北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

あるリーダー論

2014-05-01 22:04:59 | Weblog

 

 以前、ある組織にいた時に招集された会議に出席しました。

 その会議は、組織内に役職指定の委員長がいてその人の下にチームリーダーが委員として加わるというありがちな組織形態。

 会議の目的は野心的なもので、前任者が力を入れて始めたものだったのですが後任のあたらしい委員長のもとで2年目に入り、ちょっと新味が失せてきた感もありましたが、私自身はその志に共鳴していたので大いに進めて欲しいと思っていた会議で、出席するのも楽しみでした。

 その会議は年に数回回されることになっているのですが、新しい年度の第一回目として招集された時のことでした。

 事務局の担当者から「では委員長から挨拶を」と促された時にその委員長は十数名ほどの参加者の顔ぶれを見回して、何人かが人事異動で替わってはいたものの、「あ?うん、じゃ始めましょう」と挨拶らしい挨拶なしにその場を始めました。

 会議はそれによって議事を進め、事務局からの資料説明と多少の意見交換で30分程で終了しました。

 私は会議の冒頭で、委員長からの挨拶がなかったことにびっくりしたのですが、会議の場では発言を控えて、会議が終わった後に事務局の知人のもとを訪ねました。

「なぜ委員長に挨拶をしてもらわなかったのですか」
「ああなるとは思いませんでした。委員長の考えですから…」

「ちゃんと挨拶をすべきだ、と言ったらどうなんですか」
「それは…言えません…」

 事務局としても思いも寄らないことだったのでしょうが、なんとも情けない対応にがっかりすると同時に怒りがこみ上げてきました。


 その二日後、ちょうど別件でその委員長をした人の部屋で決裁をしてもらう機会がありました。

 決裁内容の説明をした後で、「ちょっとお願いがあります」と切り出しました。
「なあに」

「先日の会議の場で、挨拶をいただかなかったことを残念に思いました。年度の変わり目と言うことで、何人かはこの会議に初めて参加するメンバーもいました。どういう考え方でこの方針を進めて行くのか、と思ったことでしょう。是非次回からは、お考えの一端を聞かせていただいて、参加メンバーを鼓舞して欲しいと思います」

 するとその委員長は「…そうか、そうですね。すみませんでした」と素直に言ってくれました。

 (また嫌われるなあ)と内心はドキドキだったのですが、一応こちらの思いは伝わったようです。

 しかし結果的に私が疎まれることになろうと、誰かが言っておいた方が良いことを言えない雰囲気や関係性は組織にとっては改善の余地のある事項のはず。

 あまり気の進まない会議だとしても、そこにリーダーの意思をはっきりと示すことが出来なければ参加者のモチベーションは下がりこそすれ上がることはないでしょう。

 皆リーダーの顔色とこのことに掛ける意欲の程を見極めているのであって、役職指定の委員長とはいえ、リーダーとはその瞬間にどう振る舞うべきかを求められる立場なのです。

 
 言葉によって感謝したり褒めたり、そして不足を指摘し、進むべき方向を示して気持ちを一つにする。

 その出来事で、改めてリーダーというのは大変だと強く思いました。

 ちょっと昔の思い出ですが、リーダー論の一端としてご紹介します。 

コメント
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