もうすぐ60歳という、髪の毛が少々薄くなってしまったアラカンオヤジの髪型なんて誰も気にしないだろうが、本人にとってはそれなりに大事なことだ。床屋ならそれぐらいわかってくれていてもいいだろうにと、あっという間にサッパリした髪型になった頭を見て、それほど若くもない、フェイスシールドをした理容師の顔が恨めしく思えた。
気が付いた時には、吉川晃司のようにもみえるかと思ったのだが、眼鏡をかけてからてるてる坊主の上に乗った顔を見ると、吉川晃司どころか、つい15分前のコロ健とも似ても似つかぬものとなっていた。もちろん、そう感じるのは本人だけで、その兄ちゃんからしてみたら、褒められこそすれ、ガッカリされるなどとは思ってもいなかったろう。
東京まで行く時間をケチって、逗子の床屋に行くという、いつもの床屋を裏切るということをしたのが悪かったのだろう。東京の床屋は予約が必要な、美容院のようなところだが、髪の毛の希望の長さ、量など、適当な塩梅をわかっている理容師がいる。だけど、今日は自分の注文通りのはずだったのだが、思っていたのとは似ても似つかぬ髪型となってしまった。解釈の違いとは恐ろしいものだ。「こうしてほしいってことでしたよね」と強い口調で念を押されて、「はい」と答えるのが精一杯。相手は刃物を持っていると考えると何にも言えなくなる。
私の願いと床屋の解釈頑張ってズレてしまったことにいつまでもくよくよしていても始まらないから、今度髪の毛を切る時はまたいつもの床屋に予約を入れてからいくようにする。
あと2ヶ月ほど待つか