り、中村区大門のように花街で特徴的な区割りが見て取れるので、ひょっと妓楼建築や古い建物が沢山残っているかなと行ってみた。しかし残念ながらめぼしい建物は見つからず。
散策後、近隣の「七福湯」や「道徳温泉」はまだ開いていなかったので、開くのが少し早い「東温泉」まで足を延ばした。銭湯で汗を流した後、乾ききった喉を潤しに寄ったのは酒屋「山忠商店」。こちら所謂”角打ち”が出来る酒屋。しかも建物は名古屋市の登録地域建造物資産にも指定されているので以前から観てみたかったのだ。平屋だが店に入ると天井が高く、土間に卓が用意されていて立ち飲み出来るようになっている。出ていらしたのは若女将。ご高齢の方が出ていらっしゃると思っていたので意外だった。ここで呑ませてもらうことを告げて背後の冷蔵庫から缶ビール(キリン一番搾り)を取り出す。グラスを出してくれ、勘定は後払いとのこと。
プシュッと缶を開け、グラスに注ぐ。カラッカラの喉に冷たいのをグイッと。ウメー。”道徳”で昼間っから不道徳な一杯が嬉しい(笑)。まだ銭湯で体が火照っているのですぐに汗が噴き出してくる。卓の上の魚肉ソーセージももらいつつ、若女将に建物のことを訊くがあまり詳しく知らない様子(→昭和30年代の建物らしいのだが)。店は主人で3代目だとのこと。2000年の東海豪雨までは入口のサッシ扉も木戸だったんだとか。台風で瓦が飛んだりと維持も大変だそう。若女将曰く、日曜以外なら朝から呑めるとのこと。ご高齢の方が集まるらしい。まだどれだけでも呑めるが、この後に用事があったのでもうバスに乗らないといけない。後ろ髪引かれつつ勘定してもらい、再訪を誓った。(勘定は¥420)
↓ 路地の中にある「東温泉」。後から知ったが女優の松原智恵子の実家なんだとか。サウナもあったが体に柄のある方達が何人かで占有していらっしゃったのでさすがに使えず。というか自分以外は皆そっちの方々だった(笑)。いい湯だった。
↓ 付近で唯一見つけた古い建物(建築詳細不明)◇。もう少し艶っぽい建物があるかなと期待したんだけれど。ここまで痕跡が無いってことはそういう街ではなかったんだろうか(→でも後から調べてみるとかつて遊里だったことは間違いないらしい)。
山忠商店
愛知県名古屋市南区観音町1-7
( 名古屋 なごや 道徳 どうとく 山忠商店 酒店 酒屋 立飲み 立ち呑み かくうち 登録地域建造物資産 近代建築 銭湯 )
山忠商店さん。
03年発行の沖てる夫「いつか横になるまで 立飲み人生劇場」・Amebaブログ版「立ち飲み人生劇場」によりますと
創業は昭和6年、立ち飲み開始はS25~6年頃だという。
このときの「今の女将さんはs36年、22歳でお嫁に来た」と言うことですが…代替わりがうまくいったのでしょうか。
この道徳七福湯周辺の区割りも大門やその他遊郭街と同じですが、ここらは遊郭というよりは健全な公園だかレジャーランド的施設があった…という話は読んだことがあります。
二重四角の区割りで角から斜めにも通路ありの、大門のような喫茶ロビンの窓のような区画を地図で探したことがありまして、見つけたのがあおなみ線「稲永駅」と「玉麺 佳津屋」の間の「草津湯」周辺。こちらはもろにアレですね。ほとんど知られてませんが一応は角打ちが出来る(出来た)酒屋さんもありましたし。エエ感じの居酒屋もありますねぇ。
>代替わり
今の若女将はたぶん30~40代。上手くいったんでしょうねー。ちょっとクールな感じの
美人でした。今回は短いお話しかしていませんが、ちょっとまた行きたいかも(笑)。
>レジャーランド的施設
そうなんですか。進駐軍相手の店がいくつもあったという記述を見たことがありますが
いわゆる遊郭ではなかったんですね。
>「草津湯」周辺
そうか、斜めの道が無くてもそうなんですねー。たしかに区割りは独特だナ。
NHKの「ブラタモリ」でタモリが「土地は覚えている」っていう至言を口にしていましたが、
こうやって土地の記憶を辿るのって、収穫が無い場合もありますが楽しいですよねー。