おかしな咳の原因の精査のために行ったレントゲン写真と超音波検査の画像を見せていただきながら、コロの病状説明を聞いた。コロの診断名は『僧帽弁閉鎖不全症』。そして、このため高血圧を呈しているという。僧帽弁とは、肺から心臓に戻った酸素をいっぱい含んだ血液が入る左心房というところから、全身に血液を送る左心室との間にある弁のことで、これが閉ましにくくなってしまうのがこの病気だ。弁が閉じにくいものだから、血液を左心室に全て送れず、左心房に戻ってしまう。このため、左心房が大きくなって気管支を圧迫している可能性があるという。犬と人間、同じ哺乳類でも体型が違うので症状の出方も違ってくる。それにしても、それぞれの体型はどうしてできあがってきたのだろう。
先生が続ける、「あとは、血圧ですね。」
そう聞いて、コロ健ギクッとした。私もつい先日、職場の健康診断で血圧を測ったら高かったのだ。元々少々高いところに、私は白衣高血圧がひどい。軽く20は上がってしまう。結局、3度計り直したが高血圧の範疇に入ってしまった。そんなことを思い出して、また血圧が上がるのを感じてしまった。
先生は、「コロちゃん、緊張しやすいので、もしかしたらそのせいもあると思いますが、心臓のほう(僧帽弁閉鎖不全症)が原因になっている可能性もありますね。」と説明してくださった。
コロも白衣高血圧。私とコロにそんな共通項があったなんて、コロに今まで以上にシンパシーを感じてしまった。小さいときに親から離され、ペットショップのショーウインドウの中から飼い主を求めるようなことをしていたのだから、心もすさむだろう。コロはとくに大柄だったので、人気もなかったらしい。だから、私たちがコロを連れ帰るときに、ペットショップの店員が「(その時もう一匹いたマルチーズをさして)あっちのこのほうが先に売れて、この子(コロ)はダメ(売れない)と思っていたんですよ。よかったねー、マルちゃん」と言っわれていた。子犬心にさぞつらかったろう。そういう過去があるので、緊張しやすいのではないかと、一瞬思った。でも、本当にそうか。
(明日につづく)
コロにとっての人間